1988年、痴漢被害者を助けた女性が犯人にレイプされた御堂筋事件が起き、犯人優遇の判決が話題です。
今回は御堂筋事件の概要や犯人、
をまとめました。
この記事の目次
御堂筋事件とは
御堂筋事件とは、1988年11月4日に発生したレイプ事件です。何の非もなく、正義感がある女性が、痴漢をしていた卑劣な2人組の男性にレイプされました。
被害者女性は痴漢に遭っていた女性を助けた
1988年11月4日午後9時頃、大阪の地下鉄御堂筋線の車内で、2人組の男性が女性に対して痴漢行為をしていました。
その痴漢行為を発見した女性Aさん(20)は、痴漢行為に遭っていた女性を助け、その女性を逃がしてあげました。
実はAさんは以前、その痴漢犯人の男性2人組から痴漢行為を受けていた過去があったんです。
そのため、Aさんは、痴漢犯人の2人組に「前にもあったでしょう」と痴漢行為を咎めました。
以前に自分が痴漢の被害に遭っていて、その犯人が違う女性に痴漢行為をしていた。そして、Aさんはその女性を助けて、痴漢の犯人に一言文句を言った。
ここで確認ですが、Aさんには何の落ち度もありません。むしろ、正義感に溢れていて、勇気がある女性ですよね。
犯人2人組に因縁をつけられる
Aさんは、以前自分に痴漢行為をした男性2人組に対して、「前にもあったでしょう」と咎めました。普通の感覚だったら、自分たちの痴漢行為を咎められたら、さっさと逃げますよね。
でも、この2人組の犯人は、「前に(痴漢行為をした時にAさんと)一緒にいた女性に会わせろ」と言いながら、Aさんの首を掴むなどして、Aさんを脅したんです。
以前に痴漢をされた犯人に首を掴まれ、凄まれたら、誰だって怖いです。
でも、ここは地下鉄の電車の車内。時間は21時頃ですから、他の乗客もいました。女性が男性2人に首を掴まれていたら、誰かが助けてくれるはず!と思いますよね。
しかし残念ながら、誰もAさんを助けてくれなかったようで、Aさんの証言によると、他の乗客は、Aさんと犯人たちの様子をただジロジロと見るだけだったそうです。
Aさんは、誰も助けてくれないことにどれだけ絶望したことでしょう。
そして、「もし今、車内で助けを求めて誰も助けてくれなかったら、犯人に何をされるかわからない」と思い、自ら助けを求められなかったと証言しています。
犯人に連れまわされてレイプされた
車内でAさんの首を押さえながらも、他の乗客から注意されなかったことに、痴漢犯人の男性2人は調子に乗ったのでしょう。
Aさんを地下鉄から連れ出します。そして、大阪市内や堺市内を連れまわしたんです。
そして、同日23時50分頃にマンションの建築現場に連れ込み、バンドで殴り、のこぎりで脅して、レイプしたんです。
地下鉄の中で理不尽に痴漢され、さらに因縁をつけられ、誰からも助けてもらえず、大阪市内を連れまわされた挙句、脅されてレイプされたAさん。
ただ痴漢に遭っていた女性を助けただけなのに、以前に痴漢された犯人から次は強姦されるなんて、Aさんはどれだけ絶望し、どれだけの精神的なショックがあったか、想像を絶します。
御堂筋事件の犯人は痴漢仲間だった
御堂筋事件では、犯人の痴漢男性2人組はすぐに逮捕されました。
この2人の犯人は、痴漢行為を通じて知り合った「痴漢仲間」だったそうです。
犯人の年齢は事件当時22歳と23歳と報道されており、2人とも無職、大阪市西成区と大阪府住之江区に住んでいたようです。犯人の名前は報道されていません。
この御堂筋事件は1988年のこと。もちろんSNSもないですし、インターネットもありません。どうやったら、痴漢行為をして仲間と知り合うんでしょうか。
お互い痴漢の常習犯であり、相手の痴漢行為を目撃して、「あなたも痴漢していましたよね。いや~、僕も痴漢しているんですよ。痴漢って良いですよね~」と意気投合したのでしょうか。
もし、このような知り合い方が現実にあるなら、御堂筋線はあまりにもカオスすぎて、治安が悪すぎて、日本の地下鉄に乗るのが恐怖でしかありません。とにかく、反吐が出る犯人2人です。
犯人の1人は、この被害者女性をレイプした動機を「付き合っていた女に逃げられ、ムシャクシャしていたから」と述べています。
御堂筋事件の判決が被害者侮辱・犯人優遇だと非難殺到
御堂筋事件の犯人2人は、痴漢の常習犯であり、被害者女性(Aさん)にも以前に痴漢行為をして、さらに連れまわして強姦したのですから、当然厳罰が求められます。
しかし、御堂筋事件の犯人に厳罰は下ることなく、さらに被害者女性を軽視する裁判が進められ、2人の犯人が優遇されているような判決が下ったんです。
検察側は2人の犯人に懲役4年を求刑しました。(※現在は強姦罪は懲役5年以上ですが、当時の刑法では強姦罪は懲役3年以上でした。)
この裁判の中であまりにもひどかったのが、弁護人の言い分です。
・「周囲の人間が見て見ぬふりをしなければ、犯罪に至らなかった」
このように裁判で発言し、犯人の減刑を目論んだんです。弁護人は犯人の減刑を狙うのが仕事とは言え、あまりにもひどい言い草です。
特に、「被害者女性にも落ち度があった。逃げようと思えば逃げられた」なんて、ひどすぎですよね。
あまりの恐怖に逃げたくても逃げられなかった精神状態を理解せず、女性には何の落ち度もないのに、「レイプされたのは女性にも責任がある」なんて、心ある人間の発言とは思えません。
セカンドレイプと言わざるを得なく、被害者女性をあまりにも軽視している発言で、これが法廷の場で行われたということに驚愕します。
そして裁判の判決ですが、懲役4年の求刑に対して、懲役3年6ヶ月の判決となっています。
なぜ、懲役4年の求刑から減刑されたのか?それは次のような判決理由があったためです。
・「同情すべき成育歴がある」
犯罪を1度犯したら、前途がなくなるというわけではありません。でも、罪をしっかり償わないと前途はないですよね。
また、悲惨な生い立ちだった人でも、痴漢をせず、当然レイプもせず、頑張って生きている人はたくさんいます。
それなのに、年齢や生い立ちで減刑されるのは、犯人が優遇され、被害者女性が軽視されたと言われてもおかしくはないでしょう。
御堂筋事件の犯人の現在
御堂筋事件の犯人は懲役3年6ヶ月の判決だったので、1992年頃に出所をしています。
その後、御堂筋事件の犯人に関する報道はないので、現在何をしているのかは不明となっています。
しかし、事件から30年近く経っているので、普通に生活を送っている可能性が高いでしょう。
犯人の年齢は1988年の事件当時22歳と23歳と報道されているので、現在は50代中盤となっています。被害者女性(Aさん)は事件当時20歳だったので、現在は50代になっています。
御堂筋事件後の現在 【痴漢撲滅の活動が続いている】
御堂筋事件は、地下鉄・電車等の公共交通機関を使う女性にとっては、あまりにも怖い事件でした。そして、女性を軽視し、犯人を優遇するような判決が下りました。
これを受けて、「性犯罪に甘すぎる!」「性犯罪に厳罰を!」という世論が沸き起こりました。
性暴力を許さない女の会が発足
この御堂筋事件によって、「性暴力を許さない女の会」が発足しました。そして、御堂筋事件の翌月には、大阪市交通局に次のような3点の要望を出しました。
「1.性暴力をなくすよう、車内広告やアナウンスなどで積極的なPR活動をする、 2.性暴力を誘発するようなポスターなどを掲示しない、3.駅員(できれば女性)を増員し、女性の性暴力被害を防ぐと共に、被害があった場合は迅速な対応を行う」
引用:コラム 地下鉄御堂筋事件
これにより、地下鉄や電車内での見回りが強化されました。
また、それまでのポスターでは痴漢は「迷惑行為」という表現が使われていましたが、「性暴力を許さない女の会」の意見により、「痴漢は犯罪」という表現に改められました。
さらに、「痴漢アカン」という標語を聞いたり見たりしたことがある人は多いと思いますが、この「痴漢アカン」も「性暴力を許さない女の会」が実現させています。
1980年代、「痴漢は犯罪」という認識を持っている男性は少なく、「ちょっとした迷惑行為」という程度でした。
それを「痴漢は卑劣な犯罪行為である」という認識を世間一般に広めたのが、「性暴力を許さない女の会」であると言えるでしょう。
「性暴力を許さない女の会」の活動は、御堂筋事件後だけではありません。30年以上経った今でも活動を続けていて、痴漢や性犯罪・性暴力を撲滅するために尽力しています。
電車内での痴漢対策強化
御堂筋事件の後、電車内の痴漢対策を強化しています。
先ほど紹介した「性暴力を許さない女の会」によるポスターが貼られるようになり、車内では性暴力撲滅のためのアナウンスもされるようになりました。
さらに女性専用車両も作られ、この女性専用車両は私鉄各社に導入されています。
御堂筋線では2020年も性犯罪が起こっている
電車内での痴漢対策は強化され、さらに痴漢は犯罪であるという認識が広がっていますが、電車内での痴漢・性犯罪がなくなったわけではありません。
2020年には同じ御堂筋線で、18歳の女性に対して42歳の男性が痴漢行為をしました。
しかも、中津駅で電車からその被害者女性を降ろし、ホームの死角となるところで、女性を押さえつけ、強制的に口腔性交を行ったという事件が発生しました。
この事件は、早朝や深夜の出来事ではありません。午後3時頃に起こった事件です。
昼間に42歳の中年男性が18歳の女性に痴漢をし、ホームで口腔性交を行ったという、あまりにもひどい事件です。
このような事件は、御堂筋事件から30年以上経った現在でも起こっているんです。
御堂筋事件がきっかけで女性専用車両ができたのはデマ?
現在は、私鉄各社に女性専用車両がありますよね。多くの鉄道会社では、朝の通勤ラッシュの時間だけですが、終日女性専用車両を設けている鉄道会社もあります。
女性専用車両が作られたのは、御堂筋事件がきっかけと言われていますが、これはデマだという説もあります。
デマだという説の根拠は次のようなものです。
・「女性専用車両は御堂筋線事件がきっかけ」と言われたのは2017年ごろから
・女性専用車両は公明党の尽力によるもの
確かにこの根拠を見ると、御堂筋事件がきっかけで女性専用車両が作られたという説はデマであるとも言えます。
ただ、大きく物事を見てみると、御堂筋事件が女性専用車両を作ったとも言えるんです。
↓
性暴力を許さない女の会が発足
↓
痴漢対策が少しずつ進んでいく
↓
女性専用車両が作られる
このような流れで女性専用車両の導入が進んでいきました。
こう見ると、「性暴力を許さない女の会」が痴漢対策の強化のための運動をしたことから、女性専用車両が作られる流れになったのは間違いありません。
そして、「性暴力を許さない女の会」発足のきっかけになったのは、まぎれもなく、御堂筋事件です。
そのため、御堂筋事件が女性専用車両の導入の直接的なきっかけではないものの、間接的なきっかけであり、デマとは言えないんです。
まとめ
御堂筋事件の概要や犯人、被害者軽視の裁判や判決、さらに現在までの痴漢対策の流れ、女性専用車両に関するデマの噂と真相をまとめました。
・犯人の2人の男性は痴漢仲間だった
・裁判では犯人優遇&被害者女性不利の判決となった
・御堂筋事件から痴漢撲滅・痴漢対策が進んでいった
・御堂筋事件がきっかけで女性専用車両が作られたのはデマとは言い切れない
御堂筋事件のような痛ましい事件が撲滅されること、女性が安心して公共交通機関に乗れる日が早く来るよう、痴漢の厳罰化と対策の強化を今後も続けていく必要があります。