マダニに刺されることによって発症する感染症のライム病は、現在までに対応できる医師が少なく病名特定までに時間がかかる難病として知られています。
この記事では、ライム病の症状や原因と完治までの流れや、罹患した芸能人・有名人について詳しくまとめましたのでご紹介します。
この記事の目次
- ライム病の症状や原因…日本では1986年に初のライム病患者が報告
- ライム病患者の画像と治療方法…早期発見できれば2週間程度で完治
- ライム病に罹患した海外の芸能人・有名人① ジャスティン・ビーバー
- ライム病に罹患した海外の芸能人・有名人② アヴリル・ラヴィーン
- ライム病に罹患した海外の芸能人・有名人③ リチャード・ギア
- ライム病に罹患した海外の芸能人・有名人④ ベラ・ハディッド
- ライム病に罹患した海外の芸能人・有名人⑤ ソフィー・ワード
- ライム病に罹患した海外の芸能人・有名人⑥ ベン・スティラー
- ライム病に罹患した海外の芸能人・有名人⑦ アレック・ボールドウィン
- ライム病に罹患した海外の芸能人・有名人⑧ アリー・ヒルフィガー
- ライム病に罹患した海外の芸能人・有名人⑨ ケリー・オズボーン
- ライム病に罹患した日本の芸能人・有名人① ATSUSHI
- ライム病や罹患した芸能人・有名人をまとめると…
ライム病の症状や原因…日本では1986年に初のライム病患者が報告
ライム病の原因は野生のマダニ
マダニに刺されることで感染することがある感染症
ライム病とは、野生のマダニに刺咬された後に原因不明の神経症状が起こる病気で、細菌(スピロヘータ)による感染症です。
19世紀後半より欧州で症例が報告されるようになり、1970年代以降はアメリカ北東部を中心に世界中に広がりを見せてきました。
流行地 欧米では現在でも年間数万人のライム病患者が発生し、報告数も年々増加しています。 日本では、1986年に初のライム病患者が報告されて以来、現在までに数百人の患者が、主に本州中部以北(特に北海道および長野県)で発生しています。
引用:ライム病
ライム病の症状について
日本では重篤なライム病患者は報告されていない
ライム病の主な症状としては、関節炎や遊走性皮膚紅斑、良性リンパ球腫、慢性萎縮性肢端皮膚炎、髄膜炎、心筋炎などがあり、以下のステージによってその重症度は変わってきます。
【感染初期(ステージ1)】
【播種期(ステージ2)】
【感染後期(ステージ3)】
ライム病患者の画像と治療方法…早期発見できれば2週間程度で完治
ライム病患者の画像①
ライム病患者の画像②
マダニに刺咬された直後の急性期のライム病は、一般的な抗生物質の投与により2週間程度で完治すると報告されています。
また詳細には、マダニ刺咬後の遊走性紅斑にはドキシサイクリン、髄膜炎などの神経症状にはセフトリアキソンが第一の有効薬として使用されています。
ライム病の第一の予防はマダニに刺咬される環境に身を置かないことであり、登山などで野山に入る必要がある場合には、入念に虫よけスプレーをしてむやみに藪の中に入らないことや、肌を露出しない格好やズボンの裾を靴下の中に入れるなど、マダニが直接皮膚に到達しないようにすることが大切です。
それでも万が一マダニに刺咬された場合は、マダニをつぶさないように除去した上で、口器を体内に残さないようにし、その後十分に消毒することです。
ライム病に罹患した海外の芸能人・有名人① ジャスティン・ビーバー
唐突にライム病を公表しまたもや世間を騒がせた
カナダ出身の歌手であるジャスティン・ビーバーは、2020年1月8日に自身のインスタグラムでライム病に感染していたことを報告し世間を騒がせました。
ジャスティン・ビーバーは、ライム病だけではなく脳の機能を含む全身に関わる健康を害していたことも明かしていました。
「ジャスティン・ビーバーは××××みたいだとか薬物をやっているとか言う人も多かったけれど、そういう人たちは分かっていない。僕が最近になってライム病と診断されたことを。それだけでなく、皮膚や脳の機能、エネルギー、全般的な健康に影響する慢性疾患の深刻な症状を抱えていたことも」
「こうしたことについては、近いうちにユーチューブに投稿するドキュメンタリーシリーズで詳しく説明する」
「僕がずっと戦ってきたこと、そして克服しつつあることを知ってもらえると思う。苦しい数年だったけれど、適切な治療を受けることが、これまで治療不可能だった疾患を治療する助けになる。僕は復帰して、今までよりずっと良くなる」
このジャスティン・ビーバーの突然のカミングアウトについて、ネット上では注目を浴びるための”毎度のお騒がせ”と見られている傾向があったようですが、実際に皮膚病や頭痛、倦怠感などに悩まされ、妻のヘイリー・ボールドウィンが友人のジジ・ハディッドの家族に宛ててツイッターで「サポートをありがとう」と投稿したことから、闘病を助けられていたとみられています。
ライム病に罹患した海外の芸能人・有名人② アヴリル・ラヴィーン
ライム病の闘病から啓発活動を始めた
アヴリル・ラヴィーンはカナダ出身のシンガーソングライターとして、17歳だった2002年にデビューし、デビューアルバム『レット・ゴー』が全世界で約2000万枚を売上げるなど、世界的な人気を誇ってきました。
しかし、そうした栄光の裏側でアヴリル・ラヴィーンはライム病と闘っていたようです。2014年にライム病を患っていることを公表し、2015年6月には5ヶ月もの間寝たきり生活をしていたことをテレビ番組で明かしていました。
そして、日本時間の2018年9月7日に自身のウェブサイト上でファンに対して死を意識した闘病だったことを明かしました。
「肉体的にも精神的にも今までの人生で一番辛い日々でした」
「私は死を受け入れ、体の機能が停止していくのを感じていました。まるで水の中にいるような息苦しさを感じて、とにかく空気を求めて這い上がりたい気持ちでした。神に助けを求め、この苦しみを乗り越え、この嵐の中で何か希望が見えるようにと祈りました」
「たった1回の虫刺されが、深刻な事態を引き起こします。ライム病が早急に処置されなければならないことを人々は知らないのです。ライム病と診断されず、何も処置が施されないケースが多々あります。そしてライム病と診断されたとしても、治療費が高額で払えないことも多いのです」
アヴリル・ラヴィーンは自身の闘病経験からライム病の周知・啓発活動に従事するようになりました。
自身の財団ではライム病を未然に防ぐため、ウェブサイト上で予防方法などの情報を提供している他、ライム病の治療に関して熟知している医者などを紹介し、一流の科学チームと提携してライム病研究を進めているようです。
ライム病に罹患した海外の芸能人・有名人③ リチャード・ギア
愛犬を媒介してライム病になった
ハリウッド俳優として映画『HACHI 約束の犬』や『シカゴ』など、名だたる名作で主演し続けてきたリチャード・ギアですが、過去に飼っていた愛犬に付着していたマダニに刺されてライム病を発症したことがありました。
リチャード・ギアは早期発見だったため重篤化する前に抗生物質により完治することができましたが、2000年当時に撮影中だった映画『オータム・イン・ニューヨーク』は治療のため度々延期になったと言われています。
その後、完治してからもリチャード・ギアは愛犬と仲良く暮らしているそうです。
ライム病に罹患した海外の芸能人・有名人④ ベラ・ハディッド
出典:https://front-row.jp/
闘病生活は15年にも及んでいた
日本でも人気のスーパーモデルであるベラ・ハディッドは、2012年、16歳の時にライム病と診断されました。
母親であるヨランダ・ハディッドと弟のアンワー・ハディッドもライム病の診断を受けており、家族で闘病を続けてきました。
ベラ・ハディッドは闘病の様子を度々発信してきており、病気をきっかけに健康ドリンクブランドも立ち上げています。
2016年にはライム病患者のためのイベントに出席し、「見た目ではわからなくても、体の内部では床に崩れ落ちてしまうほど苦しい症状がたくさん現れる」と語っていました。
15年もライム病と闘ってきたベラ・ハディッドですが、2023年9月に治療を終えたことを報告しています。
「時がたつにつれ悪化する状態の中で、仕事をしながら、自分自身や家族、支えてくれる人たちが、私を誇りに思えるようにと頑張り続けることは、言葉では説明できないくらい大きな負担となっていました。私はこんなにも恵まれ、恩恵やチャンスを与えられ、愛に囲まれているのに、こんな悲しい病気であることにいつも複雑な思いでした。
みんなに言いたいことは2つ。1. 私はもう大丈夫。だから心配しないで。そして、2. 私は依然とまったく何も変わらないということ。みんなと一緒にここまで、この瞬間までやってきて、やっと健康になったけど、もしこれと同じことをもう一度やらなければいけないとしても、私は同じことをするでしょう。その経験が今日の私を作ってくれたのだから」と続けた。
ライム病に罹患した海外の芸能人・有名人⑤ ソフィー・ワード
中国旅行中にパンダに触れてライム病になった
ソフィー・ワードはイギリス出身の女優として映画『ヤング・シャーロック/ピラミッドの謎』や『トスカニーニ』などに出演しました。
ソフィー・ワードは2008年に家族と中国旅行に訪れた際に、パンダと触れ合う中でマダニに刺されてしまいライム病を発症しました。
ソフィー・ワードは感染初期に、倦怠感や異常発汗、吐き気などを覚えたため病院にかかったところ、ライム病とは診断されずに解熱剤と抗生物質だけが処方されました。
ソフィー・ワードは女優になる前はイギリスで有望な競泳選手で、将来はオリンピック出場が期待されていましたが、ライム病の症状により競技に集中することができず選手生活を終えることになってしまいました。
治療のためにソフィー・ワードは数百件の病院で診察を受けましたが、ライム病だとようやく診断され適切な治療が開始されたのは罹患から実に約9年後となる2017年3月のことでした。
しかし、ソフィー・ワードは長期間治療できなかったことにより重篤化して弱っていたため抗生物質での治療ができず、ハーブ治療を受けながら車椅子生活をしています。
その後現在までに、ソフィー・ワードはイギリスのライム病団体に所属して、啓発活動や治療に関する研究などに携わっています。
ライム病に罹患した海外の芸能人・有名人⑥ ベン・スティラー
膝痛からライム病が発覚した
ハリウッド俳優として映画『ナイトミュージアム』シリーズや『メリーに首ったけ』などで主演を務めてきたベン・スティラーは、2010年にライム病の診断を受けたことを公表していました。
ベン・スティラーは元々持病として膝痛がありましたが、緩和されるどころか年々酷くなっていったため病院にかかったところ、ライム病であることが分かりました。
ベン・スティラーは自身の知名度を活かして周知できると思い、ライム病であることを公表したようです。
ライム病に罹患した海外の芸能人・有名人⑦ アレック・ボールドウィン
出典:https://girlschannel.net/
ライム病になり死を覚悟した
『ミッション:インポッシブル』シリーズなどへの出演で知られるアメリカ出身の俳優・アレック・ボールドウィンは、数年の間にそれぞれ違うダニに2回刺され2000年頃にライム病を発症したようです。
アレック・ボールドウィンは、ライム病によりインフルエンザのような症状が出ることを明かしています。
初めて症状が出た時は死を覚悟したといいますが、症状は年々良くなってきていると2017年に語っていました。
「僕はここ5年間、毎年8月にライム病の典型的な症状が現れるんだ。黒肺塵症みたいなインフルエンザのような症状さ。ベッドで死ぬほど大汗をかくんだ。でも初めて症状が出た時が一番悪くて、あとは徐々におさまっているね。少なくとも僕はそう感じているんだ。初めて症状が出た時は最悪だったよ。本当にもう終わりだと、死ぬんだと思っていたね。当時は結婚もしていなくて独り身だったんだ。1番目の妻と離婚した後で、ベッドに横たわりながら『ライム病で死ぬんだ』『誰か見つけてくれて、放置され過ぎないことを願うよ』って言っていたもんさ」。
ライム病に罹患した海外の芸能人・有名人⑧ アリー・ヒルフィガー
出典:https://ja.conceptbeautiful.com/
わずか7歳で発症していた
アメリカ出身の人気ファッションデザイナーであるトミー・ヒルフィガーを父に持ち、自身もデザイナーとして活躍するアリー・ヒルフィガーは、7歳の時にライム病を発症しました。
関節と筋肉の痛みなどの症状から始まり、物を読んだり覚えたりできなくなるなどの心理的影響もあったことを明かしています。
病気により神経衰弱になり、精神病院にも入院していたというアリー・ヒルフィガーは、その後19歳の時にようやくライム病と診断されました。
闘病の様子は「Bite Me」という著書にも綴っており、辛い経験を乗り越え現在は前向きに人生を楽しんでいるようです。
ライム病に罹患した海外の芸能人・有名人⑨ ケリー・オズボーン
出典:https://www.eonline.com/
パーティーでマダニにかまれ発症した
イングランド出身の人気ミュージシャンであるオジー・オズボーンを父に持つ女優で歌手のケリー・オズボーンは、ライム病を患っていたことを2017年に告白しています。
ケリー・オズボーンは2004年に父親の誕生日パーティーに参加した際にマダニにかまれて以来、喉の痛みや胃の痛みなどさまざまな症状に悩まされていたようです。
兄の多発性硬化症の治療をした代替医療の医師に助けを求め、ライム病であることが判明したことを自伝の中で明かしています。
Us ウィークリー誌によると、ケリーは回顧録「ゼア・イズ・ノー・F***ing・シークレット:レターズ・フロム・ア・バダス・ビッチ」の中で、「フィリップと会ったとき、私は処方されていない薬を何年も使っていないって彼に告げてたの。ライム病を患っていたって思っていたわ。オンラインで症状を調べたら、いつもライム病っていう結果だったわ。最初は誰かが私の話しを聞いてくれて、検査を受けたの。結果は陽性で、慢性期ステージ3ライム病だったの。何が起こっているかってことを知って、遂に安心したの。でも同時に怖かった」と綴っているという。そして、細胞治療を行ってわずか2週間後に早くも元の自分を感じはじめたのだという。
ライム病に罹患した日本の芸能人・有名人① ATSUSHI
海外に比べて日本はライム病患者が少なく、日本の芸能界でライム病に感染したという報告はこれまでありませんでした。
アメリカでは年間3万人を超えるライム病患者が毎年報告されており社会問題になっています。しかし、実は日本国内でもライム病に罹ることがあります。特にライム病の報告が多いのは北海道で年間10例弱の患者さんが報告されています。保健所に届け出がされていない事例も含めるともっと多くの患者さんがライム病に罹っているのではないかと推測されます。北海道についで東京で感染者が多いですが、これは東京都以外の地域(海外など)で感染した方々であり、基本的に都内でライム病になることはありません。他にも長野県、新潟県、大分県、福島県、福井県、群馬県などでライム病に罹るリスクがあるとされています。なぜこのような分布になるかというと、シュルツェマダニは寒い地域に分布しており、北海道は全域にいますが、本州では標高の高いところにのみ分布しています。
しかし、2023年9月にダンス&ボーカルグループ「EXILE」のATSUSHIがライム病であることを公表しました。
出典:https://news.livedoor.com/
体調不良が続く中でライム病が判明
ATSUSHIは2023年3月、換気の悪い飲食店で食事した際に一酸化炭素中毒の症状と思われる眩暈や吐き気を発症し、その後も症状が続き休養していました。
さらに、一酸化炭素中毒からメニエール病が誘発され、気持ちも落ち鬱気味になってしまったといいます。
不調が続いたため全身を検査したところ、ピロリ菌を含む3つの菌とライム病で陽性が出たとのことです。
3月から目まい、頭痛、吐き気に悩まされ、横になって休む生活が続いたこと。6月にはつらさが軽減したものの、体調不良がメニエール病を誘発していたことが発覚。8月に入って「若干、うつ気味になった」とも告白した。さらには「このまま死んじゃうかもしれないなと思うくらいのどん底感」「顔の筋肉が全部落ちちゃうし、まぶたも落ちちゃう。エネルギーも沸いてこないし、何もする気が起きない日々が2週間続いた」と衝撃的な言葉を並べ、「その原因が、ピロリ菌を含む3つの菌とライム病が原因になっている可能性がある」と語った。
ATSUSHIは、治るまでは時間がかかるものの「原因が分かってよかった」と語っており、復帰への意欲も見せていました。
ライム病や罹患した芸能人・有名人をまとめると…
・ライム病はマダニによって感染し、犬やその他動物とのふれあいから感染するケースも多い
・ライム病患者は海外に多いが、日本でもEXILEのATSUSHIが発症している
ライム病は知らないうちにマダニに刺されるケースが圧倒的に多いため気づきにくい病気ですが、遊走性紅斑はわかりやすいため日頃から体のチェックをする習慣を身につければ早期発見に繋がるかもしれません。
特に愛犬の散歩やハイキングで野山や藪に行ったり、動物園で動物と触れ合った日などは特に注意したいところです。