2012年4月に発生した亀岡市暴走死亡事故は、無免許運転の18歳少年が児童2名と保護者1名を轢き殺した凄惨な交通死亡事故です。
この記事では亀岡市暴走死亡事故の詳細、加害者の少年についてや被害者遺族への誹謗中傷、裁判での判決やその後や現在などについてまとめました。
この記事の目次
亀岡市暴走死亡事故の詳細① 事故の概要
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「亀岡市暴走死亡事故」は、2012年4月23日の朝に、京都府亀岡市篠町の京都府道402号王子並河線で発生した交通死亡事故です。
集団登校中だった亀岡市立安詳小学校の児童らの列に、当時18歳の少年が運転する軽自動車が突っ込み、児童10名と最後尾を歩いていた引率者の保護者1名(松村幸姫さん当時26歳)がはねられました。
被害者10名のうち、児童2名(小学2年生と3年生の女児)と引率していた松村幸姫さんが亡くなり、他の児童8名も重軽傷を負いました。被害者の松村幸姫さんは妊娠しており、お腹の子供もこの事故で亡くなりました。
なお、この事故は「亀岡市登校中児童ら交通事故死事件」、「京都・亀岡暴走事故」、「京都・亀岡集団登校事故」などの名称でも呼ばれています。
亀岡市暴走死亡事故の詳細② 加害者は無免許の18歳の非行少年
その後の警察の調べで、軽自動車を運転していた18歳の少年は無免許で、これまでにも無免許での運転を繰り返していた事がわかりました。さらに、事故の約2年前からは暴走族に所属し、やはり無免許でバイクでの暴走運転も行うなど非行少年だった事も判明しました。(事故以前にも無免許運転で複数回逮捕歴あり)
加害者の少年は、事故前日の4月22日の午前0時頃から、友人に借り受けた軽自動車を運転しており、複数人の友人を乗せて京都市内と亀岡市内を30時間以上ドライブし、疲労して居眠り運転をして事故を起こしていました。
亀岡市暴走死亡事故の詳細③ その後の逮捕者は運転者を入れて6人に
京都府警亀岡警察署は、軽自動車を運転していた加害者の少年を自動車運転過失致死傷、道路交通法違反(無免許)の容疑で逮捕し、軽自動車に同乗していた別の少年2名(当時18歳と19歳)も無免許運転幇助の容疑で逮捕しています。
さらにその後、防犯カメラの映像から事故の前にこの軽自動車を無免許で運転していた事が判明した別の少年2名が道路交通法違反(無免許運転)容疑で逮捕され、軽自動車を加害者少年に無免許と知りながら貸した少年1名も無免許運転幇助の容疑で逮捕されています。
この事故に関連した逮捕者は運転していた加害者少年を入れて6名に上りました。
亀岡市暴走死亡事故の加害者少年の実名や顔写真
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亀岡市暴走死亡事故の加害者は18歳の少年だったため詳しい情報は公開されませんでしたが、インターネット上では実名や顔写真などが特定されています。
この加害者少年の実名が特定されたのは、事故後に一部マスコミが、モザイク処理した上でこの少年の「mixi」のアカウント画面を紹介したのが原因でした。
この情報を手がかりに、運転者の少年と同乗者2名の加害者らはネットですぐに特定されました。現在も少し検索すれば加害者らの情報はかなり詳しく知る事が可能です。
9年前の今日は本当に最悪な日でした。遺族の辛さは未だに想像できません。
— 宮本教官 (@miyamoto_wkspo) April 23, 2021
トロール?AFK?ヌーブ?
いやいや、ホントに死んだ方がいいのはこいつら#伊津和真#山下連#今西寿希也 pic.twitter.com/obBcQsCC63
亀岡市暴走死亡事故の被害者の遺族がネットで誹謗中傷被害に
この亀岡市暴走死亡事故では、被害者の松村幸姫さんの遺族が、インターネット上でいわれのない誹謗中傷に遭う被害も起きています。
被害者の松村幸姫さんの父親の中江美則さんは、事故後に遺族代表のような立場でマスコミへの出演や支援を募る活動を行ってきましたが、その中江美則さんの見た目の印象などを理由に、ネットの匿名掲示板(5ちゃんねるなど)や「Yourpedia」などで、「暴力団関係者」、「元暴走族」、「過去に逮捕歴がある」、「娘の事故死を利用して金儲けをしている」などの事実無根の誹謗中傷が大量に書き込まれました。
中江美則さんは、この誹謗中傷の書き込みについて、2013年7月に京都府警に告訴し、その後、被害者遺族に対する名誉毀損の疑いで、福島県内に住む当時15歳の高校1年生の少年が書類送検されています。
京都府亀岡市で集団登校中の児童ら10人が軽乗用車にはねられ死傷した事故で、インターネットサイトに犠牲者遺族を中傷する書き込みをしたとして、府警南丹署が、福島県内の高校1年の男子生徒(15)を名誉毀損きそんの疑いで書類送検していたことがわかった。
中江美則さんは、こうした誹謗中傷被害にあったのが原因で、家族(娘婿や孫)との関係が壊れたり、仕事の下請けから干されたりといった実害も受けられたそうです。
事故後、中江さんは暴力団関係者だという風評のせいで、下請けとしての仕事から干されてしまっていた。ネット上でそのような噂を流す者がいたのだ。
引用:暴力団組長が僕に言ったこと、高倉健に救われたこと…3人死亡・7人重軽症「京都・亀岡暴走事故」で娘を亡くした父親の告白(後編)
警察が勝手に被害者遺族の個人情報を漏洩させ警察署長が土下座
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被害者遺族である中江美則さんがこうしたいわれのない誹謗中傷被害を受けるきっかけは、事故発生時に、京都府警の関係者が加害者の家族に勝手に被害者遺族の個人情報を漏らしたのが遠因となったとの見方もあります。
事故発生後、被害者の松村幸姫さんの携帯電話に、加害者の少年の父親が「線香を上げさせて欲しい」と突然電話をかけてきたのだそうです。遺族の中江美則さんが「なぜ娘の携帯電話番号を知っているのか?」と尋ねると、加害者の父親は「警察に教えてもらった」と明かし、警察が無断で被害者や遺族の個人情報を加害者の家族に教えていた事がわかりました。
当然ながら、中江美則さんら遺族は警察に抗議。警察署長が直接出向いて謝罪していますが、この時に警察署長が勝手に土下座をしたシーンをマスコミがテレビなどで流してしまい、まるで中江美則さんが警察署長に土下座を強要させているような印象を与えました。
この事が、中江美則さんが「暴力団関係者だ」などという事実無根の誹謗中傷につながった部分もあったようです。
中江さんの個人情報を洩らしたことで、当時、地元の警察署長が土下座をしたという一件のことである。中江さんが土下座を求めたわけではないのだが、強制させたと誤解されてしまい、世間のバッシングを浴びることになった。それどころか中江さん自身が「暴力団関係者だ」とも中傷された。
引用:暴力団組長が僕に言ったこと、高倉健に救われたこと…3人死亡・7人重軽症「京都・亀岡暴走事故」で娘を亡くした父親の告白(後編)
亀岡市暴走死亡事故の加害者少年の裁判と判決
亀岡市暴走死亡事故の加害者の少年は「自動車運転過失致死傷」の罪で起訴されました。
京都地方裁判所での第1審では、検察側の懲役5年から10年の不定期刑の求刑に対し、懲役5年以上8年以下の不定期刑の判決が言い渡されています。
被害者遺族と検察側は、量刑が軽すぎるとしてこの判決を控訴、一方の加害者側も判決を不服(こちらは量刑が重すぎるとして)として控訴しています。
その後、大阪高等裁判所で開かれた控訴審で、「懲役5年以上9年以下の不定期刑」の判決が言い渡され確定しています。
この裁判時、被害者遺族らは、より量刑の重い「危険運転致死傷罪」の適用を求めて、署名活動などを行っていました。
しかし、検察は「無免許運転」が危険運転致死傷罪の成立要件に含まれない事(当時)、加害者の少年が事故以前から無免許運転を繰り返していたため、運転技術はあったと判断された事などを理由に、危険運転致死傷罪での起訴を断念しています。(危険運転致死傷罪が成立する要件に「未熟な運転技術」という内容があった)
運転者の加害者少年以外に起訴された2人の少年の裁判での判決
運転者の少年以外には、事故時に軽自動車に同乗していた当時19歳の少年と、無免許と知りながら加害者少年に自動車を貸した少年の2名が起訴され、それぞれ判決が下されています。
事故時に軽自動車に同乗していた19歳少年は、道交法違反(無免許運転)幇助で起訴され、京都地方裁判所で「懲役6月執行猶予3年」の判決が言い渡されました。
無免許だと知りながら軽自動車を加害者少年は、無免許運転幇助の容疑で起訴され、京都地方裁判所で罰金25万円の判決が言い渡されています。
亀岡市暴走死亡事故のその後の影響
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亀岡市暴走死亡事故のその後、被害者遺族らは、被害者の会を結成して悪質運転撲滅に向けた活動などを行っていました。
そうした活動の結果、2013年11月に無免許事故の罰則が強化され、自動車運転死傷行為処罰法(最高刑・懲役15年)が成立しています。
また、その後の民事裁判では、被害者遺族らによって、加害者少年と同居する父親、事故を起こした軽自動車の所有者、軽自動車の同乗者らに対する民事賠償が求められ、全員の連帯責任が認められる判決が下されています。
亀岡市暴走死亡事故の現在① 加害者少年が満期で川越少年刑務所を出所
亀岡市暴走死亡事故の加害者少年は、判決確定後は埼玉・川越少年刑務所に収監されていましたが、2021年9月中に満期出所する事が報じられています。
2012年4月、京都府亀岡市内で登校中の児童と引率の保護者の列に軽自動車が突っ込んだ事件では、3人が死亡、7人が重軽傷を負った。軽自動車のハンドルを握っていたのは18歳の無免許の少年。居眠り運転だった。少年はその後、不定期刑が下って服役していたが、この9月中に満期出所する。
引用:「娘の心臓を握っていた」…3人死亡・7人重軽症「京都・亀岡暴走事故」 加害少年が9月出所で娘を亡くした父親の告白(前編)
亀岡市暴走死亡事故の現在② 他の加害者3人は現在も事故現場近くに居住
亀岡市暴走死亡事故で、軽自動車に同乗していた少年(当時)2名と、軽自動車を貸した少年は、現在も死亡事故現場近くに住んでいるとの情報が報じられています。
記事によれば、彼らには反省している様子はあまりみられてないという事でした。
Aは懲役5~8年の不定期刑で服役中だが、同乗していた少年BとC(ともに当時18才)、無免許と知りながらAに車を貸した少年D(当時18才)は、道路交通法違反幇助の容疑で逮捕され、少年院での保護処分相当として家庭裁判所に送致。3人とも執行猶予が付き、現在は実家こそ出たものの事故現場の近くで生活している。
まとめ
今回は、2012年4月に京都府亀岡市で発生した「亀岡市暴走死亡事故」についてまとめてみました。
亀岡市暴走死亡事故は、当時18歳の無免許の少年の運転する軽自動車が、登校中だった小学生児童の列に突っ込み、児童2名と引率の保護者1名が死亡、児童8名が重軽傷を負った悲惨な事故でした。
被害者の少年は自動車運転過失致死傷の罪で起訴され、裁判で「懲役5年以上9年以下の不定期刑」の判決が確定しています。
また、この事故では、被害者遺族がネット上でいわれのない誹謗中傷を受ける事態にも発展し、誹謗中傷の書き込みを繰り返していた当時高校1年生の少年が書類送検されています。
その後、被害者遺族らの活動によって、自動車運転死傷行為処罰法が成立するなど社会的にも大きな影響を与えています。
現在、2021年9月中に、加害者の少年が服役していた川越少年刑務所から満期で出所するとの報道が出た事から、この亀岡市交通死亡事故も再び注目されています。