積水ハウスが55億5千万円を騙し取られた「積水ハウス地面師事件」の主犯格とされるカミンスカス操が話題です。
この記事では、カミンスカス操らが積水ハウスを騙した経緯や別事件での再逮捕、謎の多い本名や国籍、経歴、判決など現在についてまとめました。
この記事の目次
カミンスカス操は積水ハウス地面師事件の主犯格
カミンスカス操は、2017年に発覚した、積水ハウスが55億5千万円を地面師(土地の所有者に成り済ましてその土地の売却代金を騙し取る詐欺師)に騙し取られた「積水ハウス地面師事件」の主犯格だといわれている男です。
カミンスカス操はこの事件で少なくとも1億円、本人が知人に話した内容によれば10億円を詐取したといわれています。
カミンスカス操は詐欺師という事もあって謎が多く、本名や国籍、これまでの経歴などについても注目が集まっています。
この記事ではそのカミンスカス操について現在までにわかっている事をまとめました。
カミンスカス操の起こした「積水ハウス地面師事件」とは
まず最初にカミンスカス操ら地面師グループが引き起こした「積水ハウス地面師事件」の概要を簡単にですが振り返っておきます。
2017年6月頃、カミンスカス操ら10数人の地面師グループは、東京品川区の五反田駅から徒歩3分の場所にある約600坪の土地(廃旅館の「海喜館」があった土地)の地権者になりすまし、積水ハウスに購入を持ちかけました。
カミンスカス操も、地権者に成り済ました女性に付き添って取引の場に参加し、偽物であるとバレないように策を講じています。
この土地は都心の一等地であることに加えて、東京五輪の影響でさらなる価格上昇が見込まれる事もあって積水ハウス側がこれに飛びつく形でまんまと騙され、土地を総額70億円で購入する売買契約を地面師グループと結びました。さらに積水ハウスは予定よりも2ヶ月も前倒しして取引を成立させて、購入金額のうち63億円を地面師グループに振り込んでしまいます。
しかしその後、本当の地権者はこの土地を売っていない事が判明し、積水ハウスが地面師集団に騙されていた事が発覚。積水ハウス側が本物の地権者と思い込んでいた地面師集団とはすでに連絡がとれなくなっていました。
地権者に成り済ましていた女(後に逮捕された羽毛田正美)から預かっていた7億5000万円は相殺したものの、それを差し引いた55億5千万円を地面師集団に騙し取られた事になります。
その後、2018年11月20日までに警視庁は地面師グループのうち14人を逮捕しています。
主犯格とされたカミンスカス操は、地面師グループの最初の逮捕があった10月16日の3日前の10月13日にフィリピンへと国外逃亡していましたが、2019年1月11日に逮捕されています。
カミンスカス操の「積水ハウス地面師事件」での一審判決は懲役11年
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カミンスカス操は逮捕後に「積水ハウス地面師事件」の裁判を受けており、2020年5月29日に、懲役11年の一審判決を受けています。
積水ハウスが被害に遭った「地面師」事件の主導役の一人とされ、詐欺罪などに問われたカミンスカス操被告(60)の判決が10日、東京地裁であった。守下実裁判長は「犯行の重要な役割を積極的に果たした」と述べ、懲役11年(求刑懲役14年)を言い渡した。
カミンスカス操は、「積水ハウス地面師事件」には関わっていないと一貫して主張しており、この判決を不服として控訴しました。
カミンスカス操は控訴審で声を張り上げるなどして法曹関係者を狼狽させているとの報道も出ていました。
被告には懲役11年の実刑判決が下されているが、今月1日の東京高裁で行われた控訴審では、「裁判長! これじゃ控訴した意味がないじゃないですか!」と声を張り上げ、 「一審において、私が有罪だという証拠は一切ないと思っている」などと怪気炎。法曹関係者をうろたえさせた。
カミンスカス操は根っからの詐欺師という事で、裁判の場でも平然と嘘をついていたと見られています。
カミンスカス操が別の詐欺事件で再逮捕
「積水ハウス地面師事件」による裁判が続く中、カミンスカス操が2021年1月28日に別の地面師詐欺事件に関わっていたとして、詐欺や偽造有印公文書行使などの容疑で再び逮捕されています。
警視庁の発表によると、カミンスカス操らの地面師グループは、2017年3月下旬頃、東京都渋谷区富ケ谷2の約1000平方メートルの土地を所有する楽器販売会社社長の80代男性に成り済まして東京都港区の不動産会社に購入を持ちかけ、手付金として8000万円を騙し取ったという事です。
カミンスカス操は本名で旧姓は小山
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続けて、カミンスカス操個人についての情報を見ていきます。
「カミンスカス操」という名前は詐欺師としての偽名のようなものかと思いきや本名だという事です。
しかし、カミンスカス操の以前の本名は「小山操」だったようです。カミンスカス操はこれまでにわかっているだけで3度結婚しており、最初の妻は日本人、2人目の妻はフィリピン人、そして3人目の妻がリタ・カミンスカスというリトアニア人女性だったという事です。
つまり、カミンスカス操は、このリトアニア人女性と結婚した際に本名を小山操からカミンスカス操に変えています。
このリタ・カミンスカスは東京錦糸町のインターナショナルクラブで働いていた女性で、カミンスカス操は「積水ハウス地面師事件」を起こした後の2018年3月にこの女性と結婚して名前を変えています。
当時、カミンスカス操は積水ハウス地面師事件の容疑者として名前が上がっていたため、海外逃亡をしやすくする工作としてこのリトアニア人女性と結婚して本名を変えたのではないかと見られています。
そして本名を変えた後の2018年11月に、カミンスカス操はフィリピンのマニラへ逃亡し、2番目の妻のフィリピン人女性の元へと身を寄せています。カミンスカス操はこのフィリピン人女性との間に子供が2人いるという情報もわかっています。
何にしてもこのカミンスカス操は、詐欺を働くために本名を変える事に何の抵抗も無いようで、これまでに起こした詐欺事件でも小山武などの偽名を含めて様々な名前を名乗っていたという事です。
カミンスカス操の国籍は日本
カミンスカス操はリトアニア人女性と結婚してカミンスカス操に名前を変えていますが、国籍は日本国籍のままです。フィリピンへの逃亡の際に使ったパスポートも日本のもので、パスポートに記載されている本名も「小山操」だったという事です。
カミンスカス操の経歴① 生い立ちと詐欺師になるまでの経歴
カミンスカス操の経歴は謎に包まれていますが、わかっている範囲でその経歴をまとめていきます。
カミンスカス操の知人からの情報によると、この男は1959年の生まれで、再逮捕された2021年1月の時点で61歳と報じられています。出身地は高知県南国市で、地元の高校を卒業した後に上京し、東京の大学を受験したようです。
カミンスカス操の知人は、大学受験には失敗したと思うとしつつ、本人は東京電機大学や山野愛子美容スクールに通っていたと言っていて真偽不明だと話しており、この辺りの詳しい経歴は知人にも明かしていないようです。
カミンスカス操は若い頃には新宿区に拠点を置く右翼団体「S塾」に所属していたといわれており、この当時カミンスカス操は国税局にパイプがあるという触れ込みで、この団体が手がける六本木の地上げに関する税務対策を担当していたといわれています。
その後の経歴はゲームメーカーの税務コンサルタントをして年収5000万円だったとか、プラントメーカーに勤めて海外勤務をしていたとか、色々な噂があるのですが、いずれも真偽不明で、大物詐欺師という事もあってそのように謳ってターゲットを騙していただけなのではないかと思われます。
一部のネット情報では、カミンスカス操は海外に駐在した経歴があり英語が堪能などといわれていますが、カミンスカス操の知人への取材によると、この男は英語も、ロシア語もフィリピンのタガログ語も話せないという事でした。
カミンスカス操の経歴② 「積水ハウス地面師事件」での逮捕までの経歴
その後、カミンスカス操は、1994年に設立された新興の不動産デベロッパー「ABCホーム」の幹部として働き、2008年に同社が脱税で摘発された際に、カミンスカス操も脱税容疑で逮捕され、懲役6ヶ月の実刑判決を受けています。
カミンスカス操はこの服役後はしばらくの間ホームレスのようになり、夜中にビルに侵入して暮らしていた時期があったという事です。
その後、カミンカス操は地面師らと知り合い、当時、「積水ハウス地面師事件」の首謀者だとされる大物詐欺師の土井淑雄の会社「ビショップ・パートナーズグループ」が所在し、詐欺師達の巣窟になっていたという東京都墨田区の「サハダイヤモンドビル」の3階に不動産ブローカーを名乗って事務所を構えたという事です。
当時はカミンスカス操は金がなくこの事務所で寝泊りし風呂がわりにサウナを利用するような生活を送っていたそうですが、2017年の「積水ハウス地面師事件」の後に、急に羽振りが良くなり、都内の高級マンションをいくつも購入し、錦糸町や浅草のフィリピンパブやロシアンパブで豪遊し一晩で100万円使う事もあったという事です。
その後、カミンスカス操は「積水ハウス地面師事件」の容疑者として、名前があがるようになりますが、それでも変わらず豪遊生活を続けていたようです。
そして、カミンスカス操は2018年10月13日午前1時15分に突如としてフィリピンへ海外逃亡しています。なお、関係者の情報によれば、この逃亡の直前までカミンカス操は錦糸町のインターナショナルパブでいつものように乱痴気騒ぎをしていたそうです。
高飛び後、カミンスカス操はフィリピンの元妻と連絡を取りながらリゾートホテルを転々としながら69日間潜伏しています。その後、フィリピン当局の協力を得た警視庁によって、カミンスカス操は大使館に出頭させられ、2019年1月11日に飛行機で日本へ身柄を移送、日本領空に入った瞬間に偽造有印私文書行使などの容疑で逮捕されました。
カミンスカス操の現在① 懲役11年の判決が確定
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カミンスカス操は一審判決後控訴しましたが、二審でも一審と同じ懲役11年の判決が出ています。
2021年7月にカミンスカス操の上告が棄却され、この判決が確定しました。
弁護側は「地主役の女が成り済ましだとは知らなかった」と無罪を主張したが、東京地裁は関係者の証言などから「地主本人ではないと知りながら土地取引に関与した」と判断し「詐欺行為に関する中心的存在で、少なくとも1億円の分け前を得た」と指摘した。東京高裁も支持した。
カミンスカス操の現在② 小説・ドラマ『地面師たち』の主人公のモデルに
2019年に、小説家の新庄耕さんが「積水ハウス地面師事件」をモチーフにした小説『地面師たち』を出版しました。
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2024年7月には、『地面師たち』を原作とする、俳優の綾野剛さんと豊川悦司さんがW主演を務める同名の実写ドラマがNetflixで配信され、大ヒットを記録しました。
そのあらすじをかいつまんで紹介すると、豊川悦司が演じる伝説の大物地面師、ハリソン山中に誘われ、その道に足を踏み入れた綾野剛演じる「交渉役」の辻本拓海。2人は詐欺対象の土地を物色する「情報屋」や公文書の偽造を手掛ける「ニンベン師」といったプロフェッショナルな犯罪者らとともに地面師グループを組織し、大手デベロッパーに緻密かつ用意周到な手口で詐欺を仕掛ける。まんまと大金を巻き上げると、次に時価100億円相当の土地をターゲットに――。
原作者の新庄耕さんは、裁判資料を見たり、地面師事件を担当している弁護士に話を聞いたりといった取材方法で小説を書き上げたとのことですが、ドラマで豊川悦司さんが演じた大物地面師のハリソン山中のモデルはカミンスカス操ではないかと言われています。
一方、カミンスカス操と同じく地面師グループの首謀者の一人であった内田マイクが、ハリソン山中のモデルでないかとの見方もあるようです。
地面師事件やカミンスカス操をよく知る人物によると、カミンスカス操は綾野剛さん演じる交渉役の辻本拓海に近かったとのことです。
「あの事件に、豊悦(豊川悦治)演じる大物地面師で黒幕みたいな者はいない。カミンスカスは強いていえば交渉役の綾野剛といったところだ。実際の事件の”登場人物”は小山(カミンスカス)や土井淑雄、首謀者といわれる内田マイク、その他を含めて17人が逮捕されている。誰がどの役どころに当てはまるかというのはないね。なりすまし役をスカウトする役割や、証明書や印鑑を偽造するなどの役割分担はあったと思うがね」とY氏。
まとめ
今回は積水ハウスが55億5千万円もの金を地面師グループに騙し取られた「積水ハウス地面師事件」の主犯格とされるカミンスカス操についてまとめてみました。
カミンスカス操というのは本名ですが、以前は小山操を名乗っており、現在の名前はリタ・カミンスカスというリトアニア人と結婚して改名したという事のようです。
また、カミンスカス操という名前からハーフや外国籍なの?といった疑問もあるようですが、生まれも育ちも日本の純粋な日本人だという事です。
経歴については謎が多く、過去には右翼団体に所属していたとか、ゲーム会社の税務コンサルタントをして年収5000万円だったとか、プラントメーカーに勤務して海外駐在経験があるだとか色々な情報があるのですが、これもそうした大層な経歴を語る事で人を騙そうとしたという事なのかも知れません。
カミンスカス操は事件後にフィリピンに逃亡した潜伏していましたが、その後逮捕され懲役11年の判決が確定し、現在は服役中の身となっています。