天皇陛下は、2016年8月に生前退位のご意向を示し、その後2019年4月30日をもって正式に退位となっています。
この記事では、天皇陛下のお名前や年齢、生前退位の問題点及び海外の反応、そして現在についてまとめています。
この記事の目次
平成の天皇陛下「明仁」さまについて
第125代天皇
生年月日:1933年12月23日
御名:明仁(あきひと)
称号:継宮(つぐのみや)
印:榮
皇居:吹上御所
栄典:大勲位
父親:昭和天皇
母親:香淳皇后
副業:魚類学者
1952年に立太子、1989年1月7日に昭和天皇崩御を受け即位。平成時代においては「在位中の天皇」を意味する今上天皇と呼ばれています。
1959年4月、美智子さまとご結婚。
結婚パレードの様子より。
お二人は1957年の軽井沢でのテニス大会で出会い、当時の香淳皇后からの反対意見もあったと言われていますが、結婚しました。
天皇陛下のご家族(子孫)について。
両陛下の子供には、皇太子さま(1960年)、秋篠宮さま(1965年)、黒田清子さん(1969年)がいます。
(※黒田清子さんは旧名・紀宮清子内親王で、2005年11月に黒田慶樹さんとの結婚にともない皇籍離脱されています)
平成の天皇陛下のお名前は「明仁」さま
天皇陛下は、御称号が「継宮」・名前が「明仁」。
御称号は皇族直系の幼少期の呼び名です。
(画像は、香淳皇后と。)
名前・御称号は、どちらも父親である昭和天皇が命名されています。由来は、明治天皇の詔勅(天皇の公式文書)にあった「…立極垂統、列皇相承、継之述之…宣明治教以宣揚惟神之大道也…」に拠るものといわれています。
これは明治天皇の詔勅「大教宣布の詔」からとみられ、祭政一致の国家方針を表したものです。お生まれになったのが1933年でしたので、そういった由来であっても不思議ではありません。
なお天皇家の男子には、「◯仁」と名付けられることが多いそうです。
(皇太子さま…徳仁さま、秋篠宮さま…文仁さま等)
「天皇の一覧」wikipediaにも、歴代天皇の名前が載っています。それによると、平安時代から「◯仁」という名前(諱)が使われているようです。
平成の天皇陛下の年齢は2019年現在で85歳
1933年12月23日が生年月日。
すでに80歳を超えるご高齢です。なお現在一般企業の定年が60〜65歳程度で、年金受給年齢が65歳から。
天皇陛下の生前退位のご意向をNHKが第一報で報じる【2016年7月】
天皇陛下の生前退位のご意向は、NHKが2016年7月13日に第一報を報じています。
NHKが第一報。
これを担当したNHK橋口和人記者はそれまでも皇室関連のスクープ(愛子さまの性別、紀子さまの悠仁さまご懐妊)などを報じてきた方です。
宮内庁の反応は、即日に「報道された事実は一切ない」と否定しています。ただNHKの報道は訂正するどころか続けて同内容を放送していました。
そして、その後の8月に天皇陛下がお気持ちを述べられたことにより、NHKの第一報が正しかったことが証明されています。
ちなみに、これによりNHK橋口和人記者が2016年度新聞協会賞を受賞しています。
天皇陛下がお気持ちを表明するに至った背景には、宮内庁側にリークさせた人物がいるとみられています。それも陛下に近しい人物で有力筋の情報であったからこそ、NHKは宮内庁が否定しても再三と同内容を報道し続けたとも。
そしてこの生前退位報道の影で、宮内庁から去った人物がいます。
10月1日付の宮内庁人事で、宮家のお世話をする責任者である西ヶ廣渉・宮務主管(66)が退任した。
外務省出身の西ヶ廣氏は、リビア大使やルクセンブルク大使を経て、2014年4月から現職にあった。
「内閣府に任命権のある特別職であり、定年はありません。前任者も退任の目安となっている70歳まで10年務めてきました。それが、わずか2年半での交代ですから、異例と言わざるを得ません」
こちらの西ヶ廣渉元宮務主管が、NHK側に情報をリークする手はずを整えたのではないかというのが一部報道であります。
「陛下のお気持ちを受け止められた秋篠宮殿下の意を受け、宮務主管がNHKの記者を殿下に引き合わせる役割を担ったと分かりました。殿下を通じて“お気持ち”を内々に聞かされた記者は、ここからスクープに向け準備を始めたのです」
西ヶ廣氏に尋ねると、
「一連の動きには、私は一切関与していません」
あくまで否定しつつ、自身の退任については、
「変革の時期を迎え、新たな体制によってこれを乗り切っていくことになったためだと理解しています」
また天皇陛下は、以前から譲位のご意向があったとも言われ、
(6年前に「退位」のご意向聞く 元参与の三谷氏「驚きだった」「平成30年めどに実現を」)
今回のスクープでもって、官邸は重い腰を上げざるを得なくなったという見方もされています。
天皇陛下の生前退位にまつわるお言葉【2016年7月】
2016年7月13日にNHKが第一報を報じた「天皇陛下の生前退位のご意向」、同年8月には陛下自らお気持ちを述べられています。
おことば全文……「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」宮内庁
動画はこちら。
陛下は、象徴と位置付けられた天皇という立場から制度への意見を控えた上で、ご自身の思いを述べられています。(以下、抜粋引用)
2度の外科手術を受け,加えて高齢による体力の低下を覚えるようになった頃から,これから先,従来のように重い務めを果たすことが困難になった場合,どのように身を処していくことが,国にとり,国民にとり,また,私のあとを歩む皇族にとり良いことであるかにつき,考えるようになりました。既に80を越え,幸いに健康であるとは申せ,次第に進む身体の衰えを考慮する時,これまでのように,全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが,難しくなるのではないかと案じています。
天皇の高齢化に伴う対処の仕方が,国事行為や,その象徴としての行為を限りなく縮小していくことには,無理があろうと思われます。また,天皇が未成年であったり,重病などによりその機能を果たし得なくなった場合には,天皇の行為を代行する摂政を置くことも考えられます。しかし,この場合も,天皇が十分にその立場に求められる務めを果たせぬまま,生涯の終わりに至るまで天皇であり続けることに変わりはありません。
天皇が健康を損ない,深刻な状態に立ち至った場合,これまでにも見られたように,社会が停滞し,国民の暮らしにも様々な影響が及ぶことが懸念されます。更にこれまでの皇室のしきたりとして,天皇の終焉に当たっては,重い殯もがりの行事が連日ほぼ2ヶ月にわたって続き,その後喪儀そうぎに関連する行事が,1年間続きます。その様々な行事と,新時代に関わる諸行事が同時に進行することから,行事に関わる人々,とりわけ残される家族は,非常に厳しい状況下に置かれざるを得ません。こうした事態を避けることは出来ないものだろうかとの思いが,胸に去来することもあります。
恐縮ですが、簡単にまとめてみると以下のようなことが伺えます。
・高齢による体力的問題。
・公務縮小・摂政等の対処方法でも、生涯天皇であることに変わりはない。
・天皇の健康悪化による社会の停滞への懸念。
・崩御されたのちの、残された家族への負担。
天皇陛下の生前退位が禁止されている理由
大スクープとなった「天皇陛下の生前退位のご意向」ですが、長き歴代天皇の歴史を辿れば、その数は決して少なくありません。
天皇制に詳しい評論家の八幡和郎さんによると、最初に生前退位したのは、大化の改新の直後、孝徳天皇に位を譲った皇極天皇。歴代の天皇のうち半数近くは生前に退位したとされる。平安時代には退位が続き、上皇が権力を握った時期もあった。最後の譲位は約200年前、光格天皇(在位1779~1817年)の退位による仁孝天皇の即位だ。
しかし明治維新後に旧皇室典範が制定され、その際に天皇の譲位が争いのきっかけになってきた歴史を省みて、終身天皇という規定になったとみられています。
天皇自身、またはその周辺による恣意(しい)的な譲位は、しばしば政争や内乱の遠因となった。明治維新の立役者の一人である伊藤博文は、譲位を認めれば、政情は不安定となり、内乱になりかねないと現代人以上に危惧していたに違いない。
そして現在まで続く皇室典範での皇位継承についての取り決めが以下になります。
皇室典範第4条 天皇が崩じたときは,皇嗣が直ちに即位する。
また戦後は、”象徴としての天皇”が憲法で定められたことによって、自分の意思による退位が「象徴」としての地位と矛盾しているという点も言われています。
昭和天皇の時代にも、生前退位について宮内庁から消極的な意見が言われています。
1984年には、高齢となった昭和天皇の退位について国会で問われた当時の宮内庁次長が、皇室典範に生前退位の規定がないことについて「退位を認めると上皇や法皇の存在ができて、弊害を生ずる恐れがあるのではないか」と指摘。さらに、天皇の意思に基づかない退位の強制もあり得ると述べ、典範改正に否定的な考えを示した。
天皇陛下の生前退位に関する4つの問題点
天皇陛下の生前退位に対する問題点は、以下のようなことが言われています。
①法改正
②皇太子問題と女性宮家問題
③特例措置は、退位だけではなく即位にも
④退位した天皇の呼称・住居
どれも横つながりの問題でもありますが、詳細をまとめていきます。
①法改正
天皇陛下の生前退位をめぐり、現状のままでは不可能ですので、どちらにしろ法改正(あるいは特別措置法)をする必要があります。譲位にのみ着目すれば、考えうる方法としては3つです。
政府は生前退位の制度化について(1)現在の天皇陛下に限り適用する特別措置法の制定(2)皇位継承を定めた皇室典範の改正(3)現行法の範囲で公務の負担を軽減-の三通りの対応を想定している。
本格的な議論としては、今後の有識者会合を経ての取り決めになりますが、現在最も有力方法として想定されているのが(1)の特別措置法だと言われています。
陛下の「生前退位」を巡り、政府は特別措置法で対応し、皇族の減少など抜本的な問題と分けて議論する「2段階論」が浮上していることが分かりました。
政府としては憲法や皇室典範の改正には時間がかかることから、現在の憲法の枠内で生前退位に必要な範囲に絞って法整備を行いたい考えです。具体的には特別措置法で対応し、憲法との兼ね合いで皇室典範の付則に明記する案が浮上しています。
一方で、「女系天皇」や「女性宮家」の創設などについては議論に時間がかかることから、生前退位とは切り離して検討する方針です。政府は世論の動向を見極めながら慎重に検討を進める方針です。
つまり現在の天皇陛下1代限りの特別措置として「生前退位」を可能にし、それ以降の問題については別途議論をしていく…というものです。
・この特別措置法については、憲法2条の観点から違憲となる可能性が指摘されています。
・一方で、法制局長官からは問題ないという発言が出るなどもしています。
ただ天皇陛下のお言葉にかえると特別措置といったその場限りのものではなく、陛下が憂いたことを子孫が感じることがないように…といったお気持ちに読み取れるものもあります。
天皇自身が、
「象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえに念じ」
と語っていることから、
「陛下はご自分だけの生前退位を望んでおられるわけではない。一代限りの特措法だけで今後の見通しが立たなければ、何らかの方法で再度『お気持ち』を表明されるかもしれない」と見ている。
政府が特措法での実現を目指すのは、皇室典範の改正となると、議論が長期化してしまうと懸念しているからだ。
②皇太子問題と女性宮家問題
仮に、生前退位が可能になった場合には、「皇太子(弟?)問題」がでてきます。
今上天皇の退位で皇太子が次の天皇として即位した場合、「次の皇太子」が不在になる。皇位継承順位は秋篠宮が第一位に繰り上がるが、現行の皇室典範では天皇の弟が「皇太弟」となる規定がないからだ。皇室ジャーナリストの久能靖氏が指摘する。
「現実的には皇太子としての公務を秋篠宮殿下が担うことになるでしょうが、正式な皇太子が不在になると宮内庁の東宮職が廃止になるかもしれません。
また、皇室経済法では天皇と皇太子のご一家は内廷費、他の宮家は皇族費で生活をまかなっており、予算額も大きく違います。秋篠宮家を現状通りの筆頭宮家として扱うのか、それとも内廷皇族にするか、これも法改正が必要になる。こうした問題は特措法では対応しきれない」
またその場合には男性成年皇族が天皇・皇太子(弟)以外にいなくなってしまうことから、女性宮家についても議論されるべき問題となってきます。
ただこれは現段階では先送りを想定しているために、秋篠宮ご夫妻の娘である眞子さま・佳子さまの将来に影響するのではないかという別の懸念を生みます。
政府は今回の退位だけを認める特別法を制定する方針で、改めて注目された「女性・女系天皇」や「女性宮家」の問題は、先送りにするのではという見方が強まっている。
「基本的に現在の両陛下の公務は、皇太子同妃両殿下が引き継ぎ、両殿下の公務は秋篠宮同妃両殿下が引き継がれることになるでしょう。では、秋篠宮同妃両殿下の公務はどうなるかといえば、当面は眞子・佳子両内親王殿下が担われるしかないのではないでしょうか」
③特例措置は退位だけではなく即位にも
生前退位だけではなく、即位に関する特別措置も必要ですね。
譲位(生前退位)とは即位と一体です。本来、皇室典範を改正しなければできないはずの譲位を特措法をつくって行なうということは、即位まで特措法という例外的な措置で行なうことになる。国の象徴である天皇の即位が憲法と皇室典範という正当な手続きに則ったものではなくなり、天皇の権威そのものを傷つけることになりかねない
また生前退位を認めてしまうことで、その逆も然りということで「即位に関する選択」の可能性も指摘されています。
④退位した天皇の呼称・住居等
皇室典範には、退位した天皇についての規定がありませんので、それに伴う呼称・役割・住居などについての整備の必要性も言われています。(かつては太上天皇・上皇などが存在していますが、現代にそぐわないという指摘がある)
いずれにせよ「生前退位」だけではなく、それに伴う問題が山積みのようです。
天皇陛下の生前退位の海外の反応
天皇陛下の生前退位ニュースは、海外メディアでも大きく取り上げられています。
海外の反応も、陛下の意思を尊重されるというものが多いです。
15万国アノニマスさん
(生前退位は)ベネディクト教皇を思い起こさせるな17万国アノニマスさん
天皇陛下のことは尊敬している!
陛下も皇后も生前退位をするにふさわしい人物だと思うよ18万国アノニマスさん何であれ天皇陛下のご決断なんだから、退位されることを願ってる
年齢的にも納得の声が多数。
・天皇陛下はもう82歳だし引退を望まれるのも無理はないと思うな。
・82歳という年齢を考えれば退位しても誰も責める人はいないだろうね。
しかし平成が終わったら次はなんという元号になるのだろうか?
・年齢も年齢だし良いんじゃないかな。
・でも日本では82歳はまだまだ若い部類に入るんだよ。
天皇陛下の「生前退位」ではなく「譲位」
誰よりも近くで天皇陛下を見てきた皇后美智子さま。2016年10月のお誕生日に際してのお言葉では、陛下の「生前退位」の意向についても触れられています。
8月に陛下の御放送があり,現在のお気持ちのにじむ内容のお話が伝えられました。私は以前より,皇室の重大な決断が行われる場合,これに関わられるのは皇位の継承に連なる方々であり,その配偶者や親族であってはならないとの思いをずっと持ち続けておりましたので,皇太子や秋篠宮ともよく御相談の上でなされたこの度の陛下の御表明も,謹んでこれを承りました。
ただ,新聞の一面に「生前退位」という大きな活字を見た時の衝撃は大きなものでした。それまで私は,歴史の書物の中でもこうした表現に接したことが一度もなかったので,一瞬驚きと共に痛みを覚えたのかもしれません。私の感じ過ぎであったかもしれません。
「生前退位」いわゆる譲位のことですが、その言葉に大きな衝撃を受けたという美智子さま。
意味はわかりますし、NHKスクープを皮切りに普通に使われている言葉ですが、あまり馴染みがなく気持ちの良いものではありません。
いい加減メディアは「生前退位」という下品で機械的な言葉の使用をやめるべきだ。常識的に「皇位譲位… – 生前退位「スピード感持って」=有識者会議の議事概要公表(時事通信) https://t.co/R0Vv7yzfLC #YJnewsComment
— 西村幸祐 (@kohyu1952) 2016年10月24日
宮内庁「天皇陛下は生前退位という言葉を使われたことはない」
— 小迎ちゃんパパ18歳 (@nakamukae) 2016年10月22日
三谷太一郎東京大学名誉教授「天皇陛下は『譲位』という言葉を使われた」
なんで実際に使われた言葉ではなく勝手に言葉を変えて報道するかね?そんなに偉いんか?陛下より自分らの国語能力が高いとでも?
天皇陛下は2019年4月末で退位…5月より令和時代へ
2017年12月1日、今上天皇退位の日が2019年4月30日に決定したと発表されました。同8日、政府は同日付での退位を閣議決定しました。
今上天皇在位中の2019年(平成31年)4月1日に新元号『令和』が公表され、元号を改める政令に署名、公布。施行は5月1日となりました。
新天皇陛下が1日午前0時、皇太子から即位された。30年余り続いた「平成」が終わり、「令和」に改元。新陛下は59歳で、戦後生まれの初めての天皇になった。前天皇陛下は4月30日限りで退位し、上皇となった。
ありがとう平成、よろしくね令和!#まっちゃねこ #ほうじ茶ねこ #むぎちゃねこ #ちにゅり絵#平成最後の日 #平成最後 #令和 pic.twitter.com/ED0AX4XwZj
— ちにゅり (@chinyuri_6v6) 2019年4月30日
新たに始まる「令和」ですが、これからどんな時代になるのか楽しみですね。