1980年代から走り屋ブームが始まり、峠でレース行為をする峠族や、港・駐車場等でドリフト走行を披露するドリフト族などが社会問題となりました。
この記事では、ドリフト族の動画での紹介や事故、取り締まり強化された現在の逮捕状況まで詳しくまとめましたのでご紹介します。
ドリフト族とは?…漫画「頭文字D]の登場で走り屋が急増
1980年代頃から走り屋ブーム到来
現在では「走り屋」文化はほとんど衰退してしまったように思われますが、1980年代から1990年代にかけて法律やマナーを無視した行動を使った車による様々な暴走行為がブームとなっていました。
SUVがブームとなって久しい昨今ですが、当時はスポーツカーブーム真っ只中であり、ハイパワースポーツやFR車など、お金のない若者でもがんばってアルバイトすれば手に入る価格帯だったことも「走り屋」文化を支えることとなりました。
また、高度経済成長後期のバブル崩壊直前から「走り屋」ブームが起きたことも車を手に入れやすかった背景としてあるでしょう。
まさに車が当時の若者にとって青春であり、コンビニに行けば車やバイク関連の雑誌がたくさん置かれてあり、現代の方や倫理を基準に考えると信じられないような内容の雑誌も多くありました。
「走り屋」文化を代表する人気漫画「頭文字D」が1995年に登場し、それまで「走り屋」になじみがなかった人までもが車に魅了される人が急増しました。
ドリフト族の登場
峠でのレース行為を楽しむ峠族に対して、夜の埠頭や駐車場などでドリフト行為を披露するドリフト族が登場しました。
かっこいいスポーツカーによる派手なドリフトを見ようと多くのギャラリーが集まり、ドライバーたちは爆音を鳴り響かせてドリフトを披露していましたが、ときには失敗して壁や電灯などに激突して車を大破させたり、ギャラリーに突っ込んでいって死傷させる事故なども起こしていました。
非常に危険なイベントであるため警察が黙っているわけがなく、ギャラリーの中から「警察が来た!」と言う声が上がると一斉に蜘蛛の子散らすように逃げていくと言う光景が恒例となっていました。
ドリフト族のテクニック
峠族は「頭文字D」を読んだことがある人なら分かると思いますが、峠の上りと下りを利用して基本的に2台でのレースを楽しんでいた人たちのことです。
もちろん封鎖しない場合などは一般車両も走行しているためレース中にすれ違うこともあり、「上り優先」と言う暗黙のルールはあったとは言え、運転ミスによる森林やガードレール、壁等への激突事故や、崖への転落事故なども相次ぐ危険な行為でした。
それに対してドリフト族は、夜の埠頭や駐車場、交差点等において、直線を横滑りしながら走行する直ドリをしたり円状に回転するなど、峠族よりもガラの悪い不良が多く無法地帯となっていました。
なお、ドリフト自体は立派な技術でありバブル崩壊後はサーキットでの「D1グランプリ」など競技として人気を博しました。
以下のYouTube動画でドリフト走行について紹介しています。
ドリフト族の取り締まり強化と衰退
ドリフト族・峠族への取り締まりの強化
一般公道でドリフトをするドリフト族はさることながら、夜間の峠で車が少ないとは言え一般車両が走る中での峠族によるレース行為も非常に危険であり、事故も多発していたことからコーナー付近では死亡事故も起きていました。
こうした社会問題に警察は取り締まりを強化し、また行政による走り屋防止策も取り入れられていきました。
具体的な対策としてド8リフトや危険な走行が行われるような場所に道路鋲を設置したり、それでも危険行為がなくならない場所では監視員を置くなど、こうした対策から走り屋は急速に減っていくこととなりました。
ドリフト族・峠族の衰退
2000年代を迎える頃には車社会も大きく変化し、技術の進歩からそれまでの大排気量のハイパワーのスポーツカーから、次第にエコ技術を取り入れたハイブリッドカーなどのエコカーが急速に普及していきました。
これにより走り屋のハイパワースポーツカーは過去の価値観となり、長引く不況も手伝ってリーズナブルで環境に優しい車を選ぶ価値観が根付いていきました。
また、若者世代の車離れも「走り屋」文化が衰退した1つの要因でしょう。
ドリフト族の事故動画…死亡事故が多発していた
最後に、ドリフト族がどれだけ危険なのかということをご紹介するためにいくつかのYouTube動画を以下に掲載します。
以下の動画はドリフト族が警察に追われていて、覆面パトカーに激突してしまった事故動画です。
以下の動画は世界のドリフト族も含む、ちょっとクスリとできるドリフト事故動画です。
ドリフト族の現在…法律強化も逮捕者が後を絶たなかった
ドリフト族の逮捕は全国で後を絶たない
「走り屋」文化が衰退したとは言えなくなったわけではなく、現在でも峠族やドリフト族は社会問題となり続けています。
こうした走り屋による事件を紹介すると、2017年9月4日に大阪府警此花署が京都府のドリフト族男性3人を道路交通法違反(共同危険行為)で逮捕した事件があります。
この3人はインターネットで知り合い、3月5日午前3時ごろにドリフト族の間で「ユニバ裏」と呼ばれて利用されている「ユニバーサルスタジオジャパン」近くの工業地帯においてドリフト走行を楽しんでいました。
また、他にも東京江東区の公道において、「Two Face」と言うドリフト族の男性5人が逮捕された事件などがあります。
ドリフト族を規制する法律
峠族やドリフト族、ローリング族など危険な暴走行為を繰り返す走り屋たちを規制するために法律も強化されていったことが、「走り屋」文化を今日までに衰退させた1つの大きな要因でしょう。
道路交通法68条は、複数台の自動車や原付自転車が、共同して、著しく交通の危険や他人に迷惑を及ぼす道路上の行為を禁止しています(2年以下の懲役又は50万円以下の罰金)。
この規定は、暴走族規制のために作られたのですが、主体は暴走族に限定しておりませんので、誰にでも適用されます。もっとも警察の分類上、いわゆるドリフト族やローリング族は「違法競争型暴走族」とされていますので、暴走族の一類型とはいえます(一般的なイメージの暴走族を「共同危険型暴走族」といいます)。
引用:弁護士ドットコムニュース – 大阪ユニバ裏の「ドリフト族」逮捕…公道で「合法のドリフト」なんてあり得る?
ドリフト族は車を横滑りさせやすくするためにタイヤを斜めに取り付けるなど車両保安基準に合致しない不正改造をしていることがありますが、これは道路運送車両法99条の2に違反することとなり、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金が課されます。
ドリフト族の一般市民への迷惑問題
レースやドリフト自体は見ていて気持ちが良くかっこいいものですが、それを一般車両も走る行動や住宅街近くなのでされると危険や騒音等で迷惑この上ない行為となります。
特にドリフト走行には爆音が伴いますので、周辺住民にとっては頭を抱えるような騒音問題となります。
また、失敗することも少なくないため、自宅の壁に激突されたり最悪の場合歩行中に巻き込まれるなど死の危険もあります。
直接的に実害が及ばなくてもガラの悪い連中がたむろしていると言うだけで、一般市民にとっては1恐怖の対象であり生活に支障が出ることとなります。
ドリフト族についてまとめると…
・ドリフト族は峠族などとともに1980年代からの走り屋ブームにより生まれ、漫画「頭文字D]の登場で走り屋が急増した
・ 2000年代からの車社会の急速な変化により走り屋ブームは衰退を迎えることとなった
・警察の取り締まり強化や法律の規制なども走り屋ブーム衰退の大きな要因となった
現代の車はハイブリット仕様が進んだことで、スポーツカーも環境面や安全面に配慮したモデルとなっています。
これと同じように、当時走り屋として青春を過ごした若者たちも落ち着いた大人となり、経済的にもゆとりができたことで当時の走り屋ブームを受けて誕生したトヨタ86等を手に入れて、安全に走りを楽しんでいる人も増えたようです。