2020年7月30日に「しゃぶしゃぶ温野菜郡山新さくら通り店」で大規模なガス爆発事故が発生し深刻な被害が出ています。
ここでは郡山市の「しゃぶしゃぶ温野菜爆発事故」の概要や原因、死者1名負傷者19名に及んだ被害者、事前にガス管腐食をガス会社が指摘していた件、責任の所在、その後などについてまとめました。
この記事の目次
「しゃぶしゃぶ温野菜」郡山新さくら通り店の爆発事故が発生
2020年7月30日の午前8時55分頃、福島県郡山市島2丁目の「しゃぶしゃぶ温野菜郡山新さくら通り店」で、大規模なガス爆発が発生しました。
店内からは男性の遺体が発見され、周辺の住人からも19名の負傷者が出ています。
また、爆発による物的な被害も甚大で、爆発のあった鉄骨平屋の店舗は大破して骨組みだけが残る状態となり、周辺の広範囲(最大で半径570m)の住宅、病院、学校、幼稚園、事業所の建物などにも、窓ガラスの破損、壁や屋根の損壊などの大きな被害が出ました。
「しゃぶしゃぶ温野菜」爆発事故の原因
「しゃぶしゃぶ温野菜郡山新さくら通り店」爆発事故の原因については、事故発生直後に、警察・消防から「ガス漏れが原因とみて詳しい状況を調べている」との発表が出ています。
「しゃぶしゃぶ温野菜郡山新さくら通り店」は、新型コロナウイルスの影響を受けて、2020年4月から休業しており、8月3日の営業再開を予定し、7月21日から改装工事が行われていたとの事。なお、改装工事の内容は、厨房のガスコンロが不調のため、電気コンロと交換するために電気コンセントを増やす工事だったと報じられています。
報道によると、休業前の4月には、店舗外壁に取り付けられた6本のガスボンベは満タンの状態だったものの、7月に点検した際には休業していたにも関わらず何故かガス使用量増えていたという事で、ガス漏れを起こしていた可能性が高いと見られています。
また、事故の起こる前日の29日、店舗の内装を行なった業者男性が店内で異臭がしたと証言している事も報じられています。
そのため、店内にガスが充満し、何らかのきっかけで引火したのが爆発の原因ではないかと見られています。
2020年9月3日の時点では未だ爆発事故の原因の結論は出ておらず、警察が捜査を続けています。
「しゃぶしゃぶ温野菜」爆発事故の被害者は死者・負傷者合わせて20人
「しゃぶしゃぶ温野菜郡山新さくら通り店」の爆発事故により、死者1人、負傷者19人の合計で20人もの被害者が出ています。
被害者のうち、死者は爆破事故のあった店舗内から発見された50代の男性で、死因は肺挫傷と発表されています。
被害者のうち負傷者は、周辺の住人や事業所の従業員などで、うち40代の女性2人が重傷。男性13人、女性4人が軽傷を負っています。
また、周辺の建物の被害も計184棟(8月8日時点で確認された被害数)にも及んでいます。
直接的被害によって建物や備品、商品の破損するなどの損害を受け、営業を停止または制限せざるを得ない事業所、商店などが多数出たほか、爆風で吹き飛ばされた飛来物が電線に絡みつくなどして周辺400戸が停電を起こす、周辺道路約1kmの区間が通行止めになるなどの間接的な被害も出ています。
そのほか、周辺の学校では過呼吸になるなどの心理的被害を受けた生徒なども報告されており、何らかの形で爆発事故の影響を受けた被害者は膨大な数に上るでしょう。
「しゃぶしゃぶ温野菜」爆発事故による死者は改装業者の当時50歳の男性
「しゃぶしゃぶ温野菜郡山新さくら通り店」の爆発事故による死者は、宮城県仙台市の建築施工業者「小西造型」の会社員・古川寛さん(当時50歳)だと報じられています。
古川寛さんは、7月21日から行われていた「しゃぶしゃぶ温野菜郡山新さくら通り店」の内装工事の現場責任者を務めていました。
「しゃぶしゃぶ温野菜」爆発事故の発生前の点検時ガス会社がガス管の腐食を指摘していた
2020年8月5日に共同通信の報道によれば、この店舗を担当していたガス会社が、2020年6月末の時点で、経営会社に対して調理場のガス管の腐食を指摘していたようです。
ガス会社からの報告によると、この経営会社は休業中である事などを理由にガス管の交換などの対応をしなかったとの事でした。
大規模な爆発が起きた福島県郡山市の「しゃぶしゃぶ温野菜郡山新さくら通り店」を経営する会社が、ガス業者から6月末の点検時に調理場のガス管の腐食を指摘され、交換を促されていたことが5日、捜査関係者への取材で分かった。県警は業務上過失致死傷容疑で捜査。ガス業者によると、飲食店を経営する会社は休業中を理由に交換などの対応をしなかった。
なお、上の記事の「経営する会社」については、フランチャイズ加盟して「しゃぶしゃぶ温野菜郡山新さくら通り店」を経営していた福島県いわき市「株式会社高島屋商店」を指し、運営会社である「レインズインターナショナル」やその親会社にあたる「株式会社コロワイド」を指しているものではないと思われます。
何れにせよ、ガス管の腐食をガス会社に指摘されながら、ガス管の交換などの対応をせずに別の改装工事を発注していたというのは、この「経営する会社」の責任は極めて重大だと思われます。警察は「業務上過失致死傷容疑」での捜査を進めているという事です。
「しゃぶしゃぶ温野菜」爆発事故のその後① 責任の所在は未だ不明確
出典:https://img.news.goo.ne.jp/
「しゃぶしゃぶ温野菜郡山新さくら通り店」爆発事故のその後ですが、未だに責任の所在が不明確であり、警察の捜査が続けられている状況です。
爆発現場となった土地からは、損壊した建物跡は撤去されて更地にされ、その後周辺の交通規制も解除されましたが、周辺の建物の中には爆発による損壊が補修されていないものも多く残っており、未だに事故の爪痕が残されている状態です。
爆発事故の責任の所在が明確にされていないため、損壊部の補修や、備品や商品などに及んだ被害による費用負担も被害者らが一時的に負担せざるを得ない状況が続いているようです。
また、爆発事故の影響で家屋が大破し、居住できなくなった住人も出ており、郡山市が主導して避難所や市営住宅への移住などの対応が行われているという事です。
一刻も早い責任の所在の明確化と、被害者への適切な補償が求められます。
「しゃぶしゃぶ温野菜」爆発事故のその後② 被害補償のための基金を創設
「しゃぶしゃぶ温野菜郡山新さくら通り店」爆発事故のその後の被害補償についてですが、「しゃぶしゃぶ温野菜」をチェーン展開する「レインズインターナショナル」と爆発店舗をフランチャイズ契約で経営していた「株式会社高島屋商店」、改装工事を請け負っていた「小西造型」の3社が共同し、被害者の治療費や住宅修繕費などに充てるための基金を創設する事が2020年8月7日に発表されています。
「レインズインターナショナル」が被害状況を申告してもらう窓口を設置しており、爆発事故1ヶ月後の8月30日の時点で288件の相談が寄せられていると発表されています。
上で触れたように、実際には補償はあまり進んでいない様子で、被害者からは不満の声も漏れているようです。
情報通信会社「ニノテック」は、ガラスが割れ通常営業ができない状態。事故後に飲食店の親会社コロワイド(横浜市)の担当者が謝罪に訪れたが、補償の話は出なかったという。現場近くのマンション4階に住む佐藤智弘さん(49)は、爆風で窓ガラスやテレビの画面が割れ、窓にブルーシートを張って生活。妻や子供は実家に避難した。佐藤さんは「誰が補償するのか分かっていないところが一番不安だ」と話した。
これはひどい話だな。このなんとか商店の公式ホームページが見当たらない。大体想像できるけどね。
— 池田龜太郎 (@BXGTI16V) August 30, 2020
郡山爆発、補償見通し立たず 店側基金に相談288件 事故1カ月 – 毎日新聞 https://t.co/dGk4prsGY3
ただでさえ新型コロナウイルスの影響で、経営が厳しい事業者や生活が苦しい人々が多い中で、今回被害を受け満足に補償を受けられない人々の苦痛は相当なものだと想像されます。迅速な対応が求められます。
まとめ
今回は2020年7月30日に福島県郡山市島2丁目にあった「しゃぶしゃぶ温野菜郡山新さくら通り店」で発生した爆発事故についてまとめてみました。
「しゃぶしゃぶ温野菜郡山新さくら通り店」の爆発事故では、死者1名、負傷者19名の合計20名もの被害者が出ており、周辺の建物などにも損壊などの深刻な被害が及んでいます。
「しゃぶしゃぶ温野菜郡山新さくら通り店」は2020年4月から休業中で、休業中の6月末にガス会社からガス管の腐食が指摘されていましたが、ガス管の交換が行われないまま店舗再開に向けて別の改装作業が進められており、漏洩したガスに何らかの理由で引火した事が爆発事故の原因だと見られています。
この爆発事故の責任の所在はいまだに明確になっておらず、被害者への補償も進んでいない状況です。
一刻も早い責任の所在の明確化と被害者への適切な補償が求められています。