NHK貧困女子うららさんは、2016年8月18日に「NHKニュース7」にて放送された現代の貧困に悩む女子高生として登場しました。
この記事では、NHK貧困女子うららさんの炎上騒動をまとめています。
NHK貧困女子うららさんとは
NHK貧困女子うららさん。
2016年8月18日に「NHKニュース7」で放映された子供の貧困をテーマにした特集で登場。
番組内では、金銭事情のために進学(専門学校への)に悩む貧困女子うららさんの生活事情が放送されました。
彼女は母子家庭で、アルバイトのお母さんと暮らしており、家にはエアコンがありません。イラストレーターの道に進むのが夢ですが、進学費用の50万円が出せない事に悩んでいます。
その他にも、貧困状態を示すような内容が……。
キーボードのみのタイピング練習。
お金がないために本体はなく1000円程度のキーボードのみ。
保冷剤で夏を乗り切る貧困女子うららさん。
冷房がないから保冷剤を利用して暑さをしのぎます。
(なお2016年9月現在、NHK貧困女子のうららさんについての情報は公式HPでは確認できませんでした。)
NHK貧困女子うららさん炎上騒動の流れ
炎上が始まったのは、放送開始直後?!
金銭的な問題のために進学を諦め、キーボードのみでタイピングの練習をし、酷暑の夏を保冷剤で過ごす……そんな貧困女子うららさんの状況が放送された「NHKニュース7」。
しかし、ネットではその放送開始直後から、疑問が呈されていました。
それは、番組内で映った貧困女子うららさんの部屋の様子から。
放送直後から猛批判が始まった。ほんの数分映ったA子さんの自宅の様子から「アニメグッズが部屋にたくさんある」「エアコンのようなものが映っている」「2万円相当の高価なペンセットがあった」などと“アラ探し”が始まった。
貧困女子うららさんの家での様子。
机の上には、コピックペンがズラリと並んでいます。これはイラストを描く際に使われるもの。
※うららさんは、イラストレーター志望。
家の中には、多くのアニメグッズ。
人気漫画ワンピースのグッズが多いですね。
こういったものを買うお金はあるのに……といった見方をされるようです。
本人のTwitterが特定され、炎上騒動に
「NHKニュース7」放送中も、違和感が感じられた貧困女子うららさん。さらなら炎上騒動につながったのは本人のTwitterを特定され、そこにおける”つぶやき”での言動が「本当に貧困なのか?」という疑問につながってしまったためです。
「イントレランスの祭」という舞台を観劇。
チケット料金7800円(U25ならば、特別料金¥4300も有:イントレランスの祭より)
ワンピースグッズで散財。
アニメ・漫画グッズを複数購入しています。
1000円以上のランチも。
それ以外にも、同じ映画を複数回見にいく、パソコンからのTwitter投稿疑惑なども指摘されていました。
翌日(19日)になり該当女子高生のTwitterが発覚。それにはワンピースの映画を見に行っていることだけでなく、5回も見ていることもツイートされている。
そのツイート内容は「新宿バルト9大ヒット御礼舞台挨拶行ってきました!GOLDを観るのは5回目でしたが何回観ても最高です!!!」と書かれており、キーボードだけしか買えない貧困層とはかけ離れている。
また一部のツイートはパソコンから投稿されており、放送での「パソコンを持っていない」というのも疑わしくなっている。そもそもどうやって絵をスキャンして取り込んだのかも疑問である。
本人と見られる悪態ツイートもあり。
NHK貧困女子うららさんの関係者も登場!?
NHK貧困女子うららさんを巡る炎上騒動では、本人に近しいと思われる関係者も登場しています。
NHK貧困女子うららさんの同校生の暴露ツイート?
高校名や本名の暴露もありました。(本名)
貧困女子うららさんのお姉さんも登場。
うららさんのお姉さんは、そこまで困窮している様子はなく、高価なものは全て自分が買ったと主張。
また家の住所も割れてしまい、不安を訴えています。
その後も炎上してしまったために家族会議をしたという旨のツイートがありましたが、現在アカウントは非公開となっています。
これらの情報が拡散されてしまい、ネットではさらなる炎上騒動になりました。
貧困女子うららさんに対するNHKの対応とは?
一説にはNHK貧困女子うららさんのヤラセ疑惑まで出た炎上騒動、この件についてのNHKの対応はどんなものだったのでしょうか。
まず片山さつき議員がNHKに「貧困女子うらら」さんに疑問を感じ質問をしたところ、返ってきた回答がこちら。
本日NHKから、18日7時のニュース子どもの貧困関連報道について説明をお聞きしました。NHKの公表ご了解の点は「本件を貧困の典型例として取り上げたのではなく、経済的理由で進学を諦めなくてはいけないということを女子高生本人が実名と顔を出して語ったことが伝えたかった。」だそうです。
— 片山さつき (@katayama_s) 2016年8月23日
2016年9月の週刊誌「女性セブン」より。
今回の一件についてNHKに尋ねたが、以下、文書での回答のみだった。
《このニュースは、食べるものがないというレベルの貧困ではなくても、経済的困窮によって、高校生が希望する進路をあきらめざるをえない現実があるということを、当事者の高校生自身が、神奈川県が主催するフォーラムで語ったということを中心にお伝えしたものです。取材の過程や個別の対応についてはお答えしていませんが、放送内容は、すべて事実に基づくものです》
J−CASTニュースより。
広報局は、
「この企画ニュースは、食べるものもないというレベルの貧困でなくても、経済的困窮によって、高校生が希望する進路をあきらめざるをえない現実があるということを、当事者の女子高生自身が、神奈川県が主催するフォーラムで語ったということを中心にお伝えしたものです。クーラーがない事を含め、放送内容は事実に基づいています」
ということだった。
NHK側としては、「放送内容は事実である」と一貫して主張しています。
NHK貧困女子うららさん騒動の真相とは?
いろいろと物議を醸しているNHK貧困女子うららさん。彼女がNHKに取り上げられるきっかけともなったのは、神奈川県の主催イベント「かながわ子どもの貧困フォーラム&ワークショップ」に登壇したことからでした。
実際に神奈川県にも若い人だけではなくお年寄りからの苦情も多く寄せられたと言います。これらの炎上に対して、このイベントの担当者は以下のよう発言しています。
イベントを主催した同県子ども家庭課の小島厚課長は「ショッキングだ。勇気を振り絞って話した生徒への個人攻撃だけはやめてほしい。食べるものや着るものがあるとしても、修学旅行や部活の遠征に行けなかったり、進学をあきらめたりする『相対的貧困』の見えにくさを考えようというイベントだった。まさに見えにくさゆえに誤解が広がってしまった」と話した。
神奈川県の担当者が「見えにくい」と称した「相対的貧困」、NHK貧困女子うららさんは、それであると言われています。
相対的貧困とは?
まず貧困には、”絶対的貧困”と”相対的貧困”があります。
「食べるものがない」「住む場所がない」などすぐさま生命にかかわるような貧困は「絶対的貧困」と呼ばれる。一方で「相対的貧困」とは社会で標準的な生活を送れないことを指す。
そして日本では、相対的貧困の方を貧困の目安として捉えているようです。
日本などの先進国では、この「相対的貧困」を貧困の指針としており、日本の場合、単身で年間122万円以下、2人世帯で173万円以下、4人世帯で244万円以下で生活している人を貧困状態にあるととらえられているが、その判断は難しい。
相対的貧困率の状態は、厚生労働省の調査分析結果が出ています。
関連する内容をピックアップすると、
・相対的貧困率の調査では、全体で16.1%(2012年)
・大人一人・子供の家庭(いわゆるシングルマザー・ファザー)は、54.6%
子供の貧困率については少し前の数値ですが、約14%といわれ世界的に見ても貧困率が高いといわれています。
日本の子どもの貧困率が約 14%と推計さ れていることは、教育関係者にはよく知ら れた事実である(経済協力開発機構〔OECD〕 推計、2004 年値)。
子供の貧困率。
図表に中に出てくる再分配前・再分配後とは、国の制度(税制や社会保険等)を通じてお金を再分配し、貧富の差をなくそうという経済政策の前後という意味合いです。再分配後は、ほとんどの国での子供の貧困率が下がっているのに関わらず、日本では微上昇。これが示すことは、いうまでもありません。
今回、NHK貧困女子うららさん問題の炎上がありましたが、その影にはこういった国の政策・あり方を批判するような記事も多くみかけます。
・片山さつき議員の「子どもの貧困」報道批判は、政治家の恥さらし
貧困の定義とは?
NHK貧困女子うららさんの炎上問題は、果ては国の政策まで取り上げられる自体にまで発展していました。
無関係な話とは言いませんが、今回NHK貧困女子のうららさんが炎上した背景には「貧困女子」として出てきたために、そのギャップを違和感に取られてしまったことが原因ではないでしょうか。
産経新聞の前衆議院議員の杉田水脈さんのコラムの中で、気になるものがありました。8月にこの貧困女子うららさんに関連してデモが行われ、その中の参加者が言っていたセリフです。
私は彼らの主張の中で「貧困かどうかは自分たちで決める」という台詞に引っ掛かりました。
趣味にどれだけお金を使おうが、豪華なランチを食べようが、「そんなの貧困じゃない」と他人に言われたくない。「貧困かどうかは自分が決める」。つまり「絶対的貧困」ではなく「相対的貧困」を訴えているのです。「友達がブランド物のバッグを持っているのに自分は買えない。だから、貧困。なんとかして!」というわけです。
確かに何を基準に、「相対的貧困」とするのかという論議はとても難しいです。今回ネット炎上につながったのは「貧困かどうか」の基準が貧困女子うららさんに対して、当てはまらなかったという見方ができますね。
まとめ
貧困女子うららさんが炎上したきっかけともなった事柄はすでにご紹介してきた通りで、「そういうのに使えるお金はあるんだな」とも単純に感じてしまいます。普通の感覚ならば、そこを節約して、進学のためのお金の捻出をと感じる人も多いと思います。
だからこそ炎上騒動にもなりましたが、貧困であるがゆえの苦悩は、”ものを買えない”、”進学断念せざるをえない”といったような物理的な問題だけではないはずです。
ストレス・精神状態などを含め、子供ならば、なお影響を受けやすいのではないでしょうか。
下記引用記事は熊本地震にまつわる不謹慎狩りに対して、情報を受け取る側のリテラシーに対する提言です。
気をつけるべきことは、発言や情報の背景をきちんと把握することだ。現実社会においては、言葉の断片だけが評価されることはほとんどない。その言葉が使われた時と場所、発言者の背景や考え方、これまでの行動などの”コンテキスト”を把握した上で言葉を解している。
今回はこれが制作側にも言えるかもしれませんね。
「NHKニュース7」は午後7時からの30分番組で、世はオリンピック期間でレスリングの3階級金メダルを達成した翌日の放送でした。
では問題となっている「貧困女子」にはどれほどの時間が割かれていたのでしょう。30分番組であることを踏まえても、この根深い貧困問題にそんなに多くの時間を割いたとは言えないのではないでしょうか。