「セシウムさん騒動」とは、2011年8月に「ぴーかんテレビ」で起こった放送事故であり、全国的な批判を浴びる騒動となりました。
この記事では、「セシウムさん騒動」の詳細と犯人のテロップ作成者に加えて、騒動のその後についてまとめてみました。
この記事の目次
「セシウムさん騒動」とは
セシウムさん騒動、ぴーかんテレビで起こった放送事故だった
「セシウムさん騒動」とは、「東日本大震災」直後の2011年8月4日に、東海テレビのローカルワイド番組「ぴーかんテレビ」内で起こった放送事故となります。
「しあわせ通販」のコーナーで、秋田県産稲庭うどんのテレビショッピングを放送している途中、画面がコーナーとは無関係の「岩手県産のお米・ひとめぼれ3名プレゼント」の当選者発表画面に切り替わり、その当選者の名前に「怪しいお米 セシウムさん 怪しいお米 セシウムさん 汚染されたお米 セシウムさんを掲げるという不適切な内容の電子フリップが23秒間にわたって表示される放送事故が発生した。
引用:セシウムさん騒動
当然ながら、あまりに不謹慎すぎる「セシウムさん騒動」はネット上でも炎上することとなりました。
表向き「被災者の皆様頑張ってください」裏「セシウムさんw ゲラゲラ」 クズだなぁ…
— anarchy0929 (@anarchy0929) August 4, 2011
セシウムさん騒動、岩手県から抗議を受けていた
「セシウムさん騒動」に対する東海テレビ側の反応は早く、問題シーンが流れた「しあわせ通販」のコーナー終了直後には、番組MCであった福島智之アナが謝罪をしています。
しかしながら、風評被害を恐れた岩手県知事・達増拓也さんが東海テレビ宛に抗議文送るなど、騒動が沈静化することはなかったようですね。
岩手県の広報サイトでは「現在(2011年8月時点)流通しているお米は原発事故発生前の2010年秋に収穫されたものであり、岩手県の場合、低温倉庫、準低温倉庫に適切に保管されているものが流通しているため安全」「岩手県のお米を始め、全国のお米は安全です」と強調している
引用:セシウムさん騒動
そのため、東海テレビの社長であった浅野碩也さんが、岩手県庁を訪れて達増県知事に直接謝罪をするなど、「セシウムさん騒動」は社会問題化してしまうことになりました。
ちなみに、「セシウムさん騒動」にて東海テレビまで届いたクレームは、抗議電話1900件、抗議メール1万5000件にも及んだとか。また、抗議者の大半が岩手県ないし東北地方在住者だったと言われております。
セシウムさん騒動、スポンサー20社が降板する事態まで招いた
「セシウムさん騒動」後の「ぴーかんテレビ」に対しては、JAグループなどの農業系団体が真っ先にスポンサー降板を表明しています。
その後も視聴者たちからのクレームが企業宛に殺到したこともあり、最終的には番組のスポンサー企業全20社が降板を表明する壊滅的な事態に陥ってしまったようですね。
・ミキハウス
・フジパン
・愛知県護国神社
・城本クリニック
・川上屋
「セシウムさん騒動」での東海テレビのイメージダウンは甚だしく、「ぴーかんテレビ」のみならず自社制作番組自体からスポンサーが離れるという苦境を味わう羽目にもなりました。
セシウムさん騒動、斜め読みフリップ画像はデマだった
「セシウムさん騒動」に関しては、ネット上で新たな不適切画像を発見したとの話題で盛り上がっていた時期もありました。
こちらの騒動については、放送事故後に「ぴーかんテレビ」にて「岩手県産ひとめぼれ」の正しい当選者が発表されたものの、その手書きフリップの文字を斜め読みすると「セシウム」になるという話題でした。
しかしながら、そちらの画像はとあるネットユーザーがイタズラ目的で作成し広めたフェイク画像に過ぎなかったようで、実際の手書きフリップには問題となるような箇所は見当たらなかったとか。
「セシウムさん騒動」の原因とは?…犯人はテロップ制作会社社員だった
セシウムさん騒動、テロップ作成者は外部スタッフだったことが判明
「セシウムさん騒動」に関しては、2011年8月30日になると、「検証 ぴーかんテレビ不適切放送〜なぜ私たちは間違いを犯したのか〜」との検証番組が放送されています。
そちらの検証番組によると、問題となるテロップを作成したのは、東海テレビの社員ではなく下請けのCG制作会社の50代スタッフ・Aだったようですね。
30年以上に渡り東海テレビに出入りをしていたベテランスタッフAですが、勤務態度については、「仕事のペースが遅い」だの「仕事に熱中すると周囲が見えなくなる悪癖がある」だの悪評があったと言われております。
そのため、東海テレビやCG制作会社の現場責任者たちは、「セシウムさん騒動」以前からAを生放送番組よりプレッシャーの緩い事前収録番組へ配置転換することを検討していたとか。
セシウムさん騒動、Aの作業ミスのせいで起こってしまった
「セシウムさん騒動」にて、問題テロップが放映されてしまった原因については、Aの作業ミスの疑いが濃厚となっています。
元々、Aが「ぴーかんテレビ」より発注を受けて、問題テロップを作成したのは騒動前日の夜でした。
あくまでリハーサル用のテロップの発注だったため、ハイテンションになりがちな夜間業務の悪ノリが災いし、「怪しいお米 セシウムさん」とのテロップを作成してしまったそうですね。
その後、発注した業務の確認にやって来た女性スタッフたちに問題テロップを発見されてしまったAは、「不謹慎すぎる」と注意を受けた後に内容の修正を促されていました。
しかしながら、「本番用テロップの発注が来た時点で作り直せばよい」と考えていたAは、問題テロップの修正を後回しにしてしまったとか。
とはいえ、「ぴーかんテレビ」の専属スタッフではなかったAは、以降は他番組から発注された業務にかかり切りになってしまったため、本番用テロップ作成まで手が回らない状況のまま本放送を迎えてしまうことになりました。
本来ならば、本番用テロップが未完成なことを把握して対策すべきだった「ぴーかんテレビ」側でしたが、スタッフ間での情報共有が徹底されていなかったことに加えて、Aが問題テロップを本放送用のフォルダに保存してしまうといったケアレスミスが重なり、「セシウムさん騒動」を迎えてしまったようですね。
セシウムさん騒動、自爆テロ説もあったが業界の慣習だった
「セシウムさん騒動」については、「ぴーかんテレビ」に打撃を与え過ぎた騒動であったため、ネット上ではAの自爆テロ説も流れていました。
ふと思ったんだがセシウムさん問題、スポンサー離れまくってるけど、やったやつはこうなる事を予見してやった、TV局の破滅を目論んでたとすると・・・
— とりあえず 0~(¦3_ヽ)_ (@temporary_nico) August 9, 2011
しかしながら、その場のノリでリハーサル用の不謹慎テロップを作成してしまうことは、業界内では良くあることだったらしく、Aが特別おかしな行動を取ったわけではないようですね。
「ダミーのテロップはどこでも制作していますが、画面に映ることはない前提なのでふざけた内容で作ることが多い。先日、ウチの局でも菅直人首相の出すコメントを前もってテロップにしたとき、セリフの欄に”日本は韓国にあげます。まずは孫社長に”なんて書いたものがありました。もし間違って放送されていたら、少なくともソフトバンクはCM撤退したでしょう」(在京キー局関係者)
テレビ制作会社の不謹慎なノリはブラックすぎる環境が原因か?
一般社会と比べると退廃的なムードが漂うテレビ制作業界ですが、ブラックすぎる職場環境の責任も大きいようですね。
同じ仕事をしていてもテレビ局職員と制作会社社員では3倍近い給料格差があることに加えて、降りて来る予算の都合から人手不足が常態化しているテレビ制作会社では、連日の徹夜勤務が当たり前な状況でした。
年に1日しか休みを取れなかった社員の話題すら存在するテレビ制作業界では、将来を不安視して退職する若手社員も少なくなく、残された社員たちもストレスから心がやさぐれてしまいがちだとか。
「正直、テレビのスタッフというのは下請けや関連業者など人の出入りが多く、局内で財布が盗まれただの便所の落書きがひどいだのと民度が低いところがある」と同ディレクター。
「セシウムさん騒動」のその後…番組は打ち切りで犯人は首になっていた
セシウムさん騒動、ぴーかんテレビは打ち切りとなっていた
「セシウムさん騒動」後の「ぴーかんテレビ」については、騒動翌日の2011年8月5日より放送を休止した一方で、14年の歴史を誇る老舗ワイド番組だったこともあり、当初は放送再開の道も模索していたようですね。
出典:https://blog-imgs-35.fc2.com
しかしながら、前述のスポンサー降板騒動まで起こったことで東海テレビ上層部の諦めがついたのか、同年の8月11日に打ち切りが発表されています。
やはりぴーかんテレビ打ち切りか。まぁあれはやっちゃいかんよね。ぴーかんテレビでたまにやるギャル曽根と芸人(顔は出てるが名前が出ない)の大食いの旅みたいなんが好きだった。
— NAO.YAMA (@captainyama) August 11, 2011
あの芸人誰だっけ?まぁ出てこなくてもいいや。
セシウムさん騒動、テロップ作成者は制作会社を首になっていた
「セシウムさん騒動」に関しては、問題テロップを作成したAも、2011年8月28日付でCG制作会社を懲戒解雇の憂き目となっています。
また、東海テレビの情報制作局長が降格処分となった他、「ぴーかんテレビ」を担当していたプロデューサーとディレクターが5日間の出勤停止処分を受けました。
その他、東海テレビ会長・石黒大山さんが2ケ月間の役員報酬の50%カット、社長の浅野碩也さんが3ケ月間の役員報酬の50%カットとなったようですね。
「セシウムさん騒動」の現在…「あんなアホいない騒動」が起こっていた
「セシウムさん騒動」の現在ですが、2019年8月になると、今度は東海テレビと同じフジネットワークスの一員であるフジテレビが、「あんなアホいない騒動」を起こしています。
フジテレビが4日夕のニュース番組「Live News it!」で、京都市のアニメ制作会社「京都アニメーション」で起きた放火殺人事件の犠牲者を悼むコメントを放送した際、「あんなアホいない」と誤ったスーパーを表示した。フジは同日の番組内で訂正し、謝罪した。
「あんなアホいない騒動」に巻き込まれる形となった武本康弘さんは、2019年7月に起こった「京都アニメーション放火殺人事件」で亡くなられた被害者の1人でした。
アニメ監督として大成功を収めていた武本さんは、現役のクリエイターながらも取締役を兼務しており、「京都アニメーション」の大黒柱的な存在だったようですね。
・フルメタル・パニック? ふもっふ(2003年)
・フルメタル・パニック! The Second Raid(2005年)
・らき☆すた(2007年)
・涼宮ハルヒの消失(2010年)
そんなオタク業界の大物的存在だった武本さんだけに、その死を冒涜した形となった「あんなアホいない騒動」に対しては、怒り心頭のネットユーザーたちが多かったりもしました。
あんなアホいない❓って
— 令和デビュー (@e1aAncekcUlWna2) August 4, 2019
誤報❓テロップ‼️
謝罪ってそんな謝罪で許されるのか❓
関係者が間違いなくこのテロップ打ったってことだよな!💢
誤報でも何でも無い、紛れも無い事実である❗️最低なフジテレビを国民も被害者も人間として許せない❗️
ちなみに、「あんなアホいない騒動」の原因については、制作スタッフが手書きのメモで「あんな天才いない」とのスーパーを発注したところ、文字が汚すぎて「あんなアホいない」と誤読されてスーパーを作成されてしまったとか。
「セシウムさん騒動」についてまとめてみると…
「セシウムさん騒動」については、制作スタッフの悪ノリが招いてしまった放送事故ということになります。
「ぴーかんテレビ」が打ち切られ、当該スタッフも懲戒解雇処分となったことを踏まえると、悪ふざけの代償はあまりにも大き過ぎたと言えます。