2018年8月12日に大阪府警富田林署の留置場から逃走した樋田淳也ですが、9月29日に逮捕され49日間に渡る逃走劇に終止符を打ちました。
この記事では、樋田淳也の逮捕までの流れやその後現在、生い立ちと実家・家族について詳しくまとめましたのでご紹介します。
この記事の目次
樋田淳也が起こした「富田林署逃走事件」とは
樋田淳也、富田林署留置場の面会室から脱走
樋田淳也（ひだ じゅんや）
年齢：30歳（2018年8月当時）
身長：163㎝
体形：中肉中背
特徴：左腕に手術痕、左ふくらはぎに動物の刺青
窃盗や強制性交の罪で逮捕され大阪府富田林市にある富田林署の留置場に収監されていた樋田淳也は、2018年8月12日の午後9時40分頃に面会室から脱走しました。
この日の午後7時半頃から弁護士との面会を行っていた樋田淳也は、弁護士が帰った後に面会室の仕切りであるアクリル板を破壊し、10cmほどたわませた隙間から抜け出すことに成功。
逃亡は計画的だったようで、樋田淳也は弁護士が帰る際に面会が終わったことを署員に伝えないように依頼していたようです。
樋田淳也、強盗致傷や強制性交により4度の逮捕歴があった
卑劣な犯罪を繰り返していた
樋田淳也が留置場に入れられていたきっかけは、5月25日に盗難バイクを保管していいた容疑で大阪府松原市内で現行犯逮捕されたためでした。
その他にも、2013年5月～2018年5月までの間に大阪府内でひったくりを16件（被害総額約277万円相当）、その他10～20代女性への強制性交などの犯罪を繰り返していたとか。
また、前科も多いとんでもない人物で、10～20代女性が住むマンションの部屋に忍び込んで強制性交や未遂を繰り返しており、こうした強盗致傷や強制性交などにより4度も逮捕されていました。
樋田淳也はこうした犯罪によって大阪刑務所に収監されており、2018年4月末に出所したばかりの犯行で、まったく反省の色が無い凶悪犯でした。
ローソンに富田林署脱走した強姦魔が貼られてた。
— エンゾー(Masanori Enzo) (@enzo30th) August 15, 2018
ヲタクっぽいと思ったらふくらはぎに刺青入ってるんだが。
皆さまお気をつけあれ。#樋田淳也容疑者 pic.twitter.com/2V80CX1yrv
樋田淳也を完全に取り逃がした警察の失態
取り逃がした上に樋田淳也に裏をかかれた警察
20人いた署員が樋田淳也の逃亡に気づかなかった理由は、面会室のドアの開閉を知らせるブザーの電源は常態的に切られていたためでした。
また、署員が留置場にスマートフォンを持ち込んで仕事に関係無い利用をしているなど規則違反もあり、逃走に気づいたのは樋田淳也が富田林署を出た1時間半後でした。
大阪府警は翌13日から捜査本部を設置し、3千人体制で捜索をはじめましたが、捜索初期の頃は防犯カメラに映った樋田淳也の動向など、逮捕につながる可能性がある有力情報が得られていたものの、1週間ほどで情報は途絶えてしまいました。
警察は樋田淳也が土地勘を活かして地元の空き家やガレージなどに潜伏していると睨んでいましたが、樋田淳也の逃走計画は大阪から出ることであり完全に裏をかかれてしまいました。
樋田淳也は逃走翌日にひったくりで入手していた携帯電話を、大阪府富田林市内に停めてあった軽トラックの荷台に放棄し、警察の捜査をかく乱する工作をしていたことが分かっています。
こうした工作が功を奏したのかは分かりませんが、樋田淳也は警察の包囲網を抜けて大阪府を脱出することに成功しました。
樋田淳也の生い立ちと家族情報…実家は大地主で裕福な家庭だった
樋田淳也、何不自由ない裕福な家庭に生まれる
樋田淳也の実家
樋田淳也の実家は大地主で比較的裕福な家庭だと言われています。逮捕当時は母親と祖母、そして妹の4人で暮らしていたと言われています。
樋田淳也、市役所勤務の父親の死をきっかけに不良の道へ
市役所勤務だった父親は樋田淳也が高校生の頃に亡くなっており、この頃から素行が悪くなっていったと見られています。
それでも、樋田淳也は昔は実家近くの祖父母の畑で、農業機械を運転して手伝う姿もあったと近隣住民の証言がされているようで、昔から手の付けられない悪童というわけではなかったようです。
報道された周辺住民の証言によれば、樋田淳也は不良のような印象でガラが悪く、仲間とともに改造バイクを爆音を立てて乗り回すなど暴走族のような行為を繰り返していました。
また、自宅の庭でドラム缶に何かを入れて燃やしている姿も目撃されており、火の勢いが激しく危険を感じた周辺住民が警察に通報する騒ぎになったこともあったようです。
反社会的な行為を繰り返して近所では迷惑で関わりたくない人物だと思われていた樋田淳也ですが、一方でボーイスカウトをするなど社会的な活動をしていた側面もあり、”根っからのワル”というわけではなかったようです。
樋田淳也の49日に及ぶ逃走劇…日本縦断中のサイクリストに扮して逃亡
樋田淳也、自転車で日本一周を目指す旅行者に完全になりきっていた
樋田淳也は色黒になりバリカンで坊主にしていた
樋田淳也はひったくりなどで逃走資金を得ているとみられていましたが、逃走から1週間後の8月19日には兵庫県神戸市にあるアウトレットモールにサイクリストに扮した樋田淳也が確認されてました。
樋田淳也は自身の特徴である足首のうさぎの刺青を隠し、坊主頭にして日焼けし別人のようになっていました。
樋田淳也は大阪府警から逃げおおせて、周囲にバレていないことに気が大きくなったのか、12日後には松山市にある愛媛県庁を訪れ、自転車町おこしの担当部署から「日本一周中」というプレートを貰っており、自筆で「お助けお願いします」と書き加えていました。
その後、樋田淳也は香川や高知、広島、山口などを窃盗したサイクリスト用自転車で逃走を続け、道中では民家に泊めて貰ったり、食事の提供などを受けていました。
中国、四国地方ではサイクリストに対して暖かくもてなす風習があるため、樋田淳也は人の善意を利用して逃走を続けていました。
樋田淳也のせいでサイクリストに向けられた嫌疑の目
樋田淳也のせいでサイクリストは”怪しい”と思われるように…
樋田淳也がサイクリストに成りすまして逃走を続けていたことから、凶悪犯が成りすましやすい恰好だというイメージが定着し、サイクリスト全体に嫌疑の目を向けられるようになりました。
とあるサイクリストは、樋田淳也の事件後に見知らぬ人から心無い言葉を投げかけられたことを明かしています。
「お前も樋田の仲間なのか」
秋田県から日本一周を目指し、自転車で山口県下関市を訪れていた男性（２１）は樋田容疑者の逮捕後、立ち寄った道の駅で出会った人にこんな言葉を投げかけられた。
これまで関東から近畿、四国と回り、地元の人たちと気さくに交流してきた。だが、これからは道の駅でテントを張るのを断られるかもしれないと不安だといい、「不審者のように思われ、地元の人に距離を置かれると寂しい」と漏らす。
なお、このサイクリストのイメージダウンは、樋田淳也と行動を共にしていた東浩司さんが逮捕されたことも大きく影響していたようです。
樋田淳也と行動を共にしたサイクリスト・東浩司さん
東浩司さんも占有離脱物横領容疑で逮捕
樋田淳也が逮捕される直前まで行動を共にしていたサイクリストの東浩司さん（当時44歳）は、占有離脱物横領容疑で山口県警に逮捕されました。
その後釈放されて山口市内での取材に応じた東浩司さんですが、報道で”住所不定・無職”と報じられたことから樋田淳也と合わせてサイクリストのイメージを大きく損ないました。
東浩司さんは樋田淳也について以下のように取材でコメントしていました。
「（逮捕後に）樋田容疑者と知ってびっくりした」
「人懐っこく子供っぽい部分があり、よくしゃべるのでうっとうしかった」
（樋田淳也が）「仕事を辞めて日本一周をしようと思い、和歌山から出てきた」と話し、同行を申し出た
「当初は金遣いが荒い印象だった」
「旅には不向きなものも多かった」
「当初は金遣いが荒かった」という言葉からは、樋田淳也はひったくりでまとまったお金を得ていたことから節約をしていなかったのでしょう。
樋田淳也はお金が無くなれば人に助けてもらうか、万引きをすればいいという程度に考えていたのかもしれません。
樋田淳也の逮捕劇…道の駅での万引きがきっかけで事件が発覚していた
樋田淳也が逃走から49日後に逮捕
大胆な行動が裏目に出て逮捕される
逃走から49日後の9月29日に、樋田淳也は山口県周南市の道の駅で身柄を抑えられ、加重逃走容疑で再逮捕されました。
逮捕のきっかけは山口県周南市の道の駅「ソレーネ周南」で、私服の女性警備員が樋田淳也が会計をせずに商品を服の中や手に持って店の外に出ようとしていたので、呼び止められたことでした。
樋田容疑者は「財布を取りにきただけだ」と言ったが、事務所に連れて行った。事務所で「いすに座って」と言ったが、「何でなんだ」と抵抗する様子を見せたという。警察を呼ぼうとすると、「何で警察を呼ぶんだ」と事務所から出ようとするそぶりを見せたので、取り押さえたという。日焼けをしており、目が充血していたという。
この万引きがきっかけで樋田淳也の事件が発覚、49日に及ぶ逃走劇は幕を閉じました。
樋田淳也は逃走中に自殺も考えていた
刑務所から出所してすぐに犯罪に手を染めるなど、樋田淳也は生粋の犯罪者気質だと伺えますが、それはまともな生き方を完全に放棄しているということであり、樋田淳也はそうした人生に絶望していたのか逃走中に自殺をすることも考えていたようです。
逃亡中の8月14日、兵庫県尼崎市内で樋田はA氏に宛ててメモを残していたのだ。内容は以下だ。
「もし今後も俺に関わりたいと思ってくれているんやったら、携帯の番号を書いて、（男性の）自転車に置いておいてほしい。いま、俺はこのまま死ぬか逃げ続けるか迷っています。敵にはこの手紙は見せないでください」
A氏とは樋田淳也の悪友のことですが、逃走してもいつかは捕まることは自覚していて、捕まって懲役十数年ないしは無期懲役の服役をするくらいなら死んだ方がマシだと思っていたのでしょう。
樋田淳也の話題に便乗した事件も発生
樋田淳也の元彼女を装った男が逮捕
樋田淳也が逃走中に元交際相手の女性を装い「私の自宅にいる」というメールを大阪府警に送ったとして、軽犯罪法違反の疑いで埼玉県東松山市の男（当時35歳）が逮捕されました。
書類送検容疑は９月、府警に「逃走中の樋田淳也の元彼女です。（彼が）今、私の自宅にいます」などと虚偽のメールを送ったとしている。
埼玉県警の捜査員がメールに記載されていた住所に向かうと別人が住んでいた。メールの発信情報などから男が浮上。男と樋田被告に面識はないとみられる。
男が大阪府警に対して私怨があったのかは不明ですが、捜査かく乱のおもしろ半分でやった可能性が大きいようです。
樋田淳也のその後と現在…懲役17年の判決
2019年2月25日に大阪府警は、樋田淳也が犯してきた犯罪・計43件を立件し、一連の捜査を終えたことを発表しました。
なお、この43件のうち37件がひったくりや万引きなどの窃盗事件であり、強制性交罪や強盗致傷罪などを含む21件について起訴し、11件が不起訴処分となりました。
樋田淳也は重罪である強制性交や強盗致傷、放火などを複数犯していることと、出所後すぐに再犯をしたことや逃走したことから更生の余地はないと判断されるため、最高で無期懲役になる可能性があったようです。
「日本一周中！」逃走で大騒ぎの樋田淳也容疑者、懲役は20年以上か？https://t.co/vayQE7atq8
— kayo (@kayo500) October 13, 2018
本来であれば、裁判官と一般人が出す量刑は同じでなくてはいけませんが、とりわけ性犯罪に関して一般人は厳罰で臨む傾向が強く、有期刑の上限（30年）に近い判決が下されることも考えられるでしょう
その後、2020年7月3日、樋田淳也に懲役17年判決「不合理な弁解に終始し反省しているとは到底言えない」が下されました。
樋田淳也は判決を不服として、2020年7月10日に控訴しています。その後、第二審でも懲役17年判決となりました。
樋田淳也はさらに上告するも最高裁が上告棄却、懲役17年で確定となっています。
大阪府警富田林署から逃走した罪などに問われている樋田淳也被告（３４）について、最高裁判所は上告を退ける決定をし、懲役１７年の判決が確定することになりました。
樋田淳也についてまとめると…
・樋田淳也は、道の駅「ソレーネ周南」での万引きがきっかけで逮捕された
・樋田淳也はひったくりや万引き、強盗致傷や強制性交されるなどの犯罪を重ねた凶悪犯である
・樋田淳也は余罪が多く、無期懲役になる可能性もあったが、懲役17年の判決が下された。
樋田淳也はサイクリストに扮して僅かな期間でもまともな社会との交流を持てたことで、このまま生きていきたいという願望を抱いていたかもしれませんね。
