埼玉愛犬家連続殺人事件

埼玉愛犬家連続殺人事件の犯人・関根元の生い立ち!風間博子の死刑執行も総まとめ

1993年に埼玉県熊谷市周辺で発生した「埼玉愛犬家連続殺人事件」は、主犯格の関根元の猟奇性が際立った日本犯罪史上でも稀にみる凶悪事件でした。

 

この記事では、同事件の詳細や犯人・関根元やその妻・風間博子の生い立ちや経歴、死刑執行が待たれる現在までの情報について詳しくまとめましたのでご紹介します。

「埼玉愛犬家連続殺人事件」とは

犠牲者30人ともいわれる“遺体なき”猟奇的殺人事件

 

犯罪史上稀にみる猟奇殺人を犯した夫婦

 

「埼玉愛犬家連続殺人事件」を起こした元夫婦、関根元と風間博子は埼玉県熊谷市内にて「アフリカケンネル」というペットショップを経営していました。

 

2人はアラスカン・マラミュートのブリーダーとして業界では有名人であり、ハスキーブームの火付け役にもなった社会的影響力を持った人物でした。

 

ブリーダーとして天才的な才能を持っていた関根元でしたが、バブル崩壊の煽りを受けて急激な売り上げ減少と、新しく豪奢な犬舎兼自宅を建設していた関係で莫大な借金だけが残り、経営は破綻しかけていました。

 

その借金返済のために詐欺を繰り返して大金を稼ぎ、被害者との金銭トラブルを解消するために関根元は顧客を騙して4人を毒殺し、遺体はバラバラにして遺棄されました。

 

関根元の”ボディを透明にする”という徹底した遺棄方法により「遺体なき殺人」と呼ばれました。

 

同時期に発生した「地下鉄サリン事件」「阪神・淡路大震災」により同事件の報道は収束したため世間的な知名度は低いですが、被害者30人に及ぶ可能性がある日本犯罪史上でも類を見ない猟奇連続殺人事件でした。

 

 

「埼玉愛犬家連続殺人事件」犯人・関根元と風間博子の生い立ち

主犯格・関根元の生い立ち

 

人を殺すことに躊躇が無い生粋のサイコパス

 

関根元は1942年1月に埼玉県秩父市で生まれました。

 

関根元は元々秩父市内でペットショップ「アフリカケンネル」を創業し、動物の販売やリース業を営んでいました。

 

関根元は犬はもちろん、ライオンなどの猛獣の扱いについては天才的なブリーダーで、業界で数々の功績を挙げてシベリアン・ハスキーブームの仕掛け役や、アラスカン・マラミュートの第一人者とまで言われた業界のカリスマ的な有名人でした。

 

しかし、一方で関根元は人心掌握術に長けた話術を操るサイコパスでもあり、ヤクザにすら臆せず詐欺を働いたことから小指を詰められています。

 

関根元は殺人を何よりの喜びとしており、殺人哲学として以下の5つを掲げていました。

  1.  

    • 世の中のためにならない奴を殺す
    • すぐに足がつくため、保険金目的では殺さない
    • 欲張りな奴を殺す
    • 血は流さないことが重要
    • 死体(ボディ)を透明にすることが一番大事

    引用:Wikipedia – 埼玉愛犬家連続殺人事件

     

「世の中のためにならない」とは正義に基づくものではなく関根元にとって「都合の悪い人間」という話ですが、詳しくは後述するものの関根元は初対面の人さえもゲーム感覚で殺害しようとしていました。

 

 

共犯者・風間博子の生い立ち

サイコパスの妻らしいソシオパスの風間博子

 

関根元はその話術と業界の第一人者になるほどの天才的な才能からサイコパスだと言われていますが、その妻となった風間博子は元々普通の人間であり、後天的にサイコパス的な資質を身につけたソシオパスだと言えるかもしれません。

 

1957年2月に熊谷市に生まれた風間博子はお嬢様育ちだと言われていますが、土地家屋調査士の父親を手伝って測量の勉強をしていたこともありました。

 

子供が大好きだったことから保育士をしており、若くして前旦那と結婚して2児をもうけましたが離婚、大の犬好きであった縁で関根元と知り合って再婚しました。

 

寡黙ながら非常に気性の荒い女性だと言われており、関根元の前妻らが刺青を彫らされたということを知ると、背中に自ら龍の刺青を入れるなど普通ではない感覚を持ち合わせていました。

 

関根元に習ってブリーダーとしても一流になっていった風間博子は、浪費癖のある関根元とは違い金銭管理に長けていたことから「アフリカケンネル」の社長に就任しました。

 

ちなみに関根元と風間博子は偽装離婚しているため、名字が違います。

 

 

「埼玉愛犬家連続殺人事件」犯人・関根元の詐欺手口と犯罪手口

関根元、莫大な借金のために犯罪に手を染める

 

バブル崩壊で莫大な借金を抱えた関根元は犯罪に手を染め始めた

 

関根元と風間博子は1980年代後半のペットブームに便乗して、高級犬の投機で成功を収めて財産を築いていました。

 

しかし、バブルが崩壊すると犬の繁殖場兼自宅として建設していた犬舎の設備費や維持費が嵩み、1憶4000万円の借金を抱えることになりました。

 

経営が破綻しかけたため関根元らは詐欺的手法で犬を不当な価格で販売し始め、顧客との金銭トラブルを抱えるようになっていきました。

 

関根元は犬を高額で売りつけた顧客の家に忍び込み、盗み出したり、殺すなどして顧客の悲しみにつけ込み、言葉巧みに新たに犬を売りつけるなどしていましたが、バレてトラブルになると躊躇なく殺害していました。

 

関根元、事件化されたのはたったの4人

事件化されたのは4人で、実際の被害者は30人に上る可能性がある

 

関根元は事件化された中で最初に殺害したのは産廃処理会社経営だった川崎昭男さん(当時39歳)でした。

 

この男性は暴力団関係者だったようで、川崎昭男さんが殺害されたことを知った暴力団幹部の遠藤安亘さん(当時51歳)と、その運転手の和久井奨(当時21歳)が関根元の元を訪れたため、第二、第三の犠牲者となってしまいました。

 

また、関根元による詐欺でトラブルを抱えていた主婦・関口光江(当時54歳)さんもその後殺害されました。

 

4人の遺体は「アフリカケンネル」の元役員・山崎永幸(当時38歳)の自宅で解体され、細かく切り刻んだ肉片は川に流し、骨はドラム缶で炭になるまで焼き、骨灰は近くの山林に棄てたようです。

 

関根元、“遺体なき殺人”の犯行手口

合理的に殺人を行っていた関根元の手口

 

関根元の完全犯罪の手口について、潜入ライターのニポポさんが殺害の方法や遺体遺棄の手口などくわしく解説しています。

 

犬の安楽死剤には筋弛緩作用もあるのか、みんな声も出せずに死んでいく。人間に使っても血を流さず、騒がれず始末できるということを知っていたんですね。

そして「ボディを透明にする」。実際見つかったのなんて治療痕のある歯の一部とか、銀歯の一部とかしか出てきていない。DNA鑑定出来るレベルじゃなかった。

肉片って川で相当流れちゃうみたいで、川ざらいでも何にも出ないってレベルで出てこなかったようです。それこそ銀歯とか、時計とかしか出てこなかった。

 関根の理論としては遺体をそのまま焼くと臭いでバレる。なので分離するのがボディを透明にする第一歩と考えていたようですね。

 埋めればいいとか、川の深い所に流せばいいという意見もありますが、関根曰く「骨が残る」。骨が残っちゃうと透明じゃないんですね。骨には情報が詰まっていて、特に頭蓋骨からは色んな情報が特定できる。この頭蓋骨が無いということが、透明に繋がるわけですね。

 

引用:ニコニコニュース – 犠牲者30人以上とも言われる“遺体なき殺人”『埼玉愛犬家連続殺人事件』犯人・関根元の素顔に迫る「お前もやってみろよ。冷んやりして気持ちいいぞ」

 

関根元は逮捕後の供述で「30人は殺した」と豪語しており、上記の手口により遺体が回収されなかったため事件化できたのは4件のみでした。

 

関根元は「殺しのオリンピックがあれば俺は金メダル」とうそぶいていました。

 

関根元、殺人語録がヤバすぎると話題に

関根元は殺人をスポーツ感覚にしていた

 

関根元が生前に残していた殺人についてのコメントは以下のようなものがあります。

 

「殺しのオリンピックがあれば、俺は金メダル間違いなしだ。殺しのオリンピックは本物のオリンピックよりずっと面白い」

「そのうち、俺は殺しの世界で一番の男になりたいと思うようになった。人間なんでも一番にならなきゃ駄目だ。殺しにかけては俺がいまナンバーワン」

「死体がなければただの行方不明だ。証拠があるなら出してみろ。俺に勝てる奴はどこにもいない」


「最初は俺も怖かったが、要は慣れ。何でもそうだが、一番大事なのは経験を積むこと」

「臭いの元は肉だ。そこで透明にする前に骨と肉をバラバラに切り離すことを思いついた」

「骨を燃やすのにもコツがいる」

 

引用:Wikipedia – 埼玉愛犬家連続殺人事件

 

関根元は業界トップクラスのブリーダーになったように、殺人についても達人になるために凶行を重ねていたことが分かる言葉であり、4人程度の殺人では出てこない言葉であり、やはり数十人は殺めていた可能性が高いでしょう。

 

関根元と風間博子、1995年1月に逮捕される

 

共犯者・山崎永幸がフェイクの司法取引で事件を暴露した

 

関根元と風間博子の逮捕を狙っていた埼玉県警は、直接関根元に事情聴取に赴いても天才的な話術により逃げられる可能性が高かったため、周囲から崩す計画に出ました。

 

埼玉県警は遺体遺棄を手伝った共犯者の山崎永幸の妻を別件逮捕で拘束し、山崎永幸は一度逮捕を恐れて逃げましたがその後出頭して自首しました。

 

取り調べで山崎永幸は黙秘を続けていましたが、埼玉県警が偽の司法取引を持ち掛けたことで山崎永幸は次々と関根元らの犯行について証言していきました。

 

当時、司法取引制度はありませんでしたが警察の判断で口頭で行われており、山崎永幸は自身の罪が軽くなることを信じて洗いざらい吐こうとしましたが、警察は十分な証言が取れたところで約束を反故にしました。

 

激怒した山崎永幸はそれ以降供述をしなくなりましたが、埼玉県警は証言を基にして被害者の遺骨や遺留品を次々と発見し、1995年1月5日についに関根元と風間博子を逮捕しました。

 

 

「埼玉愛犬家連続殺人事件」犯人・関根元と風間博子に死刑判決

関根元と風間博子、2009年6月に死刑判決

 

関根元と風間博子は醜く罪を擦り付けあった

 

関根元と風間博子は法廷の場でどちらが主犯かについて醜く罪を擦り付けあっていましたが、浦和地裁(現・さいたま地裁)は検察の主張である1件を除いた3件について関根元と風間博子が対等の立場で犯行に及んだことを認めました。

 

2001年3月21日に関根元と風間博子に求刑どおり死刑判決が言い渡され、2人は控訴しましたが2005年7月11日に東京高裁で棄却、2人はさらに上告しましたが2009年6月5日に最高裁で棄却されて死刑が確定しました。

 

関根元はヤクザも手にかけた

関根元はヤクザの親分の腹心を殺害していた

 

関根元が殺害し事件化された4人の内、2人目の被害者・遠藤安亘さんは、稲川会直参で会長秘書も務めていた元親分・高田耀山さんの腹心でした。

 

高田耀山さん自身も関根元からトラやライオンを購入したことがあり面識があったため、配下が殺害されたと分かると独自に調査を始めたようです。

 

突如として部下が姿を消すが、如何せん死体がないから事件化しない。苛立つ親分は独自の調査を始める。

 もちろん、捜査権限などないのだから手荒い。犯行仲間と思われるチンピラをさらって、関根との会話を盗聴させたり(これは後に重要な捜査資料になる)、関根を組事務所に呼び出して、「てめーがやったんだろう」と迫ったり。緊迫感が半端ない。殺してなくても「殺しました」って言いかねない。まあ、実際に殺しているんだが。

 

引用:DIAMOND ONLINE – ヤクザすら手にかけた埼玉愛犬家殺人事件の凄惨

 

高田耀山さんはヤクザの嗅覚で関根元が配下を殺したことに間違いないと感じており、人殺しは信条に反するものの関根元を殺害することを決意したと語っています。

 

結局、高田耀山さんが関根元を殺害する前に逮捕されてしまいました。

 

関根元に殺されかけた住職もいた

関根元の殺人ゲームを仏の導きで乗り切った住職

 

2019年3月7日に放送されたバラエティー番組『じっくり聞いタロウ~スター近況(秘)報告~(テレビ東京系)』に京都・蓮久寺の住職・三木大雲さんが出演し、関根元に殺されかけたことを明かして注目を集めました。

 

三木大雲さんは20歳の頃に大学に通いながらお寺での修行をしている見習い僧でしたが、ある時友人と一緒に関根元の「アフリカケンネル」を訪れました。

 

その時に関根元が2人の前に何本かの缶コーヒーを並べて「好きなもの飲んで帰れよ」と言ってきましたが、友人は関根元の行動に怪しさを感じて断るも、三木大雲さんはせっかくの好意と受けて1本を選び飲みました。

 

しかし、その後も一人で「アフリカケンネル」を訪れた際に関根元から3本のコーヒーを出され、三木大雲さんは1本を飲みましたが、さらにもう1本勧められた時に断ったことが生死の境だったと番組で語っています。

 

死刑が確定してから男と会うことができたという知人曰く、男が「昔ペットショップをやっていて人を殺していた時に、1人の修行僧が来た」と回顧しだしたという。そこで缶コーヒーを出したことを明かし「何本か出すうちの1本だけ毒なし、あと全部毒入り」と述懐。その修行僧は3回来店して3回とも毒なしを引き「最後に1本飲め」と勧めても拒否したと言い「ひょっとしたら神仏はいるかもしれん。あいつはそれに守られていたのかな」と話をしていたという。

 

引用:テレビドガッチ – 「埼玉愛犬家連続殺人事件」の死刑囚に殺されかけた住職が明かす犯行の手口「缶コーヒーを…」

 

この知人は三木大雲さんが当事者だと知らずに「知り合いに(関根元とこのやり取りをした人)いませんか?」という話で、”信じる者は救われる”を体現したというエピソードでした。

 

 

「埼玉愛犬家連続殺人事件」の現在~犯人・関根元は病死、風間博子は死刑執行待ち

 

関根元は死刑執行される前に病死、風間博子は現在も収監中

 

関根元は2016年11月に心臓発作を起こして治療を受けていましたが、2017年3月27日に東京拘置所内で病死しました。

 

風間博子は2019年現在も東京拘置所に収監されており、戦後日本において12人目の女性死刑囚です。

 

なお、この「埼玉愛犬家連続殺人事件」は映画界の鬼才・園子温監督が『冷たい熱帯魚』を制作して注目を集めましたが、映画では事実よりも残忍さが抑えられています。

 

 

 

「埼玉愛犬家連続殺人事件」についてまとめると…

・関根元はブリーダー界で知らぬ人はいないカリスマだった

・関根元は偽装離婚した元妻・風間博子と30人程ほど殺害した可能性もある

・関根元は2017年3月にに病死、風間博子は死刑執行を待つ身となっている

 

関根元は法の裁きで死ぬことはありませんでしたが、風間博子の死刑執行は事件の残酷性からそう遠くない内にされる可能性が高いでしょう。

 

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