苗山事件とは、2007年に発生した能登半島地震でのNHKの地震速報報道時に起きた不可解な放送事故で、その不気味さから現在もネット上で話題です。
この記事では、「苗山事件」の放送事故の概要やネットで囁かれている真相の噂、NHKアナウンサーと会話した苗山さんの正体、その後や現在などについてまとめました。
この記事の目次
苗山事件はNHKの地震報道で起きた不可解な放送事故
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「苗山事件」とは、2007年に発生した「能登半島地震」での、NHKの緊急地震速報放送中に発生した不可解な放送事故を指しています。
その日の午前中、大規模な地震が発生した事でNHKは放送を地震速報に切り替え、現場の町役場と電話を繋いで中継したのですが、その電話口で取材に応じていた役場職員の「苗山さん」という男性の声質と口調が突然変化しました。
苗山さんの声が明らかに別人のようになってしまった事に気がついたNHKのアナウンサーが「別の人に代わったのか?」と問いかけますが、この人物は「代わっていない」と頑なに否定します。
声が変化する前には、この苗山さんは、落ち着いた口調で丁寧にNHKアナウンサーの質問に回答していたのですが、声が変化した後は、明らかにさっさとこの電話取材を終わらせたいかのような雰囲気で早口に話し始めて会話を終了させてしまいました。
この「苗山事件」はわずか数分間の出来事でしたが、その不可解さや、一連のやり取りになんとも言えない不気味さがあった事などから、ネット上ではある種の都市伝説のように語られ、「検索してはいけない言葉」、「不気味な電話シリーズ」などとして、オカルトファンの間でも有名な話題となっています。
苗山事件は2007年3月25日の能登半島地震発生時に起きた放送事故
この「苗山事件」が起きたのは、2007年3月25日の日曜日、午前9時41分頃に発生した「能登半島地震」の直後でした。この「能登半島地震」は、マグニチュード6.9、最大震度6強を記録した大規模な地震でした。
「日曜討論」を放送していたNHKが地震速報番組に切り替え
当時、NHKでは日曜朝の討論番組「日曜討論」が放送されていましたが、大規模地震の発生を受けて、急遽、地震速報に切り替えられました。NHKではそのまま、13時20分頃まで地震速報が放送されましたが、その中で「苗山事件」は起こりました。
能登半島中部中能登町の役場に中継をつなぎ職員の苗山さんに状況を聞く
NHKは、地震発生現場各地への中継や電話取材を行い、能登半島中部に位置する石川県中能登町の役場にも電話を繋ぎました。
そこで応対に当たったのが、役場職員の「苗山さん」という男性でした。
NHKのアナウンサーとこの苗山さんの最初の会話は以下のような内容でした。
NHKアナ「怪我をされたり、ガラスが割れたり、壁が落ちてきたりというような状況はありましたか?」
苗山さん「今のところは、まだはいっておりません。」
NHKアナ「それはないですか。」
苗山さん「はい。」
NHKアナ「ただ、その、停電になったとおっしゃいましたね?」
苗山さん「はい。」
NHKアナ「今、あの、そちらの中能登町役場は、庁舎内は停電になっていますか?」
苗山さん「いや、あの、ここはなっておりません。」
NHKアナ「あ、そうですか。」
苗山さん「ええ。それとですね、すぐ、そういう事態になれば、あの、非常発電もありますので。
それについては、もう、機能的には、じ…(不自然に途切れる)」
しかし、この会話の途中で突然、苗山さんの音声が途切れ、ごく短い間沈黙状態になります。
突然苗山さんの音声が途切れ、その後明らかに別人の声と口調に変化
突然の沈黙にNHKアナが問いかけると、明らかにこれまでの苗山さんの声とは別人だと思われる声と口調で応答がありました。
沈黙後の会話の内容は以下のような内容でした。
NHKアナ「…もしもし?」
???「はい?」
NHKアナ「あっ、あの…、えー、引き続き、苗山さんでしょうか?」
自称・苗山さん「はい?」
NHKアナ「あ、もしもし?あの、電話の方、代わられましたですか?」
自称・苗山さん「いえ、代わっておりません。」
NHKアナ「あっ、あの…、苗山さんですね…?」
自称・苗山さん「・・・・・」
NHKアナ「あ、今も信号機の停電などは確認…、あの、停電によって信号機が、例えば、あの…、
止まってたりというようなことはあるでしょうか?」
自称・苗山さん「ふきゅ…しております。復旧しております。」
NHKアナ「あ、復旧していますか…。」
NHKアナ「はい、わかりました。」
自称・苗山さん「はい…」
NHKアナ「情報収集中、どうもありがとうございました
沈黙後の苗山さんを名乗る人物は、声だけでなく、明らかに口調から話す速度から全て変わっており、会話していたNHKアナウンサーも違和感から「苗山さんでしょうか?」と何度も確認を取っています。
しかし、この自称・苗山さんは、特にそれについては答える事なく会話を続け、半ば強引に電話取材を終わらせる方向に持って行っています。NHKアナウンサーも混乱を避けるためか、話を合わせるようにして、電話取材を終了させたのでした。
苗山事件発生時の動画
苗山事件発生時の動画が現在もインターネット上に残されています。実際の動画を見れば、苗山事件の不可解さと、なんとも言えない不気味さが伝わるかと思うので紹介しておきます。
苗山事件の不可解な謎
苗山事件の根幹となる謎ですが、「苗山さん」の声質と口調は音声がしばし途切れた後に明らかに変化している事についてもう少し詳しく見ていきます。
最初の苗山さんの口調には方言のような訛りが感じられますが、声が変化した後の苗山さんは綺麗な標準語を使う方が話しているように感じられます。
この口調の変化は、あたかも、地方の町役場のアットホームな対応から、都市部の役所の冷静かつ合理的な対応にガラリと変化したかのような印象を受けてしまいます。
そして、苗山事件でのNHKアナウンサーと苗山さんとのやりとりを聞いたほとんどの人が、苗山さんが明らかに途中から別人に変わったという印象を受けるかと思いますが、音声が途切れた後に話している方は、頑なに「人は変わっておりません」と主張されています。
単に電話口の人が交代したのであれば、「代わりました」と一言伝えれば済む話ですが、頑なに代わっていないと言うのは、何かそうしなくてはならない理由があるのでは?と疑問を持たれています。
大規模地震発生直後に何故すんなりと役場に電話が通じたのか
また、能登半島地震の直後4時間は、固定電話と携帯電話を含めて電話回線がつながりにくい状況が続いていたとの報道がありましたが、なぜ、NHKと中能登町役場とはすんなり電話が通じたのかという謎もネット上では議論されているようです。
これについては、総務省の発表によれば、14時頃には電話回線が復旧していたようなので、NHKからの電話があった時点では普通に通じていたと考えて良さそうです。
苗山事件の真相として様々な説が囁かれている
「苗山事件」は明らかな放送事故に見えましたが、NHK側からは特になんの説明もなかったため、その真相は謎のままです。ネット上では、この苗山事件の真相としていくつかの説が出ています。
苗山事件の真相の説① 電話回線のトラブルをごまかした
苗山事件の真相としてよく言われているのが、単なる電話回線のトラブルだったとする説です。
苗山さんが発言している途中に突然音声が途切れており、これは電話回線のエラーか、内線のミスがあり、別の部署に繋がってしまったが、ただでさえ地震時の緊急事態であるのに、これ以上の現場の混乱を避けるために、苗山さんではない誰かが瞬時に事態を把握して、咄嗟に苗山さんのふりをして強引にごまかしたのが真相ではないかと言われています。
苗山事件の真相の説② 苗山さんが悠長に電話していたため強引に交代した
NHKから中能登町役場への電話は地震発生の直後であり、現場は対応に追われていたはずです。にも関わらず、現場で指揮を取るべき総務部長という役職(これについては後述)の苗山さんが悠長にNHKの質問に答えていたため、上司が電話を交代するように指示し、誰から電話を代わって苗山さんのふりをして電話を終わらせたとする説です。
これは、当時の関係者を名乗る人物がネット上で明かした真相だという事で、ある程度信憑性が高いのではないかと言われています。
苗山事件の真相の説③ 原子力事故を隠蔽しようとした陰謀論
この地震によって、北陸電力の志賀原子力発電所で事故が起こっており、その事実を隠蔽するために当局が強引に電話回線を切り替え、その事実を隠蔽した陰謀論なども囁かれています。
苗山さんの音声が突然途切れたタイミングが、ちょうど電力に関わる内容を話している最中だったために出てきた説のようです。
苗山事件の真相の説④ 苗山さんが多重人格だった説
原子力事故隠蔽説よりもさらに突拍子がない説が、苗山さんは実は多重人格であり、NHKとの電話の最中に突然人格が切り替わって、声や口調までも別人のようになってしまったとする説です。
これについては、オカルト的にはとても面白いのですが、さすがにそれは無いでしょう。苗山事件はそうした説が出てくるほど、不気味な印象があるという事かもしれません。
苗山事件の「苗山さん」の正体は中能登町役場の苗山雅幸さんと思われる
苗山事件の主役ともいうべき「苗山さん」の正体が誰なのかも注目されています。
実は、苗山事件の際にHNKからの電話取材に応じた中能登町役場のその頃の広報誌や議事録などに、参事兼総務課長として「苗山雅幸さん」という方の名前が何度も登場します。おそらくこの苗山雅幸さんこそが「苗山さん」の正体ではないかと言われています。
「苗山」という苗字は全国でもおよそ50人と非常に珍しく、石川県には「苗山さん」はおよそ10人しかいないとのデータが発表されているため、この苗山雅幸さんが苗山事件の「苗山さん」だった可能性は極めて高いと思われます。
「苗山さん」の正体とされる苗山雅幸さんは2011年に63歳で死去
「苗山さん」の正体ではないかと言われている、中能登町役場の参事兼総務課長の苗山雅幸さんは、2011年に63歳で亡くなっているようです。
これは、2011年11月の中能登町役場の広報誌のおくやみ欄に記載されていた情報であるため間違いありません。
苗山事件からわずか数年後に「苗山さん」と思われる人物が、63歳という若さで亡くなっていたという事で、苗山事件には何らかの陰謀があるという噂に拍車がかかりましたが、単なる偶然でしょう。
苗山事件のその後と現在
苗山事件のその後や現在についても見ていきます。
その後、苗山事件はここまで見てきたようにネット上では都市伝説的に人気のあるネタになっているため現在も頻繁に話題に上っています。
その後も現在までに色々な説が出ており、苗山事件などはそもそも存在せず、何者かが捏造した説やら、苗山さんは何か重大な事実を知ってしまい暗殺された説など、オカルト的な方向にどんどん発展して行っているようです。
まとめ
今回は、2007年3月25日に発生した能登半島地震の後のNHKの緊急地震速報放送時に発生した不可解な放送事故事件「苗山事件」についてまとめてみました。
苗山事件は、大きな地震被害にあっていた中能登町の役場にNHKが電話によるインタビュー取材を試みている最中に発生しました。
最初、NHKのアナウンサーの質問に回答していたのは「苗山さん」という役場職員の男性だったのですが、喋っている途中で突然に数秒間音声が途切れ、再び繋がった時には、声や口調が全く別人の印象受けるものに変わっていました。
NHKアナウンサーもその変化に気がつき、「人が代わりましたか?」と尋ねたものの、相手は「代わっていません」と頑なに否定し、そのまま半ば強引に会話を終了させてしまいました。
「苗山事件」はわずか数分の出来事でしたが、その不可解さとなんとも言えない不気味さからネットで話題になり、その後、「検索してはいけない言葉」としてあげられるようになり、現在も都市伝説的に語り継がれています。