「広島少女LINE殺人事件」の概要
2013年6月28日に発生した「広島LINE殺人事件」は、広島県広島市の高等専修学校生だった黒瀬恵利華さん(当時16歳)が、元同級生の無職少女・野村美輝(当時16歳)を含む少年少女6人と、唯一成人だった瀬戸大平(当時21歳)により、集団リンチを受けた末に殺害され、広島県呉市の灰ヶ峰に遺棄された事件です。
この事件は「広島少女集団暴行殺人事件」や「広島呉少女殺人事件」と言う呼び方もされます。
「広島少女LINE殺人事件」詳細① 事件のきっかけはLINE上の口論
被害者・黒瀬恵利華さんと犯人・野村美輝が口論
「広島LINE殺人事件」が発生するきっかけとなったのは、メッセージアプリ「LINE」上で被害者の黒瀬恵利華さんと事件の主犯格となる野村美輝の口論でした。
2013年6月27日深夜に、野村美輝は数人の友人と作っていたLINEグループにおいて、黒瀬恵利華さんを名指しで「都合がええやつ嫌い。からまん方がええよ」と批判していました。
黒瀬恵利華さんが野村美輝に対して言い返したことから激しい口論に発展し、しまいには野村美輝が「殺したるけぇの」と送ったのに対し、黒瀬恵利華さんも「やってみぃや」と反発していました。
犯人・野村美輝、被害者・黒瀬恵利華さんを集団リンチすることを画策
野村美輝が「殺す」と言ったのはよくある喧嘩の口上で、本当に黒瀬恵利華さんを殺害しようと思ったのではなく、暴行しようと漠然と考えてのことでした。
野村美輝は黒瀬恵利華さんに集団リンチに加えようと画策し、グループLINE上で友人に対して黒瀬恵利華さんに「今から遊ぼう」という誘いのメッセージを送るように頼みました。
黒瀬恵利華さんはこの誘いに乗り、野村美輝が画策したように6月28日午前4時10分頃に指定の場所に現れました。
現場には黒瀬恵利華さんを呼び出した少女・荒当葉月とその友人・河野那奈(当時ともに16歳)がおり、瀬戸大平が手配したワゴン車に乗っていました。
その現場近くの壁の影から、野村美輝とその彼氏・成田奶哉(当時16歳)、野村美輝の友人・福井彩乃(当時16歳)、福井彩乃の彼氏・持田竜也(当時16歳)、ワゴン車を手配した瀬戸大平が様子を伺っていました。
黒瀬恵利華さんが設楽に誘導されてワゴン車に乗ったところで野村美輝らは物陰から一斉に飛び出し車に乗り込むと、野村美輝は黒瀬恵利華さんの胸ぐらをつかんで「ワレ言いたいこと言ってみぃや〜!」と恫喝し、これに驚いた黒瀬恵利華さんは「離せや!触んな!」と振り解き抵抗しました。
「広島少女LINE殺人事件」詳細② 被害者・黒瀬恵利華さんを車内で暴行
被害者・黒瀬恵利華さんを車内で集団暴行
黒瀬恵利華さんを倒した後部座席にうつぶせにさせて監禁すると、瀬戸大平は車を発進させました。
すぐに福井彩乃が黒瀬恵利華さんに馬乗りになって殴りつけ、野村美輝も髪の毛を引っ張るなど暴行加えました。
助手席に座っていた成田奶哉は、身を乗り出して手を伸ばし黒瀬恵利華さんの足をライターであぶるなど拷問をしていました。
車が料金所に入ったところで黒瀬恵利華さんが「助けて!」と叫んだため、犯行グループは黒瀬恵利華さんの顔を車の壁に打ち付け、タオルを口に突っ込んでしゃべれないようにしました。
また、右のこめかみや右耳、太ももなどにタバコの火を押しつける根性焼きをし、耳の中に根性焼きをしたところで黒瀬恵利華さんは一時気を失ったと裁判で証言しています。
犯行グループは途中でコンビニ立ち寄ってカッターナイフを購入しており、犯行時に指紋が残ってたらまずいと思い軍手を事前に用意していました。
被害者・黒瀬恵利華さんの現金を奪い暴行をエスカレートさせる
野村美輝らは黒瀬恵利華さんの財布の中から現金4万円を取り出し、意外に高額の金があったことからテンションが上がり「ガソリン代にしよう」などとうそぶいていました。
また、黒瀬恵利華さんのキャッシュカードを確認すると暗証番号を言うように脅迫し、黒瀬恵利華さんがそれを拒否すると野村美輝が「許したるけんはよ言え!」と言ったため、黒瀬恵利華さんは信じてしまい暗証番号を教えてしまいました。
野村美輝は「許すわけないじゃん!」と言い放つと、運転していた瀬戸大平が「バリSじゃん!」とうれしそうに何度もはしゃいでいたと言われています。
犯行グループはその後も黒瀬恵利華さんに暴行加え続け、買ってきたカッターナイフで腹部を刺すなど命に関わりかねない拷問も加えていました。
「広島少女LINE殺人事件」詳細③ 被害者・黒瀬恵利華さんを絞殺・遺棄
被害者・黒瀬恵利華さんを絞殺後に灰ヶ峰に遺棄
残虐な方法で黒瀬恵利華さんを殺害し遺棄した犯行グループ
広島県呉市にある灰ヶ峰に到着すると、犯行グループは人気のない山奥に黒瀬恵利華さんを連れ出そうとしました。
この時に野村美輝の彼氏である成田奶哉が黒瀬恵利華さんの口に突っ込んでいたタオルを優しくとっているように見えたため、野村美輝は嫉妬心を燃やし怒りは頂点に立ちました。
野村美輝は軍手を装着して黒瀬恵利華さんを殴り始めましたが、このときの信条として野村美輝は裁判で「このままでは奶哉が恵利華にとられてしまう」と焦燥感から暴行に及んだことを証言しています。
野村美輝が黒瀬恵利華さんを殴るのを見た成田や持田竜也は、面白がって暴行に加わり、瀬戸大平などは黒瀬恵利華さんを踏みつけるようにして暴行加えていました。
何発殴られたかもわからない黒瀬恵利華さんの顔は「お岩さん」のようにどす黒く腫れて膨れ上がり、衰弱してきたところで野村美輝らは黒瀬恵利華さんの首を絞めて殺害しました。
確実に息の根を止めるために瀬戸大平らが黒瀬恵利華さんの首を捻って首の骨を折り、このときの様子を裁判で「とどめを刺した」と語っています。
頭が逆方向向くらい捻ったと言われていますが、完全に絶命した黒瀬恵利華さんの遺体を瀬戸大平らは崖の斜面に向かって放り投げました。
犯人・野村美輝、警察に自首するも逃亡を試みる
野村美輝は友人に黒瀬恵利華さんの殺害を明かしていた
事件が発生した6月28日に、黒瀬恵利華さんが戻らないことから家族は捜索願を警察に提出していました。
黒瀬恵利華さんの遺体を灰ヶ峰に遺棄して戻ってきた野村美輝は、友人に対して黒瀬恵利華さんを殺害したことを「人をころしたんよ」とLINEで明かしており、友人に殺害理由を聞かれると「わからん。はらたったけん」と送っていました。
その後、野村美輝は友人に「生きているかもしれない」と言われたことで、7月上旬ごろに黒瀬恵利華さんの遺体が気になって現場に戻り遺体を確認していますが、遺体は動物や虫に食い荒らされていてひどい状態だったため、野村美輝はショックのあまり自首することを考え始めました。
7月11日に良心の呵責から野村美輝は母親に黒瀬恵利華さんを殺害したことを打ち明け、翌日昼に母親に連れられて警察に自首するため出頭しましたが、供述を元に遺体を捜索したが見つからなかったため一度帰宅させられました。
警察が本格的な遺体の捜索を開始したことから、野村美輝は友人にLINEで「逃げたいんだけど」「お金払うけん、誰かおらん?」と逃亡の手助けを持ちかけていました。
13日の朝に野村美輝は1人で逃亡を図りましたが、母親がすぐに通報したため警察官が駆けつけあえなく逮捕され連行されました。
そして同日17時20分ごろに黒瀬恵利華さんの遺体が発見され、野村美輝は14日未明に死体遺棄容疑で逮捕されました。
なお、野村美輝は供述で1人でやったと彼氏である成田奶哉やその他の友人らをかばっていましたが、警察がLINEの履歴を調べたところあっさりと共犯者が変わり出され他の6人も17日に死体遺棄容疑で逮捕されました。
「広島少女LINE殺人事件」被害者・黒瀬恵利華さんのプロフィールと顔写真
黒瀬恵利華さんは広島市立落合中学校を卒業すると、広島舟入商業高等専修学校へ進学し、ここで野村美輝と知り合って仲良くなりました。
事件発生当時は広島市安佐北区に住んでいたと報じられており、母親と弟の3人暮らしで家族仲はとても良かったと言われています。
なお、野村美輝との間に金銭トラブルがあったと言う情報もありますが詳細は明らかになっていません。
「広島少女LINE殺人事件」犯人・野村美輝ら7人のプロフィールと顔写真
引用:https://twitter.com
犯人・野村美輝のプロフィールと顔写真
前述の通り野村美輝は広島舟入商業高等専修学校にて黒瀬恵利華さんと知り合い友達となりましたが、その後中退して無職となりました。
インターネット上で知り合った成田奶哉と交際を始め、その他福井彩乃や持田竜也、その友人である瀬戸大平など4人と一緒にアパートを借りて「ファミリー」と称し共同生活を送っていました。
野村美輝の担当弁護士によれば、4歳の頃に両親が離婚して母親に引き取られ、その後は母と祖母の2人による虐待混じりの厳しいしつけをされて育ちました。
また、小学6年生の頃には母親の交際相手だった男から性的虐待も受けており、母親も野村美輝に寄り添うがなかったことから性格が歪んでしまったとみられています。
なお野村美輝の性格について友人の証言では、感情の抑制が効かずイライラし始めると人に手を挙げてしまうこともしばしばあったとされています。
犯人・成田奶哉(だいすけ)のプロフィールと顔写真
「広島LINE殺人事件」の主犯格である野村美輝の彼氏・成田奶哉は、インターネットで知り合って交際を始めた関係ながら面白半分で殺人に加担した異常な精神性の持ち主です。
事件当時は広島市内にて野村美輝や福井彩乃、持田竜也、瀬戸大平などとファミリーと称して共同生活を送っていましたが、元々の居住地は熊本県荒尾市だと言われています。
犯人・福井彩乃のプロフィールと顔写真
自分に直接関係ないのに率先して黒瀬恵利華さんに暴行加えていた福井彩乃は、親との喧嘩が原因で学校中退しその後警察沙汰を起こしたことで勘当されていました。
したたかな福井彩乃井は親からネグレクトを受けたとして生活保護を受給して生活しており、さらに未成年ながら年齢を偽って夜の街で水商売の仕事していました。
広島市内に賃貸住宅を借りていた福井彩乃ですが、ここが野村美輝達ファミリーの共同生活の場となっていました。
犯人・持田竜也のプロフィールと顔写真
出典:https://twitter.com
持田竜也は福井彩乃の彼氏で、前述の広島市内の共同生活をしていた賃貸住宅で生活していましたが、もともとの住まいは鳥取県米子市だと言われています
また、瀬戸大平の友人で仕事仲間でしたが、無免許ながらトラックの運転手をしており、瀬戸大平とともに別件の窃盗致傷事件にも関与していました。
黒瀬恵利華さん殺害の際に首をへし折って絶命させたのはこの持田竜也だと言われています。
前述の通り、瀬戸大平は持田竜也の友人で仕事仲間ですが、持田竜也と違うのは野村美輝や福井彩乃らとの共同生活をする「ファミリー」ではなく、「瀬戸タクシー」と呼ばれ単なるアッシーとみられていたようです。
犯行グループの中でも一番個性的な風貌をしている瀬戸大平ですが、犯行時に「バリSじゃん!」と騒ぎ続けていた様子から性格もとても残念な感じなのかもしれません。
犯人・荒当葉月と河野那奈のプロフィールと顔写真
黒瀬恵利華さんの呼び出しを担当した荒当葉月と河野那奈は、殺害現場への道中で車内での暴行に加わっており、巻き上げた現金も受け取っていました。
しかし、荒当葉月と河野那奈は率先して犯行に加わっていたわけではなく、興味本位で参加していたことから少年院装置での保護観察が妥当だと判断されました。
「広島少女LINE殺人事件」現在…主犯格・野村美輝は懲役13年の判決で服役中
犯人・野村美輝に懲役13年の実刑判決
野村美輝の刑事裁判において、当初は未成年であることが考慮され保護処分が妥当とされていましたが、裁判官は社会的に許容できるレベルを超えた事案として刑事罰が妥当とし懲役13年の実刑判決を下しました。
黒瀬恵利華さんの殺害に直接関与した成田奶哉は懲役10年、犯行グループの中で唯一成人だった瀬戸大平は懲役14年の実刑判決が下されました。
その他の福井彩乃や荒当葉月、河野那奈、持田竜也の4人については中等少年院への送致が決定しました。
未成年犯人4人はすでに出所している可能性が高い
黒瀬恵利華さんと野村美輝は元々は仲の良い同級生だった
懲役13年の野村美輝と、同10年の成田だいすけ、同14年の瀬戸大平は現在も服役中ですが、少年院送致の持田竜也、福井彩乃、荒当葉月、河野那奈は出所している可能性が高いでしょう。
野村美輝は2026年に出所予定となります。
「広島少女LINE殺人事件」についてまとめると…
・黒瀬恵利華さんと野村美輝はLINE上での口論が過熱して集団リンチにまで発展し、最後は首を絞めて殺害した
・野村美輝は良心の呵責から警察に自首するも、その後逃亡を図っている
・野村美輝には懲役13年の実刑判決、成田奶哉は懲役10年、唯一成人だった瀬戸大平は懲役14年、その他の未成年4人は中等少年院へ送致された
・野村美輝は2026年に出所予定であり、出所時には29歳~30歳となっている
野村美輝や福井彩乃などは家庭環境が複雑だったこともあり、まともな教育を受けてこなかったことが精神性の未熟さにつながり、簡単に犯罪を犯してしまいましたので、かわいそうな面もあるかもしれません。
こうした集団心理により殺人を犯してしまうケースが昔からなくなっていませんが、子供への虐待が増えている昨今では野村美輝のような簡単に犯罪を犯す未成年は潜在的に多いのかもしれません。