2007年11月28日に香川県坂出市にて、三浦啓子さんと孫の山下茜ちゃん、彩菜ちゃん姉妹の遺体が発見さる事件が発生し、殺害・死体遺棄容疑で三浦さんの義弟・川崎政則が逮捕されました。
この記事では、「香川・坂出3人殺害事件」についての犯人や詳細、「画伯」と言われた山下清さんの冤罪騒動、その後現在までの情報について詳しくまとめましたのでご紹介します。
この記事の目次
「香川・坂出3人殺害事件」の詳細
2007年11月16日未明、三浦啓子さんと孫娘2人が殺害される
3人が無残に殺害された凶悪事件
「香川・坂出3人殺害事件」が発生したのは2007年11月16日未明で、香川県坂出市の三浦啓子さん(当時58歳)と孫の山下茜ちゃん(当時5歳)、彩菜ちゃん(当時3歳)姉妹が、三浦啓子さんの義弟(川崎政則の妻で、三浦啓子さんの妹・雅子さんは事件当時既に故人)である川崎政則に殺害・遺体を遺棄された事件です。
山下茜ちゃん・彩菜ちゃん姉妹は事件前日の15日18時頃に三浦啓子さんの家に泊まりに行っていましたが、翌16日朝に母親が迎えに行ったところ3人が行方不明になっていました。
姉妹の父親・山下清さんによれば、三浦啓子さん自宅の玄関や寝室、浴室には夥しい血痕が残されており、寝室のカーペットはL時に切り取られて、血液がカーペットの下の畳まで染み込んでいました。
香川県警捜査本部は、三浦啓子さんの自宅室内が荒らされた形跡が無く、財布など金品類も残されていたこと、犯行時刻に3人の悲鳴や争う物音などを聞いた人がいなかったことから、顔見知りによる犯行とみて捜査を進めました。
三浦啓子さんが生前に金銭トラブルを抱えていた川崎政則が有力な犯人として浮上し、車両検証などから断定しました。
任意の事情聴取をされた川崎政則は同月27日までに犯行を認める自供をしたため、同日付けで逮捕し、その後の供述を元に遺体を捜索したところ3人の遺体が発見されました。
川崎政則の死刑判決について2012年7月12日に最高裁判所が上告を棄却したため死刑が確定し、2014年6月26日に大阪拘置所にて死刑が執行されました。
川崎政則の死刑執行は、確定から1年11ヶ月と比較的早い執行でした。
「香川・坂出3人殺害事件」父親・山下清さんの冤罪騒動~“画伯”のあだ名で日本中が犯人扱い
娘2人を殺害された父親・山下清さんが犯人扱いされる
風貌と癖のある話し方から犯人と疑われた父親
三浦啓子さん、山下茜ちゃん・彩菜ちゃん姉妹の3人が行方不明になってから、姉妹の父親である山下清さんはマスコミのインタビューに応じるために何度もテレビ出演をしていました。
山下清さんは全国に周知して3人を発見するための捜査の協力になればと思いインタビューを受けていましたが、スキンヘッドで独特な話し方をする風貌から、視聴者はネット上で「父親が怪しい」「父親が犯人で間違いない」と書き立てました。
2007年12月7日号の週刊誌「週刊朝日」では、視聴者に冤罪を着せられた山下清さんのインタビュー記事が掲載され、以下のようにコメントしていました。
「友達からは『テレビがオマエを犯人みたいに報道しておるぞ』と言われた(中略)自分でテレビを見ても『犯人扱い』されとんのは感じるから。オレを知っとる人はわかってくれとうけど、他人なら『犯人ちゃうんか』と感じるような報道やと思う」
ネットでも山下さんの実名を挙げて犯人と名指しする書き込みが横行。タレントの星野奈津子さん(20)も07年11月19日付けでブログに書き、事務所から1年の芸能活動休止処分を受けてしまった。
不適切なコメントを発信したとして所属事務所から1年間の謹慎処分を受けたタレントの星野奈津子さんは、自身のブログに「あれは絶対父親の仕業だよ!」「父親がいい!あんだけテレビで証言してるけど、実は犯人でしたって捕まるのが見たい!」と綴っていました。
こうした論調に代表されるように、山下清さんは真犯人である川崎政則が逮捕されるまで、ネット上で散々「犯人は父親」とネガティブキャンペーンをされ続けていました。
父親・山下清さんのネット上のあだ名は「画伯」
画家・山下清と同姓同名で風貌も似ていたため「画伯」と呼ばれた
本物の山下清の画像
山下清さんは昭和の画家・山下清と同姓同名であることに加えて、ずんぐりした風貌が似ていたため、ネット上で「画伯」と呼ばれて犯人扱いされていました。
以下は巨大掲示板「2ch(現・5ch)」に書き込まれた、山下清さんを「画伯」と呼び盛り上がっている一部の抜粋となります。
2007/11/25(日) 22:46:59 ID:22H6iMXk
もう犯人画伯できまりだな。
2007/11/25(日) 23:17:08 ID:MtZxTpAq
>>131
俺は画伯犯人説だけど 野郎の粗暴そうで湯沸かし器の性格なら 支離滅裂にやりそうだね
2007/11/25(日) 23:17:52 ID:MfnxR5i8
>>133
犯人は画伯なんだが、香川県警がいまだに逮捕しないから
様々な説が出てくるんだよ
2007/11/25(日) 23:22:00 ID:MfnxR5i8
これだけ捜査しても怪しい人物がいまだに画伯しか浮上しない。
香川県警は何で画伯をこんなに守っているんだろ
画伯を心から愛しているとでも言うのか
引用:2ちゃんねるブックマーク
山下清さんを犯人だと信じて疑わないネットユーザーは、連日テレビに出演しているのに一向に逮捕される様子が無いことに疑心暗鬼になっていたようです。
しかし、山下清さんが怒りの声を挙げたのは、こうしたネットユーザーよりも、全国区の放送で自身を犯人扱いした報道番組『朝ズバッ!(TBS系)』の司会者・みのもんたさんでした。
山下清さんをみのもんたが犯人だと印象操作
みのもんたが山下清さんを犯人だと印象操作した
3人が行方不明の間、連日「香川・坂出3人殺害事件」について各報道番組で取り上げられていましたが、『朝ズバッ!』の司会であるみのもんたさんが山下清さんを犯人であるかのように印象操作をしたため、週刊誌「週刊朝日」のインタビューで怒りの声を挙げていました。
先の「週刊朝日」によると、山下さん夫妻が事件に気づいて警察に捜索願を提出する際、事前に電話で通報することなく、いきなり警察署に出向いたことについて、07年11月19日の放送で、みのさんは「不思議です」と発言。山下さんは同誌に、 「みのもんたさんに聞きたかった。オレが殺したんかと」 と話している。
みのもんたさんはその後山下清さんの冤罪騒動が晴れても謝罪のコメントひとつもなく、ネット上を炎上させていました。
山下清さん、みのもんたに謝罪を要求
山下清さんはみのもんたに謝罪を要求していた
山下清さんはみのもんたさんをはじめとしたマスコミに、大切な愛娘である山下茜ちゃん・彩菜ちゃん姉妹を殺害した犯人に仕立て上げられ、これ以上ない屈辱に謝罪を要求していました。
「テレビ的には、親が殺した、言うた方が受けるかもわかりません。そやけど、ほんまに、目に入れても痛うない子供。宝物の子供。自分の手で殺すとかそういうことを、考えることすらしたくない。(犯人が)僕じゃないと分ったとき、大々的にやってきたテレビが、謝ってくれるんですかね」
語り口からすると山下清さんは怒りを通り越してマスコミに対しての失望感の方がはるかに上回っていたようです。
川崎政則が逮捕されて3人の遺体が発見された2007年11月28日に、山下清さんは記者会見を開いて「ばぁちゃんと子供たち、やっぱりだめでしたけど、帰って来ました。ほんま、報道の皆さんありがとうございます」と憔悴しきった様子ながら感謝を伝えました。
山下清さん、冤罪騒動は「一生の傷」と話す
事件報道を見ることがトラウマになった山下清さん
マスコミにこぞって犯人のような扱いを受けていた山下清さんは、事件以降はニュースで事件の報道を見ることができなくなり、一生の傷を抱えたことをインタビューで明かしていました。
「違うと言っても、話したことがどんどん怪しいように受け取られ、家族全員が白い目で見られた。真犯人が出てきても、こちらの傷は一生消えない。実はあれ以来、テレビで事件報道は見ないようにしている」
山下清さんは関西弁のならず者といった印象だったことがこうした冤罪を生んでしまいましたが、こうした見た目の印象だけで犯人だと決め付ける風潮は現在までにまったく変わっていないようです。
「香川・坂出3人殺害事件」逮捕された犯人・川崎政則の人物像と犯行動機
犯人・川崎政則は三浦啓子さんの妹の旦那
犯人・川崎政則
散々山下清さんが犯人だと騒ぎ立てる風潮の中、ようやく逮捕された犯人は殺害された三浦啓子さんの妹・雅子さんの旦那・川崎政則でした。
犯人の川崎政則の風貌は対照的に”普通”であり、影の薄そうな印象から視聴者に衝撃を与えました。
確かに、山下清さんと川崎政則の写真を並べてみると、事実を知らない人が見れば山下清さんが犯人だと思うでしょう。
犯人・川崎政則の殺害動機は三浦啓子さんとの金銭トラブル
退職金で借金返済
殺害された三浦啓子さんは、妹で川崎政則の妻だった雅子さんから多額の借金をしていました。
三浦啓子・川崎政則の義理の兄弟の間で起こっていた金銭トラブルだ。三浦啓子が妹から金銭を借りて返さなかったこと、妹が癌で死ぬ間際にまで、病院に押しかけてまで借金をさせて、その金銭を三浦啓子が消費していたことや、川崎容疑者が妻の死後に、妻が姉に多額の借金の連帯保証人にされ、また、妻が姉に命じられて多額の借金をしていたことを知った事実などがあるだろう。それらの借金を返すために川崎容疑者が勤めていた会社を退職し退職金を借金の返済に充てた事実などもあるだろう。
川崎政則は妻・雅子さんにお金を無心していた三浦啓子さんを恨んでいたようです。
犯人・川崎政則は三浦啓子さんを口説いていた?
三浦啓子さんを金銭トラブルが原因で恨んでいたとされる川崎政則ですが、一方で三浦啓子さんを口説いていたという情報もあるようです。
「病院で啓子ばあちゃん(三浦啓子さん)を口説いていた。そうっすよ。はっきり言って(妻の)枕元で口説いてましたからね。『俺と一緒になったら、じいちゃん・ばあちゃんが喜ぶわ』と。執拗に口説いてたみたいですね。何べんも何べんも口説いてたみたいですよ。(三浦啓子さんが)帰ってくるたんびに言ってましたもん、『もうあんな気色悪いおっさんどうにかならんなー』言うて」
しかも、三浦啓子さんを口説いていた理由は、妻・雅子さんの死期が迫っていたため、祖父母の遺産を受け取るためだったと山下清さんは明かしています。
「財産を狙ってたんですよ。啓子ばあちゃんと一緒になったら、もう受け取る人間いないじゃないですか」 と推測している。
川崎容疑者の妻と三浦啓子さんの両親の「遺産相続」を狙って、病気だった妻に代わって、三浦さんと結婚することを目論んだ、ということのようだ。
その他に、山下清さんはインタビューで、「トラブルがあるのならば妻(雅子さん)が自分(啓子さん)に言ってたはずで、ばあさん(啓子さん)は必死に働いていた」とも証言。
金銭トラブルを山下清さんは完全否定していますが、三浦啓子さんの離婚した元旦那が経営するうどん店がうまくいかず負債を抱え、妹・雅子さんが連帯保証人になったことは事実のようです。
「香川・坂出3人殺害事件」その後・現在~川崎政則に死刑執行
死刑確定から執行が早かった川崎政則
2014年6月26日に川崎政則(当時68歳)の死刑を大阪拘置所で執行したと法務省が発表しました。
これで「香川・坂出3人殺害事件」は完全に収束しましたが、愛娘2人と義姉を失った山下清さんの心の傷は一生癒えることはないでしょう。
「香川・坂出3人殺害事件」についてまとめると…
・山下清さんは同姓同名の画家・山下清に風貌もそっくりなことから、ネット上で「画伯」と呼ばれていた
・犯人・川崎政則の犯行動機は三浦啓子さんとの金銭トラブルといわれてる
・犯人・川崎政則は2014年6月26日に死刑が執行され、68歳で死亡した
「香川・坂出3人殺害事件」についてご紹介してきました。ぶっきらぼうで無骨な印象を与えた山下清さんは犯人として疑われてしまいましたが、憔悴した様子と不器用な受け答えがよりその印象を深めていました。
しかし、この事件が印象からの冤罪に繋げる風潮を戒める教訓となることは無かったようです。