新型コロナウイルスによる国内20代初の死者となった力士・勝武士さんの早すぎる死に、大相撲ファンの間で悲しみが広がっています。
ここでは、勝武士さんの新型コロナウイルスの発症から死去までの経緯が問題視されている件や発表された死因、糖尿病の基礎疾患(持病)を持っていた事やラーメンとの関係などについてまとめました。
この記事の目次
勝武士(力士)のプロフィール
勝武士(しょうぶし)のプロフィール
四股名 :勝武士幹士(しょうぶしかんじ)
本名 :末武清孝
生年月日:1991年11月4日
没年月日:2020年5月13日(享年28歳)
出身地 :山梨県甲府市
身長 :165cm
勝武士幹士さんは、高田川部屋に所属していた大相撲力士で、2007年の春場所で初土俵を踏み、2020年春場所まで活躍。最高位は東三段目11枚目で、力士としての生涯成績は260勝279敗(79場所)でした。
165cmの小柄な体格ながら、それを逆に活かした敏捷さと器用さが武器で、相撲をよく知る頭脳派の力士でもありました。
同郷で1歳年上の兄弟子の竜電剛至さんとは幼なじみで、甲斐市立竜王中学校時代には、共に柔道部に所属し後輩と先輩の関係でした。
師匠の高田川親方が中学に勝武士さんをスカウトに来た際に、同じ柔道部の先輩だった竜電さんを勝武士さんが紹介し共に高田川部屋に入門する事に、角界入り後も、勝武士さんは竜電さんの付き人を務め、「いつかは超えたい憧れの存在」と慕っていました。
また、勝武士さんはその小柄な体格と明るい性格、相撲をよく知る研究熱心さを買われて、巡業や花相撲での初っ切り(相撲の禁じ手をコミカルに紹介する伝統の余興相撲)に度々起用され、大相撲ファンの間ではよく知られた人気力士でした。
勝武士さんは、ファンや関係者から深く愛された力士でしたが、2020年5月13日に、新型コロナウイルスにより、28歳という若さでこの世を去り、大相撲ファン、関係者の間に深い悲しみが広がっています。
今回は、この勝武士さんの、あまりに早すぎる死に焦点を当ててまとめていきます。
勝武士(力士)の死因は新型コロナウィルス性肺炎による多臓器不全
勝武士さんは、2020年5月13日に28歳の若さで亡くなりました。死因は、新型コロナウイルス感染によって引き起こされた肺炎による多臓器不全と発表されています。
勝武士さんの死は、厚生労働省が把握する限り、国内での新型コロナウイルスによる初の20代以下での死亡者でした。また、国内におけるスポーツ選手として新型コロナウイルスによる初の死亡事例になりました。
勝武士の新型コロナウイルス発症から死去までの経緯
勝武士さんの新型コロナウイルス感染発症から死去に至るまでの経緯が日本相撲協会によって発表されています。
それによれば、勝武士さんは2020年4月はじめに倦怠感を訴え、4月4日と5日に続けて38度台の高熱が出ました。この間、師匠の高田川親方(元関脇の安芸乃島)は、新型コロナウイルス感染を疑い、保健所に連絡し続けたものの、一度も電話がつながりませんでした。
同時に、4月6日までに、近隣の複数病院に診察や検査を依頼しましたが、新型コロナへの対応策が整っていない事などを理由に受け付けてもらえませんでした。7日に近隣の医院に相談したものの、診察や治療を受けられる機関を見つけることができなかったという事です。
8日になっても勝武士さんの発熱は治らず、血痰など症状が悪化したため、救急車を呼んだものの、受け入れてくれる病院が見つからず、夜間になってようやく、都内の大学病院に入院できたという事でした。
この入院先の大学病院での新型コロナ感染の簡易検査の結果は陰性でしたが、翌9日になって症状が悪化したため別の大学病院へと転院、4月10日にその転院先の病院でPCR検査を受けたところ、今度は新型コロナウイルス陽性との判定が出ています。
勝武士さんはそのまま入院し治療が続けられましたが、4月19日に容態が急変し、集中治療室(ICU)へ入って治療を受ける厳しい状況となりました。そして、5月13日の深夜0時30分頃、治療の甲斐もなくこの世を去りました。
死因は前述の通り「新型コロナウイルス感染症による多臓器不全」と発表されています。
勝武士の早すぎる死を悼む声が多数
日本相撲協会の八角理事長は、勝武士さんの死去に以下のコメントを発表され、その早すぎる死を悼んでいます。
1カ月以上の闘病生活、ただただ苦しかったと思いますが、力士らしく、粘り強く耐え、最後まで病気と闘ってくれました。今はただ、安らかに眠ってほしいと思います
また、竜王中学の柔道部時代の恩師の佐々木秀人さんは、声を震わせて涙を見せ「ワシより早く行っちゃダメだよ」と悲しみのコメントを出されています。
大相撲ファンからも、その死を悲しむコメントが多く上がっています。
邪気をはらうシコ
— どすこいクマさん (@doskoikumasan) June 29, 2020
#49 勝武士さん
会うたびにワクワクさせられるお相撲さんでした。
勝武士さんという力士に出会えたこと、もらった思い出はかけがえのない宝物です。
今までお疲れ様でした。そして、素敵な思い出をありがとうございました。 pic.twitter.com/jop3OU9WPc
お相撲さんたちが元気でいてくれますように、、といつも願ってきたさわちゃん。
— おすもうさわちゃん (@osumou_sawachan) July 13, 2020
勝武士さんが亡くなった時、心配になるほど落ち込んでお相撲もなかったのでツイートできずにいました。
面白くて優しくて真面目な勝武士さん🌻
花道を歩く姿、
勝武士さんの大切な方々に届きますように、願いを込めて。 pic.twitter.com/oJItNaexP9
勝武士さんへ…
— エリキセノン (@erikisenon) June 1, 2020
高田川親方「俺が親方の本当の1番弟子だ、と嬉しそうに話していた顔が忘れられません」
竜電関「見守ってくれている勝武士と共に精進します」
輝関「勝武士さんとの思い出を忘れずに頑張っていきます」
白鷹山関「明るく太陽のような存在の勝武士さんを胸に精進します」
😭😭😭
新型コロナウイルス発症後すぐに治療を受けていれば助かったとの見方も
勝武士さんが新型コロナを発症した2020年4月頃は、国内で新型コロナウイルス感染者が急増して医療現場の状況は逼迫しており、また、この時点で、新型コロナ患者の受け入れ態勢が整っている医療機関は限られてる状況でした。
そしてそれが、勝武士さんが早急な検査と治療を受けられなかった事へとつながりました。
一部からは、もし勝武士さんが新型コロナ発症直後に早急な検査と治療を受ける事が出来ていれば助かっていたのではとの見方も出ています。
そのため、速やかに新型コロナウイルスに対する体制を整えられなかった行政への批判の声も上がっています。
また、勝武士さんの死から1ヶ月以上が経過した2020年6月の時点で、厚労省の発表した新型コロナウイルスの統計で、20代の死亡者は0と発表されており、勝武士さんの死が反映されていない事についても批判が高まりました。
勝武士(力士)には糖尿病の基礎疾患(持病)があった
新型コロナウイルス感染症は、基礎疾患(持病)があると重症化につながりやすいとの指摘が専門家から出されていますが、勝武士さんには糖尿妙の基礎疾患(持病)があり、これが勝武士さんの新型コロナウイルスの重篤化につながったと見られています。
勝武士さんは、2014年から注射によるインスリン投与を必要とする糖尿病による低血糖障害の基礎疾患(持病)を患っており、2016年にはその基礎疾患により、取組の直前に土俵下の控えで全身が赤らんで手が震える症状が出て不戦敗となった事もありました。
勝武士(力士)と指宿ご当地グルメ勝武士(かつぶし)ラーメンは無関係
勝武士とネット検索すると「ラーメン」という関連ワードが出てくるため、一部匿名掲示板などで、勝武士さんの糖尿病をラーメンの食べ過ぎが原因などとするデマ情報が広まっていますが、この「勝武士」とは、鹿児島県指宿市のご当地グルメである「勝武士(かつぶし)ラーメン」のことで、力士の勝武士さんとは何の関係もありません。
まとめ
今回は、2020年5月13日に、新型コロナウイルス感染症による多臓器不全によって28歳という若さで亡くなった大相撲力士・勝武士さんについてまとめてみました。
勝武士さんは、165cmの小柄な体格ながら、敏捷さと器用さが武器の力士で、また真面目で研究熱心な力士としても高く評価されていました。真面目さの一方で、明るくひょうきんな性格でもあり、巡業や花相撲での初っ切りに定番力士として活躍。大相撲ファンの間ではよく知られた人気者でした。
勝武士さんは、2020年4月に新型コロナウイルス感染症を発症しましたが、当時の医療現場が逼迫していた事や新型コロナ受け入れ態勢が整っていなかった事などから、すぐに検査や治療を受けられず容態が急変、集中治療室へと入りました。勝武士さんは糖尿病の基礎疾患(持病)を持っていた事などもあり、治療の甲斐なく28歳という若さでこの世を去りました。
勝武士さんのご冥福をお祈りします。