大阪府吹田市の大山真白(ましろ)さん(当時20歳)が殺害され、兵庫県加古川市の加古川で遺体で見つかった事件で、知人の礒野和晃が逮捕されました。
この記事では、大山真白さんと礒野和晃の関係や、生い立ち・家族について現在までの情報について詳しくまとめましたのでご紹介します
この記事の目次
「加古川女性殺害事件」の概要
120万円を奪い殺害された強盗殺人事件
「加古川女性殺害事件」は、2015年12月7日に兵庫県加古川市において、犯人の礒野和晃が被害者の大山真白さんを騙して120万円を詐取した挙句、ハンマーで殴り殺害した事件です。
礒野和晃は2015年11月17日~12月上旬にかけて、大山真白さんに「現金が倍になる」と嘘の儲け話を持ち掛けており、7日午前2時頃に大山真白さんと会って約120万円をだまし取り、その直後に加古川の中州付近で頭部を金づちで約10回殴打して殺害しました。
12日に加古川の中州で大山真白さんの遺体で見つかり、死因は脳挫滅と見られています。
「加古川女性殺害事件」被害者・大山真白さんの事件当日の足取り
大山真白さんがアルバイト勤務後に行方不明に
大山真白さんはEXPOCITYに立ち寄って加古川に行った
大山真白さんは12月6日6日午前8時に、アルバイト先の牛丼店での勤務を終えて吹田市内で友人と会い、「これから加古川へ行く」と伝えたの最後に行方が分からなくなっていました。
大山真白さんは加古川に行く前に吹田市内の大型複合施設「EXPOCITY(エキスポシティ)」に立ち寄っていたことが監視カメラなどから分かっています。
6日中に母親が送ったメールへの返信はなく、9日のアルバイトの出勤もなく無断欠勤、10日のタレント養成所のレッスンにも姿を出さなかったことから、11日に父親が警察に捜索願を提出していました。
大山真白さんは複数の男性にお金を貸していた
大山真白さんは複数の男性のお金を貸していた?
事件後の警察の捜査により、大山真白さんは元交際相手の男性やその他男性にお金を貸していたと見られ、金銭トラブルを抱えていたと見られています。
金銭トラブルと関係が深いとみられる行動として、大山真白さんは2015年4月以降に複数回に分けて120万円を自身の口座から引き落としており、それは自宅には保管されておらず、何かしらに利用した形跡が見られていました。
そして、その後の取材で大山真白さんが知人男性に対して、「元交際相手が貸した20万円を返してくれない」という相談をしていたことが判明しました。
大山真白さんは身の危険を感じてメモを残していた
大山真白さんがメモに残した”りゅうのすけ”が礒野和晃だった
事件後の警察の捜査で、大山真白さんの自宅の部屋からメモが見つかっており、それには「私に何かあったら疑って欲しい人物がいる」「加古川のりゅうのすけに会いに行く」と書かれてありました。
この”りゅうのすけ”が事件現場となった加古川と密接な関係があると見て、警察は犯人と断定し捜査をしていましたが、この人物が礒野和晃であり、大山真白さんは何らかの身の危険を感じる状況にあったことが分かっています。
大山真白さんの遺体が発見される
大山真白さんが礒野和晃に殺害され遺体が発見される
2015年12月12日午前10時40分頃に、兵庫県加古川市加古川町友沢に流れる加古川沿いの道を歩いていた当時中学2年生の男子生徒が、セーターにショートパンツという姿で加古川の中州あたりに浮いているところを発見し通報し事件が発覚しました。
大山真白さんの遺体を司法解剖した結果、頭部右側を中心に複数個所が鈍器のようなもので殴られた痕があり、一部は陥没骨折をしていました。
頭部以外に損傷はなく、大山真白さんが攻撃された時に着く防御痕が無かったことから、犯人は大山真白さんの注意をそらした際に不意打ち的に頭部を殴ったものとみられています。
また、鈍器のようなもので約10回ほど殴ったのなら大山真白さんの衣服に返り血が飛び血痕が残るはずですが、遺体が発見された際に着ていたセーターにそれが無かったことから、犯人が証拠隠滅を図るために大山真白さんの上着を脱がせて捨てた可能性が浮上していました。
そして執拗に頭部が損傷するほど殴り続けたという殺害方法から、犯人は大山真白さんに強い恨みを持っている可能性が高いとみて捜査されていましたが、実はそうではなかったことが礒野和晃が逮捕されたことで判明します。
「加古川女性殺害事件」犯人・礒野和晃の逮捕と犯行動機
事件は発覚から2ヶ月後に礒野和晃が逮捕
大山真白さんと金銭関係を持っていた礒野和晃が逮捕
大山真白さんの遺体が加古川で発見されてから約2か月後となる、2016年2月18日に加古川市内に当時住んでいた無職・礒野和晃が逮捕されました。
警察が大山真白さんが金銭関係を持っていた”りゅうのすけ”を追う中で浮上したのが礒野和晃で、大山真白さんの金銭トラブルの相談に乗っていたことが分かりました。
礒野和晃は大山真白さんが雇った“借金の取り立て屋”だった
礒野和晃は”借金取り”として紹介された
大山真白さんは生前、元交際相手を含む複数人にお金を貸していたことが分かっていますが、この金銭トラブルを解決するために知人男性に相談していました。
そして、取り立てをする”借金取り”にふさわしいとして紹介されたのが礒野和晃であり、大山真白さんは当初礒野和晃を頼っていたため信頼を抱いていた可能性があります。
「一人暮らしだった彼女の自宅マンションには、当時の交際相手や男友達が2~3人出入りしていた。仕送りと牛丼店のアルバイトで貯金をしていたようですが、一方で彼らに金を貸していたようなのです。中には10万円単位で貸す場合もあり、その取り立て役として、知人が“りゅうのすけ”を紹介してくれたと聞いています」
事件後に大山真白さんの元交際相手の男性が証言した内容によれば、男性の職場に大山真白さんと礒野和晃、そして紹介した知人男性の3人が2、3度訪れており、礒野和晃が「俺は山口組のもんやけど…」と暴力団を装って取り立てにきたということです。
礒野和晃は逮捕後の警察の取り調べで、報酬を貰って借金の取り立てをしていたことを供述していました。
礒野容疑者は、「取立てをすれば報酬をもらえることになっていた」という趣旨の話をしていて、警察は2人の間に報酬をめぐるトラブルがなかったかなどを調べるとともに、引き続き加古川の捜索を行い凶器のハンマーや遺留品の発見を急いでいる。
大山真白さんが礒野和晃に120万円を渡した理由
大山真白は礒野和晃に120万円を渡した
大山真白さんは複数回に分けて120万円(メディアによっては100万円と報道)を銀行口座から引き出していましたが、このお金はすべて礒野和晃に渡されたと見られています。
礒野(いその)和晃容疑者(21)が兵庫県警加古川署捜査本部の調べに、「金を増やしてやると嘘を言い、大山さんに現金100万円を持ってこさせた」と供述していることが5日、捜査関係者への取材で分かった。
大山真白さんが死亡してしまったため真相は闇の中ですが、礒野和晃の借金取りのおかげでお金を貸していた元交際相手や知人男性から返済の約束を取り付けたものの、その過程で大山真白さんは弱みを握られてしまい、逆に恐喝された可能性が高いようです。
「大山さんから借金の取り立てを頼まれた礒野容疑者は張り切って交渉に当たり、返済の約束を取り付けた。ところが、その中にいた人物から、大山さんにとっては人に触れられたくない交友関係の話を聞かされたようなのです。そこで一転、礒野容疑者は大山さんを脅しにかかった。昨年12月、大山さんが100万円を預金口座から下ろし、礒野容疑者に渡しているのは、そういう事情からです」
礒野和晃が大山真白さんを殺害した理由
礒野和晃はただ大山真白さんを脅せる材料があっただけ?
礒野和晃は大山真白さんから120万円を奪って殺害した後、バイクの購入と改造費用に使ったことを供述しています。
そして、大山真白さんをハンマーで頭部を約10回殴るという尋常ではない殺害の仕方をした理由は、現金を詐取した事実を友人に知られないためという保身であり、こうした動機から礒野和晃は合理的な考え方ができない知能の低さが分かりました。
「加古川女性殺害事件」犯人・礒野和晃の生い立ちと家族
礒野和晃は5人家族、3人兄弟の長男だった
礒野和晃の父親はNPO法人の代表だった
礒野和晃は兵庫県加古川市で生まれましたが、母親は事件の起こる数年前に家を出て両親が離婚しているため、父親と祖父母、3人兄弟の長男として6人家族で生活していたようです。
父親は元々サラリーマンでしたが脱サラしてNPO法人を立ち上げ、フィリピンなど東南アジア地域の貧困地域に古着などを寄贈する慈善事業活動を行っていたと言われています。
そのため、事件後には礒野和晃の父親が立派な人だったたけに、なぜその子供でしかもしっかり者になりやすい長男の礒野和晃が超問題児になったのかと疑問が持たれていました。
しかし、離婚家庭であり、仕事が忙しく父親も不在がちだったとすれば子供たちが非行に走ってもおかしくありませんが、父親はメディアの電話取材に対して「息子は普通の子」とあくまで不良だとは認めませんでした。
礒野和晃、小学校時代から地元で有名な不良だった
地元では知られたワルだった礒野和晃
父親は「普通の子」と形容したものの、近所の住民や元同級生などからの聞き込み調査で判明したのは、礒野和晃は小学校時代から地元ではよく知られた不良だったということでした。
礒野和晃は小学生時代から髪の毛を染め、非常に血の気が多く喧嘩ばかりし、一度キレると手が付けられないほどだったと言われています。
メディアの取材で明かされたわけではなく、ネット上で特定されたと言われる礒野和晃の出身校は、「東神吉南小学校」「神吉中学校」と言われています。
礒野和晃は小・中学校時代に野球と剣道に打ち込んでおり、背丈は小柄ながら非常に力の強い偉丈夫だったと証言がされていたようです。
礒野和晃、中学校時代は万引きで補導される
礒野和晃は手の付けられない悪ガキだった
礒野和晃の乱暴性は常軌を逸しており、小学校時代にノコギリを振り回して暴れたことがあると言われ、中学校時代にも刃物を振り回して同級生を追いかけまわしていたと言われています。
その他、礒野和晃は中学校時代に教師に暴力を振るい、保護者会で問題児として取り上げられたことがあり、万引きでも何度か補導されたことがあるようです。
また、中学校時代に補導されたことから児童相談所などの施設に送られたという噂もありますが、これについては証言の裏が取れているわけではないようです。
礒野和晃は発達障害で反社会的人物になった?
礒野和晃は精神遅延で学校で上手くいかなった?
礒野和晃は問題行動ばかり起こすことから中学校時代に不登校になり、卒業後は夜間高校に進学しました。
しかし、夜間高校でも礒野和晃は職場の包丁を持ち出して同級生に見せつけるなどしていたと証言があり、対人関係を損ねたためか夜間学校も中退しました。
その後、礒野和晃はバイクを乗り回して遊びまわっていましたが、こうした学校での真っ当な対人関係が築けない性格から、裁判で精神遅延などの発達障害が疑われていたようです。
しかし、礒野和晃は勤務態度は至って真面目だったようで、事件前の2013年3月頃にアルバイトしていた食料品店の社長の証言では、「多少やんちゃなところがあったが、不満を言わず、無断欠勤も無かった」と評価していました。
「加古川女性殺害事件」犯人・礒野和晃の現在…懲役22年の判決で服役中
無期懲役にならなかったことに物議
大山真白さんを身勝手な理由で殺害した礒野和晃の裁判員裁判は、2017年1月16日に神戸地裁姫路支部にて初公判が開かれました。
礒野和晃側の弁護士の主張では、起訴事実を認めながらも大山真白さんを殺害したハンマーは計画的に用意したものではなく、日ごろから護身用として持ち歩いていたもので、殺害の意思は無かったと殺意を否定しました。
また、精神遅延の発達障害を主張し量刑の軽減を求めましたが、1月26日に開かれた判決公判では、検察側の懲役27年の求刑に対し、裁判長は懲役22年の実刑判決を言い渡しました。
礒野和晃側の弁護士はこの判決に控訴しなかったため、懲役22年が確定し現在も服役していますが、どこの刑務所に収監されたかは明らかにされていません。
両親はついたてで囲われた証言台で陳述。父親は「あなたは今、生き続けようと思えば生きていけるが、娘はそれがもうできない。口先だけの反省の言葉はいらない。娘を返してほしい」と声をふるわせた。
続いて母親は「被告人の言葉からは真実を知ることがまったくできなかった」と述べ、「娘にはたくさんの夢や未来があった。死刑を望みたい」と涙ながらに訴えた。
一方、礒野被告は意見陳述後の被告人質問で、「(自分のしたことを)発達障害や環境のせいにして刑を軽くしてもらうつもりは毛頭ない。申し訳ないことをしたと思っている」と供述、裁判長に向かって頭を下げた。
言い渡し後、木山裁判長は「今のあなたの年齢と同じ時間を罪の償いにあててもらうことになる。出所してもあなたには人生があるが、大山さんにはないことを忘れないでほしい」と説諭。礒野被告は、被害者参加制度を利用して検察官と並んで着席していた大山さんの両親に向かい頭を下げた。
閉廷後、大山さんの両親は弁護士を通じ、「裁判で真実が明らかになると期待していたが、かなわなかった」とのコメントを出した。
「加古川女性殺害事件」についてまとめると…
・大山真白さんは礒野和晃を借金の取り立て屋として雇うも、逆に弱みを握られ恐喝された
・礒野和晃は地元では有名な不良であり、学校では問題ばかり起こす問題児だった
・礒野和晃は現在、懲役22年の実刑判決により服役中である
礒野和晃が無期懲役にならなかったことについてはネット上でも批判の声が挙がっていましたが、責任能力はあっても精神的に短絡的で発達障害が認められたことが量刑の軽減につながったのかもしれません。