2023年4月6日に宮古島市沖で発生した陸上自衛隊ヘリコプター墜落事故の原因や真相がネットで話題です。
この記事では陸上自衛隊ヘリコプター墜落事故の概要、発生場所、搭乗者10人の身元、真相は中国軍による撃墜説をはじめとする様々な噂や現在の状況などについてまとめました。
この記事の目次
陸上自衛隊ヘリコプター墜落事故の概要
出典:https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/
2023年4月6日16時頃に、沖縄県宮古島市の沖で、陸上自衛隊のヘリコプター(UH-60JA多用途ヘリコプター)が墜落する事故が発生しました。
墜落事故を起こした陸上自衛隊のヘリコプターは第8師団第8飛行隊に所属する機体で、海岸の地形を上空から偵察する任務(実質的には師団長による視察)で飛行していました。
搭乗者は10名で、そのうちの1人は2023年3月31日に第8師団長に着任したばかりだった坂本雄一陸将でした。また、搭乗者10名中、坂本陸将を含む8名が陸上自衛隊の幹部でした。
墜落事故発生当時の事故発生場所の天候は晴れで、風速は南の風7メートル、積乱雲の顕著な発達はなく視界は良好だったとの事です。(事故が起こりやすい天候ではなかった)
事故機がレーダーから消失する2分前には、管制官と通常の通信を行なっています。このほぼ同時刻には米国人観光客(元米軍関係者)が飛行する事故機を偶然撮影しており、この時には特に異常は見られなかったという事です。
また、事故を起こしたヘリコプターは3月の下旬に、50時間飛行する度に実施される特別点検を受けており安全確認飛行も実施済みでした。
現在明らかにされている情報からは、墜落事故を起こすような原因が全く見つからない事から、インターネット上では「中国軍の攻撃で撃墜されたのが真相ではないのか」などの憶測を呼んでいます。
陸上自衛隊ヘリコプター墜落事故の経緯
2023年4月6日の15時46分、事故機である陸上自衛隊のヘリコプター(UH-60JA多用途ヘリコプター)は航空自衛隊宮古島分屯基地(沖縄県宮古島市上野字野原)を離陸しました。
15時51分30秒頃、宮古島市立狩俣小学校(沖縄県宮古島市平良狩俣)に東向きに設置された防犯カメラに事故機が正常に飛行している様子が撮影されています。
15時53分17秒頃には、宮古島市立池間小中学校(沖縄県宮古島市平良字池間)に北向きに設置の防犯カメラに、事故機が正常に飛行する様子が記録されていました。
15時54分、下地島空港の管制官から自衛隊ヘリコプター(事故機)に「下地島空港の航空管制圏に入ったら、下地島管制の周波数にコンタクトせよ」との通信があり、事故機は「了解」と答えています。これは通常の事務的な交信で、この際に事故機側から異常を伝えるような交信内容はありませんでした。
15時56分、宮古空港から北西洋上の空域にて事故機の機影がレーダーから消失。最後の交信から2分後、離陸から10分後の事でした。
自衛隊ヘリコプターのレーダーからの消失後、防衛省は墜落事故の可能性が高いと判断(断定はしていない)し、自衛隊艦艇や航空機を派遣しての捜索を開始しています。
墜落事故発生翌日の2月7日には、墜落したヘリコプターのスライドドアの一部など少なくとも10個の破片や部品が見つかっています。
墜落事故発生から2日後の4月8日19時頃、地域の一般住民から伊良部島北側の岸壁下の海上に人のようなものが複数浮いているとの通報が入り海保のヘリや自衛隊や消防による捜索が行われましたが何も発見できませんでした。
墜落事故発生から10日後の4月16日午前8時30分頃、潜水艦救難艦「ちはや」が、伊良部島北側水深106m海底で事故機の胴体部分とその周辺に搭乗者と見られる5人を発見。2人が引き上げられるも死亡が確認されました。
4月18日までに、残る3人も引き上げられるもいずれも死亡が確認されました。また、同日には新たに搭乗者と見られる1人が海底で発見され、5月1日に引き上げられて死亡が確認されています。
5月2日には、民間のサルベージ船によって事故機の主要部が引き上げられています。この機体の主要部分は7日夜に熊本県益城町の陸上自衛隊高遊原分屯地へと運び込まれました。
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現在、残る搭乗者4人と事故機体の捜索及び、発見された機体の残骸の引き上げ作業が続けられています。
陸上自衛隊ヘリコプター墜落事故の発生場所
陸上自衛隊ヘリコプター墜落事故の発生場所は沖縄県宮古島市の沖の洋上です。
墜落事故を起こしたと見られる陸上自衛隊のヘリコプターがレーダーから消失した場所は「宮古空港から北西約18kmの地点」と発表されています。
機影が消えた場所は、宮古島西方にある下地島の北側に位置し、宮古空港から北西約18キロの洋上。
ただしこれはレーダーからヘリコプターの機影が消失した場所で、墜落事故が発生した場所と断定されたわけではありません。
とはいえ、周辺海域から機体の残骸や部品、搭乗者が発見されているため、この場所の近くで何らかの事故が発生し墜落した可能性が高いと見られています。
陸上自衛隊ヘリコプター墜落事故の原因は現在調査中
陸上自衛隊ヘリコプター墜落事故の原因はまだ特定されておらず、現在も調査中です。
最新のニュースでは、5月7日に陸上自衛隊高遊原分屯地へ運び込まれた事故機の残骸の主要部からフライトレコーダーが回収されたとの情報が公開され、これが原因究明の鍵になるのではとの見方も示されています。
そして今回わかった新たなニュースとして、引き揚げた機体からフライトレコーダーが回収されました。これを解析することが、事故原因の究明の鍵になってくるのでは、とみられています。
引用:陸上自衛隊ヘリ事故 引き揚げ機体は“激しく損傷” 専門家「内部で何かが爆発した可能性も…」フライトレコーダー回収で原因究明へ【Nスタ】
陸上自衛隊ヘリコプター墜落事故の搭乗者は10名で6名死亡4名行方不明
陸上自衛隊ヘリコプター墜落事故の事故機の搭乗者は10名と発表されています。
事故発生のすぐ後に、搭乗者のうちの1人が、事故機の所属する第8師団の師団長である坂本雄一陸将(55歳)である事が発表されています。
事故後、発見され死亡が確認された6人の搭乗者のうちの1人がこの坂本雄一陸将である事が確認されています。
また、発見された他5人の搭乗者の氏名も公表されており、庭田徹1等陸佐(48歳)、神尊皓基3等陸佐(34歳)、山井陽3等陸佐(47歳)、内間佳祐3等陸尉(27歳)、宮本敬士2等陸曹(34歳)と発表されています。
未だ行方不明となっている搭乗者4名の氏名は公開されていませんが、搭乗者10名の内訳は「操縦士2名、整備員2名、坂本雄一陸将を含む偵察任務にあたる隊員6名」との情報が公開されています。
陸上自衛隊ヘリコプター墜落事故の真相の説① 機体自体のトラブル説
陸上自衛隊ヘリコプター墜落事故の原因は現在も調査中ですが、その真相をめぐってネット上では陰謀論を含めて様々な憶測が飛んでいます。
陸上自衛隊ヘリコプター墜落事故の真相として最も現実的だと見られているのは、機体自体のトラブルが原因で墜落したとする説です。
過去にも、陸上自衛隊のヘリコプター事故は発生しており、2018年2月に佐賀県神埼市千代田町で発生した攻撃ヘリAH-64Dの墜落事故では、事故原因は部品の一部が破損した事でメインローターが上空でバラバラになり、機体が急激に墜落したと発表されています。
今回の宮古島の陸上自衛隊ヘリコプターの墜落事故でも、事故機は最後の通信からレーダーからの機影消失までのわずか2分の間に墜落したと見られており、その際に緊急事態を伝える通信も行われていない事などから、何らかの部品の破損により通信を行う暇もないほど瞬時に海面に墜落したのが真相ではないかと推測されています。
陸上自衛隊ヘリコプター墜落事故の真相の説② 中国軍に撃墜された説
陸上自衛隊ヘリコプターの墜落事故の真相として、ネット上で最も盛り上がっている説が中国軍によって撃墜されたとする説です。
事故発生場所となった宮古島市の沖合は、以前から中国との緊張が高まっている海域であり、付近では中国軍の艦船や航空機が度々行動している事が報告されています。
また、事故機の搭乗者の中には第8師団の師団長である坂本雄一陸将が含まれていましたが、この第8師団は熊本県、宮崎県、鹿児島県の防衛を担当する部隊ですが、有事の際には担当区域を超えて緊急展開する機動師団であり、仮に中国軍との軍事衝突が発生した場合には実際に交戦する事も想定されている部隊です。
つまり、有事の際には中国軍との交戦も想定されている部隊のトップが搭乗するヘリコプターが、中国との緊張が高まっている場所で墜落したという事になります。
こうした事から、今回の陸上自衛隊ヘリコプター墜落事故の真相は中国軍による撃墜だとする説が広まっています。
この中国軍による撃墜説に対しては、レーダーがミサイルのような飛翔体を捉えていない事などから否定する見方も出ていますが、レーダーに映らないような小型のドローンによる体当たり攻撃や、レーダーが捉えられないレールガン(電磁砲)のような新兵器による攻撃によって撃墜された可能性は考えられるといった反論が出ています。
他にも、中国軍のサイバー攻撃によって電波妨害を受けて撃墜されたのではといった説も飛び出しているようです。
自衛隊のヘリ墜落事故はなんか引っかかるなこの壊れ方は機材トラブルで墜落した感じじゃない、撃墜されたみたいじゃない❓
— u_suke (@usk1957) May 3, 2023
早くフラ一レコーダーの解析をしてほしい。 pic.twitter.com/rK4rttUzq6
中国軍よる撃墜説が広まっている事を受けてか、墜落事故発生後の国会では、立憲民主党の玄葉光一郎衆議院議員が、「中国軍艦が直前に沖・宮間(沖縄本島と宮古島間の海域)を通過してる関連性は絶対に無いと言う事でよろしいですか?」と、浜田靖一防衛大臣に質問しています。
浜田防衛相はこれに「今のところ私への報告には関連性の情報は入っていない。情報収集をやっていく。今ここで確たるものを話しする事は差し控える」と回答しています。
国会では、野党議員がこの事故を取り上げ、「中国の軍艦が直前に沖縄本島と宮古島の間を通過していることと関連性は絶対にないか」とただしました。
浜田防衛相は「今のところ私への報告には関連性の情報は入っていない。今、確たるものを話すことは差し控えたい」と述べるにとどめました。
また、中国軍の艦船(空母山東など3隻)が4月5日から6日(事故発生当日)にかけて宮古島周辺海域を航行していた事と、墜落事故との関連については、防衛省の大和太郎統合幕僚監部総括官が「中国艦艇の活動は6日の未明に起こっており、事故発生事件とは大きく離れる時間」と説明し、中国軍の艦艇と墜落事故に関連があるとは考えられないとの見解を示しています。
「週刊新潮」(2023年4月20日号)に掲載された記事では、元陸将の福山隆さん(元陸幕調査第2課長、元情報本部初代画像部長)が、中国からの攻撃の可能性は0とはいえないとの見解を示されています。
「外国勢力、特に中国からの攻撃の可能性は現時点ではゼロとは言えません。レーダーに感知されていない以上、ミサイル攻撃はないでしょうが、ドローンによる攻撃、あるいはなんらかの新兵器に撃墜された可能性は残ります。それに最近の陸自の重点的な南西諸島への兵力配備は中国から見れば、太平洋進出を邪魔する動きだったでしょう」
ただし、福山隆元陸将は、他国の領空内で将官を攻撃し殺害するような行為は明確な侵略行為にあたり、仮に発覚した場合のリスクが大きすぎるため、中国軍が陸自のヘリコプターを撃墜するメリットがないので、中国軍による撃墜説はほとんど考えられないとする見解も示されています。
陸上自衛隊ヘリコプター墜落事故の真相の説③ 中国や北朝鮮の工作員説
陸上自衛隊のヘリコプター墜落事故の真相は、中国や北朝鮮の工作員による破壊工作ではないかとの説も囁かれています。
以前から陸上自衛隊の内部には既に中国や北朝鮮のスパイが紛れ込んでいるとの陰謀論が囁かれています。
今回の墜落事故も中国や北朝鮮の工作員によって爆発物が仕掛けられていたのではないかとの説が広まりました。
TBSのニュース番組「Nスタ」では、海難事故などに詳しい東海大学の山田吉彦教授に陸上自衛隊ヘリコプター墜落事故の原因や真相の推測を依頼していました。
山田教授は、陸上自衛隊のヘリコプターの機体が分断されていた事などから、内部で何かが爆発した可能性も考えられるとの見解を示されていました。
「機体が複数に分断されているので、“横倒しの状態”で墜落したのではないか」とのことです。そのまま垂直に墜落した場合はそれほど大きな分断にはならないそうです。しかし“横に倒れていった”ことによって複数に分断されたのではないかと山田教授はみています。そして報道では「機体がバラバラになっていた」というような表現もありましたが、山田教授いわく、内部で何かが爆発した可能性もあるとのことです。
引用:陸上自衛隊ヘリ事故 引き揚げ機体は“激しく損傷” 専門家「内部で何かが爆発した可能性も…」フライトレコーダー回収で原因究明へ【Nスタ】
こうした情報も、中国や北朝鮮の工作員が陸上自衛隊のヘリコプターに爆発物を仕掛けていたのではないかとの憶測につながっているようです。
磯部さんよ、鳥だって⁉️ざけんなよ
— 日本人に誇りを (@zkA6xINLnqnCWDk) April 7, 2023
これでどうして鳥だなんて安易に言えるんだよ
10人中8人が幹部だったんだよ?台湾有事の際の第一線の
師団長だったんだよ?
この飛行を提案した人物と、ヘリを整備した整備士の中に工作員がいる。今すぐ調べろ‼️#自衛隊ヘリ #幹部8人 pic.twitter.com/ttUjz2P9AC
陸上自衛隊ヘリコプター墜落事故の真相の説④ ホエールウオッチング説
陸上自衛隊のヘリコプター墜落事故の真相として、事故機が任務中にホエールウォッチングを楽しんでいて墜落したのではないかとするトンデモ説も出ています。
2023年4月23日に配信の「Smart FLASH」の記事では、元自衛隊幹部の推測だとして、ホエールウオッチング説が紹介されています。
この元陸上自衛隊幹部によると、幹部が搭乗した際などにヘリのパイロットが接待を兼ねて幹部にアクロバティックな飛行体験を提案する事がよくあるのだとか。
ある元陸自幹部は、“体験飛行”をしていたのではないか、と推測する。
「幹部が搭乗した際に、パイロットから『前方にある雲の中に入ってみますね』とか、『急上昇をしてみますか』といった、少しアクロバティックな“体験飛行”を提案することはよくあります。いわば接待を兼ねたようなものです。
そして、事故のあった場所はクジラなどの海洋哺乳類の生息地である事から、事故機は低空飛行をしてホエールウォッチングのような事をしており、その際に操縦を誤って墜落したのではないかとの推測でした。
そこで、推測にはなりますが、あの海域はクジラのような水生哺乳類の生息地だと聞いています。もしかすると、低空飛行をして“ホエールウォッチング”をしていたのかもしれません。しかし、事故海域は風が強く、海面すれすれだと機体の維持が困難になるときがあります。バランスを崩して突然、墜落してしまったのかもしれません」
しかし、この記事に対しては自衛隊経験者や関係者からかなり否定的なコメントがついています。
そもそも自衛隊ではそのような接待飛行などあり得ないし、陸将のような最上級幹部に対して「前方にある雲の中に入ってみますね」などとふざけた口調で話しかける事などあり得ないとしてこの説を否定しています。
また、必要もないのに雲の中に入るという行為は視界が遮られて危険が高いため、ヘリのパイロットがこのような提案をする事は絶対にあり得ないとの意見も出ています。
一方で、こうした馬鹿馬鹿しい説が出てくるのは、何か隠蔽したい真相が存在するためでは?と勘ぐるような声も多く上がっています。
陸上自衛隊ヘリコプター墜落事故の現在
陸上自衛隊ヘリコプター墜落事故は、現在も見つかっていない搭乗者4名の捜索と、機体の破片や部品の捜索が続けられています。
また、陸自の調査委員会により、引き上げられた機体の主要部や回収されたフライトレコーダーの解析なども行われ原因の究明が進められているようです。
現在はまだ事故原因や新情報の発表はされておらず、情報の開示が待たれています。
まとめ
今回は、2023年4月6日に宮古島市沖で発生した陸上自衛隊ヘリコプター墜落事故についてまとめてみました。
この事件では、2023年4月6日15時46分に航空自衛隊宮古島分屯基地を離陸し、わずか10分後の15時56分に宮古空港から北西洋上の空域でレーダーから機影が消失しました。この2分前には管制官との通常の交信を行なっており、この2分の間に何らかの原因により墜落事故を起こしたと見られています。
陸上自衛隊ヘリコプター墜落事故の発生場所は、レーダーから機影が消失した宮古島市沖付近と見られていますが、正確な場所は現在のところ特定されていません。
事故機の搭乗者は10名で、内1人は事故機の所属する第8師団の師団長の坂本雄一陸将でした。他にも事故機には複数の幹部が搭乗しており、墜落場所が中国との緊張が高まっている海域であった事から、事故の真相は中国軍による撃墜ではないかとの説が飛び交っています。
現在も搭乗者のうち4名が発見されず行方不明となっており捜索が続けられています。
また、墜落事故の原因も未だ判明しておらず、陸自の調査委員会による原因究明が進められています。