電通社員・高橋まつりさんが、2015年12月25日に自殺しました。彼女の過労死は、大手広告会社である電通のブラック企業の実態が合わせて判明し、メディアでも大きく取り上げられました。
ここでは、高橋まつりさん過労死の経緯、過労死の原因や上司のパワハラや失恋の噂、そしてブラック企業体質の象徴ともされる鬼十則についてまとめています。
電通・高橋まつりさん過労死の経緯
過労死までの経緯
電通社員・高橋まつりさんの過労死。
・2014年春に電通内定
・2015年4月に入社
・2015年10月に本採用
・2015年12月25日に電通女子寮4Fから投身自殺
・2016年9月労基署が労災認定
2016年9月、労基署は電通社員であった高橋まつりさんの自殺を労災認定しています。
電通に勤めていた高橋まつりさん=当時(24)=が昨年十二月に自殺したのは、直前に残業時間が大幅に増えたのが原因だとして、三田労働基準監督署(東京)が労災認定していたことが分かった。遺族代理人の川人博弁護士が明らかにした。認定は九月三十日付。
川人氏によると、高橋さんは東大卒業後の昨年四月、電通に入社し、インターネット広告などを担当した。本採用となった十月以降、業務が増加し、十一月上旬にはうつ病を発症したとみられる。十二月二十五日、東京都内の社宅から投身自殺した。労基署は発症前一カ月の残業時間は月約百五時間に達したと認定。二カ月前の約四十時間から倍増していた。
高橋まつりさんの経歴や性格
高橋まつりさんについて。
母子家庭で育ち、自力で東大合格。その後は、2014年に電通に内定を決め、2015年に入社しました。
高橋まつりさんは、頑張り屋さんの普通の女の子だったといいます。
当時の高橋さんを知る知人が振り返る。
「おしゃれもするし、ミスチルが好きな今どきの大学生という雰囲気。でも番組ゲストの下調べもきちんとするし、叱られてもへこたれない芯の強さがあった。裏方の仕事もきちんとできる、本当に頑張り屋さんでした」
東大時代には週刊朝日でアルバイト。
インターネット番組のアシスタントやリポーターなどを務めていたそうです。
週刊朝日の関係者は、彼女の印象を以下のように表現しています。
「相手が大物政治家だろうが、有名人だろうが、物おじしない。機転が利いて、根性もある。あの子を精神的に追い込むことのほうがよっぽど難しい」
電通・高橋まつりさん過労死の原因は上司のパワハラや失恋?
残業時間は、1月105時間以上?
出典:http://livedoor.blogimg.jp/
高橋まつりさんは、労基署より10月半ばからの1ヶ月間の残業時間が105時間と認定されていますが、その実態はもっと過酷で悪質だったとされます。
そもそも電通が残業時間を過少申告させていたこと、また実際には105時間よりも多かったのではないかということが言われています。
高橋さんの残業は、自殺する直前の昨年10月が「69・9時間」、同11月が「69・5時間」で、労働組合との取り決め上限である「70時間」のぎりぎりで記載されていた。
しかし、遺族側弁護士が、自動的に記録される入退館ゲートのデータを基に集計した残業は、月に130時間を超えることがあった。弁護士は「残業が70時間を超えると、正確に申告がなされなくなっていた。指導があったとみられる」と指摘する。
連続53時間勤務疑惑も。
連続53時間勤務を疑わせる入退館記録
オフィス以外の労働時間を含めれば、さらに多くの時間を仕事に費していたようです。
幸美さんは、残業に加えて自宅で徹夜の作業をしていたと明かした。まつりさんが、2015年10月に本採用となった後は、土日出勤、朝5時帰宅という日もあった。
亡くなった12月には部署全員に対して、残業の上限を撤廃する36協定の特別条項が出され、深夜労働が続き、忘年会の準備のためにも土日や深夜に残業していたという。
(※「幸美」さんは母親、「36協定」は労働基準法で定められた労働時間・休日を、延長・出勤させる労使協定)
電通の残業実態は?(画像は電通本社)
国が定める過労死ラインは、1ヶ月あたり時間外労働80時間です。
電通は2013年に男性社員が過労死した事件を機に、長時間労働を改めていたともいいますが……。
電通によると、この男性社員の過労死を受け、社員の勤務状況について「恒常的に長時間労働になっていた」と判断。一三年十月~一四年八月にかけ、深夜勤務する場合に上司の承認を必須とする仕組みに変更したり、深夜二十二時以降や休日の勤務の抑制を進めたりするなどの再発防止策を講じたという。
結局、電通は残業の過少申告の常態化が明るみに出て、2016年11月には家宅捜査が入りました。残業「大半の社員が過少申告」 電通を書類送検へ
ただ高橋まつりさんの就業実態には、時間外労働だけではない苦悩がありました。
上司から受けていたパワハラ内容とは
高橋まつりさんの遺族は、過労だけではなくパワハラがあったと訴えていますが、労災認定されたのは月105時間の時間外労働のみです。
遺族側は、上司から「髪がボサボサ、目が充血したまま出勤するな」「女子力がない」と言われるなどのパワハラがあったとも主張。労基署はパワハラの有無については判断していないという。
現在鍵がかかって拝見できませんが、高橋まつりさんのTwitterには、そのパワハラ内容詳細がいくつか記されていました。以下より画像で残っているものをご紹介します。
部長からの酷い言葉が並びます。
残業時間が無駄、髪ボサボサ、キャパがない……など。
役職者に対する思いが綴られます。
上司からの女子力がない発言も。
10月のTwitter内容より。
「休日返上で作った資料をボロくそに言われた もう体も心もズタズタだ」(10月13日)
また高橋まつりさんの所属部署は新人に難しい業務もあったのでは、という指摘があります。
高橋さんは1年目で自動車火災保険と証券会社のデジタル広告業務を担当し、データの分析とクライアント向けリポートの作成を任されていた。ウェブデータは膨大で分析も難しく、専門的な知識も必要。この関係者は、「1年目でそんな仕事を1人で任されたら追い込まれるに決まっている。
失恋も?
高橋まつりさんは会社のことだけではなく、失恋したことをTwitterでつぶやいていたといいます。
2015年12月には、「4ヶ月ぶりに彼氏に会える」というツイートも。
年頃の女性の自殺、恋愛に関することが引き金を引いて……という見方もできますが、高橋まつりさんの場合、すでにその過酷な就業実態は見てきた通りです。
また一部では、当初「(まつりさんの)自殺原因は失恋」という情報を、電通側が流していたのではという噂も……。
電通は裏で、高橋さんの自殺が会社の責任ではなく個人的な問題であるという情報を流布していた疑いがある。高橋さんが自殺した後、電通関係者が彼女の知人に対して「失恋が原因らしい」という情報をしきりに流していた形跡があるのだという。
TwitterなどSNSに残された高橋まつりさんの声
高橋まつりさんTwitter。
中にはやや賛否の分かれる内容もありますが…。
高橋まつりさんのTwitterまとめ。
「死」を連想させるような言葉・言回しが何度も出てきたり、12月9日の段階では「睡眠時間2時間」などと記されています。
知人へのメールにも、その危うさが伺えます。
休日出勤や深夜残業を繰り返すうち「死ぬのにちょうどいい歩道橋を探している自分に気づく」と先輩にメールするほど追い詰められていったという。
母親へ送ったメールも……。
「大好きで大切なお母さん。さようなら。ありがとう。人生も仕事もすべてがつらいです。お母さん、自分を責めないでね。最高のお母さんだから」。亡くなった朝にまつりさんが送ってきたメールを、声を詰まらせながら読み上げた。
まつりさんが長時間労働を強いられるようになったのは、昨年10月に本採用になってから。幸美さんは「土日出勤、朝5時帰宅という日もあり、『こんなにつらいと思わなかった。今週10時間しか寝ていない。会社やめたい。休職するか退職するか、自分で決めるので、お母さんは口出ししないでね』と言っていた」と振り返った。 11月には、まつりさんが25年前に電通で起きた過労自殺の記事を持ち出して「こうなりそう」といってきたことがあり、高橋さんは「死んじゃだめ、会社やめて」と返したという。
高橋まつりさんは、母親想いだったと言われます。
中学生のときに離婚した幸美さんは、女手一つで2人の子供を育てた。まつりさんは「一流企業に就職し、お母さんを楽にしてあげたい」と東大に現役合格するほどの親孝行だったという。
幸美さんは「内定をもらう前から長時間労働ではと心配していた。労災認定されても娘は2度と戻ってこない。命より大切な仕事はないのに」と訴えた。
電通のブラック企業体質の象徴?鬼十則とは
電通鬼十則。
電通4代目社長・吉田秀雄さんが作った訓。
1991年に男性社員が過労死した際に新人研修の教本から外れたそうですが、それ以降も社員手帳には載せられていました。
かつては責任三カ条・戦略十訓もあった電通。
これは現在使われていませんが、ご紹介までに。
言葉が激烈であるために、そしてその成果が華々しかったが故に、「鬼十則」はいつか神話となりました。その神話は時を同じくした高度経済成長とあいまって、単なる功利的ガンバリズムと同一視され、時に誤解され、問題視されてきたとすれば、吉田の本旨ではなかったと思います。
吉田が言いたかったのは、おそらく今の時代に最も求められている「志の高さ」だったのではないでしょうか。そして己に厳しかったからこそ、他人に対しても厳しさを要求した。社員たちは、その生き様を知っていたからこそ、吉田を信頼し、ついて行ったのです。
ネットからは、鬼十則自体について賛否両論あるようです。
出典:livedoor.blogimg.jp
9: キドクラッチ(茸)@\(^o^)/ [TR] 2016/11/03(木) 19:15:42.20 ID:i9Rt6I2f0こんなのは今更
実態を報道しろと
14: スパイダージャーマン(SB-iPhone)@\(^o^)/ [CH] 2016/11/03(木) 19:19:02.84 ID:ALdrvIS70
普通にいい言葉じゃね?
113: フロントネックロック(茸)@\(^o^)/ [US] 2016/11/03(木) 19:53:11.56 ID:qC178OCo0
>>14
自分が勝手に信条にする分にはいいんじゃないかな
押し付けたら糞だと思う
135: シューティングスタープレス(岩手県)@\(^o^)/ [US] 2016/11/03(木) 20:00:43.29 ID:c8XwAfdi0
>>113
押し付けられてるとしか思えない輩は、その程度の仕事しか出来ないと思われ
なんなら、2ch流の鬼十則を考えてみてくれや
21: ニールキック(宮城県)@\(^o^)/ [ニダ] 2016/11/03(木) 19:20:19.96 ID:F21d6YdC0
この程度のもんどこにでもあんだろ
真に受ける奴がどれだけいるのかは知らんが
22: アトミックドロップ(家)@\(^o^)/ [FR] 2016/11/03(木) 19:20:37.13 ID:SKSy2aen0
言うほどおかしな事書いてない
25: TEKKAMAKI(青森県)@\(^o^)/ [US] 2016/11/03(木) 19:21:31.06 ID:J32GbAzs0
自殺の原因は残業でも鬼十則でもなく、パワハラだろw
ブラック電通の象徴?鬼十則の掲載中止へ。
高橋まつりさんの遺族は、鬼十則を社員手帳から削除するよう求めました。
鬼十則は、電通の4代目社長の吉田秀雄氏が昭和26年に作った遺訓とされ、仕事への心構えが日本語と英語で10項目ある。他には《周囲を「引きずり回せ」》《頭は常に「全回転」、一分の隙もあってはならぬ》などの表現が並んでいる。
過労体質への企業風土を象徴するものとして、高橋さんの遺族側が削除を求めてきた。
そして2016年12月、電通は鬼十則を2017年度の社員手帳から削除することを発表。
電通は9日、従業員の行動規範とされてきた「鬼十則」について、従業員向け手帳への掲載をやめると発表した。2017年度からはすべての局での有給休暇の取得率も50%以上にする。労働環境改善策の一環。
まとめ
電通は、高橋まつりさんだけでなく、これまでにも社員が過労死しています。
電通、何度も何人も社員が過労死しても変わらず…経営陣&社員の怖すぎる「鈍感力」
電通「鬼十則」染みついた風土 25年前にも起きた若手社員の自死
鬼十訓は、そんな電通の過酷労働の象徴として捉えられることがあります。ただ、やはり最も問題なのはその社風や勤務状態です。
ある元電通社員の話では、大きな会社のため、部署ごとに色合いが違うと話しています。
――電通といえば、「取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは……」といった、社員の行動規範を示した「鬼十則」が有名ですね。
田中 鬼十則が、電通社員にとって、ひとつのバックボーンになっていることは否定できないとは思いますが、大企業なので、「新聞局は体育会系」「マーケティング局は紳士風」といったように、部署によってまったくカルチャーは異なっています。私も部署を異動したときは、大いに戸惑いました(笑)。まあ、鬼十則は、あくまで規範なので、わざわざクチにすることはありませんし、まして朝礼の席で読み上げることもありません。むしろ他の会社で、営業さんを鼓舞するために掲げられていると聞いたことがあります。
また2012年時の社員インタビューでは、新入社員の実態を語っています。
――普段も、そんな感じなんですか?
A 入社して数年間は、夜中12時前に帰った記憶はないですね。12時前に仕事が終わると、「早く終わったー」「じゃ飲みに行こう!」ってなっちゃうんです。それは、研修で朝まで飲んでいた頃の感覚が染み付いて、常識的な感覚がなくなっているんですね。なので、仕事があろうとなかろうと、結局帰宅は3〜4時になってしまいます。
もちろんこれらの話しは高橋まつりさんの状況と異なると思いますが、電通の社風・勤務時間が如何なるものなのかというのが、垣間見えますね。