無料で数千種類の漫画が読めた海賊版サイト「フリーブックス(Free Books)」が閉鎖されましたが、その後も「漫画村」が移転先だと言われていました。
この記事では、「フリーブックス」の閉鎖理由や移転先、代わりとなるサイトについて詳しくまとめました。
この記事の目次
フリーブックス(Free Books)とは
フリーブックスは元々同人サイトだった
著作権侵害申請フォームもあった同人サイト
元々「フリーブックス」は、商業ベースの一般漫画ではなく、2次創作としての同人誌やオリジナル漫画などを投稿できるサイトでした。
「自分が制作した漫画を他人と共有できる」趣味の場であり、無断で他人の同人誌をアップロードしないように著作権侵害申請フォームも備えており、健全なサイトとして運営されていました。
サイトのインターフェースもしっかりしており、会員登録画面やアップロード機能など、企業が運営しているようなクオリティのサイトで、違法性を感じさせる印象はありませんでした。
しかし、ある時期から次々と一般漫画を違法にアップロードするユーザーが増え、「フリーブックス」運営側もそれを放置していたため、瞬く間に海賊版サイトとなってしまいました。
フリーブックスの閉鎖理由~投稿者9人が逮捕される
フリーブックス、2017年5月3日に突然閉鎖
運営開始1ヶ月で100億円の被害を出す
「フリーブックス」は2016年に立ち上がりましたが、アクセス解析ツールを提供しているシミラーウェブによれば、2017年3月~4月中旬までのアクセス数は1750万件に上っていました。
出版社の調べによると、1ユーザーあたりが無料で1冊の漫画(440円)を読んだと換算すれば、約100億円に相当する被害が出たことになると発表しました。
「フリーブックス」は再三の出版社らの削除要請にも応えず放置を続けましたが、出版社らが運営者や違法アップロードユーザーらに損害賠償を求める法的措置を取ろうとした矢先となる2017年5月3日に突然閉鎖しました。
この「フリーブックス」の一件は、日本政府が知的財産推進計画として進める著作権法改正の審議会において一例として挙げられたようです。
フリーブックスは海賊版とは思えぬクオリティの高さだった
海賊版サイトのほとんどが素人によるクオリティの低いデザインが多く、公序良俗に反する18禁の広告が多く掲載されていて”アンダーグラウンド感”が強くあります。
しかし、「フリーブックス」はプロのデザイナーによる仕事で、卑猥な広告どころか広告自体が掲載されていないため、違法性を全く感じさせない装いになっていました。
「海賊版という違法性の認識が薄れてしまうほど、サイトのレイアウトが整っていた」。大手出版社で海賊版取り締まりの強化に取り組んできた担当者はこう打ち明ける。他の海賊版サイトでは、頻繁にわいせつな広告が表示されたり、特別なソフトウエアを使って本をダウンロードする必要があったりするなど、利用へのハードルが高かった。
「フリーブックス」はダウンロード不要のためウイルスに感染する危険もなく手軽なため、中高生が授業中に隠れてスマートフォンで漫画を読んでいたようです。
フリーブックスは大手出版社からの削除要請に応じなかった
大手出版社が「フリーブックス」の存在に初めて気づいたのは2017年1月中旬で、サイトの問い合わせフォームから違法にアップロードされた漫画の削除を要請しました。
「フリーブックス」運営側は最初は応じていたものの、直後に再びアップロードがされるようになり、大手出版社はいたちごっこに追われるようになりましたが、2月下旬頃には一切削除に応じなくなりました。
これを受けて、小学館、集英社、講談社、KADOKAWA、新潮社、文芸春秋ら6社は3月下旬に「フリーブックス」に対応するための会合を開き、調査をした結果違法にアップロードされた漫画ファイルはブルガリア、ウクライナ、オランダの3カ国にサーバーがあることが分かったそうです。
フリーブックス、アップロード者のみ9人が逮捕
出典:https://twitter.com/
原告団のひとりである漫画家の海野蛍さんによれば、「フリーブックス」の違法性が確認されてから約1年で逮捕、および裁判での賠償金獲得ができたようで、正規にダウンロード販売された場合の印税額よりも多い賠償金の分配がもらえたそうです。
逮捕されたのは「フリーブックス」む違法アップロード者9人のみで、運営者は逮捕されませんでした。
あ、出版社が本格的に違法アップロードサイトを取り締まったらしい。損害賠償からの分配金もあるらしい。問題なのはその会社からの正規のダウンロード印税よりその分配金の方が高額だったということ(・ω・) pic.twitter.com/H2yAMzC3mH
— 海野螢 (@unnohotaru) November 21, 2017
フリーブックスの移転先~後継サイト「漫画村」も2018年4月16日に閉鎖
フリーブックス運営者は“非モテ日本代表”を自称する星野ロミ
非モテ日本代表を自称する星野ロミ
星野ロミは「フリーブックス」閉鎖後、後継サイトとして「漫画村」を立ち上げました。
星野ロミは会社はベトナムにあると主張して、著作権者や出版社からの削除要請には応えませんでしたが、実際にはアメリカで「rootan」という会社を立ち上げており、日本の東京を拠点に活動していることが分かりました。
ただ、違法ファイルのアップロード先となるサーバーは前述のようにウクライナやフランスにあることから中々検挙が難しかったようです。
しかし、カリフォルニア州弁護士の資格を持つ国際弁護士の山口貴士さんが主導し、インターネットユーザー協会幹事の中川譲さんらと協力して、「漫画村」運営者の情報を調査しはじめました。
民事訴訟により星野ロミが「漫画村」の運営者と判明
「漫画村」の会社がアメリカにあるということで、山口貴士さんはロサンゼルスにあるロバート・W.・コーエン法律事務所に協力を要請し、「漫画村」運営会社が契約しているであろうレンタルサーバ会社・クラウドフレア本社のあるアメリカで民事訴訟を起こしました。
これにより、サーバーを管理しているクラウドフレア社と、課金仲介をしているPayPal子会社は情報開示に応じ、「漫画村」運営者の氏名、年齢、住所、メールアドレス、携帯電話、IPアドレスなど一連の個人情報の取得に成功しました。
「漫画村」運営者として分かった星野ロミは、2017年5月にクラウドフレア社と契約していたことがわかり、他にも違法成人向けサイトや、違法漫画サイト「Free Books」「YouBook(ユーブック)」を運営していたことが新たに判明しました。
フリーブックスの移転先「漫画村」も政府の要請で閉鎖
星野ロミが「フリーブックス」閉鎖後に立ち上げた後継サイト「漫画村」は、日本政府が海賊版サイトの代表例として挙げて対策を講じたため、2018年4月16日に閉鎖しました。
フリーブックスの”移転先教える詐欺”が横行していた
「フリーブックス」を利用していたユーザーにとっては無料で漫画が読めないことはショッキングな出来事であり、移転先や代わりのサイトを知りたいという欲求を利用した詐欺がTwitterなどで横行していました。
フリーブックスの移転先となるサイトおしえます。
— フリーブックス移転先教えます (@freeboooks) June 9, 2017
ただし広まって閉鎖が怖いので、
DMを送って下さった方だけに教えます。#フリーブックス!#フリーブックス移転先 #freebooks#DM#無料
こうした詐欺師はTwitterでDM(ダイレクトメール)を要求し、「フリーブックス」の移転先を教える代わりに「iTunesカードをくれたら教えます」や「1500円で教えます」と持ちかけていたようです。
フリーブックスと漫画村の運営者・星野ロミがフィリピンで逮捕
運営者・星野ロミが逃亡先のフィリピンで逮捕される【2019年7月9日】
フィリピンで逮捕された星野ロミ
2018年4月の漫画村閉鎖以降、行方不明となっていた星野ロミが逃亡先でついに逮捕されました。
フィリピンの入国管理局は9日、違法コピーした漫画を無料で読める海賊版サイト「漫画村」を運営していたとされる星野ロミ容疑者(27)を、7日にマニラの国際空港で拘束したことを明らかにした。著作権法違反の疑いがあるとして、日本大使館を通じてフィリピン当局に捜査協力の要請が出ていた。今後、日本に送還される見通し。
2019年1月17日にこれら海賊版サイトに誘導するリーチサイトを運営していた「はるか夢の址」の代表らが逮捕されて、主犯格に懲役3年6ヶ月の実刑が下っていることから、星野ロミはさらに重い刑罰が下されるかもしれません。
フリーブックスの代わりのサイト5選~有料漫画読み放題サイトを推奨
フリーブックスの代わりのサイト① U-NEXT
漫画のラインナップは約16万冊
U-NEXTは日本最大級の動画配信サービスでありながら漫画も約16万冊読み放題です。配信されている動画はなんと日本最大級の110,000本以上もあり、かなりおススメです。
フリーブックスの代わりのサイト② FODプレミアム
漫画のラインナップは約15万冊以上
フジテレビが運営する動画配信サイト・FODプレミアムは、動画だけではなく漫画も雑誌も読むことが可能です。
すべての漫画が読み放題ではありませんが、豊富な作品ラインナップと毎月1300ポイントも還元されるため、漫画好きには外せないサービスとなっています。
フリーブックスの代わりのサイト③ コミックシーモア
電子書籍は約58万冊以上
コミックシーモアはNTTグループが運営する漫画サイトで、月間利用者数は2100万人以上と漫画好きに大人気のサイトです。購読できる漫画や小説などの電子書籍は58万冊以上と群を抜くラインナップです。
フリーブックスの代わりのサイト④ ブック放題
漫画のラインナップは約2万冊以上
漫画のラインナップは他社に比べれると少ないですが、ワンコインで雑誌も読み放題でコスパが高いと評判です。
フリーブックスの代わりのサイト⑤ スキマ
無料会員でも3万2千冊以上読み放題
知名度は低いですが無料で読める漫画も多いサイトとして人気急上昇なのがスキマです。会員登録してもワンコインとかなりコスパのいいサービスです。
フリーブックス(Free Books)について総まとめすると…
・フリーブックスと漫画村の運営者である星野ロミは逃亡先のフィリピンで2019年7月9日に逮捕された
・フリーブックスの代わりのサイトとして、豊富なラインナップでコスパのいい合法サイトは多数存在する
違法にアップロードされた漫画を読み放題だった「フリーブックス」の閉鎖理由と代わりのサイトについて総まとめしてきました。
海賊版サイトが問題視される以前は、個人間でファイルを交換できる”torrent(トレント)”がありましたが、同様に大手サイトは軒並み閉鎖に追い込まれているようです。