山梨県甲府市で発生した放火殺人事件の犯人の少年・遠藤裕喜が話題です。
甲府放火事件の概要、犯人の生い立ちと両親など家族、被害者の井上盛司さん、犯人と同級生だった被害者の長女、高校の特定や生徒会長の過去、LINEがきっかけの犯行動機、判決が確定した現在についてまとめました。
この記事の目次
- 甲府放火殺人事件の犯人少年の実名は遠藤裕喜
- 甲府放火殺人事件の犯人の遠藤裕喜の生い立ちと家族【幼い頃に両親が離婚】
- 甲府放火殺人事件の概要① 被害者の長女の通報直後に被害者宅が火事に
- 甲府放火殺人事件の概要② 火事の焼け跡から井上盛司さんと妻の遺体
- 甲府放火殺人事件の概要③ 犯人の遠藤裕喜が「人を殺した」と出頭
- 甲府放火殺人事件の犯人の遠藤裕喜は被害者長女と同じ定時制高校の同級生
- 甲府放火殺人事件の犯人・遠藤裕喜には高校で生徒会長を務めていた
- 甲府放火殺人事件の犯人の遠藤裕喜の動機はLINEブロックの逆恨みか
- 甲府放火殺人事件の被害者の長女は周囲にストーカー被害を相談していた
- 甲府放火殺人事件の犯人の遠藤裕喜が用意周到に犯行に及んでいた事も判明
- 甲府放火殺人事件の被害者① 遠藤裕喜が一方的な思いを寄せていた長女
- 甲府放火殺人事件の被害者② 次女
- 甲府放火殺人事件の被害者③ 殺害された井上盛司さん
- 甲府放火殺人事件の被害者④ 殺害された井上章恵さん
- 甲府放火殺人事件の犯人・遠藤裕喜の現在① 起訴により実名が公表される
- 甲府放火殺人事件の犯人・遠藤裕喜の現在② 公判が行われる
- 甲府放火殺人事件の犯人・遠藤裕喜の現在③ 死刑判決が確定
- まとめ
甲府放火殺人事件の犯人少年の実名は遠藤裕喜
出典:https://twitter.com/bungu42/status/1451096309767688193
2021年10月12日未明に発生した甲府市の放火殺人事件は、犯人が19歳の少年という事で実名が公開されていませんでしたが、10月21日に発売の「週刊新潮」が、この少年を実名で報じています。
週刊新潮の記事によれば、甲府の放火殺人事件の犯人の少年の実名は「遠藤裕喜」だという事です。また、週刊新潮はこの犯人遠藤裕喜の顔写真もモザイク無しで掲載しています。
ネット上では検索ワードで「甲府 犯人 三浦〇〇」という名前が出てきますが、こちらはネットの誤情報のようです。
この週刊新潮の実名報道や顔写真の公開については物議を醸し、その後、山梨県弁護士会の会長が抗議の談話を発表しています。
今回はこの遠藤裕喜の起こした甲府の放火殺人事件についてまとめていきます。
甲府放火殺人事件の犯人の遠藤裕喜の生い立ちと家族【幼い頃に両親が離婚】
2021年10月21日に発売された「週刊新潮」は、犯人の遠藤裕喜を実名で報じただけなく、その生い立ちについても取材し報じていました。
新潮の記事によれば、犯人の遠藤裕喜は小学校1年生の頃から数年間は両親と山梨県中央市の一軒家で過ごしたという事です。兄弟はおらず一人っ子だったようです。
ただ、この一軒家の表札は「渡辺」で、これは遠藤裕喜の父親の姓で、遠藤裕喜が小学校高学年の頃に母親と遠藤裕喜が家を出て行ったという事でした。また、遠藤裕喜の父親方の祖母の証言によれば、遠藤裕喜の両親は遠藤裕喜が小学6年生の頃に正式に離婚したようです。
そして、遠藤裕喜の両親が離婚した原因となったのは、遠藤裕喜が小学校2年生か3年生の頃に、父親が給湯器を窃盗したとして逮捕された事だったようです。
父親が逮捕されたのが原因で遠藤裕喜は学校でいじめられるようになり不登校気味になったようです。その後も数年間は家族3人で暮らしていたものの、小学校高学年の頃に母親と2人で出て行ったという事でした。
また、当時の関係者によると、遠藤裕喜は小学5年生の時に、友人のニンテンドーDSのソフト10本以上を盗んだ疑いをかけられ、証拠も見つかっているのですが、友人の親に問い詰められた遠藤裕喜の母親は息子が盗みを働いた事を頑なに認めず、そのまま遠藤裕喜はその小学校から転校してしまったそうです。
この友人の保護者は「あの子(遠藤裕喜)はいつもそうして母親に甘やかされてきたのでしょう」と非難気味に証言しています。
新潮の記事では、遠藤裕喜の中学時代の同級生の証言も掲載されています。
それによると、遠藤裕喜は中学1年生の時はソフトテニス部に所属したものの、入ってすぐの試合で負けて顧問に叱責されたのをきっかけに部をすぐに辞めてしまったという事です。そして、中学1年から3年まではほとんど不登校気味でだった事なども明かされていました。
その後は、県立中央高校の定時制普通科へと進学し、今回の放火殺人事件を起こす事になったようです。
甲府放火殺人事件の概要① 被害者の長女の通報直後に被害者宅が火事に
まず、甲府の放火殺人事件の概要を時系列順に見ていきます。
2021年10月12日の午前3時45分頃、山梨県甲府市蓬沢1丁目の2階建の民家から「泥棒に入られた」という110番通報がありました。通報したのは家主の井上盛司さんの長女でした。
この通報の直後、この民家が火事になり、同日午前7時頃に消し止められています。民家は1階の骨組みだけを残して全焼しています。
甲府放火殺人事件の概要② 火事の焼け跡から井上盛司さんと妻の遺体
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火事の焼け跡から、2人の遺体が発見されました。被害者2名はこの民家の家主である井上盛司さん(当時55歳)と妻の章恵さん(当時50歳)でした。2人の被害者の遺体には刃物で刺されたような痕がそれぞれ10箇所以上も確認されており、直接の死因は火事による焼死ではなく失血死の可能性が高いと見られています。
この民家には事件当時、被害者2人の他に当時10代の長女と次女もいましたが、火事になる前に2階のベランダから脱出して無事でした。
ただ、次女は2階で眠っていたところ1階で争うような音を聞いたて様子を見に降りたところ、そこで犯人の少年・遠藤裕喜と出くわし、2階へ逃げ戻ろうとしたところを後ろから凶器で殴られて頭部に打撲を負っています。
甲府放火殺人事件の概要③ 犯人の遠藤裕喜が「人を殺した」と出頭
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山梨県警は殺人放火事件と断定して捜査本部を設置し犯人を捜索していましたが、事件発生から約15時間後の同日の夕方頃に、犯人の遠藤裕喜は事件現場からおよそ30キロ離れた山梨県身延町の駐在所に出頭しています。
その時、駐在所の警察官は出払っていて不在だったため、犯人の遠藤裕喜は備え付けの電話を使って「人を殺した」と自供し駆けつけた警察官に確保されています。出頭時、遠藤裕喜は顔の半分に火傷を負い、右手の小指の骨折と腱断裂の怪我も負っていたという事です。
その後の取り調べを経て、山梨県警は13日に遠藤裕喜を次女に対する傷害の容疑で逮捕しています。
甲府放火殺人事件の犯人の遠藤裕喜は被害者長女と同じ定時制高校の同級生
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その後、甲府の放火殺人事件を起こした犯人の少年・遠藤裕喜と、被害者の井上盛司さんの長女の10代の少女が、甲府市内の同じ定時制高校の同級生で顔見知りだった事が報じられています。
「女性セブン」の2021年11月4日号が、被害者の長女が甲府市内の定時制高校に通っており、将棋クラブに所属し生徒会の役員も務め、努力家で勉強もできる人気のある生徒だった事を伝え、犯人の遠藤裕喜も同じ高校に通っていた事を報じています。(記事内では遠藤裕喜は「A」と表記)
甲府市内の定時制高校で、長女は将棋クラブに所属し、生徒会の役員も務めていた。努力家な面をもち、勉強も得意な彼女を慕う同級生は多かったという。
犯人の遠藤裕喜は、高校の同級生だった被害者の井上盛司さんの長女に好意を寄せていたとの関係者からの証言も出ているという事です。
Aは、長女と同じ高校に通っていた。
「どちらかというと地味なタイプで交友関係も広くない。にもかかわらず生徒会長に立候補し、周囲を驚かせたこともあった」(高校の関係者)
そんなAが一方的に恋心を抱いていた相手が長女だった。
被害者の長女は高校では将棋クラブに所属していたという事ですが、犯人の遠藤裕喜も同じ将棋クラブに所属していたとの報道も出ています。
詳細な経緯は不明ですが、遠藤裕喜は被害者の長女に思いを寄せ、追いかけるような形で将棋クラブに入ったのではないかという見方もあるようです。
甲府放火殺人事件の遠藤裕喜と被害者の長女が通っていた高校は山梨県立中央高校
これまでの報道では犯人の遠藤裕喜と被害者の長女が通っていた高校は「甲府市内の定時制高校」とだけ報じられていましたが、2021年10月21日発売の「週刊新潮」はこの高校も特定し実名掲載しています。
それによると、犯人の遠藤裕喜と被害者の長女が通っていた高校は甲府市飯田にある「山梨県立中央高校」の定時制だという事です。
甲府放火殺人事件の犯人・遠藤裕喜には高校で生徒会長を務めていた
報道によると、犯人の遠藤裕喜は通っていた高校(山梨県立中央高校の定時制)で生徒会長を務めていたようです。
上でも引用しましたが、遠藤裕喜は大人しい性格で地味なタイプの生徒だったため、生徒会長に立候補した時は意外だったという高校の関係者の証言もあるなので、遠藤裕喜はあまり前に出てくるようなタイプの人間ではなかったのかも知れません。
ただ、同級生の証言によれば、高校時代の遠藤裕喜は非常に真面目な生徒で、ほとんど休む事もなく皆勤賞も狙えるほどだったという事です。成績も良く、学校が終わるとすぐに帰宅する極めて真面目な生徒だったようです。また、友人は全くおらず、休み時間にはいつも1人でニンテンドースイッチでポケットモンスターなどのゲームをしていたのだそうです。
犯人の遠藤裕喜は生徒会長になった後イメチェンし髪型をツーブロックに
地味なタイプだったという犯人の遠藤裕喜ですが、生徒会長に選ばれた後の2021年4月頃に、突然髪型をツーブロックにして眉毛も整えるなど見た目に気を使い始めたそうです。
「生徒会長に選ばれた後の4月ごろです。もともと芋っぽい見た目のAでしたが、急にツーブロックに刈り上げて、ワックスで髪型をキメていました。太かった眉毛も整えて、見た目に気を使っている印象でしたね。『かっこいいね』と声を掛けたら、おどおどしながらも喜んでいました。今思えば異性か好きな人を意識していたのかもしれません」
引用:「急にツーブロックに刈り上げ、ワックスで髪型を…」甲府放火“2人死亡” 逮捕の“19歳生徒会長”が事件前に見せた“変貌”
被害者の井上盛司さんの長女に一方的に好意を寄せていたとの報道と合わせて見て、犯人の遠藤裕喜は長女の気を引こうとして、生徒会長に立候補したり、髪型を変えたりしていたという見方が有力になっているようです。
ところが、2021年10月21日に発売の「週刊新潮」の記事に掲載された高校の同級生の証言によれば、遠藤裕喜は1代前の生徒会で役員を務めており、次の生徒会長を決めるとなった時に生徒会長に立候補したのが遠藤裕喜しかおらず、結果として信任投票で選ばれたのだそうです。この同級生は「なので周りから推されて生徒会長になったわけでは無いです」とも話していたようです。
甲府放火殺人事件の犯人の遠藤裕喜の動機はLINEブロックの逆恨みか
甲府放火殺人事件の犯人の遠藤欲喜は警察の取り調べに、被害者の井上盛司さんの長女に好意を寄せており、急にLINEをブロックされて連絡が取れなくなったので殺害しようとしたといった趣旨の内容を供述していると報じられています。
この事から、犯人の遠藤裕喜の犯行動機は被害者の長女への一方的な好意から、LINEをブロックされた事を逆恨みした事だった可能性が高いようです。
Aは警察の取り調べに対し、『被害者家族の長女に好意を寄せていた』『急にLINEで連絡ができなくなり、殺害しようとした』などと逆恨みとも取れる供述をしている
引用:「急にツーブロックに刈り上げ、ワックスで髪型を…」甲府放火“2人死亡” 逮捕の“19歳生徒会長”が事件前に見せた“変貌”
また、捜査関係者からの情報として、犯人の遠藤裕喜が、被害者の長女に交際を申し込んだが断られ、それをきっかけにLINEをブロックされ、その後、思い通りにならないので被害者宅に侵入し、見つかれば家族全員を殺害しようと思ったと供述したとの内容も報じられています。
捜査関係者によると、少年は10代の長女と同じ高校の出身で面識があり、「一方的に好意を寄せ、交際を申し込んだが断られた。やりとりしていたLINEもブロックされた」と供述。さらに「思い通りにならないので侵入しようと思った。見つかれば家族全員を殺害するつもりだった」と話し、井上さん方の住所については「最近知った」と話しているという。
こうした犯人の遠藤裕喜の供述内容から、犯行の動機は、一方的な好意を拒絶されLINEもブロックされた事による逆恨みによる怨恨である可能性が高いようです。
ちなみに、2021年10月21日に発売の「週刊新潮」の記事に掲載された同級生の証言によれば、遠藤裕喜が被害者の長女に思いを寄せていた事は高校でも知られていて、一方的にティファニーをプレゼントしたり、LINEをブロックしていた事も学校中で噂になっていたようです。
この同級生の証言が事実だとすれば、どういった経緯かこうした情報が周囲に広まって遠藤裕喜が馬鹿にされるような状況になり、それが今回の犯行動機につながったという可能性も考えられそうです。
甲府放火殺人事件の被害者の長女は周囲にストーカー被害を相談していた
被害者の井上盛司さんの長女の友人の証言によると、以前から長女は周囲に、「ストーカーに遭っている」、「LINEをブロックしたのに執着してくる人がいる」、「ティファニーなどのブランド品を勝手に送り付けてくる」などと相談していたそうです。
彼女(長女)には彼氏もいませんでしたし、そもそも過去にもAと付き合ったことなどないはずです。ただ、事件の少し前から『ストーカーにあっている』と聞いたことがあります。『ティファニーなどのブランド品を勝手に家に送りつけてきて、LINEをブロックしても執着してくる人がいて困っている』って……。
引用:《甲府放火“2人死亡”》「勝手にティファニーを送りつけ、LINEブロックしても執着…」逮捕された19歳少年“長女への執拗なストーカー行為の全貌”
長女はこのストーカー相手の名前は明かさなかったという事ですが、おそらくこのストーカー相手が犯人の遠藤裕喜だと見て間違い無いでしょう。
甲府放火殺人事件の犯人の遠藤裕喜が用意周到に犯行に及んでいた事も判明
甲府放火殺人事件の犯人の遠藤裕喜は、かなり周到に準備をして犯行に及んでいた事も判明しています。
遠藤裕喜は、複数の刃物を持って被害者の井上盛司さん宅に侵入し、家族全員を殺害した後に自宅に放火する事も事前に計画して灯油を入れる缶も携帯していたという事です。
また、犯行を行うために事前に井上盛司さんの後をつけて自宅を特定するなどもしており、かなり周到に計画を練った上で犯行に及んだと見られています。
甲府放火殺人事件の被害者① 遠藤裕喜が一方的な思いを寄せていた長女
甲府放火殺人事件の被害者家族についてもこれまでに報じられている内容をまとめていきます。
まず、一方的に犯人が好意を寄せていたと見られている長女は、事件当時高校3年生で、中学時代に不登校になりますが家族の支えで乗り越え、その後中央高校の定時制へと進学したという事です。
高校に入ってからは性格も活発になり、将棋クラブや演劇に一生懸命だったという事です。また、交友関係も広がって自宅にはよく友人が遊びに訪れていたそうです。
容姿については、黒髪で目がぱっちりとした美人、可愛い子という証言が多く出ています。また小学校時代からの同級生によれば「少女漫画のヒロインみたいな子」だったそうです。
「小学生の頃から可愛らしくて、イメージでいうと少女マンガのヒロインみたいな子。ボーイフレンドもいたけど、決してそれを鼻にかけるわけでもなく、男女問わず誰とでも仲がよかった。少女マンガが好きで、絵がうまかった」(長女の小学校の同級生)
引用:《甲府放火“2人死亡”》「深夜に『やめてー』と女性の叫び声が…」“泣きながら出頭の19歳少年”は被害者長女と同じ高校の“顔見知り”だった
甲府放火殺人事件の被害者② 次女
甲府放火殺人事件で、犯人の遠藤裕喜に頭を殴られるなどして怪我を負った被害者の次女は、事件当時中学3年生で、長女と似てぱっちりとした目の可愛い女性との証言が出ています。
また、姉妹仲もとても良かったようです。
甲府放火殺人事件の被害者③ 殺害された井上盛司さん
犯人の遠藤裕喜に殺害された家主の井上盛司さんは、事件当時55歳で、土木関係の会社に務めるサラリーマンで、大人しく真面目な性格の男性だったそうです。
娘2人をとても可愛がっていたようで、近所の人に「(娘2人を連れているのを見て)お父さんにそっくりですね」と声をかけられると「俺に似てるかな」と嬉しそうにされていたそうです。
甲府放火殺人事件の被害者④ 殺害された井上章恵さん
犯人の遠藤裕喜に殺害されたもう1人の被害者である井上盛司さんの妻の章恵さんは事件当時50歳で、介護の仕事をしながら、自治会の組合長の仕事も懸命にこなすアクティブな女性だったという事で近隣住人からの評判もとても良い方だったようです。
「娘2人が10代でこれからまだお金がかかるから頑張るんだ」と話されていた事もあったそうで、長女と次女をとても大切にされていたようです。
この被害者家族4人は、休みの日にはよく一緒に車で出かけていたとの事で、仲のとても良い幸せな家族だったようです。
甲府放火殺人事件の犯人・遠藤裕喜の現在① 起訴により実名が公表される
2022年4月8日、犯人の遠藤裕喜が殺人や現住建造物等放火など4つの罪で起訴され、氏名が公表されました。2022年4月1日に少年法が改正され、18歳と19歳は「特定少年」に位置づけられ、起訴後は実名報道が可能になっています。
甲府地検は8日、甲府市の遠藤裕喜被告(19)を殺人や現住建造物等放火など4つの罪で起訴し、氏名を公表しました。
起訴状などによりますと、被告は去年10月、甲府市の井上盛司さん夫婦を殺害したほか二女にケガをさせ、住宅に放火し全焼させたとされます。
今月施行された改正少年法では、18歳と19歳は「特定少年」に位置づけられ、起訴後は実名報道が可能になりました。
甲府地検は今回初めて特定少年の氏名を公表した理由について、「重大事案であり、地域社会に与える影響も深刻」などと説明しています。
甲府放火殺人事件の犯人・遠藤裕喜の現在② 公判が行われる
出典:https://xsionx.com/
2023年10月、犯人である遠藤裕喜の初公判が行われました。検察は「完全責任能力に疑いはない」と主張。一方、弁護側は、母親の再婚相手から体罰を受けるなど複雑な家庭環境で育ったことが人格形成に影響しており、事件当時も心神耗弱の状態だったとして責任能力について争うと主張しました。
検察は冒頭陳述で「精神鑑定の結果などから完全責任能力に疑いはない。犯行動機と目的は、女性への強い恨みによるもので、計画や周到な準備をし、警察から逃げ切れないと考え出頭するなど飛躍や不合理な点はなかった」と述べました。
一方、弁護側も冒頭陳述で「子どものころに父親や母親の再婚相手から体罰や虐待めいた扱いを受けるなど複雑で厳しい家庭環境で育ったことが人格形成に影響している。爆発した感情がコントロールできずに事件を起こしてしまった」と述べました。
遠藤裕喜の母親は離婚後まもなくパート先で出会った男性と再婚したようですが、遠藤裕喜はこの再婚相手が病死するまでの数年間、再婚相手から虐待を受けていたといいます。
「被告が小学6年生のとき、妹が生まれました。すると養父が『部屋が狭くなるから、アパートの隣の部屋を借りて、被告の部屋にしよう』と提案し、母親もそれに賛成しました。母親は調書で『被告を邪魔者扱いしていた印象はなかった』と述べていましたが、もともと心臓が悪くペースメーカーを入れていた養父の検査結果が思わしくないことがわかってから、新しい家族にもまた、暗雲が立ち込めはじめたようです」養父が母親を怒鳴りつけ、被告が庇うこともあった。母親は調書で、「料理の仕方や出し方について文句を言われることが増え、被告が私を庇うことが何度もあった。私が責められる姿を見たくなかっただろうし、養父が許せなかったのだろう」と振り返っている。
引用:《甲府殺人放火事件で死刑判決》被告母の調書で明かされた複雑な生い立ち「実父が窃盗で逮捕」「養父に殴られ生活に限界がきていた」|NEWSポストセブン
初公判で、遠藤裕喜は起訴内容に間違いないか問われたのに対し何も言葉を発しなかったとのことです。
遠藤裕喜はその後の公判で、家と将来から逃げたいと思っていたところに被害者の長女とのLINEのことがあり後押しされ犯行に及んだことを明かしています。
また、「家族を拷問した時の長女の顔が見てみたかった」「放火したのは警察と戦闘するまでの時間稼ぎだった」「遺族の苦しみについては正直よくわからない」などとの発言もしています。
弁護側の求めによる被告人質問では「いろいろなことに疲れていた。長女とのLINEが後押しになって、逃げだそうと決めた。母親に家を出るなと束縛され、暴言を吐かれることが嫌だった。不本意な就職先を一方的に決められ、家と将来から逃げたかった」と動機を説明。また、検察側からの質問には「長女の目の前で家族を拷問し、殺したときの表情を見てみたいという興味があった」と言い放ち、放火した理由を「証拠隠滅もあるが、警察と戦闘するまでの時間稼ぎだった」と述べた。
同公判では被害者や遺族に対して「悪いことをしたなと思うが、特に僕としては何もしてあげることはできないし、遺族の苦しみについては正直、よくわからない。謝罪の言葉を口にしないのは、自分の判決にとって、そっちのほうが心証が悪くなるからです」と淡々と言い切った。しかし、自身の家族について問われるとすすり泣く場面もあり、もろさも垣間見せた。
長女は法廷とモニターで繋いだ「ビデオリンク方式」で意見陳述を行った際、謝罪の言葉もない遠藤裕喜に憤りを見せていました。
長女は「世界一の父、母、妹を事件に巻き込んでしまった。どう償えばいいか、答えが出ません」と自らを責め、謝罪の言葉がない被告に対して「不思議でならない。(被告の)生い立ちを聞きましたが、何も悪くない父や母、妹と関係があるのでしょうか」と言い切った。
甲府放火殺人事件の犯人・遠藤裕喜の現在③ 死刑判決が確定
出典:https://news.livedoor.com/
2024年1月18日、「更生の可能性は低いと言わざるを得ない」として、遠藤裕喜に求刑通り死刑が言い渡されました。
18日、甲府地方裁判所で開かれた裁判員裁判で三上潤裁判長は「非常に悪質で強固な殺意に基づく冷酷な犯行だ。十分な計画性があり、動機も自己中心的で理不尽だ。遺族に真摯な謝罪もない」と指摘しました。
その上で「19歳であるという年齢を最大限考慮しても、刑事責任の重大性や、更生の可能性の低さから死刑を回避する事情にはならない」などとして求刑どおり死刑を言い渡しました。
遠藤裕喜は、死刑が言い渡された瞬間、大きく2回うなずいたとのことです。「特定少年」に死刑判決が言い渡されたのは初めてのこととなりました。
2024年2月1日、遠藤裕喜の弁護士が判決を不服として控訴しましたが、翌日に遠藤裕喜本人が控訴を取り下げており、これにより遠藤裕喜の死刑が確定しました。
被告は、2日接見したNHKの取材に対して「きのう、控訴取り下げの紙を担当者に出した。生きることを諦めているので後悔はしていない」と述べ、「とにかく悪いとは思っている。遺族に申し訳ない」と泣き出しました。
まとめ
今回は、2021年10月12日未明に発生した甲府市の放火殺人事件や、その犯人の遠藤裕喜、被害者家族についてなどを中心にまとめてみました。
この事件は、被害者の井上盛司さんの長女に一方的な思いを寄せた当時19歳の犯人・遠藤裕喜が、一方的なストーカー行為の結果LINEをブロックされた事などを逆恨みしたのを動機に、一家全員を殺害しようと思い、事件現場の民家に侵入して井上盛司さんとその妻を刃物で10数回以上も刺した後、燃焼性の液体を巻いて放火し火事を起こして逃亡し、その後現場から30キロ離れた派出所に出頭し逮捕されたという経緯でした。
犯人の遠藤裕喜は犯行時19歳で、少年法に守られて実名報道がされていませんでしたが、2021年10月21日に発売された「週刊新潮」が、実名と顔写真を掲載した記事を発表し物議を醸しています。また、2022年4月1日に少年法が改正され、甲府地検は遠藤裕喜の実名を公表しました。
遠藤裕喜は被害者の長女とは山梨県立中央高校定時制普通科の同級生で、高校では生徒会長を務め、生徒会の役員を務めていた長女に一方的な好意を抱き、ストーカー行為を繰り返していたようです。
遠藤裕喜は複雑な家庭環境に育ったようですが、身勝手極まりない犯行を犯したことに同情の余地はなく2024年1月に死刑判決を言い渡され翌月に刑が確定しています。被害に遭った長女と次女が今後も姉妹で強く生きていってくれることを願わずにはいられません。