霊感商法はカルト宗教などが客の不安を煽って高額な商品を買わせる手法で、統一教会は被害総額が1237億円にも上ります。
霊感商法の定義や宗教一覧、事例と霊感商法の事件、関係する法律と合法かどうか、ターゲットや騙される人の特徴をまとめました。
この記事の目次
霊感商法の定義
霊感商法とは、霊感があるかのようにふるまって、先祖の因縁・霊の祟り、悪いカルマなどの話を持ち出して、対象者の不安をあおり、「これを買えば救われる」と言って、印鑑や数珠などを法外な値段で買わせる商法のことです。
警視庁のホームページには、霊感商法は次のように定義されています。
単なるつぼや印鑑・置き物などに、あたかも超自然的な霊力があるように、言葉たくみに思わせて、不当に高い値段で売り込む商法です。
引用:霊感商法 警視庁
霊感商法で扱われる商品には、次のようなものがあります。
・多宝塔
・印鑑
・数珠(念珠)
・表札
・水晶
・お札
また、健康のためと言って、「高麗人参」、「朝鮮人参」、「水」などを法外な値段で買わせるケースもあります。
さらに、霊の祟りを払うための祈祷やセミナーなどで法外なお金を払わせることも、霊感商法の1つとされています。
霊感商法の法律上の定義
霊感商法の法律上の定義を見ていきましょう。霊感商法は消費者契約法4条3項6号で定義されています。
六 当該消費者に対し、霊感その他の合理的に実証することが困難な特別な能力による知見として、そのままでは当該消費者に重大な不利益を与える事態が生ずる旨を示してその不安をあおり、当該消費者契約を締結することにより確実にその重大な不利益を回避することができる旨を告げること。
簡単に言うと、「霊感などの特別な能力で、『このままでは大変なことになる!』と不安を煽り、『これを買えば救われる』と告げて買わせる」ことが霊感商法と言えるでしょう。
霊感商法の事例
警視庁のホームページによると、霊感商法は次のような事例が多いとされています。
「玄関に入ってすぐ悪霊がついているとわかった」
「悪霊がついて次々に不幸なことがおこります。」
「このつぼは悪霊を取り除く力があります。」
「このつぼを飾っておくと、その日から良いことがあります。」
「この印鑑を使うと幸運になります。」
「印鑑を作り替えないと悪いことがおこります。」
「このつぼを毎朝拝めば悪霊が去って幸せになります。」
引用:霊感商法 警視庁
事例①:病気で祈祷
子どもが病気で相談に行ったら、「祈祷したほうが良い。今日が最終期限だ」と言われて、急かされてその場で60万円を振り込んだ。翌日に返金を求めたら、「供養代なので返金できない」と言われた。
事例②:字画が悪くて印鑑
占いに行ったら、運勢が良くないのは名前の字画が良くないからだと言われた。「水晶の印鑑を作って、それを21回押印して、その紙を水に流したら、運勢が良くなる」と言われて、印鑑を作ることを勧められた。その場で印鑑の契約をしてしまった。
事例③:家系を救うために献金&祈祷
友達に誘われて自己啓発系のセミナーに行ったら、あなたの使命はあなたの家系を救うことである。救うためには、あなたや家族の財産を使って献金する必要がある。その献金したお金で祈祷をしてあげよう。そうすれば、あなたの家系は救われて、先祖も救われるだろうし、家系は途絶えることなく、子孫も反映するはずだ。
事例④:印鑑+祈祷のセット
セールスの女性が訪問してきて、「あなたの家には悪霊が取り付いている。」と言われた。セールスの人の話を聞いているうちにだんだん不安になってきて、「うちの特別な印鑑を作れば、悪霊を取り払うことができます」、「運気が良くなります」と言ってきたので、1本10万円する印鑑セットを購入した。
その後、印鑑を受け取った後にセミナーに誘われて参加したら、「あなたの家系が途絶えてしまう。先祖の災いが原因だ」と言われて、その場で祈祷すれば救われると言われた。すぐに数十万円の祈祷料を振り込んでしまった。
事例⑤:水子供養で壺を買う
流産してしまったことを悩んでいて、占いでそのことを相談したら、「水子供養のためには特別な壺を買って、それを毎朝壺に向かって拝むようにする必要がある。」と言われた。その壺は80万円と言われたが、ちょっと悩んでいたら、「あなたは徳が高いから、特別に60万円でお譲りします」と言われた。
その場で60万円を振り込んで壺を買って帰ったら、家族に「それはおかしい」と言われて、返金を求めたけれど、返金してもらえなかった。
霊感商法の宗教一覧
霊感商法を行っている宗教団体は多いですが、刑事事件になったり、民事で訴訟を起こされている宗教団体一覧をご紹介します。
宗教団体名 | 宗教の概要 |
統一教会 (世界平和統一家庭連合) | 1954年に文鮮明によって創設されたキリスト教系の新興宗教。 教祖を文鮮明としていて、反日教義が教えられていることが特徴。 合同結婚式をするなどの特徴がある。 |
明覚寺(本覚寺)グループ | 茨城県大子町で1987年に設立された仏教系の新興宗教。 醍醐寺の末寺でしたが、1988年に真言宗醍醐派を離脱して独自の路線を進んだ。 |
法の華三法行 | 1980年に福永法源によって創始した新興宗教団体。 静岡県富士市に本部を置き、福永法源の「最高ですか~!」という掛け声は有名。 |
神世界 | 神世界は2000年に教祖・斉藤亨によって始められた宗教団体。 形式的には「有限会社」としているが、宗教団体である。 |
天宙聖法真の王国連合 | 天宙聖法真の王国連合は統一教会の分派。 大阪府岸和田市に本部がある宗教団体。 |
摂理 | 摂理は日本では「キリスト教福音宣教会」と呼ばれている宗教団体。 1981年に創設されたキリスト教系の宗教で、統一教会との共通点があると言われている。 |
この宗教団体はあくまでも霊感商法を行っていた有名宗教団体です。これ以外にも霊感商法を行っている宗教団体・怪しいセミナーは、ほかにも大小問わずたくさんあります。
この後に説明しますが、霊感商法と宗教の信仰は線引きが難しいので、似たようなことをしていても、「この宗教団体は霊感商法をしている!」とは断定しにくいことがあるんです。
霊感商法の事件①:統一教会
霊感商法は統一教会の大きな資金源
日本で霊感商法が問題化されたのは、統一教会(現在の世界平和統一家庭連合)のあくどい霊感商法が事件として大きく報じられたからです。
統一教会は1954年に韓国で創設された新興宗教です。教祖の文鮮明は、日本を「サタンの国」として教義を教えていて、日本人の信者だけが韓国のために高い商品や金銭を教団に貢がなければならないとしていました。
日本から送金されるお金が韓国の統一教会の活動資金になっていました。日本から送金されるお金は、日本の統一教会の信者からの献金、さらに霊感商法で得たお金でした。
統一教会の霊感商法の手口
統一教会はもともとは高麗人参や大理石の壺を売っていましたが、それがあまり売れなくなったことで、統一教会の教義を使って、売ろうと考え始めます。そして、協議を使って売るためには、セールストークを体系化し、統一教会の霊感商法の基本トークを作り上げています。
そして、次のような手口で霊感商法を行っていきました。
・案内役の信者と霊能者役の信者がいる
・案内役の信者は霊能者役の信者を「徳の高い先生」として崇める
・「この先生に相談に乗ってもらえるのはラッキー」、「この先生はすべてを見通す霊力を持っている」と話す
このようにして、統一教会は壺・印鑑・多宝塔・朝鮮人参濃縮液などを法外な値段で売りつけていました。
しかも、客がクーリングオフできないように、クーリングオフができる期間中(8日間)に人にこれを購入したことを言うと、不幸な目に遭う、もしくはご利益がなくなると脅していたんです。また、解約しにくくするために、基本的に一括払い以外は認めないようにしていました。
統一教会の霊感商法はマニュアル化されていました。
霊感商法の被害額
統一教会の霊感商法は1984年ごろからたびたびマスコミで報道されるようになりました。
しかし、トカゲのシッポ切りのような形で、統一教会の霊感商法に関係していた会社は設立してわずか2~3年ですぐに解散したため、統一教会全体を取り締まることはできていませんでした。また、統一教会も霊感商法とは関係がないと関連性を否定しています。
しかし、被害総額は1975年から2001年までの25年間で、統一教会関係の霊感商法の被害総額は1100億円を超えていることがわかっています。1100億円・・・。気が遠くなるような金額ですね。
新世事件で摘発!
2009年6月11日、東京都渋谷区にある有限会社新世の社長や幹部の計5名が警視庁公安部に特定商取引法違反の疑いで逮捕されました。
この新世は2007年から2009年の間に、女性5人に対して、霊感商法を行い、印鑑13本を売りつけたとされています。この有限会社新世は、統一教会(当時の世界基督教統一神霊協会・現在の世界平和統一家庭連合)と深いかかわりがあることが分かったため、統一教会は家宅捜索を受けています。
さらに、逮捕された社長や取締役は執行猶予付き+罰金の実刑判決を受け、新世は罰金800万円の判決となりました。
これまでも、統一教会関連の会社が霊感商法で告発することはありましたが、統一教会にまで捜査の手が及ぶことはありませんでした。
しかし、この新世事件では、裁判でこの霊感商法と統一教会の関係が認定されました。
秋葉裁判長はその手口を「巧妙で悪質」と指摘。これが統一協会の「信仰と混然一体となっているマニュアル」をもとに「統一協会の信者を増やすことをも目的」として行われたものであり、「相当高度な組織性が認められる継続的犯行」だと認定しました。
また、霊感商法で初めて懲役刑の実刑判決が言い渡された事件でもあります。この事件によって、霊感商法・統一教会への潮目が変わったと言われています。
霊感商法の判決言い渡しの間、統一協会の集団結婚(合同結婚)メンバーでもある被告弁護人は、天を仰ぎ額に手をやり、ぶ然とした表情。統一協会側はこれまで、同種の犯罪では略式の罰金刑に応じることで背後関係の追及をかわしてきました。その壁が突破され、霊感商法との一体性にまで踏み込まれたのがこの日の判決でした。
しかし、この新世事件以降も統一教会は霊感商法を続けていて、2021年までの統一教会関係の霊感商法での被害総額は1237億円となっています。
霊感商法の事件②:明覚寺(本覚寺)グループ
出典:excite.co.jp
霊感商法の事件の2つ目は明覚寺(本覚寺)グループによる事件です。
宗教法人のビジネスを思いつく
1984年に西川という男性が千葉県野田市に水子菩薩を扱う訪問販売会社を設立しました。その後は地元の曹洞宗のお寺に協力する形で商売を展開していました。この時に、宗教関連のビジネスが儲かることを知ったようで、僧侶ではないのに宗教法人を立ち上げることを決意します。
そして、その西川は1987年に醍醐寺の末寺として、茨城県大子町に宗教法人「本覚寺」を設立し、関東一円で霊感商法を行います。
本覚寺の霊感商法の手口
本覚寺の霊感商法は、新聞のチラシや信者が配るチラシで人を集め、「相談料3,000円」と入り口を安く設定していました。最初の相談で、「水子の霊がついている」、「このままでは不幸になる」と脅し、「浄霊修法会」と呼ばれるセミナーに参加させました。
このセミナーでは参加者に家系図を持ってこさせて、「この人の霊が災いを引き起こしている。供養が必要だ」と主張し、供養のためには数百万円が必要であると主張しました。高額な供養料を払うことを躊躇している人には長時間説得し、借金をしてでも支払うように要求しています。
この霊感商法は最初は3,000円と安い相談料だったのに、そこから一気に数百万円を搾り取るという効率の良い流れになっていて、数年で数億円を荒稼ぎしています。しかし、こんな霊感商法を続けていると、当然ながら、消費者センターなどに苦情が寄せられ、本覚寺は活動を休止せざるを得なくなりました。
関西で活動するも逮捕・解散
そこで、西川は大子町の本覚寺を捨てて、関西に拠点を移すことを思いつきます。休眠状態だった和歌山県の明覚寺を買収して、そこを拠点に関西地区で同じような霊感商法を行うようになりました。しかし、関西でも同じように苦情が寄せられて、損害賠償請求が相次ぐようになります。
名古屋市にある系列の満願寺の僧侶が逮捕され、1999年には宗教法人を管轄する文化庁から違法性が認められるとして解散要求が出て、和歌山地裁が2002年1月に明覚寺に対して解散命令を出しています。
この宗教法人の明覚寺は、オウム真理教に次いで「犯罪を理由に宗教法人解散」の2例目になっています。
霊感商法の事件③:法の華三法行
法の華三法行は足裏診断を用いて、霊感商法を行っていました。法の華三法行は、福永法源を教祖とする新興宗教です。最初は自己啓発セミナーとして活動していましたが、1987年に宗教法人の認可を受け、富士市に拠点を作り、教団を拡大していきました。
法の華三法行の霊感商法の手口
法の華三法行は病院の前など弱っている人がいそうなところを狙って、福永法源の著書やパンフレットを配り、セミナーに客を勧誘していきます。そして、藁にもすがる思いでセミナーに参加した人たちに足裏診断をしました。
この足裏診断は「足の裏を見ればその人の健康状態から仕事の悩み・家庭の悩みなど全てが判る」としたもので、この足裏診断で次のようなことを告げて、対象者の不安を煽ります。
・「今のままでは命を取られる」
・「このままではがんになる」
・「前世の悪い因縁でがんになる」
・「ノイローゼになる」
そして、「この問題を解決するためには研修に参加しなさい。研修に参加すれば大丈夫」と告げて、強制的に研修に参加させます。この研修は4泊5日で225万円という超高額なものでしたが、足裏診断で不安になった人にその場で支払うように促し、考える時間を与えませんでした。
研修では食事をほとんど与えず、睡眠時間も取らせないことで、心身ともに追い込みます。そして、極限状態に追い込み、「最高ですか!」、「最高です!」という単純で気分が高揚するようなスローガンを繰り返し叫ばせることで、マインドコントロールしていきます。
研修終了後には福永法源の「天声」が出たとして、数百万円~数千万円の高額商品を購入するように強制し、お金を搾り取られるのです。
霊感商法での被害総額は1000億円!
この霊感商法で、法の華三法行は1000億円をだまし取ったとされています。また、詐欺行為であるとして、2000年5月に福永法源と法の華三法行の幹部は逮捕され、福永法源は懲役12年の実刑判決を受けています。また、法の華三法行は2003年に解散しました。
しかし、福永法源は出所後に、法の華三法行の後継団体である「よろこび家族の和=天華の救済」で復活祭を行い、自身の映画にも出演しています。
霊感商法の事件④:神世界
霊感商法の事件の4つ目は、神世界事件です。神世界は2000年に教祖の斉藤亨が立ち上げた宗教団体です。もともとは教祖の父親が千手観音教会という新興宗教を立ち上げ、そこの事業部が独立するという形だったので、神世界は宗教法人ではなく、有限会社でした。
ただ、中身は霊感商法を行う宗教団体でした。
神世界の特徴は傘下企業をたくさん作り、組織の実態をわかりにくくすることと、宗教色をできるだけ消したことです。神世界は有限会社ですが、その傘下にたくさんの有限会社を作って、それぞれにヒーリングサロンを運営させて、霊感商法を行っていました。
そして、高級マンションや高級住宅街にヒーリングサロンを作り、最初は「体験ヒーリング1,000円」と安くして客を集め、雑談していく中でマインドコントロールをしていきます。そして、客からの信用を得たところで、高額な宗教アイテムやライセンスなどを売りつけるのです。
さらに、祈祷を繰り返し行い、法外な祈祷代を請求してきました。神世界は数千人から100億円を集めだまし取っていました。
2011年には教祖の斉藤亨や幹部に逮捕状が出ますが、教祖は約1ヶ月の逃亡生活を送ったのちに逮捕されています。この神世界には、現役の神奈川県警の警視や北海道大学の准教授が関係していて、「社会的地位が高い人たちが勧めるものなら・・・」と霊感商法の被害が増大した要因の1つとなっています。
霊感商法の事件⑤:天宙聖法真の王国連合
天宙統一真の王国連合は統一教会から分裂して、中山芳子という女性が創設した新興宗教です。「統一教会から分裂した」というだけで、霊感商法の臭いがプンプンしてきます。
天宙統一真の王国連合はサラ金周りの霊感商法をしていました。信者に宗教団体であることを隠して、「いい話が聞けるところがある」と勧誘させていました。
兵庫県内の女性は孫の病気・健康状態に不安を感じていたところ、同僚の女性に「相談できるところがある」と声をかけられて、天宙統一真の王国連合の支部に行きます。そうすると、そこで「先祖が因縁で苦しんでいる」と言われて、これからも勉強に通うように言われました。
そして、修行の一環と称して、その女性を消費者金融に回らせて、7社から合計245万円を借りさせて、それを全部天宙統一真の王国連合に渡すように強制させられました。
この女性は天宙統一真の王国連合と信者3人に対して、約1100万円の損害賠償をもとめて提訴しています。
天宙統一真の王国連合は教団に献金させるために、信者たちにサラ金周りを強制していました。教団では、サラ金周りのことを「サタン血統根絶」と呼んでいて、信者に強制しました。
もし、信者が「いやだ」、「やらない」と言っても、
・それはサタンが言わせている
・今サタンを絶たないと、生まれ変わりのない地獄に落ちる
と長時間かけて説得・脅迫し、信者に無理やりやらせています。
提訴に対して、天宙統一真の王国連合は「サラ金周りはやらせたが、人が嫌がることをして、思い煩いを除去する修行だった。強制はしていない」と反論していました。
霊感商法の事件⑥:摂理
摂理の正式名称は「キリスト教福音宣教会」です。1981年3月に韓国で鄭明析が設立し、その後何回か名前が変わって「キリスト教福音宣教会」となりました。
摂理の特徴は大学のサークルと称して、大学生をどんどん勧誘していることです。また、SNSなどを用いて、学生を勧誘していました。有名大学も摂理の存在を問題視しています。
脱会者からは、摂理がバレーボールやサッカーなどのスポーツサークル、ゴスペルサークル、就職活動を支援する団体などの多数の団体を作り、その団体が摂理への勧誘のためのものであることを隠して参加させるといった手法、ツイッター等のSNSを利用した手法などを用いて、正体を隠した勧誘を継続的に行っているとの報告があります
摂理は、信者からむしり取るように献金させています。献金しない人には「霊肉共に貧乏になる」、「献金しないと信仰心がない」と脅すようにして、ほぼ強制的に献金をさせていました。
そして献金しない人には面談が入り献金教育が始まり、献金をしないと霊肉共に貧乏になると脅されます。
学生なんかでは、お金がなくて、昼食を抜いて、夜もまともに食べられないで献金させられる
この摂理はちょっと変わったタイプの霊感商法と言えるかもしれません。
ちなみに、摂理は教祖の鄭明析は、女性信者への性的暴行が問題となっていて、強姦・準強姦の罪で懲役10年の実刑判決を受けています。
霊感商法の統一教会系の事例一覧
統一教会関連の霊感商法の事件を一覧にしてまとめました。
■1977年1月
高麗人参液が病気に効く・血液を浄化すると称して、高額で売りつけた
■1978年12月
高麗人参茶を病気に効くと言って高額で売りつけた
■1984年12月
「悪霊のために不幸が続いている。これは、あなたが堕ろした子どもや病死した夫が成仏できずに苦しんでいるからだ」と脅して、1200万円を支払わせた。
■1988年8月
霊感商法で壺や多宝塔を買わせていた団体が統一教会の霊感商法被害者の弁護団を誹謗中傷するチラシを配った
■2001年
元信者10人が霊感商法で2億6000万円をだまし取られたとして損害賠償の裁判を起こした。裁判では統一教会に約1億6000万円の支払いを命じた。
■2007年10月~12月
「家庭運が悪い。特別な印鑑を買えば運勢は上がる」と言って、長時間印鑑を買わせようとした
■2008年2月
「運気が悪い」など客の不安を煽って、「運気を良くするため」として高額の印鑑を売った
■2008年11月~2009年3月
新潟市で「不幸が来る」などと不安を煽って、水晶の購入契約を結ばせた
■2008年12月~2009年5月:「先祖の霊があなたの人生を悪くしている」、「購入しなければ地獄に落ちる」と客を不安にさせて、水晶の玉や彫刻など600万円以上の商品を買わせた。
■2009年
新世事件
■2009年9月~10月
「息子の命が取られるかもしれない」と不安にさせて印鑑を買わせた
■2009年10月~11月
「運命を変えるためには印鑑を作らなければいけない」と不安にさせて印鑑を買わせた
■2010年1月~2月
「先祖の災いで家系が絶えてしまう。印鑑を作れば守られる」として印鑑セットを購入させた。
■2010年7月:夫のがん再発で精神的に弱っている女性に「先祖の協助で病気が良くなる。鑑定をしてあげる」と言って、念珠の購入させようとした。
これらの統一教会の霊感商法の事件はごく一部。氷山の一角と思われます。統一教会の霊感商法の被害総額は1237億円!被害者は約32,000人ですから、本当に上記事件は本当にごく一部でしょう。
霊感商法は法律では合法?
霊感商法は民事で訴えることができても、刑事事件で逮捕されたケースは少ないです。なぜ、1237億円もの被害を出した統一教会は、いまだに宗教活動をしています。これは、霊感商法は完全に違法であると証明するのは難しいからです。
霊感商法は全部が違法というわけではない
霊感商法のような手口は、全部が違法というわけではありません。例えば、次のような場合は完全に霊感商法とは言えないのです。
・不安を煽らない
・支払金額は法外とは言えない
霊感商法と宗教への信仰の線引きはとても難しいんです。宗教団体から「しつこく進めていません」、「不安を煽っているわけではありません」、「そこまで法外な値段ではないかも」という主張をされたら、このビジネスは霊感商法と断定することは難しくなります。
詐欺罪での立件が難しい
霊感商法は、詐欺罪での立件は非常に難しいのが現実です。霊感商法は霊感があるかのように振舞って、客の不安を煽り、法外な商品を買わせる商法です。一方で、詐欺は嘘をついて相手をだます罪です。
霊感商法は霊感があるかのように振舞って、非科学的な話から相手に商品を買わせるのですが、宗教は根本が非科学的な精神世界の話になるので、「霊感があるかのように振舞う」が嘘なのか、本当なのかをはっきりと証明するのは難しいのです。
ここを完全に否定して、全部を詐欺罪として立件してしまうと、宗教・信仰を否定することになってしまいます。
しかし、このような霊感商法がただちに詐欺罪に該当するのかといえば、そこには信教の自由の問題があって単純に線引きできるものではない。詐欺とは、嘘を言って相手をだますことが前提であるが、宗教上の教義は自然科学とは異なった別次元の話であるし、たとえば霊魂の存在にしても、そのような考え(教義)の真偽を物質的世界の問題として判定することができないからである。
今までに詐欺罪で立件できた霊感商法は、法の華三法行や神世界だけです。統一教会は詐欺罪では告訴されていません。1239億円も霊感商法で稼いでおきながら、詐欺罪は適用できない。それだけ、霊感商法は難しく、微妙な立ち位置のものであると言えるのです。
消費者を守る法律はある
霊感商法は詐欺罪などの刑事事件で告訴することは難しいのが実情です。特定商取引法違反で逮捕するのがギリギリと言ったところです。
刑法では霊感商法を撲滅するのは難しい。でも、被害者を守るための法律はあります。消費者契約法の第4条で、霊感商法は消費者がいつでも取り消すことができると定めています。
第四条 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次の各号に掲げる行為をしたことにより当該各号に定める誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。
六 当該消費者に対し、霊感その他の合理的に実証することが困難な特別な能力による知見として、そのままでは当該消費者に重大な不利益を与える事態が生ずる旨を示してその不安をあおり、当該消費者契約を締結することにより確実にその重大な不利益を回避することができる旨を告げること。
2022年7月19日には、若宮健嗣内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全、クールジャパン戦略、知的財産戦略)も霊感商法は契約を取り消せると述べています。
「不安をあおるようなことを言われてもきっぱりとお断りしてほしい。霊感商法など、不当な勧誘があった場合には契約を取り消すことができる場合もある」
引用:若宮消費者担当大臣「霊感商法の契約は取り消せる場合も」「あやしいと感じたら188(いやや)に電話を」(オルタナ) – Yahoo!ニュース
霊感商法の被害にあったら、まずは自分の身を守るようにするしかありません。
霊感商法のターゲット・騙される人の特徴
霊感商法のターゲットにされる人、だまされる人は、どのような特徴があるのでしょうか?霊感商法のターゲット・騙される人の特徴を見ていきましょう。
入学したばかりの大学生
霊感商法のターゲットにされやすいのは、入学したばかりの大学生です。これは、霊感商法だけでなく、カルト宗教にも当てはまることです。
入学したばかりの大学生は、まだ友人も少ないです。しかも、東京の大学なら、上京してきたばかり・ひとり暮らしを始めたばかりの人も多く、近くに相談できる人がいないのです。
入学したばかりの大学生は、ひとり暮らしの不安・大学生活の不安・大学生活での人間関係の不安など、いろいろな悩みを抱えています。だから、心の隙間に宗教が入り込みやすく、社会経験が少ないので、だましやすいとされています。
サークル活動を装って、セミナーなどに勧誘し、霊感商法につなげるというのは、カルト宗教のありがちなやり口です。
本人や家族が病気の人
霊感商法に騙されやすいのは、本人や家族が病気の人です。霊感商法で総額1000億円近くもだまし取っていた法の華三法行は、病院の前で待ち構えていて、病院から出てきた人たちに福永法源の著書を配っていました。
自分が病気の人も家族が病気の人も、「何とか治したい」と思うものです。藁にもすがる思いで、何かにすがりたいと思う人も多いです。
そんな人たちに「先祖の悪霊が・・・」とか、「名前の字画が悪いから・・・」のように言ったら、数十万円の印鑑で治る可能性があるのなら、買ってしまおうと思うかもしれません。冷静な時は、「そんなものに騙されるはずがない」と思うものですが、追い詰められた時には騙される人は多いでしょう。
むしろ、自分の心を少しでも平穏に保つために、騙されているとわかっていながらも、気づかないふりをして、霊感商法に騙される人もいるかもしれません。
そのほか悩みがある人
そのほか、何か不安に思っていたり、悩み事がある人も同じように霊感商法のターゲットになりやすく、騙されやすい人と言えるでしょう。
要は心に隙間がある人、心が弱っている人は、霊感商法のターゲットになりやすいのです。
霊感商法の人たちは、あなたが最初に相談に行った時から、あなたを観察していて、もう一度来る時までにあなたの家庭環境や悩みなどを徹底的に調べ上げて、次の時にあなたの悩みをズバリ言い当てたように見せかけます。そして、あなたの信頼を勝ち取っていきます。
誰だって心に隙間があるし、心が弱っていることはあります。そんな時には、宗教に頼るのは全く問題ありません。きちんとした正しい宗教に頼るのは良いのですが、霊感商法をやっているような怪しいカルト宗教は絶対にNGです。
ただ、心が弱っている時にちゃんとした宗教か、カルト宗教かを見分けるのは難しいです。だから、信頼できる周りの人たちの意見に耳を傾けるようにしましょう。
霊感商法のまとめ
霊感商法の定義や霊感商法をやっていた宗教団体一覧、事例や事件、法律で合法なのかどうか、ターゲットになりやすい人や騙される人などをまとめました。
霊感商法は現在でも、年間で数億円の被害額があるとされています。気づかないうちに、あなたの近くに霊感商法はあるかもしれませんので、騙されないように気を付けましょう。