令和の世に明るみになった「西山ファーム投資詐欺事件」ですが、SNSを利用した新時代の犯罪だと話題です。
今回は投資詐欺の手口や被害者が拡大した原因、山崎裕輔など逮捕者、バッシングを受けた芸能人、裁判や判決など現在を紹介します。
この記事の目次
西山ファームとは
元々はちゃんとした観光農園だった
「西山ファーム投資詐欺事件」とは、被害総額が133億円とも言われている巨額投資詐欺事件です。
そしてこの詐欺事件の舞台となったのは、岡山県赤磐市内にある観光農園「西山ファーム」でした。
2004年に創業された「西山ファーム」は、元々は桃やいちごの収穫体験で人気を集める観光スポット。
先月、西山ファームでいちご狩り🍓
— りょうま (@ryouma0224) March 22, 2019
最近、休み日に限っていつも雨です😱
なので髪がぐちゃぐちゃです😓#岡山 #西山ファーム #いちご狩り #いちご #イチゴ #苺 #晴れの国 #はれのくに岡山 #行く時 #いつも #雨 pic.twitter.com/jHtB2lCFA9
西山ファーム投資詐欺事件の詳細:かなり胡散臭い条件で出資者を募る
そんな「西山ファーム」に異変が起こったのは2015年頃。
当時副社長だった山崎裕輔が主導し、「香港への桃の輸出事業」に対する出資を募り始めたことがきっかけです。
「西山ファーム」が扱っていた投資案件は「簡単にできる副業」を売りにした詐欺システムでした。
仕組みは、まず出資者は西山ファームに指定された通販会社を通じて桃100万円分をクレジットカードで購入する。この桃について、西山ファームは「海外に転売する」と説明。出資者のもとに実際に桃が届くことはなく、代わりに配当として利益の3%を上乗せした103万円を返金するなどとうたっていた。毎月100万円投資すれば1年で36万円もうかる計算だ。
引用:『被害133億円』桃ビジネス巨額詐欺 首謀者とされる人物は海外移住…その前に直撃取材「俺はウソはつかない、絶対に」
実際に勧誘を受けた人物の告発によると、入金した保証金額に対して月3%の配当金が出ることを謳い文句にしている古典的な投資詐欺案件もあったといいます。
その他、インフルエンサーマーケティングを装ったタイプの詐欺まで展開していたようです。
投資家は「西山ファーム」から、代理店を通じて美容液などの化粧品や、サプリメントなどをカードで大量に購入。商品の多くが手元に届かず、投資家は提供された写真をインスタグラムに投稿すると代金の3割が報酬として戻り、商品は元値の7割で業者が買い取る上、カードのポイントが付与される仕組みとされた。
西山ファーム投資詐欺事件の被害者が拡大した原因① ネットワークビジネス化
「西山ファーム投資詐欺事件」は、愛知県を中心に1500人近い被害者が出たと言われています。
見るからに怪しい投資案件である「西山ファーム投資詐欺事件」なのに、引っかかる被害者が続出した理由には、ネットワークビジネス化が原因だったのでは?と言われています。
「西山ファーム投資詐欺事件」では、勧誘者が新規出資者の獲得に成功すると継続的な紹介料が入る仕組みでした。
逮捕者の中には「四天王」と呼ばれた一般勧誘者もおり、4人で1億5000万円近い紹介料を受け取っていたといいます。
・花本将光 大阪府中央区在住の個人投資家
・松本真一郎 愛知県名古屋市千種区在住の経営コンサルタント
・松井孝朗 愛知県名古屋市中区の会社役員
・山田光賢 愛知県名古屋市熱田区在住の会社員
西山ファーム投資詐欺事件の被害者が拡大した原因② ターゲットがSNS世代
「西山ファーム投資詐欺事件」では、被害者の中心が20~30代だったことも特徴的の1つでした。
一般的な投資詐欺事件とは違い、「西山ファーム投資詐欺事件」の被害者に若者が多かった背景には、SNSの存在が大きかったと言われています。
勧誘役四天王として逮捕された花本将光らは、SNSで自身の豪遊ぶりを喧伝し、「西山ファーム」への投資が儲かる副業だと誤認させていたのです。
そのため、情報商材ビジネスに騙されがちな世代がまんまと引っかかってしまったことになります。
西山ファーム投資詐欺事件の被害者が拡大した原因③ カード決済を利用
また、集金システムとして、クレジットカード決済を悪用していことも、お金のない若者世代をハメ込む手口として有効だったと思われます。
その他、勧誘役の中にはLINEのグループ機能を利用し、ターゲットから執拗にお金を引き出す悪人もいたようです。
そのせいで、何枚ものクレジットカードを作らされた挙句、利用限度額いっぱいまで商品を買わされた被害者もいたとのこと。
それでも詐欺に気が付かず、リボ払いで商品を買わされた被害者もいました。
西山ファーム投資詐欺事件の主な逮捕者:主犯格は山崎裕輔
「西山ファーム投資詐欺事件」の主犯格は、西山ファームの経営幹部だった山崎裕輔です。
山崎裕輔は「西山ファーム投資詐欺事件」以前より問題のある人物だったらしく、ネット上では事情通より前科を示唆するツィートもありました。
山崎は前もパクられた時、仲間の事すぐ謳っちまうやつだからな。
— マッハ (@Leo75818) October 17, 2021
薄っぺらい人間集めて、詐欺で金集めして終わってるわ。#山崎裕輔#西山ファーム
昔から金で揉めるとすぐに逃げるし、人を裏切る奴だった。
— マッハ (@Leo75818) October 17, 2021
捕まってとりあえずは塀の中に入っとけ。#西山ファーム#山崎裕輔
また、経営センスの方もイマイチだったようで、「西山ファーム投資詐欺事件」に手を染める直前には、海外事業に失敗していたと言われております。
西山ファームの山崎裕輔が海外へ逃亡してるそうだが、130億円の巨額詐欺だと捕まったら実刑20年コースだろうな。
— L【復讐屋】復讐代行から別れさせ、投資詐欺被害相談、特殊依頼まで (@omotenashi999) October 18, 2021
こいつ2015年頃、タイバンコクでクラブ経営して、現地の警察、マフィアに賄賂請求されて回らなくなって5-6ヶ月で経営破綻してたよな。#西山ファーム#山崎裕輔
山崎裕輔は実は上級国民だった?
とんでもない投資詐欺事件の舞台となった「西山ファーム」ですが、独立系資本の観光農園ではなく、岡山の名門企業のグループ会社の1つでした。
74名無しさん@1周年2019/05/28(火) 21:45:45.97ID:QkLMACrf0
岡山じゃグループで言えばかなりでかい会社でしょ?西山って言ったら果物売ってるだけじゃなくて、昔から西の屋グループ(飲食)や西山組(土建)もやってるし、かなり手広くやってるはず。
そんな西山一族と山崎裕輔の関係は、西の屋グループの社長の再婚相手の連れ子だったとの噂が存在します。
山崎裕輔本人は名古屋市出身で、成人後も名古屋で宝石商をしていたようですが、2010年代中盤頃に「西山ファーム」の幹部となったようです。
農園で働く従業員の男性は「数年前に社長の息子が副社長に就任した後、問題のビジネスが始まった」と打ち明けていた。
(西山ファームの従業員(当時) 2019年取材)
「ここが何かをしたという訳ではなく、『岡山オフィス』と『名古屋オフィス』が主導でやっていた。上層部がやっていること」引用:『被害133億円』桃ビジネス巨額詐欺 首謀者とされる人物は海外移住…その前に直撃取材「俺はウソはつかない、絶対に」
ちなみに、山崎裕輔のせいで名門一族がこのような犯罪に巻き込まれる形になったため、実母と義父は2018年頃に離婚しています。
西山ファ-ムの社員も逮捕されていた
「西山ファーム投資詐欺事件」では、山崎裕輔以外の「西山ファーム」関係者も逮捕されています。
逮捕されたのは、「西山ファーム」の幹部だった当時37歳の伊藤弘敏と、同社の名古屋支店勤務だった当時31歳の岩田実希子でした。
西山ファーム投資詐欺事件は犯人たちの隠蔽工作も酷いと話題に
「西山ファーム投資詐欺事件」では、多くの投資詐欺事件同様、「外国への果物の輸出事業」の実態はありませんでした。
そのため、新規獲得した出資者からの出資金を配当に回す自転車操業状態で、当然ながらそんな状況が長く続くわけもなく、2018年頃には出資者への配当が滞り始めます。
そのため、「西山ファーム」の幹部たちは、被害者たちの怒りの矛先をかわす策を練るために、会合を繰り返していたといいます。
詐欺容疑で逮捕状が出ている元副社長の男(40)は、返金の遅れに強い不満を抱く投資者を「モンスター」と呼び、「あぶり出せ」と指示していた。
愛知県警によると、同社は上層部の会合を定期的に開いていたという。
この会合は投資者らへの返金が滞っていた時期で、立件を免れる意図があったとみられる。
また、新たな出資者相手には「取引を口外したら1000万円の違約金」との念書まで突き付けるようになっていました。
しかし、そんな念書の効果はなく、2019年には出資法違反(預かり金禁止)の疑いで、「西山ファーム」の関係先に愛知県警の家宅捜索が入っています。
ちなみに、山崎裕輔は最後まで悪あがきしており、家宅捜索以降は海外逃亡までしていました。
西山ファーム投資詐欺事件の余波① 職を失う障がい者が続出
「西山ファーム投資詐欺事件」発覚後の「西山ファーム」は、2019年10月に約9億3800万円の負債を背負って倒産しています。
「西山ファーム」倒産の余波は、関連会社の「西山ファーム福祉サービス」にまで及び、展開していた就労継続支援A型事業所がすべて閉鎖。
この閉鎖で職を失った障がい者は44名に及ぶなど、岡山県内の障がい者雇用にまで悪影響が出てしまいました。
西山ファーム投資詐欺事件の余波② 芸能人も被害に
「西山ファーム投資詐欺事件」は、タレントの紗栄子さんにまで余波が及んでいたんです。
紗栄子さんは、2017~2018年頃に「西山ファーム」の宣伝の仕事を請け負っていました。
「桃狩りのお客様」とのタイトルで、〈先日、紗栄子さんが西山ファームに来てくれました!! とってもキレイで素敵な方でした(^^)〉とある。桃の横で、ランウェイやファッション雑誌で見せる笑みを浮かべた有名モデル。2017年、岡山の大型農園「西山ファーム」のHPである。
そのため、ネット上では「詐欺会社の広告塔になっていた!」との批判の声もあります。
ただ、紗栄子さんが引き受けた仕事はあくまで観光農園事業のみで、投資詐欺には一切無関係のようです。
また、「西山ファーム」は、ローカルテレビ局も特集するほどの名物スポットでしたから、紗栄子さん側も怪しい企業とは認識していなかったのでしょう。
インスタをツイッターに連携できない😂ので投稿します✨
— 小宮かなえ (@kana_hosoya) June 28, 2018
今日はKSB瀬戸内海放送さんの撮影で岡山までいきました〜🍑#西山ファーム さんで、
桃狩りの収録✨
紗栄子さんも苺狩りで、
以前ここに来てたんだって💕
甘くてジューシーでとてつとなく美味しかった💗 pic.twitter.com/1amhwtJu8g
西山ファーム投資詐欺事件の現在
元幹部ら5人に有罪判決
「西山ファーム投資詐欺事件」に関する裁判が始まり、2022年2月には、東京や長野、東海地方などに住む被害者41名が、山崎裕輔らに損害賠償請求を求めた訴訟の判決で、名古屋地裁は山崎裕輔らに3億2000万円の支払いを命じています。
2022年3月には、元幹部の伊藤弘敏に懲役1年2月、執行猶予3年、罰金80万円の判決が言い渡しされました。西山ファーム投資詐欺事件をめぐる刑事裁判で初めての判決となりました。
岩見裁判官は判決理由で「組織的、職業的な犯行だ。出資法の趣旨を大きく損なっている」と述べた。判決によると、保証金の管理をしていた伊藤被告は、社長の山崎裕輔容疑者(41)=詐欺容疑で逮捕状=らと共謀し、客3人に元本保証と金利支払いを約束して保証金名目で計1100万円を集めた。
同じく2022年3月に、勧誘役四天王の一角・山田光賢に懲役1年、執行猶予3年、罰金50万円の有罪判決が下っています。
棚村裁判官は判決理由で「西山ファームの事業の一環として行われた組織性、計画性の高い犯行」と非難。「被害者を直接勧誘しており責任は軽くない」と述べた。
四天王と呼ばれた内の山田光賢以外の3人、花本将光、松本真一郎、松井孝朗にも同じく2022年3月に懲役1年、執行猶予3年、罰金50万円の有罪判決が下りました。
17日の判決で名古屋地裁は、「被害者2人からの預かり金は合計700万円と多額であり、犯行後に西山ファームが返金しないまま倒産に至っている」「3人は勧誘部隊の中心で、その責任は決して軽いものではない」とする一方で、「被害者に弁償して示談が成立している」などとして、3人それぞれに懲役1年・執行猶予3年、罰金50万円の判決を言い渡しました。
当時名古屋支店に勤務していた岩田実希子は、2022年3月に不起訴処分となっています。
名古屋地検は28日までに、岡山県赤磐市の観光農園経営会社「西山ファーム」を巡り、津市の夫婦から計約1224万円をだまし取ったとして、詐欺容疑で逮捕された女性(32)を不起訴処分とした。処分理由を明らかにしていない。14日付。愛知県警が勧誘役として逮捕していた。
主犯格・山崎裕輔が逮捕される
出典:https://news.nifty.com/
西山ファームの元副社長で主犯格とみられる山崎裕輔は、2020年2月に海外逃亡しており、各国を転々とした後、2021年4月からはインドネシアに潜伏していました。
現地警察によると、山崎裕輔は2022年6月までの約1年間、首都ジャカルタ郊外にある製鉄会社で働いていたといいます。
国際手配された山崎裕輔は、2024年1月に隣国マレーシアに密入国しようとしていたところをインドネシア警察により不法滞在の疑いで拘束されました。
その後、愛知県警が捜査員をインドネシアに派遣し、山崎裕輔の身柄の引き渡しを受け、山崎裕輔は2024年3月13日に日本に移送される航空機内で詐欺の疑いで逮捕されました。
山崎容疑者は13日午前6時半ごろ、県警の捜査員に連れられて成田空港(千葉県成田市)に到着。肩まで伸びた髪に黒いパーカー、ベージュのズボン姿で、周囲を見回すなど落ち着かない様子だった。車に乗り換え、午後1時前に名古屋市内の警察署に着いた。
名古屋市内の警察署に移送された山崎裕輔ですが、捜査関係者によると容疑を否認しているとのことでした。
西山ファーム投資詐欺事件のまとめ
「西山ファーム投資詐欺事件」は、もともとは優良な観光スポットだった農園に、再婚相手の連れ子だった山崎裕輔が入社したことをきっかけに起こった悪質な投資詐欺事件です。
事件被害者の方々が救済されることを祈りつつ、この記事のまとめを終了させていただきます。