PPAPはピコ太郎さんによる世界的ヒット動画(楽曲)です。そんなPPAPが2017年1月に入り、第三者によって商標登録申請されていることが判明しました。
ここではPPAPの商標登録問題と、無関係でありながら登録申請を行った上田育弘氏の経歴・プロフィールについてまとめています。
この記事の目次
PPAPについて
PPAP:Pen-Pineapple-Apple-Pen(ペンパイナッポーアッポーペン)の略。
古坂大魔王プロデュースによるピコ太郎の作品。
PPAPは2016年8月に動画サイトYouTubeに投稿され、同年9月にジャスティンビーバーにツイートされ世界的なニュースとして取り上げられました。
再生回数が全世界で2億回以上に上り、2016年のYouTube発表の「トレンド動画ランキングトップ10(グローバル)」では2位にランクインするという快挙を達成しています。
出典:PPAP(Pen-Pineapple-Apple-Pen)
PPAP商標登録問題
2016年の後半期に一気に話題をかっさらったPPAP。テレビなどで見かけることも多かったですが、2017年1月に商標登録問題が浮上しました。
なんとPPAPのピコ太郎さんでもプロデュースの古坂大魔王さんでもエイベックスでもない、全く無関係の会社からの商標登録出願があったとされます。
ピコ太郎さんの世界的なヒット曲「ペンパイナッポーアッポーペン(PPAP)」のPPAP(ピイピイエイピイ)などが、ピコ太郎さんとはまったく関係のない会社に先に商標登録出願されていることが27日、分かった。
PPAPを商標登録出願しているのは、商標をビジネスにしているとされる大阪の会社で、元弁理士が経営。出願は平成28年10月5日だった。ピコ太郎さんが所属する事務所の親会社「エイベックス・グループ・ホールディングス」は、同月14日の出願で9日遅かった。元弁理士の会社は「ペンパイナッポーアッポーペン」も同年11月24日に出願。商標の権利を本来の使用者に売り、利益を上げることが目的とみられる。
とてもモヤモヤする話ですね…。
特許庁HPによると「商標」とは。
商標とは、事業者が、自己(自社)の取り扱う商品・サービスを他人(他社)のものと区別するために使用するマーク(識別標識)です。
商標は、文字・図形・記号・立体的形状・動き・ホログラム・色彩・音商標・位置商標などからなり、それらを組み合わせたものも存在。たとえば任天堂の「スーパーマリオ」、熊本県の「くまモン」、象印マホービン株式会社の「ZOJIRUSHI」など、著名なものの多くも商標登録をされています。
なお商標情報については、インターネットにて閲覧可能です。
商標権があると使用権利を専有し、他者の使用について異議を唱えることができます。
商標権者は、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有します(専用権、商標法第25条(外部サイトへリンク))。さらに、他人によるその類似範囲の使用を排除することができます(禁止権、商標法第37条(外部サイトへリンク))。
商標権者は、権利を侵害する者に対して、侵害行為の差し止め、損害賠償等を請求できます。商標権の効力は、日本全国に及びます(外国には及びませんので、外国で事業を行う場合は、その国での権利を取得することが重要です)。
商標については、最近でもいろいろと話題になっていますね。
・2016年には、「黒夢」の商標が特許庁のオークションに出る。
(※誰が落札したのか定かではありませんが、楽曲を歌うことは問題無いとのこと……清春「歌うことは問題ない」ロックフェスで黒夢楽曲を熱唱)
・2017年の大河ドラマ「女城主 直虎」も。
(※浜松市が商標登録申請する前の2014年に長野県の酒造場が登録されていた。ただこれは浜松の「井伊直虎」のことではなく、江戸時代に長野県須坂地方の城主だった「堀直虎」からくるもの)
さまざまな問題が起こることもある商標権。PPAPに関しては、全く関係ない第三者が出願しているという驚きの内容でした。
PPAP商標登録申請した上田育弘の経歴や国籍などプロフィール
元弁理士の上田育弘のプロフィール・経歴
名前:上田育弘
生年月日:1963年生まれ
年齢:53歳(PPAP騒動当時)
出身大学:大阪大学工学部金属材料学科
最終学歴:東京大学大学院法学政治学研究科修士課程
経歴:元弁理士で、現在はベストライセンス株式会社の代表。
大阪大学工学部金属材料学科を卒業後、大手自動車メーカーで6年間勤務。東京大学大学院法学政治学研究科修士課程を修了する。1994年より弁理士としての活動を開始するも、2013年4月10日付で日本弁理士会から会費滞納を理由として退会処分を受け、弁理士登録が抹消され、弁理士として業務を行うことができなくなった。
同時期より自身及び『ベストライセンス株式会社』の名義で、他社がすでに使っている商品名などについて、極めて多くの商標の登録出願を開始。そのほとんどは手数料を支払っていないために却下されているが、出願情報は出願公開公報やJ-PlatPatにて公表され、却下されるまでの間に既に商品名などを使用していた他社が使用や商標登録を断念する懸念があるため、特許庁がホームページにて注意喚起を行っている。
引用:wikipedia
PPAPの商標登録問題はメディアで大きく取り上げられ、当事者である元弁理士でベストライセンス株式会社代表の上田育弘氏も登場しました。
そんな上田育弘氏は、かねてから商標に関する有名人だったと言います。
大阪府茨木市に本社を置く「ベストライセンス株式会社」。登記によると資本金は500万円で、2014年に設立され、元弁理士の上田育弘氏が代表を務めている。ベスト社が出願しているのは「PPAP」をはじめ、「ペンパイナッポーアッポーペン」など。過去には「STAP細胞はあります」「あまちゃん」「じぇじぇ」「民進党」といったはやりのフレーズも出願。15年にはベスト社と上田氏が計1万4786件の商標を出願。国内全体の1割を占める異常な数字だ。
「上田氏は数年前、弁理士会への登録をやめたので、今は正規の弁理士活動はできません。ちょうどそのころから、無関係の商標の大量出願を始めたようです。しかも、出願時に必要な登録手数料(1件1万2000円)をまったく支払わないので、特許庁も業を煮やし、対策を練っている矢先だったのです」(法曹関係者)
これを受けてか、2016年5月に商標の大量申請に関して、特許庁は注意喚起を行っています。
「自らの商標を他人に商標登録出願されている皆様へ(ご注意)」経済産業省 特許庁
国籍は?
ネットを見てみると、「上田育弘 韓国」「上田育弘 国籍」などと言った検索ワードが見られます。ネットを見てみると、発想が日本人のものではないことから、上田育弘氏の国籍が韓国ではないかと疑われているとのことです。
668 : 名無しさん@恐縮です2017/01/27(金) 09:08:45.18 ID:V+h3jZVh0
発想が朝鮮人中国人だな
国籍調べてみ
100%日本人じゃないから
上田育弘の言ってるそれ中国や韓国と同じなんだよなぁ
— たろー@ (@taro_hyakkitan) 2017年1月26日
上田育弘氏は国籍や家族に関する情報を公開していないので、現時点では真相は不明です。
PPAP商標登録申請した上田育弘の逮捕の可能性は?
逮捕の可能性は?
現時点で上田育弘氏の逮捕の可能性は低いと考えられています。
上田育弘氏は元弁理士だけあって商標獲得における法律や制度を熟知しており、逮捕されないとわかっていて商標出願を行っています。
ネットでは、偽計業務妨害あたりで逮捕して欲しいという意見もありましたが、現時点では厳しいでしょう。
上田育弘とかいう商標ゴロのおっさん、こいつ偽計業務妨害で逮捕できねーのかね。
— 咲来さん@祝・東鳩20周年 (@sakkurusan) 2017年1月26日
商標登録出願はある種「早い者勝ち」のようなルールがあり、基本的に企業は偽装品を作られたりすることが無いように考えて、複数の商標を出願する事があったりと考えられています。これでも違反でない為逮捕の可能性は低いようですが、このような事で上田育弘氏のような者が許されて欲しくないですね。
— 隼レイカ (@reikasp) 2017年1月26日
PPAP商標登録申請した上田育弘はなぜ強気?商標の先願主義とは
PPAPの商標登録問題はメディアで大きく取り上げられ、当事者である元弁理士がインタビュー(1時間5万ぐらい)に応じました。
全くの第三者であると認める上田育弘氏。
出願日が先であることから、強気な発言。
「相手よりも先に出願するのが重要」と話します。
※PPAPについては、上田氏のベストライセンス株式会社が「2016年10月5日」に、エイベックスが「2016年10月14日」に出願しています。
「私を無視して使用したら、損害賠償の対象」!?
エイベックスに警告書を送ったとも言います。
強気な上田育弘氏、その理由は商標の「先願主義」が影響しているとする見方があります。
わが国では、同一又は類似の商標の出願があった場合、その商標を先に使用していたか否かにかかわらず、先に出願した者に登録を認める先願主義という考え方を採用しています。
ただ先願主義といえど、商標が認められないケースが存在。
- 1.自己と他人の商品・役務(サービス)とを区別することができないもの
- 2.公共の機関の標章と紛らわしい等公益性に反するもの
- 3.他人の登録商標や周知・著名商標等と紛らわしいもの
同じく特許庁HPでは、商標を先取りされた場合であっても、必ずしも商標登録が適用されるものではないとしています。
仮に出願手数料の支払いがあった場合でも、出願された商標が、出願人の業務に係る商品・役務について使用するものでない場合(商標法第3条第1項柱書)※2や、他人の著名な商標の先取りとなるような出願や第三者の公益的なマークの出願である等の場合(同法第4条第1項各号)※3には、商標登録されることはありません。
商標登録に関する先願主義は確かにありますが、PPAPは日本のみならず”世界的ヒット”となったもの。そう考えると、今回ニュースとしても取り上げられていますし、先願主義でそのまま採用されたりすることは現実的ではないように見えます。
では、一体上田育弘氏はこんなことをしたのかというと…。
ビジネスで商標登録を行っている?
商標登録は「ビジネスモデル」
かねてから上田育弘氏の商標登録の大量申請が問題になっていましたが、その理由について語っています。
「将来自分で使う、他人に権利を譲渡する、先に出願しておくことで権利を仮押さえする三つが狙い。(出願中に)権利が欲しいという人が現れれば、ビジネスになる」と売買目的を認めた。手数料を払わないのは、「権利化してメリットがあるものだけを厳選している」ためという。近く、商標を取引するためのホームページを立ち上げる予定だとも話した。
実際にそんな商標の大量出願をしている中、影響を受けたところも……。
群馬県太田市は1月、今秋に開館する美術館・図書館複合施設の愛称「おおたBITO」を今後、使わないと発表した。商標の出願をしようとしたら、上田氏側が先に出願していたためだ。太田市によると、上田氏から「BITO」を使う権利を譲りたいとの趣旨のメールが来たが、「応じるつもりはない。別の愛称を検討する」(担当者)という。
(※かなり余談ですが、この「太田市美術館・図書館」は商標だけではなく、佐野研二郎さんのロゴ使用を予定していましたが反対にあい撤回。つまり愛称・ロゴとW撤回があったそう。いろいろと重なるものですね)
以上のことからも、上田育弘氏のいうビジネスモデルが何なのか…というところが見えます。
先願主義を利用したように見える商標ビジネス……、ルールに則ったものだと話していますが、違和感を覚えます。ちなみに今回のものと少し色合いが違いますが、過去にも商標登録に関する動きが問題になったことがありました。
コナミの無関係な商標登録問題。
1999年頃から2000年にかけて知的財産の保護等を目的に自社製品名の商標登録に合わせて他社製品・名称等を登録する動きがあった。違法ではないものの同業他社や出版社が発行する著名な雑誌名にまでコナミが商標登録を行った動きに対してユーザーや関係者から批判が起こり、一部ではコナミ製品への不買にまで発展。中には特許庁に商標登録しないよう働きかける運動も行われ、最終的に特許の取り下げ・拒絶査定によりコナミが申請を行った他社製品等の名称は商標登録されない結果になっている。
またドクター中松さんの商標登録も一時期、話題に。
日本維新の会を商標登録してるドクター中松の商標登録一覧が凄いことになってるwwwwww
なおドクター中松さんが商標登録申請していた「日本維新の会」は却下されています。
2012年(平成24年)9月に大阪市長橋下徹らによって結成された政党日本維新の会は中松の届出に困惑しており、同会も商標登録を行う予定であった。2014年8月16日に中松の申請は却下され、中松側の不服申し立ても2014年2月25日に再び却下された。中松側は審決取消訴訟を行ったが、知的財産高等裁判所は却下は妥当であるという判決を下した
こういった事例を見ても、今回の著名な「PPAP」が登録される見通しはやはり低そうですが、もう一つ問題なのは時間ではないでしょうか。
商標登録申請の狙いの一つに「仮押さえ」をあげていた上田育弘氏。商標登録の審査開始は出願からだいたい半年程度とされ、その期間にビジネス交渉を行うとしています。
商標登録は出願から審査までに半年かかり、そこから登録までに半年から1年かかるとされている。最低1万2000円という出願手数料は審査開始の時点で必要となり、審査開始時に支払わなければ出願が取り消されるのだそうだ。
男性は出願から審査開始までの半年の間に、商標や使用権を他社と交渉しているという。その商標の売買と使用権の許諾で利益を得ることをビジネスモデルにしているとし、男性は「正当な競争」を行っていると主張していた。
そして商標登録の審査も先着順……ということは、ピコ太郎(エイベックス)側も、ベストライセンス社の結果をもたなければいけないということに。
PPAP商標登録申請した上田育弘の現在
上田育弘氏のPPAP商標登録申請から5年以上経っていますが、結局、上田育弘氏が逮捕されることはありませんでした。
しかし、2018年に商標法の改正が行われ、手数料未納の商標出願から分割した場合は、分割後の出願についてもとの出願日を維持しないこととなりましたが、この改正はベストライセンス対策で行われたと見られています。
そして、ツイートは2018年を最後に止まっています。
上田育弘氏は現在も変わらずベストライセンス株式会社社長として活動しているようです。
まとめ
PPAP商標登録問題についてまとめましたが、かなりモヤモヤする内容でした。元弁理士ということで知識のある方の行為というところにも納得できません。今回は著名なPPAPということでしたが、あまり名の知られていないケースだった場合を考えるとゾッとしますね。
そんな渦中にあるピコ太郎さんは、以下のようにコメント。
ピコ太郎は「去年8月、ジャスティンがどうのこうのあって、紅白があって、レコ大があって、今これがあって。人生って色々ありますね」と笑い飛ばした。「たまったもんじゃございません」と言い放つピコ太郎に、出演者の本村健太郎弁護士が「商標の問題は大丈夫だから」とエールを送ると、ピコ太郎は「じゃあ、おもいっきりペンパイナッポーアッポーペン」とポーズをしてスタジオを沸かせた。
いろいろありますが、これからも頑張ってほしいです。