筧千佐子は、2000年代から2010年代前半に起きた青酸化合物による連続殺人事件の犯人です。結婚相手や交際相手を殺しては遺産や保険金を手に入れるという手口からは、”毒婦”あるいは”後妻業の女”とも呼ばれています。
ここでは筧千佐子の生い立ちから歴代の旦那や交際相手と虜にしたテクニック、そして子供たちから現在までを総まとめしています。
この記事の目次
筧千佐子のプロフィール
名前:筧千佐子(かけひちさこ)
生年月日:1946年11月28日
出身地:長崎生まれ、北九州育ち
身長:154cm
筧千佐子は、近畿地方で起きた青酸連続殺人事件の被告です。2014年に逮捕され、これまでに一審、二審とで死刑判決が出ました。金持ちの高齢者を狙い、遺産を相続し金銭を奪う犯行からは、リアル”後妻業の女”と呼ばれています。
筧千佐子の生い立ちと学歴~高校はトップクラスの進学校だった
筧千佐子、幼少期に養子に出される
筧千佐子の実家は山下といい、北九州市(当時八幡市)にありました。山下家は父親が大手製鉄会社に勤め、母親が専業主婦をしていたと報じられます。しかし実は実母が未婚で筧千佐子を長崎県で出産したため、その後に北九州の山下家に養子に出されたという経緯がありました。
彼女は、”山下千佐子”として最初の結婚までを過ごしました。この山下家は非常に厳格な家庭だったそうです。一部ネット情報では、「開拓千佐子」が本名(実母の姓?)とされていますが、これは彼女が高校の卒業文集に寄せ書き的な感じで書いたもののようです。
筧千佐子、福岡トップクラスの進学校・福岡県立東筑高校を卒業
勉強がよく出来、秀才だったという筧千佐子
筧千佐子は頭が良く、高校は福岡県内でも有数の名門校・県立東筑高校に入学。東筑高校は現在でも偏差値70をマークする県内トップクラスの進学校で、卒業生のなかには東大、京大、九州大などの有名大学に合格・進学するような人もいるほどです。
また卒業生には俳優の高倉健さんなど、各界で活躍する著名人がいます。
筧千佐子、大学進学を諦め都市銀行に就職
成績優秀だった筧千佐子は大学進学を考えながらも、養父や家族の反対にあい、都市銀行に就職。のちに筧千佐子は高校卒業時に大学進学しなかったことを”人生の分かれ目”と語りました。
「先生から九州大学なら絶対に合格やと言われていた。もっと上も大丈夫という先生もおったよ。けど、九州の田舎は、女が大学行くなんてととんでもない、という古風な土地柄だったので就職しかなかった。高卒ではまず入れない大きな銀行に入れた。そこでもうちはよくできると、上司からも評価されていた。それがなんで、こんなところに今、おるんやろうか。九州大学に行ってたら、拘置所にいることなんてなかった。それがうちの人生の分かれ目やった」
ただ普通に考えれば大学にいけなかったものの都市銀行勤めは、なかなか良い就職先だったのではないでしょうか。なお都市銀行では八幡支店で預金係の仕事をしていたそうです。
筧千佐子の若い頃~学生時代は野際陽子似でモテていた?
学生時代の筧千佐子
めちゃくちゃ美人というわけではないかもしれませんが、筧千佐子の若い頃は野際陽子さん似だったという話もあったとか。
手芸部に所属していましたが、校内でも有名な美人でしたよ。落ち着いた印象で、成績も優秀とあって、ファンの男子生徒も多かったです。
30、40代頃の筧千佐子
少し前の写真ですね。
ちょっと昔の筧千佐子
逮捕前後の筧千佐子
このイメージが強い方もいるでしょう。
2019年現在の筧千佐子
裁判での様子を絵に書いたものですが、現在は髪が伸び、白髪になっているとのこと。
筧千佐子には4度の結婚歴~元旦那4人とはいずれも死別
筧千佐子、結婚と死別を繰り返していた
結婚歴4度の筧千佐子
筧千佐子が正式な結婚をしたのは、4度です。
婚姻期間 | 旦那の職業 | |
1度目の結婚 | 1969〜1994年頃 | 印刷会社経営(病死) |
2度目の結婚 | 2006年8月頃、死別 | 会社経営(脳梗塞) |
3度目の結婚 | 2008年8月頃、死別 | 農家・資産家(病死) |
4度目の結婚 | 2013年11月〜2013年12月頃 | 大手電気機器メーカー管理職(青酸カリ中毒) |
筧千佐子、1度目の結婚が全ての始まりだった?
筧千佐子の1度目の結婚相手は、大阪府貝塚市の男性でした。彼女が都市銀行に勤めていた1969年頃に友人とともに旅行した鹿児島県桜島で最初の旦那と出会い、交際開始。双方の家族に反対されながらも、そのまま結婚し子供にも恵まれました。
最初の旦那さんは、印刷会社(町工場とも)を経営していたため、周囲からは「玉の輿」と羨ましがられたと後年本人が語っていますが、やがてそれもうまくいかなくなります。
経営していた会社は経営が傾き、さらに1994年に最初の旦那がわずか54歳で病死。その時、筧千佐子に残されたものは借金約2千万円だったといいいます。
矢野さんは印刷会社を立ち上げた。しかし、安い中国製品に押され、経営は上手くいかなかった。経営難が続くなか、1994年9月に矢野さんが病死。千佐子は実家や亡夫の親族や友人などから借金を重ねて営業を続けるが、2001年ついに廃業し、土地と建物は競売にかけられてしまう。
この時期、千佐子は矢野さんの親類と良好な関係ではなかったと彼女の知人は語る。「彼女は差別的な扱いを受けていたようです。そのことに腹を立て、“北九州は近代産業発展の中心になった八幡製鉄所がある地域。そこの出身者が、なんでこんな田舎の人に馬鹿にされなならんの?”などと口にしていました」
引用:筧千佐子被告 羨まれていた生活が最初の結婚で一変した
筧千佐子の子供は息子と娘の2人~現在は絶縁状態になっていた
子供とは会えていないという筧千佐子
筧千佐子には、最初の旦那さんとの間に子供が2人います。1970年に長男が、1971年に長女が誕生していますので、現在いずれもアラフィフといった感じでしょうか。
子供たちについてはほとんど情報がありませんが、大阪府堺市には娘名義の高級マンションがあり、逮捕前に筧千佐子がこれを別宅と使用していたとの報道もありました。
現在、子どもたちは面会はおろか手紙が来ることもなく、絶縁状態と噂されます。しかし筧千佐子は法廷では以下のように子どもたちに言及する場面も。
筧被告は「そんなアホな人生。人を殺して子どもたちに迷惑をかけて、わたしは、そこまでまだボケてませんから」と話していた。
筧千佐子はリアル後妻業の女~周辺で不審死した男性は10人以上?
筧千佐子、お見合いをくり返し“後妻業”の女に
周囲で不審死が相次ぐ…
結婚した回数は4度だった筧千佐子ですが、内縁関係や交際相手などを含めればさらに多く、周囲で不審死した男性は10人以上にものぼるとされます。
また、相続などで手にいてれた金額は10億円にのぼるとも言われています。
筧千佐子がそういった男性と出会っていた場所が、”結婚相談所”です。10箇所とも20箇所とも言われるぐらい多くの結婚相談所に登録し、男性とお見合い・交際・結婚を繰り返しました。
結婚相談所では、以下の条件を提示。
・年収1000万以上
・経営者か資産家
・子供がいない
・持ち家
そんな筧千佐子が登録したとある結婚相談所の自己PRより。
〈第2の人生に夢ふくらませてます。私の性格は明るくプラス思考で寛容でやさしいです。相手の方への思いやりと尽くすことが私の心意気です。健康管理と明るい家庭が“妻のつとめ”と思います〉
ちなみに筧千佐子は結婚相手が死ぬと、元の旧姓や1番目の旦那の姓に戻したり、さらに戸籍簿では再婚歴を消し、自身の結婚歴が悟られぬよう万全を期していたと言います。
筧千佐子、4番目の旦那の体内から青酸化合物が検出される
起訴対象は、3件の殺人と1件の強盗殺人未遂のみ
早い人であれば、筧千佐子との結婚から数ヶ月と立たないうちに亡くなっています。おおよそ、2002年頃から事件発覚の2013年頃までの間に筧千佐子の周囲で不審死が相次ぎました。
いずれも死因は病死とされたケースが多く、事件発覚のきっかけになった4番目の夫・筧勇夫さんも最初は”病死”と判定されていたそうですが、結婚直後だったことなど、その変死を疑い司法解剖され青酸カリが検出されました。
06年に死亡したのは2番目の夫の兵庫県西宮市の男性(当時69歳)。自宅で死亡し、脳梗塞と診断された。08年に結婚した大阪府松原市の男性(当時75歳)は数カ月もたたないうちに、自宅から救急搬送され、病死と診断された。その前後に、交際相手だった奈良県の男性も病死。13年9月には、交際していた兵庫県伊丹市の男性(当時75歳)が倒れた後、搬送先の病院で死亡した。死因は肺がんだった。
青酸化合物の検出が明らかになったのは筧さんと、大阪府貝塚市の男性(当時71歳)。この男性は千佐子容疑者と交際していた12年3月にミニバイクを運転中に転倒、その後亡くなった。当時は心臓疾患による病死とされたが、筧さんの変死が判明後、血液を調べたところ青酸化合物が検出された。
筧千佐子の恋愛テクニックとは?
数々の老齢男性を虜にしたその手管とは
筧千佐子の画像はすでにいくつかご紹介していますが、とりたてて美人というほどではなく、普通の年配女性といった雰囲気です。しかし何人もの高齢男性と交際・結婚を繰り返し、モテモテだったと言っても過言ではありません。
そのため男性を何人も虜にしてきたという、そのテクニックには注目が集まります。
筧千佐子のテクニックについては、これまで交際してきた男性たちであったり、接見した記者などが証言しています。
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いずれも筧千佐子がどこであっても全面的に「女」を押し出して、「男」と接している印象を受けます。特に交際・結婚した男性たちは、彼女が床上手でみんな虜になっていたという見方もあるようです。
筧千佐子の現在~青酸化合物連続殺人事件で死刑判決
筧千佐子、4人目の旦那を含む4件の殺人容疑等で逮捕【2014年11月】
筧千佐子は、2014年11月に夫・筧勇夫さん殺人容疑により逮捕。
そこから過去の交際相手や結婚相手が不審死していることから、それらの殺人などの容疑も浮上しましたが、筧千佐子が最終的に起訴された罪は3件の殺人と1件の強盗殺人未遂となりました。
4件の罪で起訴された筧千佐子
【筧勇夫さん事件】血液や胃の内容物から青酸化合物が検出され、中毒で死亡。経済・健康面で悩みなどはなく入手困難な青酸化合物を入手して自殺する理由はない。勇夫さんの死亡前から別の男性と交際を始め、死亡直後から遺産取得を開始する特異な行動をしていた。公判で一貫して犯行を認めていた。
【本田正徳さん事件】血液と胃から青酸成分を検出。職業上、青酸化合物と接点がなく、事故とは考えられず、自殺の可能性もない。捜査段階で犯行を認めている。
【末広利明さん事件】外傷も生死に直結する病気もなかった。路上で意識を失い、死因となった物質も青酸以外ない。捜査段階で犯行を認めている。
【日置稔さん事件】外傷がなく、死因がけがや病気は考えられない。捜査段階で犯行を認めており、死亡直後に遺産取得を進める特異な行動をしていた。
筧千佐子の認否は時と場合で変わり、犯行を認めたこともあれば、「殺すはずない」と話すこともあるようです。
筧千佐子、2審も死刑判決が下る【2019年5月】
死刑判決
直接的な殺害の証拠が乏しく、被告人の認知症進行などで責任能力の有無が問われた今事件ですが、裁判では筧千佐子の犯行と全面的に認められた判決がでています。
まず2017年11月、京都地裁(1審)で死刑判決。
判決はまず、被告が処分したプランターから青酸が入った袋が見つかったことから、被告が一般には入手困難な青酸を持っていたと認定した。その上で、被告が被害者と夫婦や交際相手という間柄のため、疑いを持たれず青酸を服用させることが可能だったと指摘。被告が死亡前後に遺産の取得に動いたといった経緯も踏まえ、「犯人は被告しか考えられない」と述べ、遺産や金銭的利益を得る目的で被害者に青酸を飲ませたと判断した。
弁護側は、被告は認知症が進み、責任能力も訴訟能力もないとして無罪を訴えていた。この点について判決は、認知症は軽症で、13年12月時点でメールの文面に問題がなかったことからも事件時は認知症は発症していなかったとして、完全責任能力を認めた。量刑について判決は「金銭欲のために人命を軽視した非常に悪質な犯行で、結果は重大。極刑を選択せざるを得ない」とした。
続く2019年5月の大阪高裁(2審)でも、1審の判決が支持され死刑判決が出ました。
弁護側は控訴審で1審同様、認知症が進行し責任能力や訴訟能力はなく、男性らの死因も病死などの可能性があるとして無罪を主張した。しかし樋口裁判長は、被害男性らの当時の生活状況などから、病死や自殺などの可能性を否定した1審判決に誤りはないと判断。被告が入手した青酸化合物を飲ませ殺害したと認めた。
さらに「カプセルに青酸化合物を入れた犯行は計画性があり、状況判断もできている」とし完全責任能力を認定。
なお一般人が入手するのが困難な青酸化合物ですが、筧千佐子は「印刷会社を経営していた時に出入りしていた業者から手に入れた」と供述。しかし、この業者については未だ特定されておらず、入手ルートは謎のままとのことです。
筧千佐子、上告が退けられ最高裁で死刑判決【2021年6月】
その後、筧千佐子は上告するも、2021年6月29日に最高裁判所で上告が退けられ死刑が確定しています。
京都、大阪、兵庫3府県で起きた青酸化合物による連続殺人事件で、高齢男性4人への殺人と強盗殺人未遂罪に問われ1、2審で死刑判決を受けた筧(かけひ)千佐子被告(74)の上告審判決で、最高裁第3小法廷は29日、被告側の上告を棄却した。被告の死刑が確定する。宮崎裕子裁判長は「同種事件を6年間で4回繰り返しており、人命軽視の態度が顕著。刑事責任は極めて重大」と述べた。
筧千佐子の殺害動機とは?
なぜ、こんなにも人を殺せたのか…
筧千佐子は、事件の動機について多くを語っていませんが、裁判所の判決でも触れられた通り金銭に関する執着は並々ならないものがあったようです。
法廷では「損をすると預けたカネがパーになる投資。損を取り返そうと思い、また投資。どんどん泥沼にはまった」という千佐子の供述調書が公開された。それに対して彼女は「それでこうなった。人生の間違いの始まり」と証言
被害者に対しての気持ちを尋ねると、「申し訳ない気持ちはある」と即答した。ただ動機については「差別されたから」とだけ答えた。
最初の夫が病死後、高齢男性と何度も結婚した。その理由を問うた時だ。
「うちは九州から大阪に出てきて、破産もした。お金の苦労ばかりだった。幸せのためには、まずお金や。結婚して財産をもらうため、公正証書を組んだ。それもこれもお金に苦労しないためや」
筧千佐子は結婚相手の死後に保険金・不動産・現金など多額の遺産をもらい、交際関係の人からは公正証書を作成してまで金を受け取りました。
そうやって彼女が男性たちから得た金額はトータルで8億とも10億とも言われています。その上、一部の交際相手には数千万もの借金をしていたケースもありました。
筧千佐子は男性たちから得たそれらの金を先物取引、株、FXなどに投資し、そのほとんどを溶かし、さらに逮捕時には1000万円以上の借金があったと言われています。
筧千佐子についてまとめまとめると…
・筧千佐子には4度の結婚歴があり元旦那とはすべて死別、子供は最初の旦那との間に2人いる
・筧千佐子の周辺では10人以上の男性が不審死しているが、最終的に起訴されたのは4人目の旦那を含む3件の殺人と1件の強盗殺人未遂のみとなった
・筧千佐子は2019年5月、1審に続き2審も死刑判決が下った。その後、上告するも、2021年6月29日に最高裁判所で上告が退けられ死刑が確定した。
青酸化合物で結婚相手や交際相手たちを次々と死に追いやった筧千佐子の、生い立ちから現在までをまとめました。
認知症であるとも言われていますが、一部ではその所業からも筧千佐子をサイコパスと疑う声があるほど。2021年6月29日に最高裁判所で死刑が確定しましたが、死刑執行の日に注目です。