記憶にも新しい北九州連続監禁殺人事件ですが、犯人・松永太(まつなが ふとし)の残虐性が度々話題になっています。
サイコパスと言われた松永太の生い立ちや両親について、結婚した嫁や緒方純子との間にできた子供(息子)、そして現在や死刑執行の時期について情報を詳しくまとめました。
この記事の目次
松永太が起こした「北九州監禁殺人事件」とは?
北九州監禁殺人事件は、2002年3月以降に福岡県の北九州市小倉北区で発覚した監禁・連続殺人事件です。
事件の概要としては人の弱みにつけこんで監禁をして金を巻き上げ、拷問と虐待によってマインドコントロール下に置き、お互いの不満をぶつけさせることにより相互不信を起こして逆らえなくし、被害者同士で虐待をさせることで相互不信を一層深くさせ、自分の手は汚さずに用済みとなった人間を殺害して死体処理を行わせたというものです。
犯罪史上稀に見る凶悪犯罪とされ、第一審で検察側は「鬼畜の所業」と被告人男女を厳しく非難し、2011年12月、最高裁判所によって主犯Xの死刑と共犯Yの無期懲役が確定しました。
非情な残虐性・悪質性にもかかわらず、事件に報道規制がかけられたとされ、事件の知名度は高くありません。当初は地元の報道機関を中心に報道をしていたが、途中から報道機関が自主規制して報道量が少なくなり、全国の報道機関での集中報道に結びつかなかったといわれています。
松永太の犯行の手口①「弱みにつけこむ」
まず犯人が使った手口が「弱みにつけこむ」というものです。犯人はまず対象者に言葉巧みに近づいて信用させる一方で、何かしらの弱みを握ります。
そして、犯人は相手の弱みに乗じて対象者に自分に金を持ってくることを要求します。犯人は家族を対象とする時は他人に知られたくない弱みを握った際に家族全員をいきなり脅すことはせず、家族を二分にさせた上で双方に弱みをちらつかせることで、家族同士が無理を重ねてかばったり憎みあうにように仕向けていました。
犯人のターゲットとなった者は「純粋な性格」「警戒心が薄い」「間が抜けている」「世間体を気にしている」「実家がそこそこ裕福である」「子供がいる」といった特徴がありました。
松永太の犯行の手口② 電気ショック
相手の弱みを握った犯人は弱みをちらつかせて被害者に対して様々な暴力・虐待をし、その中でも特に多かったのが電気ショックです。犯人が相手を支配するのに非常に重要なツールでした。
犯人が経営する会社に在籍していた工業高校電気科卒の従業員から得た知識を生かして考案したもので、当初は軽い痛み程度のお遊びであったが、それを目撃した犯人が関心を示し、電気ショックを虐待に使用できるようにしていきました。
通電する際の部位には手・腕・足・太股・乳首・口や耳や顎など顔が対象で、サディズムの象徴である性器に対し、男女関係なく通電しています。
更に弱みを強く意識させる為に犯人は数々の「事実確認書」などの文書を作ったり、作らせることもしています。その事実確認書には被害者が過去の弱みを告白するもの、犯人が将来において文書の中身を実行させると思い込まれるようなものなどがありました。
また、これら文書の多くに「和やかな雰囲気の内に作成した」という不自然な一文が記入されていたり、文書を読み上げてテープで録音するなどしており、これに基づき犯人は「全員が納得の上で文書を作成した」と主張しています。
松永太の犯行の手口③ マインドコントロール
更に虐待の一つとして生活制限ルールが設けられ、衣服、移動、睡眠、食事、排泄、外出など様々な生活制限ルールをしきました。他にも犯人が許可したことしか会話できないという会話の制限もあったそうです。
この全てに関連するのが犯人のマインドコントロールです。被害者たちがお互いを憎しみ合うように仕向けました。犯人がいないところで被害者同士が集まっている部屋で盗聴していることを匂わせ、犯人がいない場所でも犯人に逆らう言葉を話し合わせないようにしました。
また被害者は犯人の指示で上位の被害者が下位の被害者に対して通電するようになり、逆らえば序列の下位に落とされて通電されるため逆らえず、誰かが下位に下がれば他の者は安堵し、家族を裏切ることも厭わずに犯人の歓心を得ようとして犯人に絶対服従するようになってしまいました。
このマインドコントロールを利用し、支配している人間を誘導して殺害をさせます。犯人は絞殺をする際には首を絞める役割の人間と足を押さえる役割の人間を指定することはあったものの、言葉巧みに誘導するだけだったので、自分が殺人を考えたのではないと主張していました。
遺体は浴室で鋸とミキサーで分解し、鍋で煮込んで解体処理するようにアイディアを出し、被害者に選択させ、死体解体の進捗状況が遅いと虐待で急かすように仕向けました。処理の後も水道管や浴室のタイルなどを交換して、証拠を隠滅しています。
「北九州監禁殺人事件」サイコパスと呼ばれた松永太の生い立ち
そもそも犯人である松永太とはどんな人物だったのか?どのように生きてきたのか?過去の生い立ちに犯罪までに繋がる経緯が隠れているかもしれません。
松永太の生い立ち① 成績も優秀だった小・中学生時代
小学校時代の松永太は頭が良く、成績はほとんどの科目でオール5で、学級委員長を務めるなどのいわゆる秀才でした。
その頭の良さは中学に入っても変わらず、中学でも生徒会役員を務めるなどリーダーシップを発揮しています。
部活ではバレー部キャプテンを務めるなど目立つ存在、他にも中学1年生の時は弁論大会で3年生を差し置いて優勝しています。
ただ、成績優秀で統率力のある逸材で一目置かれていましたが、教師からの評判は良くありませんでした。この頃から自分より弱い人間を近くに置き、陰で悪いことをしていたそうですが、優れた話術で教師でさえも歯が立たなかったそうです。
さらに、担任の家庭訪問は拒否しており、両親と会ったことがなかったそうです。
松永太の生い立ち② 高校生~社会人まで
高校は、松永太と共に事件を起こした緒方純子と同じ高校に進学します。
しかし、松永太は高校で不純異性交遊が発覚し、男子校に転校させられてしまいます。転校し高校を卒業後、大学には進学せず、福岡市内のお菓子店に就職するのですが、わずか10日で退職してしまいます。
そして社会人になってから、松永太は徐々にサイコパスな性格が隠し通せなくなっていきます。当時の松永太の性格の特徴をあげると
・病的な嘘つき。
・自意識が強く目立ちたがり屋。
・じょう舌でいくつもの顔を持ちエリートを演じる傾向がある。
・礼儀正しく愛想が良いが猜疑心、嫉妬心が強い。
・異常なまでに執念深い。
・神経質で臆病な一面もあるが虚勢を張る。
といった特徴がありました。
松永太が演じたエリートは様々ですが、演じることが出来るという事は、それなりの話が出来た、しっかりとその職業を知っていたということです。ちなみに松永太が演じたエリートは
・東大卒のコンピューター技師
・京大卒の予備校講師で物理学者の逸材で小説家志望
・実家は村上水軍の当主
・兄は東大卒の医者
などです。
ここまでの生い立ちを見る限りではどこでサイコパスになってしまったのかというのはわかりませんが、幼少時代から頭が良いことで何かが狂ってしまったのかもしれません。
「北九州監禁殺人事件」松永太の両親の現在は?
子供がこのような犯罪を犯してしまったとなればやはり注目がいくのが両親です。松永太の両親は小倉で畳屋を営んでいました。松永太が7歳のとき、父方の実家を引き継ぐため転居しています。
しかし、松永太が事件を起こした後には親戚縁者含めマスコミの取材を一切拒否しています。その為、両親の現在の様子などに関してもわからないことが多いのです。
「北九州監禁殺人事件」松永太と結婚した嫁とは?
松永太は19歳で結婚し息子が誕生
社会人になってから狂いだす一方で、松永太はしっかりと結婚もしているのです。最初の結婚は1980年松永太が19歳の頃でした。しかもその結婚では1981年に長男を設けています。
当時は自宅を本店として有限会社ワールドを設立していました。その頃、松永太は口が上手く経歴詐称なども使い、何人もの女性を口説き落としていたようです。
更に妻は、複数の女性と不倫関係にある松永太を容認していたと言います。そしてそして、事件を起こしてしまう緒方純子も不倫相手の内の一人でした。
松永太の共犯者・緒方純子の人間性
緒方純子は結果的に松永太と同じ罪を犯してしまいますが、元々は従順な性格でした。だからこそ松永太からすればコントロールするには打って付けの人材だったのです。
緒方純子は、学校では制服や髪型も規則通りにする真面目ぶりで高校時代は異性との交際もなく、短大を卒業後、幼稚園の先生になっています。
松永太はそんな緒方純子に目をつけ、偶然の再会を装い近づき交際するに至ります。
そして松永太に妻や自分以外の交際相手がいる事は承知の上で、内縁の妻となるのでした。
松永太の内縁の妻・緒方純子との間に子供は2人
松永太の内縁の妻となった緒方純子は自社の会社を一緒に経営していきます。なんと1985年には自社ビルを設立するまでの会社となり、1986年には株式会社にまでなるのでした。
しかし二人は詐欺商法で指名手配されてしまいます。順調と思われた松永太の会社の中身は、詐欺まがいな内容で、「二束三文の価値しかない粗悪品の布団を、出身校の先生や友達にまで、高額で売りつける詐欺商法」と言われていました。
従業員に対してはミスをする度に罰金を課し、さらに売上成績の悪い従業員に対しては殴る蹴るなどの暴力で制裁を加えていたそうです。この頃に前の妻とは離婚してしまっています。
そして1993年1月に緒方純子との間に長男を授かり、1996年3月には次男を授かっています。
つまり松永太には子供が3人いるということになります。
緒方純子もマインドコントロールの被害者だった
その後の緒方純子に関してはマインドコントロールされていたことに気づいたのか、自分の罪に対して反省している様子も伺えます。
「いま思うと、すべてが異常でした。いまの私は、あの当時の自分が信じられません。どうしてあんなことができたのだろうと思いますが、私が自分で犯した罪には違いありません」
引用:『ザ・ノンフィクション』に自ら出演し話題に…「人殺しの息子と呼ばれて」北九州・連続監禁殺人事件。実行犯の母親が語る、息子への思いとは? | ダ・ヴィンチニュース
これは裁判で緒方純子が語っていた言葉です。当時は松永太の操り人形のようになってしまっていたのかもしれません。
とは言っても子供も授かっており、母親という存在でもあるのです。ただ、子供の存在が緒方純子をマインドコントロールしやすい要因になってしまっているとも考えられます。
「しかし松永にかかると子供さえも支配の道具にされてしまう。まず彼は『自分らが捕まって犯罪者の子供になるくらいなら逃げたほうがいい』と繰り返し主張した。母親は『子供のために』というフレーズに弱いものだが、純子も例外ではなく『そういわれると、子供が生まれるから自首をして身を潔白にしたいという気持ちより、時効まで松永といっしょに逃げ続けようという気持ちのほうが強くなりました』と語っている」
引用:『ザ・ノンフィクション』に自ら出演し話題に…「人殺しの息子と呼ばれて」北九州・連続監禁殺人事件。実行犯の母親が語る、息子への思いとは? | ダ・ヴィンチニュース
母親という存在だからこそ、間違った形で子供を守ろうとした末に犯罪者となってしまったのです。
「北九州監禁殺人事件」松永太と緒方純子の息子の現在
松永太の息子は無戸籍状態だった
ここで注目されているのが松永太の息子の現在です。松永太と緒方純子の息子は事件現場から5分離れたところに住んでいて、なんと監視カメラをつけられた上で生活をしていたそうです。
事件の最中は緒方純子が一週間のご飯をまとめてもっていっていたようですが、いつご飯がなくなるかという不安を抱えながら過ごしていたといいます。
更に松永太からは食パンを一枚渡され「この一枚で一日暮らせるように自分で考えろ」などと言われ、冬でもTシャツに短パンなど貧しい生活を強いられ、その上で松永太だけは見せびらかすように良い物を食べてたそうです。
そして息子は出生届も出されていなかったので、戸籍もなく幼稚園や小学校に通うことは出来ませんでした。そんな生活が終わりを告げたのは2002年3月松永太と緒方準子が逮捕された時です。
松永太の息子が『ザ・ノンフィクション 人殺しの息子と呼ばれて…』に出演
息子はテレビ番組に出演し、現在の胸の内を赤裸々に告白しています。
松永と緒方が逮捕された時、別のアパートにいた二人の息子が保護された。長男は当時9歳。そしてあれから15年がたち、その息子がドキュメンタリー番組に出演したのである。それが『ザ・ノンフィクション 人殺しの息子と呼ばれて…』だ。
番組内では記憶を辿りながら、その後の人生をしっかりと語っていました。
息子のその後の人生は、まさに戦いの日々で被害者でありながら、加害者の家族でもあるという事実が重くのしかかったそうです。
児童養護施設で育てられ、高校時代はガソリンスタンドで働きながら定時制高校へ、その後、里親の家から家出をしてからは、住所不定の人生となっていたそうです。
その記憶には重い記憶もありました。
自身が松永に受けた虐待や、学校にも行かず狭い一室で一日中過ごしていたこと、偽名を与えられていたこと、解体した遺体の一部を鍋で煮込んでいた様、など記憶の断片を話した。
引用:『ザ・ノンフィクション』に自ら出演し話題に…「人殺しの息子と呼ばれて」北九州・連続監禁殺人事件。実行犯の母親が語る、息子への思いとは? | ダ・ヴィンチニュース
小さい子供にここまでのことをさせるというのはやはり松永太はサイコパスと言えるでしょう。
松永太の息子のテレビ出演後の反響
犯罪者の息子ということでテレビに出演した後は反響も多くありました。
人殺しの息子とよばれてを見たけどこの人は9歳までまともな教育を受けてなくて中卒でその後職を転々としてたのに恐ろしく頭が良さそうな喋り方をするな。母親へは愛憎が深くて父親へも情が捨てきれなくていつか父親の死刑が執行された時の事を考えると可哀想な気持ちになる
— A県綺宮 (@Tto_ayamia) 2017年12月16日
「ザ・ノンフィクション〜人殺しの息子とよばれて〜」録画しとったの見たけど、何が感動するんか、何が良かったんか、全く分からんかったし、もうそっとしといてやれよフジテレビ。って思った。
— いりお (@1rio7Ag) 2017年12月16日
録画してたザノンフィクション「人殺しの息子とよばれて」観た。
— 桃餡 (@momoanstkhgc) 2017年10月26日
絶句。何も言葉が出ない。息子さんどれだけ苦労してきたんだろう。想像もつかない。やっと得た静かな暮らしがずっと続くことを願う。
ザ・ノンフィクション
— 宮武良直 (@akosstyle) 2017年10月15日
「人殺しの息子とよばれて・・・」
〜北九州連続監禁殺人事件〜
親の身勝手な行動で 息子の人生もまた 悲しい虚しい人生に…
息子さんには 逆境に負けず 人生を歩んで行って欲しい…#ザ・ノンフィクション
あくまで息子は息子なので、息子を憎むようなコメントはなく、応援するようなコメントが多くありました。むしろしっかりした幼少期をおくることが出来なかったということに対してかわいそうに思う言葉も多かったです。
松永太の息子は何故テレビ出演したのか?
これまで松永太の両親はもちろん、親戚関係などは数々のインタビューに出演拒否をしていたのですが、息子は何故テレビ出演することを決めたのでしょう。なんと息子から自分でテレビ局に連絡したそうです。
社会にも大きな衝撃を与えた「北九州連続監禁殺人事件」。番組でも触れられていましたがあらためて息子さんと張江さんとの出会いについて教えてください。
張江CP:僕が担当した「追跡!平成オンナの大事件」(6月9日放送分)という特別番組で緒方純子受刑者を取り上げたことがきっかけです。放送終了後、息子から直接連絡があり、「両親が加害者であり、事件の内容を一番知っているのは家族である自分。どうして探してくれなかったのか」と苦情を申し立てられました。
引用:なぜ“北九州監禁殺人事件の息子”に取材できたのか 「ザ・ノンフィクション」チーフプロデューサーが語る、踏み込める理由 – ねとらぼ
その後、電話だけでは会話がおさまりきらずに実際に会って話すこととなり、その話の流れから出演が決定しました。
息子は覚悟を決め、「自分の人生をこのまま隠して生きるより、きちんと世間に伝えたい」という思いで、番組のインタビューを承諾。その思いを伝えるために、音声加工はせず、肉声を公開するというリスクまで負った。
「北九州監禁殺人事件」松永太の死刑執行はいつ?
事件を知るものとしては松永太への死刑執行がいつになるか?が気になる点でしょう。自ら死刑を望む人に対しては最短で1年で死刑執行になった人もいるようですが、松永太に関しては時間がかかっています。
実際、松永太の死刑執行に関しては、死刑を早めろという声も多くあります。このような犯罪史上稀に見る凶悪犯罪を起こしているのですから、そのように思われてしまうのも仕方ありません。
ただ、2018年~2019年に死刑が行われるという噂もあり、もしかしたら近いうちに死刑執行されるかもしれません。
「北九州監禁殺人事件」の総まとめ
・松永太は学生時代は成績優秀で学級委員も務めていた。
・松永太は19歳の時に結婚、翌年に長男が誕生している。
・松永太は内縁の妻・緒方順子をマインドコントロールし共犯にした。
・松永太と緒方順子の間には息子が2人。子供たちの出生届は未提出で無戸籍状態だった。
・松永太の息子がフジテレビドキュメンタリー番組の『ザ・ノンフィクション〜人殺しの息子とよばれて〜』に出演。現在の胸の内を赤裸々に告白した。
犯罪史上稀に見る凶悪犯罪を起こした松永太。本当に末恐ろしい事件でした。
また、松永太の息子の勇気ある告白は反響を呼びました。犯罪を犯した両親のせいで非常につらい人生を歩んできたことでしょう。
そして松永太への死刑執行がいつになるのか?このような犯罪が二度と起きないことを祈ります。