2020年8月に福岡市の大型商業施設「マークイズ福岡ももち」で少年による殺人事件が発生し注目を集めました。
ここでは「マークイズ」で発生した殺人事件や犯人の少年、その犯行動機や犯行のわずか2日前に少年院を退院したばかりだったという衝撃の事実、判決や現在などについてまとめました。
この記事の目次
福岡市の商業施設「マークイズ福岡ももち」で殺人事件が発生
2020年8月28日の夜、福岡県福岡市中央区地行浜2丁目にある大型商業施設「マークイズ(MARK IS)福岡ももち」で、当時15歳の無職少年によって、当時21歳の事務アルバイトの女性・吉松弥里さんが包丁で滅多刺しにされ殺害される殺人事件が発生しました。
被害者の吉松弥里さんは、同日午後7時35分頃に「マークイズ」一階の女子トイレで血を流して倒れているのが警備員によって発見されました。吉松弥里さんは首など上半身を中心に10ヶ所以上、刺されたり切られたりした傷を負っていたという事です。
被害者の吉松弥里さんはその後、病院に搬送されましたが出血性ショックによる死亡が確認されています。
犯人の15歳の少年は、吉松弥里さんを襲った後トイレから出て、付近にいた6歳女児を襲って馬乗りになり包丁を突きつけたという事ですが、客として訪れていた非番の消防士が咄嗟に飛びかかって少年を止め、駆けつけた警備員らと共に取り押さえています。その後、通報によって駆けつけた福岡県警の警察官によって犯人の少年は銃刀法違反容疑で現行犯逮捕されました。
なお、最初に警察に入った110番通報は「施設2階を刃物を持った少年が歩いている」という内容だったという事で、犯人の少年は襲う対象を探して「マークイズ」内を広範囲に歩き回っていたとみられています。
また、施設に設置された防犯カメラの映像には、2階の入り口から「マークイズ」内に少年が入る様子や、被害者の吉松弥里さんとその友人がトイレに向かうのを少年が後をつける様子などが残されていたという事です。
被害者の吉松弥里さんが少年に襲われた時、一緒にいた友人の女性は先にトイレの個室に入り、そこに少年が女子トイレに侵入しまだ個室に入っていなかった吉松弥里さんを襲ったとみられています。
少年は2本の包丁を所持していましたが、1本はトイレにそのまま残され、もう1本を持って少年はトイレから出て行ったという事です。トイレ内の全体に血のついた少年の足跡が残されていたとの事ですが、個室に入っていた友人女性は襲われずに無事だったという事です。
なお、少年は警察の取り調べに包丁2本は施設内で盗んだと供述している事なども発表されています。
その後、警察がこの少年が所持していた包丁についていた血液をDNA鑑定した結果、被害者の吉松弥里さんのDNAと一致したため、2020年9月9日に、福岡県警は犯人の15歳少年を殺人容疑で再逮捕しています。
TwitterなどSNSでは事件当時の動画や画像が多数上がっている
大型の商業施設内での犯行という事で、TwitterなどのSNSには事件当時の動画や画像が多数上がっていたので一部を紹介します。
福岡市中央区地行浜2丁目マークイズ福岡ももちで女性刺される事件「刃物男が血だらけで暴れてる」8/28 – NAVER まとめ https://t.co/ekv6uWmUPh pic.twitter.com/5W65qmlnrI MARK IS 福岡ももち #事件
— fmokokおいぴ (@rikakoal) August 28, 2020
上は、おそらく犯人の少年が警察官に取り押さえられている瞬間の動画だと思われます。
マークイズ福岡ももちで女性刺した犯人少年、細かった
— eye (@aimu43243) August 28, 2020
普通に怖いんだけど。
「動画」マークイズ福岡ももち殺人事件!15歳無職少年顔画像・実名判明?恋愛のもつれか?https://t.co/CtJq9k5uIE pic.twitter.com/3nBy7YOPM7
これには犯人の少年の後ろ姿が写っています。体格も細く身長も高くないように見えます。
福岡「マークイズ福岡ももち」の殺人事件の被害者は吉松弥里さん(当時21歳)
出典:https://ja-jp.facebook.com/
福岡市の大型商業施設「マークイズ福岡ももち」で発生した殺人事件の被害者は、当日、この施設に友人と共に客として訪れていた、事件当時21歳の福岡市南区の事務アルバイトの女性・吉松弥里(よしまつみさと)さんだと報じられています。
被害者の吉松弥里さんは事件発生時に福岡県警から事務アルバイトと発表されていますが、どこの会社で働いていたのかなどは不明です。
なお、吉松弥里さんは福岡市内の自宅で母親と2人暮らしで、母親は事件後に取材を受け「悲しいです。もう頭の中がパニックで」、「明るく、可愛い子だった。言葉になりません」と悲痛のコメントを発表されています。
事件当日の夜、吉松弥里さんは商業施設「マークイズ福岡ももち」に女性の友人と共に客として訪れていたという事ですが、吉松弥里さんの母親はこの友人から「助けてあげられなくてごめんなさい」と泣きながら謝られたそうです。母親はこの友人に「あなたが刺されていたのかもしれないのだから、それで(助けようとしなくて)よかったんだよ」と言葉をかけたという事でした。
吉松弥里さんのFacebookが特定されており、そこに掲載されている2017年当時の写真はかなりギャルっぽく派手な印象がある事などから、ネット上では一部の人々から心無い誹謗中傷などもあったようです。しかし、吉松弥里さんは落ち着いていて清楚な感じだったとの関係者からの証言がネットに上がっています。
また、吉松弥里さんは事件の3年前には福岡市内のレストランで働いていたようです。当時そのレストランで一緒に働いていたという26歳の友人男性は、吉松弥里さんの人柄について「明るくて誰に対しても人当たりが良い」「トラブルに巻き込まれたり恨まれたりするような人ではない」と話しています。
事件の一月前の7月に吉松弥里さんからこの友人男性に電話があり「コロナが落ち着いたら飲み会でもしよう」と話していたことなども明かしています。
吉松弥里さんの通夜は、8月30日に営まれましたが、その際にも大勢の参列者が訪れたという事で、吉松弥里さんが周囲の人々から愛されていた事がわかります。
福岡「マークイズ福岡ももち」の殺人事件の犯人の少年の実名や顔写真は?
福岡市の大型商業施設「マークイズ福岡ももち」で発生した殺人事件の犯人は15歳の無職の少年だと報じられていますが、未成年ということで実名や顔写真などは一切公開されておらず不明です。
匿名ネット掲示板「爆サイ」には、この犯人の15歳少年の実名と、福岡県福岡市中央区在住で実際の年齢は16歳か17歳といった情報が書き込まれ拡散されていますが、証拠となる情報が一切示されていないので信用するに値しないため、ここでは紹介できません。
福岡「マークイズ福岡ももち」の殺人事件の犯人は少年院を仮退院したばかりで保護更生施設から逃亡していた
更生保護施設から失踪し、その後事件を起こす
「マークイズ福岡ももち」で起きた殺人事件の犯人の15歳の少年が、事件を起こす2日前の2020年8月26日に、収容されていた九州の少年院を仮退院したばかりだったという衝撃的な事実が報じられています。
退院後、「家族と暮らすのが困難な事情」があったため、福岡県内の更生保護施設に受け入れられたという事でした。
そして、この少年はなんと、事件の1日前の8月27日にこの更生保護施設から無断でいなくなり失踪し、その後「マークイズ」での犯行に及んでいた事が明らかになっています。
捜査関係者によると、少年は事件2日前の8月26日、九州の少年院を出た。家族と暮らすのが困難な事情があったため、福岡県内の更生保護施設が受け入れた。翌27日夜に施設から失踪し、施設側はすぐに行方不明者届を県警に出した。
少年は調べに「バスに乗って福岡市に行った」と説明。同市・天神で下車した後は「所持金がなくなり、目的地もなく歩いた」とも話している。
幼いころから暴力行為を繰り返していた
少年は3歳児検診ですでに多動や粗暴性を指摘されていたとのことで、保育所や小学校でも他の児童や職員への暴力行為が見られていたといいます。
母親は少年を児童相談所に入所させようとしましたが、暴れて保護できないとのことで、以降、少年は児童心理治療施設や児童自立支援施設、精神科病院などを転々とし各所で暴力騒ぎを起こしていたようです。
少年は2018年に入所した児童心理治療施設でも暴力行為や無断外出が見られ、最終的には強化ガラスを消化器で割ろうとしたことから鑑別所へ入所することになり、2019年に少年院への入院が決定したとのこと。少年は事件前も壮絶な人生を歩んでいたようです。
福岡「マークイズ福岡ももち」殺人事件の犯人少年の動機は?
「マークイズ福岡ももち」での殺人事件の犯人の少年の動機にも注目が集まっています。
この犯人の少年は警察の取り調べに犯行の動機について以下のように供述しています。
少年は女子トイレに入った際、包丁を持っていることを女性からとがめられた、と説明しているという。当時、女性の友人はトイレの個室に入っていたとみられる。少年は「偶然見掛けた女性の友人に興味があり、後をつけた」とも話しており、県警は慎重に裏付けを進めている。
少年が「きれいな女性2人組を見かけて興味がわき、後をつけた」という趣旨の話をしていることが捜査関係者への取材でわかった。福岡県警は、少年が、殺害された女性だけでなく、その友人についても関心を寄せていたとみている。
この少年の供述を見る限り、この犯人の少年は単に自分の欲望のためだけに被害者の吉松弥里さんの後をつけ、包丁を持っている事を見咎められたために殺害に及んだように思われます。
ただ、単にわいせつ目的が動機なのであれば、包丁を2本持ち、人目の多い商業施設内を徘徊した挙句、後をつけて女子トイレにまで侵入して犯行に及ぶのには違和感があるとして、最初から人を殺害するのが目的だったのでは?とする見方も出ていました。
少年は後に初公判で、「空腹だったので自殺をしようとした」として包丁を盗んだと述べています。また、女子トイレに入った理由については「取り調べが面倒で、性的な目的と言った」と語りました。
福岡「マークイズ福岡ももち」殺人事件の犯人少年のその後・現在
殺人罪などで起訴される
出典:https://news.biglobe.ne.jp/
2020年9月11日、福岡県警は、犯人の少年を殺人容疑で送検しています。
地検による取り調べでは少年は犯行について「間違いありません」と容疑を認めていたという事ですが、淡々とした様子で応じていたようです。
約3カ月間鑑定留置を受けた少年は、刑事責任能力を問えると判断され、2020年12月24日に殺人などの非行事実で福岡家庭裁判所に送致されました。
福岡家裁は、少年の親族が住む鹿児島県の家裁に移送しましたが、2021年1月18日、鹿児島家裁は「少年院などで資質上の問題性を改善するのは著しく困難」であるとして少年の逆送致(家裁が検察から送致された少年を調査した結果、刑事処分を相当として検察に送致すること)を決定しています。
鹿児島地検は同月22日に事件を福岡地検に移送し、2021年1月28日に福岡地検は少年を殺人罪などで福岡地裁に起訴しました。
公判で起訴内容を認めるも反省はせず
2022年7月6日、少年の初公判が福岡地裁で開かれ、少年は「間違いありません」と起訴内容を認めました。この時少年は17歳となっています。
冒頭陳述で検察官は、少年が性的な行為を目的として女性の後をつけ殺害したことや、事件の悪質性、また少年院を仮退院してすぐに事件を起こしたことなどを挙げ、保護処分ではなく刑事罰を科すべきであると主張しました。
一方弁護側は、少年は幼少期に親族から虐待を受けるなど、生育環境に問題があったことを主張。「刑罰は根本的な解決につながらない」とし保護処分が相当だとして家裁移送を求めました。
少年は事件当時15歳で、16歳未満による事件での起訴は異例。少年は法廷中央の証言台ではなく、弁護人の近くで罪状認否に応じた。少年の周囲は遮蔽され、傍聴席から様子は見えなかった。
検察側は冒頭陳述で「女性に性的行為をしようと女性用トイレに入った。更生可能性は乏しく、保護処分が許容できる事案でもない」と指摘。弁護側は「虐待を受けるなど不適切な養育環境があり、9歳から家族と離れ暮らした。刑罰を受けて長期間孤立すれば、再び同じことが繰り返される」と訴えた。
少年も被告人質問にて自らの家庭環境について言及しており、親や兄弟とうまくいっていなかったこと、病院でADHDと診断されてからは家族の態度が変わり、特に母親は腫れ物に触るような感じになったことなどを明かしています。
教授によれば、少年の育った家庭には「身体的虐待、ネグレクト、性的虐待、心理的虐待、すべてが観察される。家庭内暴力が日常化していた」のだという。一例を挙げると、母親は少年が精神科に入院しているときに少年にアダルト雑誌を差し入れしようとして見つかったことがあった。調書によると、少年の兄はそんな母親について「母親が弟の性的興味を助長した。母と関わっているとおかしくなってしまう」と語っている。
また、母親は少年の少年院仮退院に当たり引き取りを拒んだようで、少年は酷く傷ついたようです。
少年は事件について、被害者女性に包丁を向けたところ自首を勧められ、引き取りを拒否した母親と重なり腹が立ち、女性と揉み合いになった際にとっさに包丁で刺したと述べました。
福岡地裁での裁判員裁判の被告人質問で弁護側に刺した動機を問われ、女性に包丁を向けた際に「自首を勧められ、母親と重なり腹を立てた」と述べた。少年は少年院仮退院に当たり、母親が引き取りを拒んだため更生保護施設に入所し、事件前日に抜け出した。母親に拒まれ「すごく残念な気持ちになった」と話した。検察側は冒頭陳述で性的行為目的だったと指摘。少年は「(取り調べでは)自暴自棄で、性的な目的だと話してしまった」と説明した。
公判の中で、少年は弁護側に被害者の家族に対し「ごめんなさいの言葉はある?」と聞かれると「特にないです」と答えており、被害者側弁護士に更生のことなどについて問われた際にも「人間クズはクズのまま変われないと思う」と答えるなど反省の色を見せませんでした。
検察側証人として出廷した吉松弥里さんの母親は、「犯人の経歴、生い立ちばかりが問われ、娘が置き去りにされているように感じる。」「厳罰を望む。一生刑務所に入っていてほしい。許せない」と声を震わせながら訴えていました。
懲役10年以上15年以下の不定期刑の判決が下る
2022年7月15日の公判で、検察側は「粗暴癖が根深く、更生の可能性は乏しい。保護処分は許容できない」と指摘し、懲役10年以上15年以下の不定期刑を求刑しました。
一方、弁護側は「少年は幼少期に家庭内で虐待を受けたトラウマがあり医療少年院で治療的な養育が必要」などと主張していました。
その後、福岡地裁は7月25日に、求刑通り懲役10年以上15年以下の不定期刑の判決を言い渡しています。少年は控訴はしない意向とのことです。
弁護側は少年院送致などの保護処分が妥当だとして、家裁移送を求めたが、武林裁判長は判決理由で「通り魔的で残虐な犯行。落ち度のない被害者の生命を奪い、保護処分は許容し難い」と指摘した。
その上で被害者や遺族と向き合い、反省する姿勢がないなどとして「保護処分による更生可能性が高いとみることは困難だ」と判断した。
まとめ
今回は、2020年8月28日に福岡市の大型商業施設「マークイズ福岡ももち」で発生した殺人事件についてまとめてみました。
この事件は、「マークイズ福岡ももち」に客として訪れていた当時21歳の吉松弥里さんが、当時15歳の少年に突然襲撃され包丁で10ヶ所以上を刺されるなどして殺害された事件です。
被害者の吉松弥里さんと少年には面識はなく、無差別殺人だったとされています。
この犯人の少年は、事件を起こすわずか2日前に収容されていた少年院を仮退院したばかりだった事なども明らかになっており、少年院がなぜ殺人を犯すような人間の退院を許可したのかについても問題視されています。
少年には懲役10年以上15年以下の不定期刑の判決が言い渡されましたが、少年の家庭環境や犯行当時15歳という年齢だったことを考慮しても遺族の方々にとったら短すぎる刑期かもしれません。
少年が刑に服する中で更生してくれることを切に願います。