テレビ東京の警察密着番組「激録・警察密着24時!!」が不祥事を理由に打ち切りになり話題です。
この記事では警察密着24時の制作会社や打ち切り理由とされた、やらせ疑惑などの不適切な内容、最近は低迷していた視聴率などについてまとめました。
この記事の目次
警察密着24時はテレビ東京系で放送されていたドキュメンタリー番組
出典:https://www.tv-tokyo.co.jp/
「警察密着24時」とは、テレビ東京系列で2005年より不定期に放送されていたドキュメンタリー特別番組で、正式な名称は「激録・警察密着24時!!」です。
警察密着24時は、全国の警察の活動にテレビ局や制作会社のスタッフが密着して同行し、事件や事故、犯罪の瞬間をカメラに捉え、日々地道な活動を続けている警察官達にもスポットを当てる内容となっていて、刺激的で迫力のある映像が紹介される場合も多いため視聴者からも一定の人気があります。
同様の内容の警察密着番組はテレビ東京以外にも民放各局で放送されていて、「警察24時系」などと呼ばれています。
テレビ局にとっては低予算で一定の視聴率が期待できるため低リスクでコスパが良く、下請けの制作会社にとっては撮影した映像をニュース番組などにも販売できるため重要な収入源となり、警察側にとってもイメージ向上につながるため、ウィンウィンの関係で積極的に制作されていると言われています。
一方で、警察官が犯人を逮捕する瞬間や捜査を進めている裏側などに密着したノンフィクションであるにも関わらず、報道ではなくあくまでエンターテイメントとして制作されているため、扇情的なナレーションや刺激的な内容のテロップが多用されていて、過剰な演出で違和感を覚えるといった批判的な意見も見られます。
また、マスメディアとして公権力の監視役も果たすべきテレビ局が、警察と癒着する原因になるのではといった問題点を指摘する声もあるようです。
警察密着24時の制作会社はテレビジョンフィールド
「激録・警察密着24時!!」の制作会社は「テレビジョンフィールド」です。
警察密着24時の制作会社のテレビジョンフィールドは、テレビ東京系の番組を中心に一部フジテレビやテレビ朝日などの番組も制作しており、テレビ制作会社としては中堅といった立ち位置です。
警察密着24時は2005年の第1回放送から制作しており、不適切な内容があったとしてテレビ東京が謝罪した、2023年3月28日に放送の「激録・警察密着24時!! 薬物・凶器・詐欺…春のワル一掃大作戦SP」の制作も担当しています。
制作会社テレビジョンフィールドの警察密着24時以外の制作番組としては、「出川哲朗の充電させてもらえませんか?」、「AKB48、最近聞いたかも? ~一緒になんかやってみませんか?~」、「愛の貧乏脱出大作戦」、「世界ナゼそこに?日本人 〜知られざる波瀾万丈伝〜(ナゼそこ?)」などが挙げられます。
警察密着24時の打ち切りをテレビ東京が発表
2024年5月28日に、テレビ東京はオフィシャルウェブサイトで、2023年3月28日に放送の「激録・警察密着24時!! 薬物・凶器・詐欺…春のワル一掃大作戦SP」の中で不適切な内容があったとの発表があり、関係者と視聴者への謝罪文が掲載されました。
2024年5月30日に、テレビ東京の石川一郎社長が定例会見を開き、警察密着24時で不適切な内容が放送された事について、「視聴者の皆様と関係者の皆様にご迷惑と誤解を与えて名誉を傷つけたことを深く反省し心からおわび申し上げます」と謝罪をしています。
さらに、今後の警察密着24時の放送について、「番組制作自体は今後も続いていくのか」との質問に対し、石川一郎社長は「もうやめたい。やめます」と回答し、一切制作はしないのかとの質問に対しても「はい」と答え、警察密着24時の番組打ち切りを発表しました。
石川社長は冒頭、「テレビ東京と外部の制作プロダクションで作ったものだが、放送した責任はテレビ東京にある。視聴者の皆様と関係者の皆様にご迷惑、誤解を与えて名誉を傷つけたことを社長として深く反省し、心からおわび申し上げます」と謝罪。「激録・警察密着24時!!」といった警察密着番組について、「もうやめます」と述べ、今後は制作しない意向を示した。
警察密着24時の打ち切り発表後の2024年6月3日には、テレビ東京は番組プロデューサーの出勤停止5日、当時の制作局長の減給処分を発表。さらに、石川一郎社長が役員報酬の30パーセントを、制作担当である加藤正敏常務が役員報酬の10パーセントをそれぞれ2ヶ月間自主返納する事も発表されています。
テレビ東京が昨年3月に放送した「激録・警察密着24時!!」で関係者の名誉を傷つける不適切な表現があった問題で、同局は3日、番組のプロデューサーを出勤停止5日、当時の制作局長を減給とする処分を発表した。決定は3日付。ほかに、石川一郎社長が役員報酬を2カ月間30%、加藤正敏常務(制作担当)が役員報酬を2カ月間10%、それぞれ自主返上する。
警察密着24時の打ち切り理由の不適切な内容① 逮捕者の不起訴を言及せず
続けて、「激録・警察密着24時!!」の番組打ち切り理由となった「不適切な内容」についても詳しく見ていきます。
警察密着24時での不適切な内容として1つ目に挙げられたのが、番組内で取り上げられた事件での4人の逮捕者のうち3人が不起訴になっているのを番組内で言及しなかったという部分です。
2023年3月28日放送の「激録・警察密着24時!!」では、「鬼滅の刃」の商品に関する不正競争防止法違反事件が取り上げられ、この事件で4人が逮捕されたとの内容を放送しましたが、実際にはこのうち3人が不起訴になっていたのにも関わらずその事実に言及していませんでした。
番組ではこの事件で4人が逮捕されたとお伝えしました。その後の捜査で3人は不起訴になりましたが、不起訴の事実に言及することなく放送を行ったことは不適切でした。
テレ東の発表した謝罪文や、石川一郎社長の会見の内容を見ると、番組内で4人中3人が不起訴になった事に言及しないばかりか、「逆ギレ」、「今度は泣き落とし」などのナレーションを多用し、「“ニセ鬼滅”組織を一網打尽」などのテロップを使用して、不起訴になった3人及び関係者の名誉を傷つけた点が「不適切な内容」だったとしているようです。
逮捕者のうち3人が不起訴となった事を制作会社スタッフは認識も局側は把握せず
テレビ東京の発表によると、取材を担当した制作会社(テレビジョンフィールド)のスタッフには、3人が不起訴になった事実を認識している者がいたが、テレビ東京としては把握していなかったという事です。
昨年3月の同番組で「鬼滅の刃」に関連する商品を巡る不正競争防止法違反事件を取り上げた際、逮捕された4人のうち3人が不起訴になった事実に触れずに放送するなどした。番組の取材は、制作会社のスタッフが担当。3人が不起訴になったことを認識している者もいたが、局側は把握していなかったという。
警察密着24時の打ち切り理由の不適切な内容② 事実ではない内容を放送
「警察密着24時」での不適切な内容として2つ目に挙げられているのが、事実ではない内容が放送されていたという点です。
これも、番組内で取り上げられた「鬼滅の刃」の商品に関する不正競争防止法違反事件に関するものです。
番組では、事件に関わったとされる会社が、「鬼滅の刃」のキャラクターを描いた商品(無許諾グッズ)を中国の会社に発注していたとの内容が放送されましたが、制作会社およびテレビ東京はその点に関して事実確認を怠っており、放送後にこの会社から「そのような事実はない」との抗議を受けたようです。
番組では、VTRで登場した会社が、「鬼滅の刃」のキャラクターをそのまま描いた商品を中国へ発注していたと放送しました。しかしながら、この放送に先立つ取材の中でそのような事実があるのかどうかを確認していませんでした。放送後、VTRで登場した会社から「鬼滅の刃」のキャラクターをそのまま描いた商品を中国へ発注していた事実など無いとの指摘を受けました。
また、「警察密着24時」の放送では、警察による捜査が入った後も、この鬼滅の刃の無許諾グッズがネット販売され続けていたとの内容が放送されましたが、これも関係のない第三者がやっていた事で、番組内で取り上げられた会社は関わっていなかったという事が判明したようです。
これについても、テレビ東京は、あたかも番組内で取り上げられた会社が通信販売を行なっていたと取られかねないような不正確な内容であったとして謝罪しています。
強制捜査後も問題となっている商品が通信販売などでも売られ続けていたとお伝えしましたが、通信販売などを行っていたのはVTRに登場した会社とは異なる第三者でした。それにもかかわらず番組では、あたかもVTRで紹介した会社自身が通信販売を行っていたと不正確な表現をしてしまいました。
テレビ東京の謝罪の内容を見るに、「鬼滅の刃」の商品に関する不正競争防止法違反事件として番組内で取り上げられた会社からの相当激しい抗議があったのではないかと推測されます。
警察密着24時の打ち切り理由の不適切な内容③ やらせ疑惑
「警察密着24時」での不適切な内容として3つ目に挙げられているのが、番組内で放送された捜査シーンにおいて誤解を与える表現があったという事です。
テレビ東京が発表した謝罪文によれば、番組内で放送された警察署内での捜査員同士の会話や会議の様子が実際には再現VTRであったにも関わらず、その事を明示していなかったという事です。
捜査シーンにおいても誤解を与える表現がありました。VTRには、実際の捜査場面を撮影したものに加え、警察署内での捜査員同士の会話や会議の様子がありましたが、これらはいずれも事後に撮影したものでした。しかしながら、番組では、事後に撮影されたものであることを明示していませんでした。また、すべてが捜査の時系列に沿った一連の撮影であるかのような、誤解を招く構成になっておりました。
これについては「やらせ」なのではないか、他にもやらせがあるのではないかと疑うような声が出ています。
ただし、5月30日に開かれた定例会見で長田隆常務取締役は、ミスでありやらせではないと説明しています。
長田常務は「事実を作り出したり、歪曲したりするようなことはない」と断言。あくまでもミスにより誤った情報を放送してしまったと伝え「ヤラセではない。時系列にのせて露出しているため、事実に基づいてそのシーンを“再現”したということ。“再現”というテロップを入れなければいけなかったのが、確認漏れがあった」とした。
元々、警察密着24時をはじめとする「警察24時」系の番組にはやらせ疑惑があったため、この点に対しても批判的な声が多く出ています。
『警察密着24時』は面白いといえば面白い番組なんだけど、番組の内容的になんか問題起きそうな空気はあるよなぁと思ってたらやらせ疑惑からの番組終了の事態にまで発展するとは……
— ソビヱツク a!8,9📸 (@nobunavy) May 30, 2024
警察密着24時(テレ東)→番組終了 鬼滅の刃の商品に関する不正競争防止法違反事件で関係者の名誉を傷つけた 4人が逮捕→3人が不起訴を伝えず 仕込み,過剰演出,やらせか 捜査映像の再現が大河ドラマ並みのフィクションに 指示したのは数字欲しいプロデューサーかな コア視聴率→広告出稿→金儲け
— speed555 (@speed555) May 30, 2024
警察密着24時の視聴率
打ち切りが発表されたテレビ東京「激録・警察密着24時!!」ですが、視聴率がどの程度だったのかも話題です。
ビデオリサーチ社は週刊視聴率ランキングを発表していますが、「警察密着24時」がランキングに入ったのは2018年12月24日〜30日が最後で、番組平均世帯視聴率は「10.1パーセント」となっています。
その後はしばらくデータがありませんが、「警察密着24時」の打ち切り発表前の最後の放送となった2024年3月6日の放送の視聴率は個人視聴率が「3.7パーセント」、コア視聴率が「2.1パーセント」だったという事です。
テレ東が3月6日午後6時25分から2時間35分にわたって放送した「激録・警察密着24時!!薬物&カーチェイス!春の一斉取り締まりSP」は個人3.7%(5)、コア2.1%(5)。
2018年の放送は年末の特番だったため視聴率が通常よりも高い事を加味しても、警察密着24時の視聴率は低迷していた事がわかります。
まとめ
今回は、不適切な内容を理由に打ち切りが発表されたテレビ東京「激録・警察密着24時!!」についてまとめてみました。
警察密着24時の制作会社は「テレビジョンフィールド」で、2005年の第1回放送から同番組の制作を担当していました。不適切な内容があったとする2023年3月28日放送回も担当しています。
警察密着24時の打ち切り理由となった不適切な内容ですが、番組内で取り上げられた事件で逮捕された4人のうち3人が不起訴となったのにそれに言及せずに名誉を傷つけた点、事実ではない内容を放送していた点、警察署内での会議や会話が再現だったにも関わらずそれを明示しておらずやらせが疑われている点などが挙げられています。
警察密着24時の視聴率は2018年12月放送回の番組平均世帯視聴率が「10.1パーセント」、最新で打ち切り発表前最後の放送となった2024年3月の放送回のは個人視聴率が「3.7パーセント」、コア視聴率が「2.1パーセント」だった事などがわかっており、視聴率は低迷していたようです。