”やらせ告発”により2013年10月20日に番組打ち切りとなったバラエティ番組『ほこ×たて(フジテレビ系)』。
この記事では、同番組の打ち切り理由ややらせ告発について詳しくまとめました。
この記事の目次
『ほこ×たて』の番組打ち切り理由はやらせ告発
『ほこ×たて』とはどんな番組?
相反する「絶対に○○なもの」同士を戦わせる矛盾対決
『ほこ×たて』は元々2011年1月17日から毎週月曜日の深夜帯23時に放送されていたバラエティ番組で、人気が出たことから2011年10月16日から打ち切りとなる2013年10月20日まで日曜日のゴールデン帯19時に昇格しました。
故事成語「矛盾」に当てはまる「絶対に○○なもの」同士を戦わせ、本当に強いのはどっちかを決める番組ですが、相反する分野における最強対決が定番となっていました。
フジテレビが『ほこ×たて』打ち切りと理由を発表
フジテレビが2013年11月1日に番組打ち切りを公式サイト上で発表した
2013年10月20日放送の『ほこ×たて2時間スペシャル』を以て、番組を打ち切りにすることをフジテレビの公式サイトで翌月1日に発表されました。
この回の番組内容は、「どんな物でも捕えるスナイパーVS絶対に捕えられないラジコン」の対決で、実際には行われていない対戦や、対戦順の入れ替えなどが出演者によりやらせ告発されて打ち切りに追い込まれました。
以下、現在は削除されているフジテレビ公式サイトでの打ち切り発表と視聴者への謝罪全文になります。
『ほこ×たて』放送終了について フジテレビのバラエティ番組『ほこ×たて』(毎週日曜日・午後7時放送)の10月20日放送『ほこ×たて2時間スペシャル』の「どんな物でも捕えるスナイパーVS絶対に捕えられないラジコン」の中で、出演者の方からご指摘頂いた収録の順番や、対戦の運営に関する経緯は、大筋において事実であり、不適切な演出があったことが社内の調査で確認されました。
併せて、同じ出演者の方からご指摘頂いた2011年10月16日放送分「どんな物でも捕えるタカVS絶対に捕らないラジコンカー」と、2012年10月21日放送分「どんな物でも捕える猿VS絶対に捕えられないラジコンカー」中でも、不適切な演出と、動物に対する配慮に欠けた撮影が行われていたことが確認されました。
この調査結果を踏まえて、視聴者の皆様の期待と信頼を裏切る行為が確認された以上、真剣勝負を標榜している番組の継続は不可能と判断し、今後の『ほこ×たて』の放送終了を本日決定致しました。
この調査結果につきましては、本日、BPOの放送倫理検証委員会に報告書を提出致しました。引き続き調査を進めてまいりますとともに、再発防止を徹底するため、社内制作セクションを横断した対策委員会の設置、及び識者を講師とした「コンプライアンス懇談会」の開催を決定致しました。 視聴者の皆様、真摯にご協力頂いた出演者の皆様の信頼を裏切る結果となってしまいましたことを深く反省し、心からお詫び申し上げます。
引用:フジテレビ公式サイト
このやらせを告発したのは、過去にも何度か出演歴があり同回にも出演していた模型メーカー・ヨコモの広坂正美さんで、ヨコモの公式サイト上でラジコンファンに対して告知をする形で公表しました。
『ほこ×たて』のやらせ告発者はラジコン界のレジェンド・広坂正美
『ほこ×たて』のやらせを指摘した広坂正美とは?
広坂正美はラジコン界では知らない人はいないレジェンド
広坂正美さんはラジコン界では選手として伝説的な経歴を残してきた人物で、1970年生まれの京都出身であり、5才の頃に両親からラジコンカーをプレゼントされたことを機に大会に出場するようになりました。
7歳で大会初優勝をし、16歳で全日本チャンピオンに輝いて国内制覇、そして17歳で世界選手権優勝を果たして以降18年連続で世界タイトルを保持し、日本選手権は21年連続優勝するなど、世界的なレジェンド選手として名を馳せてきました。
また、広坂正美さんはラジコンカーを製造販売しているメーカー「株式会社ヨコモ」に所属しており、現在までにラジコンの面白さを普及するため国内外のイベントやレース、番組などに出演を続けてきました。
フジテレビは、まさにラジコン界の権威を怒らせてしまったことになります。
広坂正美さんはスナイパーと対決したラジコンボート、ラジコンへリの操縦者とともにラジコンカーの操縦者として出演しましたが、収録後の編集内容があまりに偽造が酷すぎて告発に至ったことをサイト上で綴っています。
また、広坂正美さんは放送直前にフジテレビの担当者から編集内容を事前に知らされていたそうですが、その際に「このまま放送するなら事実を公表する」という警告を伝えていたにも関わらず、そのまま放送されたため全国のラジコンファンのためにやむを得ず公表に踏み切ったそうです。
フジテレビの偽造された番組内容は、全国のラジコンファンを冒涜したことに繋がったようです。
広坂正美のやらせ告発はラジコンファンのためだった
ラジコンを侮辱するようなディレクターのやり方に頭にきた広坂正美
広坂正美さんは度重なる『ほこ×たて』ディレクターの強引な映像制作のやり方に堪忍袋の緒が切れ、ラジコンファンの心情を裏切らないためにも告発に踏み切りました。
ヨコモのサイト上で公開した告発文についてメディアが問い合わせをしたところ、広坂正美さんは海外出張のため答えられないということでしたが、元々フジテレビ側に偽造された内容を放送すれば告発することは伝えていたことからも、内容について特にコメントをするつもりも無かったようです。
しかし、ヨコモ側は事実が伝わったことでこれ以上の騒動を広めるのは無意味と判断したのか、その後記事を取り下げています。
『ほこ×たて』のやらせ内容詳細~ねつ造はフジテレビの体質が原因か
『ほこ×たて』のやらせ① スナイパー VS ラジコンカー
問題が指摘された「スナイパー VS ラジコンカー」対決
広坂正美さんは自身も出演していた2回戦目の「スナイパー VS ラジコンカー」の酷い偽造編集を指摘しており、対戦相手となった男性スナイパーのクリスさんが、残り1秒というところでラジコンカーを居抜き、劇的な勝利を収めたような演出をしましたが、実際にはそんな対戦は存在しなかったことを明かしていまいた。
広坂正美さんが実際に対戦したのは女性スナイパーであり、この女性スナイパーは最初に取り決めされた視聴者には公開されない暗黙のルールを破って反則負けをしていました。
女性スナイパーが対戦前に取り決めしたルールは
1. 2分間の一本勝負(視聴者にも公開されたルール)
2. 最初の1分間は撃ってもいいが、ラジコンには決して当ててはいけない(非公開)
3. 本番は後半1分間のみで、3発までラジコンに当ててよい(非公開)
この女性スナイパーはルールを忘れてしまったのか、はたまたスナイパーとしての本能がそうさせたのか対戦開始数秒でラジコンに銃弾を打ち込んでしまいました。
さらに女性スナイパーはすかさず2発目をラジコンに打ち込み、銃弾がバッテリーに直撃したためラジコンは停止、そこへトドメを刺すように立て続けに銃弾を打ち込み続けてラジコンは完全に粉々に大破してしまいました。
そのため撮影は一度中断され、広坂正美さんが女性スナイパーになぜルールを無視して撃ったのかを質問すると、最初の弾が当たってしまった後に後ろから「KILL(殺せ!)」という声が聞こえたため完全に破壊してしまったようでした。
やはり染み付いたスナイパーの本能がそうさせていたようです。
『ほこ×たて』のやらせ② ラジコン VS 鷹
鷹にラジコンを捕まえさせてあげていた
「ラジコン VS 鷹」では鷹がラジコンを警戒して中々追って来なかったため、まずはラジコンに慣れさせるところから始めました。
それでも鷹は速いラジコンを警戒し捕まえることが難しい様子だったため、広坂正美さんはラジコンをゆっくり走らせるようにお願いされ、カメラ映りが良くなるようにカメラ側の敷地を限定して走らせていました。
この様子があまりにも不自然だったことから、視聴者から広坂正美さんに「わざとゆっくり走って鷹に捕まえさせたようにしか見えなかった」という質問が届いていたようです。
『ほこ×たて』のやらせ③ ラジコン VS 猿
猿の首に釣り糸を結びつけてラジコンを追わせていた
さらに問題視されたのが「ラジコン VS 猿」で、猿がラジコンを怖がって逃げてしまうため、逃げないように猿の首に釣り糸を巻きつけてラジコンと結び、強制的に追わせるようにしていました。
こうした動物愛護法にも反しかねない暴挙に出た理由は、猿が疲れてしまってラジコンを追わなくなったため、それに憤慨したディレクターがこの方法を思いついたためでした。
さすがに広坂正美さんをはじめとした出演者は「そこまでやる必要があるのか」と反発しましたが、ディレクターは「映像が撮れなかったらどうする」と威圧的に言い放ったようです。
『ほこ×たて』のやらせにフジテレビ社内の反応
フジテレビ局内でも打ち切りは他人事だった
フジテレビ局内では担当番組によって映像制作の仕方もディレクターの采配に全てが委ねられているようで、ほかの番組の人間にしてみれば『ほこ×たて』の打ち切りは他人事だったようです。
「『ほこ×たて』は深夜番組からゴールデンに昇格して以降、派手な演出に頼り、中身を水増ししていた。やっぱりなという印象」
これに対し、フジ社員たちの反応はというと……。
中堅ディレクターA氏が語る。
「正直、対決の順番を入れ替えたり、ゆっくりと車を走らせてもらうぐらいのことは日常的に行なわれている演出のひとつ。これをやらせと言われたらキツい。ただ、ラジコンカーを強引に負けさせたことと猿の一件はやりすぎ。モラル的に許されないでしょう」
広坂正美さんが過去に出演した際にも、鷹や猿の件で結果的に了承していたことから、今回もディレクターは当たり前のように偽造をしたようですが、仏の顔も3度までということだったのでしょう。
『ほこ×たて』のやらせは無理なスケジュールが生んだ?
番組制作では「映像が撮れませんでした」では済まない
番組制作サイドの言い分としては、昨今のバラエティ番組の制作方法はスタジオ収録に合わせてロケを組まれるため、どうしても強行スケジュールになってしまうことが多いようです。
ロケ先で映像を撮らないことには番組も放送できず、とれ高が無いと視聴率に直結して不人気からの打ち切りにもなりかねないため、撮影進行を仕切っているディレクターはどうしてもピリピリせざるを得ないようです。
特に、今回のロケ地はスナイパーとの対決によりアメリカだったということもあり、高い経費がかかっていることから面白い映像を撮れないということは許されなかったようですが、だからと言って何でもやっていいというわけではないということを示した良い例となったのかもしれません。
『ほこ×たて』のやらせはフジテレビのズレきった体質が原因
『ほこ×たて』打ち切り直後にゴルフコンペをしていた
『ほこ×たて2時間スペシャル』で問題が浮上し、放送自粛を発表したにも関わらず、その週末にはフジテレビ幹部連がゴルフコンペで楽しんでいたことが分かっています。
このフジテレビの体質について、上智大学新聞学科の碓井広義教授が以下のようにメディアでコメントしていました。
「フジの番組作りを見ていると、いまだに自分たちが時代をリードしていると勘違いしていて、さらに視聴者を見下しているフシがある。今回のやらせが顕著な例。過去の栄光にすがり、成功体験の権化みたいな人たちがトップに居座っている限り、体質はまだまだ変わらないんじゃないでしょうか」
しかし、その後フジテレビは『ほこ×たて』の打ち切り問題が自社の根幹を揺るがず重大な問題だと受け止め、社長が主導して原因究明や再発防止に務める対策委員会を設置したことを発表しました。
今回の視聴者への裏切り行為はとても根深いようで、フジテレビも一度失った信頼を取り戻すために大々的な対策を打ち出したようです。
スカッとジャパンガチで終われ。
— 元ダニエル姉貴 (@origin_Daniel9) May 6, 2019
ほんとに嘘くせぇ。
だったらほこたてのがだいぶおもろかったわ。
『ほこ×たて』打ち切り理由ついてまとめると…
・『ほこ×たて』は「ガチの真剣勝負」を謳っていたためやらせが問題となった
・『ほこ×たて』のやらせはフジテレビのズレきった体質も原因のひとつといわれている
偽造編集された放送が問題となった人気バラエティ番組『ほこ×たて』の打ち切り理由について総まとめしてきました。
『ほこ×たて』は番組の性質上やらせが問題となりましたが、テレビ番組では演出としてやらせは切っても切れないため視聴者もある程度は容認する必要があるでしょう。