2018年に起きた「高千穂6人殺人事件」では農家の次男だった飯干昌大が家族と知人を惨殺しその後自殺しましたが、犯行動機や理由が話題です。
今回は「高千穂6人殺人事件」の詳細、犯人と被害者の関係、不明点、動機や理由など真相をまとめました。
この記事の目次
高千穂6人殺人事件とは
「高千穂6人殺人事件」とは、宮崎県高千穂町に住んでいた犯人の飯干昌大が、2018年11月25日夜から26日未明にかけて、自身の家族や知人を惨殺した大量殺人事件です。
天孫降臨の地といわれ、天照大神伝説が残る神話の里、高千穂町。その中心から車で約25分ほど走ったのどかな山あいで事件は起きた。高齢者が多く住む13戸の限界集落に2世帯同居の飯干家はある。
犯人の飯干昌大は事件発覚前に自殺している上に、被害者も生き残りがいないため、詳しい経緯は不明になっています。
そのため、被害者の1人である松岡史晃さんの遺族や関係者の証言が主な情報源です。
高千穂6人殺人事件の詳細
宮崎県五ケ瀬町で農家を営んでいた被害者の松岡さんは、事件当日の2018年11月25日、所属する消防団の詰め所で開催されていた飲み会に参加していました。
そんな中、知人の飯干昌大から夫婦喧嘩の仲裁を依頼する電話が何度もかかって来たため、飲み会を切り上げ、午後8時過ぎに自宅へ帰宅、午後9時頃に軽トラックで飯干家に向かいます。
翌日の朝、息子が帰宅しないことを不審に思った松岡さんの父親が飯干家を訪れたものの、敷地内には入らずに立ち去ったといいます。
その後、普段は真面目でトラブル1つ起こしたことがなかった飯干昌大が無断欠勤していることを心配した勤務先の建設資源会社から、飯干昌大の弟に連絡が入ります。
ちなみに、仕事関係者が直接飯干家を訪問しなかったのは、会社は飯干家まで車で1時間かかる距離にあったため、すぐに様子を見に行けなかったからでした。
兄の勤務先から「飯干一家と連絡が取れない」との不吉な電話を受けた弟は、自ら実家を訪ねることはせずに、警察に兄一家の様子を確認する依頼をしています。
11月26日の午前11時頃、地元の警察が飯干家を訪ねたところ、敷地内で飯干一家5人と松岡さんの合計6人が惨殺されているのを発見しています。
・飯干昌大の父・飯干保生さん(72)
・飯干昌大の母・飯干実穂子さん(66)
・飯干昌大の妻・飯干美紀子さん(41)
・飯干昌大の長男・飯干拓海さん(21)
・飯干昌大の長女・飯干唯ちゃん(7)
・飯干昌大の知人・松岡史晃さん(44)
高千穂6人殺人事件の犯人・飯干昌大は投身自殺している
「高千穂6人殺人事件」では、前述の通り、犯人の飯干昌大が事件発覚前に自殺しています。
飯干昌大が自殺した場所は、事件現場である自宅から2.5kmほど離れた場所にある神都高千穂大橋で、眼下に広がる五ケ瀬川へ投身自殺をしたようです。
飯干昌大の遺体は、2018年11月26日午後に警察により発見されています。
高千穂6人殺人事件の犯人・飯干昌大の経歴 【農家の次男でバツイチ】
飯干昌大は、飯干家の次男として宮崎県高千穂町に生まれ、「高千穂6人殺人事件」を起こした当時は42歳でした。
地元の県立高校を卒業後、熊本県内の運送会社で働いていた飯干昌大は、熊本で結婚し子供をもうけたものの離婚。
その後の2010年頃、美紀子さんと再婚した飯干昌大は、長女・唯ちゃんが生まれたことをきっかけに実家に戻り、両親と同居を始めたようです。
帰郷後の飯干昌大は、事件発生まで勤めることになる宮崎県五ケ瀬町内の建設資材会社に転職し、トラック運転手として働いていました。
飯干昌大は人当たりの良い真面目な性格だったとの仕事仲間からの証言が多く、周囲の評判は悪くはなかったようです。
ただ、寡黙な性格でいじられると黙ってしまうタイプだったとの証言もあり、怒りや不満を溜め込みやすい内向的な性格だったことがうかがえます。
また、筋トレが趣味だったと言われており、一般的な40代の男性よりも腕っぷしは強かったのかもしれません。
高千穂6人殺人事件の犯人・飯干昌大と被害者との関係
飯干昌大の父親・飯干保生さん
「高千穂6人殺人事件」の犠牲者の1人である飯干保生さんは、飯干昌大の父親で、地元で牛の飼育や農産物の栽培していた専業農家でした。
また、代々山林を所有している地主でもあったらしく、林業も営んでおり、真夏でも山に入って下草刈りをしていたとか。
性格は犯人・飯干昌大と似て、穏やかな働き者だったと言われています。
飯干昌大の母親・実穂子さん
保生さんの妻・実穂子さんは、夫や次男とは違い、社交的な性格で地域活動にも熱心だったと親族が証言しています。
そんな保生さん・実穂子さん夫妻と息子の飯干昌大の親子関係は、飯干昌大が農作業を手伝っている様子がなく、近所では不仲説も囁かれていたとか。
ただし、飯干昌大もトラック運転手として働く忙しい身の上だったため、本当に親子が不仲だったという証拠はありません。
飯干昌大の妻・美紀子さん
飯干昌大の妻・美紀子さんは熊本県出身で、飯干昌大が熊本の運送会社で働いていた頃に知り合ったようです。
そんな美紀子さんは、育児の傍らパン屋でパートをしていた他、地元の婦人会で役員も務める社交的な人物でした。
飯干昌大は愛妻家で夫婦仲も良好だったらしく、会社の飲み会があると美紀子さんが迎えに来たり、飯干昌大は愛妻弁当をいつも持参して出勤したりしていたそうです。
また、過去の社員旅行では美紀子さんが熱を出した際、飯干昌大は旅行をキャンセルしていたという話も残っています。
飯干昌大の子供・長男
飯干昌大の長男・拓海さんは前妻との間に生まれた子供で、長女の唯ちゃんとは異母兄弟でした。
ただ、飯干昌大は拓海さんが生まれて1、2年で前妻と離婚しているため、拓海さんには実母との思い出は記憶に残っていなかったかもしれません。
飯干昌大と折り合いの悪かった時期もあったという拓海さんは、高校卒業後は実家を出て熊本県内の建築会社で働いていました。
しかし、2016年に起こった「熊本地震」をきっかけに「地元で働きたい」との想いが強くなり、実家に戻って県内の建設会社で働いていたそうです。
また、近年は飯干昌大との仲も改善していたそうで、飯干昌大が会社の同僚に「息子に彼女が出来た」と嬉しそうに話していたこともあったとか。
飯干昌大の子供・長女
飯干昌大の長女・唯ちゃんは、過疎集落で唯一の子供で、近所の住民たちからも可愛がられて育っていました。
飯干昌大も娘を溺愛していたらしく、「家族との時間を大事にしたい」と周囲に語り、仕事が終わると寄り道せずに自宅に直行していたと言います。
飯干昌大の知人・岡史晃さん
「高千穂6人殺人事件」の犠牲者のうち、唯一飯干家の人間ではなかった松岡史晃さんは、宮崎県五ケ瀬町在住でトマト農家を経営していた人物でした。
松岡家は、父親が地元で町議を務めるなど名士の家系だったと言われています。
そんな松岡家の跡取り息子だった松岡さんは、地元を離れて熊本県でトラック運転手をしていた時期もあったようで、飯干昌大と知り合ったのはその頃だったと思われます。
2018年5月に結婚した松岡さんは、家業を継ぐために会社を辞め、事件当時は実家に戻って来たばかりでした。
Aさんは松岡さんよりも年上で、互いに再婚同士でした。松岡さんは6月には会社を辞めて、夫婦で実家に戻って敷地内に住み、農業を継いでいました。Aさんはまだお勤めをされているようで、朝早くから出かけて夜の8時すぎに帰ってくるような生活でした。農家仕事も手伝っていたみたいで、耕運機を自分で運転されたり、松岡さんと2人で軽トラに乗っているところも見かけました。
松岡さんは面倒見の良い性格だったらしく、飯干昌大から夫婦喧嘩の仲裁を依頼する電話がかかって来た際も、父親や妻の反対を押し切って飯干家に向かいました。
高千穂6人殺人事件の疑問点 【事件直前まで家族で社員旅行に参加】
「高千穂6人殺人事件」は、犯人・飯干昌大が逮捕前に自殺してしまったため、犯行動機や事件発生までの経緯など不明な点が多い事件です。
特に、飯干昌大夫妻と長女の唯ちゃんは事件直前まで勤務先の社員旅行に参加しており、仲睦まじい姿を見せていました。
「会社の慰安旅行に、飯干(昌大)さんは妻の美紀子さんと唯ちゃんと親子3人で参加していたんです。移動する時には夫婦で唯ちゃんを間に挟んで手をつないで楽しそうに歩いていた。25日の15時半に戻ってきて解散するときも“じゃあ、明日”と何ら変わりなく別れたんです。それがなぜ、あんなことになるのか」
そのため、社員旅行を終えたその日に突然起こってしまった惨劇に、飯干昌大の同僚たちも首をひねるばかりだったようです。
高千穂6人殺人事件の真相① 犯人・飯干昌大の動機は夫婦間トラブルが理由?
一見すると犯行動機が不明すぎる「高千穂6人殺人事件」ですが、飯干昌大の幼馴染は、以前より夫婦間にトラブルがあったと証言しています。
飯干昌大は、妻・美紀子さんが自分に隠れて昔の男と会っているのではないかと疑っていたそうです。
ただし、美紀子さんの不倫疑惑は、飯干昌大の被害妄想の可能性が高く、夫婦喧嘩が起こる度に、両親は息子を必死になだめていたと言われています。
「事件後、集落の人に聞くと『ここ数カ月、何度か夫婦喧嘩があった』『ケンカのたびに両親が昌大さんをなだめていた』『両親は昌大さんが何か精神的におかしくて、不倫は美紀子だとか大声で言い、被害妄想のようになっていると周囲に話していた』と言っていました。
また、そんな夫の態度に美紀子さん側も愛人の存在を疑うようになってもいたらしく、身に覚えのない疑惑をかけられた飯干昌大は、余計に不満を募らせていたとか。
高千穂6人殺人事件の真相② 犯人・飯干昌大の突発的犯行が理由?
「高千穂6人殺人事件」の犠牲者のそれぞれの殺害場所と殺害方法は、以下のようになっています。
・飯干昌大の妻・飯干美紀子さん(41)→風呂場の脱衣所で絞殺
・飯干昌大の長女・飯干唯ちゃん(7)→風呂場の脱衣所で絞殺
・飯干昌大の父・飯干保生さん(72)→寝室でナタで惨殺
・飯干昌大の長男・飯干拓海さん(21)→保生さんと同じ寝室でナタで惨殺
・飯干昌大の母・飯干実穂子さん(66)→自宅敷地内の牛舎近くでナタで惨殺
・飯干昌大の知人・松岡史晃さん(44)→仏間でナタで惨殺
寝室や風呂場という、家族それぞれリラックスできる場所で殺されていることから、松岡史晃さんの説得が功を奏し、夫婦喧嘩の修羅場は一度は収まり、話し合いは解散していたのでしょう。
ただ、怒りが収まり切らなかった飯干昌大は、帰ろうとした松岡史晃さんを仏間で殺し、お風呂に入ろうとしていた美紀子さんと娘を殺害した…という突発的な犯行の可能性があります。
高千穂6人殺人事件の真相③ 犯人・飯干昌大の精神疾患が理由?
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実はこの日の夫婦喧嘩は、夫の女性問題を美紀子さんが問い詰めていたと言われています。
いくら濡れ衣とはいえ、飯干昌大が殺人を犯すまで激高した理由は謎です。何か本当に妻に後ろめたいことがあったのでしょうか。
それとももしかしたら、美紀子さんが社員旅行中に不倫の証拠などを見つけてしまい、飯干昌大は追い詰められいたとも考えられます。
しかし、もし夫婦間トラブルなら殺害対象は美紀子さんだけでいいはずで、一家+松岡さんを皆殺しにするといった錯乱ぶりはもはや狂気的です。
飯干昌大は、両親が心配していた通り、精神疾患を発症していた可能性もあるでしょう。
高千穂6人殺人事件のその後
警察の現場検証の結果、第三者が関与した形跡がないことから、事件は飯干昌大による単独犯と結論付けられ、2019年7月、容疑者死亡のまま飯干昌大が殺人容疑で書類送検されました。
そのため、多くの謎を残したまま、「高千穂6人殺人事件」の捜査は打ち切られました。
高千穂6人殺人事件のまとめ
「高千穂6人殺人事件」は、犯人・飯干昌大が逮捕前に自殺しているため犯行動機が不明であるものの、周囲の証言から飯干昌大の被害妄想が原因だった可能性が高い事件です。
事件被害者たちのご冥福を祈りつつ、この記事のまとめを終了させて頂きます。