遊園地「富士急ハイランド」のジェットコースター「ド・ドドンパ」で立て続けに骨折事故が発生し騒動になっています。
この記事では、ド・ドドンパの骨折事故のこれまでの経緯、注目されている最高速度、骨折事故の原因やその後の被害者への誹謗中傷、現在の状況についてまとめました。
この記事の目次
ド・ドドンパ(富士急ハイランド)で骨折事故が続出し運行休止に
2021年8月20日、山梨県富士吉田市にある人気遊園地「富士急ハイランド」の、世界最高速度を売りにしているジェットコースター「ド・ドドンパ」に乗った利用客が、頚椎を骨折するなどの大怪我を負う事故が、2020年12月から2021年8月にかけて立て続けに4件起こっていた事を山梨県が発表し、大きな騒動になっています。
山梨県は20日、富士吉田市の遊園地「富士急ハイランド」のジェットコースター型アトラクション「ド・ドドンパ」で、2020年12月から今年8月にかけて、利用客が頸椎(けいつい)などを骨折する事故が4件起きていたと明らかにした。同社から17日に報告があったといい、県と国が21日に立ち入り調査する。
今回はこの富士急ハイランドのジェットコースター「ド・ドドンパ」の骨折事故についてまとめていきます。
富士急ハイランドのド・ドドンパ骨折事故の概要① 富士急の公式発表
報道当初の富士急ハイランドの説明によれば、2020年の12月、2021年の5月、7月、8月の計4度、利用者が骨折などの負傷をする事故が発生したという事です。事故の被害者はド・ドドンパに乗った30代後半から50代後半の男女4名だという事でした。
また、被害者4名の怪我については、胸頸椎圧迫骨折などでそれぞれ、全治1〜3ヶ月と発表されています。
富士急ハイランドは、ド・ドドンパで立て続けに骨折事故が発生している事を受けて、2021年8月12日から同アトラクションの運行を休止しています。
富士急ハイランドのド・ドドンパ骨折事故の概要② 報告の遅れが問題視される
ド・ドドンパでの骨折事故などが、8ヶ月の間に4件も発生していた富士急ハイランドでしたが、事故が起こった事を山梨県に報告したのは最初の事故が発生してから約7ヶ月後の8月17日でした。
山梨県は、以前から富士急ハイランドに対して、ジェットコースターなどで重傷の被害者が出る事故が発生した場合は速やかに報告するよう通知していたそうなのですが、今回その報告が速やかに行われなかった事を受けて、富士急ハイランドに対して行政指導を行い、立ち入り調査を実施しています。
富士急ハイランドのド・ドドンパ骨折事故の概要③ 新たに骨折者2名を確認
2021年8月31日、富士急ハイランドは事故後初めて記者会見を行い、その会見の中で、新たにド・ドドンパを利用して骨折した2名の被害者が確認された事を報告しています。
富士急ハイランドは今回の骨折事故の報道後、この件に関する相談窓口を開設していましたが、この会見の時点で132件の相談が寄せられ、その時点でそのうち2件の重傷者、3件の軽傷者が確認されている事が報告されています。
また、この時点ではド・ドドンパによって重傷を負った可能性があるとして調査中のものが14件、同じく軽傷の可能性があるとして調査中のものが113件ある事が報告されています。
ド・ドドンパ(富士急ハイランド)の最高速度は180km/h
今回の骨折事故発生が報じられている富士急ハイランドのジェットコースター「ド・ドドンパ」は、世界最高の瞬間最高速度を売りにしたアトラクションです。
ド・ドドンパの瞬間の最高速度は公式に「180km/h」と公表されています。
公式の説明によると、ド・ドドンパは、発射の1.56秒後に最高速度の180km/hに達するという事で、加速力でも世界最高だという事です。ちなみにこの加速度は航空母艦のカタパルトで軍用機を射出する時に匹敵するという事です。
ド・ドドンパ(富士急ハイランド)の骨折事故の原因は?
現在の「ド・ドドンパ」は、2017年から運行が開始されていましたが、今回のような事故があったのは2020年12月が初めてだったという事で、それまでにそうした事故は報告されていないという事です。
そのため、今回のド・ドドンパで立て続けに発生した骨折事故の原因は何なのかという点にも注目が集まっています。
富士急ハイランド側の当初の報告では、今回の事故の被害者は座っていた位置も年代も性別もバラバラである事、事故発生の直前と直後の点検で異常が確認できず正常に動作していた事などを理由に原因は不明(ド・ドドンパと負傷との因果関係を確認できない)とされています。
また、富士急ハイランドは一連の骨折事故を受けて2021年9月3日に事故原因究明のための第三者委員会を設置していますが、その途中報告では、ヘッドレストやハーネスが効果的に作用する事で「体の安全範囲を超えることはない」としています。
また報道によれば、一連の事故を受けて9月3日に立ち上げた第三者委員会が調査したところ、G(重力加速度)の負荷は日常に経験する値を超えるが、ヘッドレストやハーネスが効果的に作用することで、「人体の安全範囲を超えることはない」としている。
この事から、今回の骨折事故の原因は被害者が乗車姿勢が正しくなかった可能性があるという見方も一部の専門家からは出ています。
現在も事故原因を調査中のため私の推測になりますが、乗客の乗車姿勢が守られていなかったおそれが考えられます。乗車にあたっての注意書きが見過ごされたり、スタッフによる説明が聞き逃されたりした可能性もあります。
仮に上で指摘されているものが今回の事故の原因だとして、2020年12月まで3年以上もド・ドドンパでこうした事故が報告されていなかった事などから考えて、事故が発生した時期にド・ドドンパの担当スタッフが利用者に対して正しい乗車姿勢の案内を徹底していたのかという点にも注目が集まりそうです。
一方、国の事故調査部会と山梨県も事故原因究明のための立ち入り調査を実施していますがこちらは現在も調査中で原因の究明には至っていないようです。
これらの正式な原因報告が発表されるまでは、勝手に事故の原因を推測する事は避けた方が良いと思われます。
ド・ドドンパ(富士急ハイランド)の骨折事故の被害者
今回のド・ドドンパの骨折事故の被害者について、当初報告になった4人の被害者については以下の内容が公表されています。
2020年12月の被害者は30代後半の女性で、第6・7頚椎の圧迫骨折および第2・3・4胸頚椎の圧迫骨折で全治2ヶ月。
2021年5月の被害者は40代後半の男性で、第7胸頚椎の圧迫骨折で全治1ヶ月。
2021年7月の被害者は50代後半の女性で、第4・5頚の椎棘突起破裂骨折で全治3ヶ月。
2021年8月2日の被害者は30代後半の男性で、第6頚椎の圧迫骨折で全治2ヶ月。
その後、相談窓口の問い合わせによって判明した2件の重傷者については詳しい情報は公開されていません。
ド・ドドンパ(富士急ハイランド)の骨折事故の被害者への誹謗中傷も
今回のド・ドドンパでの骨折事故では、何故か被害者の側がインターネット上で誹謗中傷を受ける被害も発生しているようです。
上の画像の関東近郊に住む「もえかさん」という21歳(メディア出演当時)の女性は、事故後の8月24日に「NEWS23」に出演して、同年7月3日にド・ドドンパに乗車して第2頚椎骨折の重傷を負った事を告白したのですが、何故かこの放送後にSNSなどで「さっさと死ねよクソ女!」などと誹謗中傷を受けたそうです。
このもえかさんが、被害者であるにもかかわらずこうした誹謗中傷を受けた理由としては、彼女が事故後もTwitterで、ド・ドドンパで首を怪我したと話した後も元気そうな様子をツイートしていたためだったという事です。
関東近郊に住む、もえかさん(21)は7月3日に「ド・ドドンパ」に乗車し、第2頚椎を骨折したことを8月24日放送の「NEWS23」(TBS系)で告白した。
ところが、放送終了後、もえかさんのツイッターがネット上で非難の的となってしまう。もえかさんのツイッターには、首を怪我した後も笑顔で日常生活を送っている様子などがアップされていたからだ。
引用:「さっさ死ねよクソ女!!」富士急ド・ドドンパで骨折した女性(21)が大炎上! 彼女が明かした「ホントの症状」と「“クビ曲げ”自撮り画像の理由」
また、この被害者のもえかさんは、過去にアイドル活動をしており、現在も歌手を目指しているそうなのですが、この事から、今回、ド・ドドンパでの事故被害を訴えているのは、売名を狙った炎上商法ではないかといった批判も浴びているようです。
もえかさんは現在もTwitterを利用されていますが、今も批判的なコメントが一部書き込まれ続けているようです。
なお、こうした被害者に対する誹謗中傷行為に対して、長崎幸太郎山梨県知事は「重大な人権侵害。中傷行為の排除に全力で臨む」とのコメントを発表されています。
ド・ドドンパ(富士急ハイランド)の現在① 運行休止が続いている
ド・ドドンパは2021年10月の現在も事故原因究明に向けての調査が続いており、終日運行休止の状態が続いています。
事故原因が究明され、安全の確認ができるまでは運行の再開はないでしょう。
ド・ドドンパ(富士急ハイランド)の現在② 被害者は12名(別のアトラクションも含めると14名)に
ド・ドドンパの骨折事故発生後も、新たな被害者が確認されています。2021年10月の現在の時点の最新の情報では、同年9月20日に富士急ハイランド側からの発表により、新たに乗客3名の負傷が確認された事がわかっています。
この発表によると、ド・ドドンパ以外のアトラクション「FUJIYAMA」と「ええじゃないか」でも負傷者が確認されたという事で、現在までに、ド・ドドンパの乗客の負傷者は12名、他のアトラクションを含めて14名の負傷者が確認されているという事になります。
富士急ハイランド(山梨県富士吉田市)は20日、ジェットコースター「ド・ドドンパ」の乗客3人の負傷を新たに確認したと発表した。別のアトラクション「FUJIYAMA」と「ええじゃないか」でも2人の負傷が判明し、負傷者は計14人となった。
ただし、富士急ハイランドの発表によれば、新たに判明した5人の被害者は体の痛みや打撲などの比較的軽い症状だという事です。
まとめ
今回は、2020年12月から2021年8月にかけて、富士急ハイランドのジェットコースター型アトラクション「ド・ドドンパ」で立て続けに起こった骨折事故についてまとめてみました。
ド・ドドンパの骨折事故では当初の報道で頚椎骨折などの重傷者4名が発表されていましたが、その後の調査などで他にも被害者がいる事が判明しており、2021年10月の時点では他のアトラクションも含めて14名の被害者が確認されているとの報告が出ています。
ド・ドドンパは世界最高速度(180km/h)を売りにしたジェットコースターでしたが、原因についてはこのアトラクションの特徴である強い加速力が関係している可能性や、乗客が正しい乗車姿勢ではなかった可能性などが疑われていますが、2021年10月の現在はまだ特定には至っていません。
また、このド・ドドンパの骨折事故では、事故後のメディアに出演して被害状況などを訴えた被害者の1人がネットで誹謗中傷を受けるなどの二次被害も発生しています。
現在、ド・ドドンパはまだ運行休止になっています。今後、事故原因が究明され安全が確認されるまでは運行再開は難しいでしょう。