中国に駐在していたアステラス製薬の幹部社員・西山寛氏が中国当局に反スパイ法違反容疑で拘束され裁判で実刑判決を言い渡されました。
この記事ではアステラス製薬の年収や中国で社員が拘束されたあまりにやばい事件の概要、犯人とされた西山寛氏、判決内容や現在の状況についてまとめました。
この記事の目次
アステラス製薬は東証プライム上場の国内製薬メーカー大手

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「アステラス製薬」は、東証プライム上場の国内を代表する製薬メーカーで、2005年に山之内製薬と藤沢薬品工業が合併して誕生しました。
アステラス製薬はハルナールやベシケアなどの泌尿系の医薬品やプログラフなどの免疫抑制剤を主力とし、国内では武田薬品、大塚HDに次ぐ第3位売上高を誇る大手で、世界でも上位の売り上げを誇る大企業です。
アステラス製薬社員の年収

アステラス製薬の社員の平均年収は、日経新聞や会社情報サイトなどが発表した最新のデータによると「約1100万円」となっています。
アステラス製薬の年代別の平均年収では、転職サイトや社員の口コミサイトなどが発表したデータを総合すると、20代が「約750万円」、30代が「約850万円〜900万円」、40代が「約1000万円〜1100万円」、50代が「約1200万円」ほどとなっています。
また、国内の製薬会社の年収ランキングでは、アステラス製薬は中外製薬、第一三共に次いで第3位となっていて業界でもトップクラスの年収水準であるといえます。
アステラス製薬の中国駐在社員が反スパイ法違反で逮捕されたやばい事件

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2023年3月25日、アステラス製薬の中国駐在の幹部社員が、中国の首都・北京で「反スパイ法(正式名称は中華人民共和国反間諜法)」違反の容疑で中国当局に拘束されたというやばい事件が報じられました。
日本企業の駐在員である50歳代の日本人男性が、北京で中国当局によって「反スパイ法」違反の容疑で拘束された。3月25日の報道を受け、同26日にはアステラス製薬が、この男性は同社の社員であることを認めた。アステラス製薬は中国で医薬品の生産と販売を行っており、北京と香港に事務所がある。
反スパイ法違反容疑で逮捕拘束されたアステラス製薬の社員は当時の報道時点で50代で、4年にわたる2度目の中国北京駐在を終えて2023年3月中に帰国してそのまま退職する事が決まっており、中国を離れる直前に中国国家安全局(中国の情報機関)によって拘束された事がわかっています。
その後、中国の反スパイ法違反事件の犯人とされたこのアステラス製薬の幹部社員は1年5ヶ月にわたって中国で拘束され2024年8月に中国の検察に反スパイ法違反の罪で起訴されています。
このアステラス製薬社員が反スパイ法違反容疑で拘束された時点で、中国では少なくとも17名の日本人が反スパイ法違反の容疑で中国当局に拘束され、そのうち10人に対して裁判で実刑判決が確定。拘束された日本人17名のうち6人が刑期を終えて釈放され帰国、5人が途中で高速を解かれて帰国し、1人が服役中に病気で死亡しています。
中国の反スパイ法違反容疑での逮捕では、裁判は完全に非公開とされ、拘束された日本人らがどのような経緯でスパイ行為の犯人と看做され、どういった行為がスパイ行為にあたるのかなどは一切公開されていません。
はっきりとした理由もわからずに逮捕され、数年にわたって不当に拘束され、一方的に裁かれて、実刑判決を受けて刑務所に入れられる可能性がある中国の体制はかなりやばいとしてインターネット上でも注目されています。
中国の反スパイ法、マジやばいって噂。邦人実刑判決、ヤバすぎ。これからは中国行く人、マジで気をつけない
— 歴史小説家れきしろう (@sEkwSNw9bERP) July 22, 2025
>中国反スパイ法で注意喚起 政府、邦人実刑判決受け(共同通信) pic.twitter.com/Vw06ErOfCD
また、世界の主要国の多くにはスパイ防止法があるため、今回の事件のように自国民がスパイ容疑で拘束された際には、自国がそれまでに摘発し拘束していたその国のスパイ被疑者を引き渡す代わりに、拘束された自国民の解放を要求するといった交渉が行われていますが、日本にはスパイ防止法に相当する法律がなくこうした交渉ができない状況です。
この点にも危機感を抱いている日本国民は多く、早くスパイ防止法を制定しないとやばいという声が数多く上がっています。
スパイ防止法ができてたらあのアステラスの社員さんも助けだせたでしょうに、、さっさと成立させて欲しい
— noe0705 (@LHnAHLpqLK50823) July 24, 2025
スパイ防止法に反対している方は、こうした法律には国外で活動する日本人を守るという意味合いも含まれている事を理解していないのかも知れません。
アステラス製薬の中国の反スパイ法違反事件で犯人とされたのは西山寛氏

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アステラス製薬の中国駐在の幹部社員が、中国の反スパイ法違反で拘束された事件で、中国側からスパイ行為の犯人とみなされている方は「西山寛」という人物である事が明かされています。
アステラス製薬の幹部、西山寛氏は3月下旬、4年にわたる二度目の北京駐在を終え、帰国して退職することが決まっていた中で、中国から日本に帰国する際に中国国家安全局によって拘束された。 西山氏は、中国に進出する日系企業の団体「中国日本商会」の幹部を務めたこともあるベテラン駐在員で、北京の日本企業コミュニティーでは知られた人物であったこともあり、現地の日本企業では衝撃が広がった。
アステラス製薬の中国反スパイ法違反事件で中国側から犯人と見なされている西山寛氏は、中国北京の日系企業で構成される「中国日本商会」の工業第三分科会副会長で、北京日本人学校運営理事を務めるなど、中国北京の日本企業コミュニティでは知られた人物だったという事です。
西山寛氏はこれまでにも香港や北京に長期間駐在経験があり、医薬原材料の輸出入、輸入医薬品の販売、現地工場の立ち上げ、販売体制構築、中国政府対策など中国に関する幅広い分野で活躍した、中国ビジネスのスペシャリストだったようです。
2010年2月にはアステラス製薬アジア事業本部の立場で「中国の医療行政と製薬業界」というテーマで講演し、コロナ禍の2020年7月に開催されたオンラインでのメンタルヘルスケアセミナー「コロナ禍を乗り越える心の整え方―レジリエンス―」の進行役を務めています。
セミナーは、本企画の発起人でもある中国日本商会工業第三分科会副会長であり北京日本人学校運営理事の西山寛さんが進行。
西山寛氏は、中国北京の日本人コミュニティでは頼りにされる存在で、今回の反スパイ法違反容疑での逮捕や中国当局にスパイ行為の犯人とみなされた事は、現地の日本人コミュニティに大きな衝撃を与えているとも報じられています。
中国の反スパイ法違反事件で犯人とされたアステラス製薬・西山寛は何をしたのか
アステラス製薬の中国駐在の幹部社員だった西山寛氏は、中国当局にスパイ行為の犯人とみなされて反スパイ法違反の容疑で逮捕起訴され裁判で有罪判決を受けました。
にも関わらず、中国当局はスパイ行為の犯人とみなしている西山寛氏が具体的に何をしたのかについて一切何の説明もしていません。
ネット上では様々な憶測が飛んでおり、製薬会社幹部である西山寛氏が、中国内での違法な臓器摘出行為や臓器移植ビジネスに関する機密情報に触れ、それが国外流出する事を恐れて出国直前に拘束したのではないかと勘ぐるような見方が出ています。
中国では、法輪功の信者やウイグル人たちから違法に臓器を摘出する行為が行われており、アステラス製薬も臓器移植ビジネスに深く関与。
— natsu family (@FamilyNatsu1) July 19, 2025
そのため、中国政府が臓器移植に関する機密情報の国外流出を恐れ、男性社員を帰国直前に拘束した可能性も。https://t.co/W01YyT23Nw
他にもコロナの発生源だという証拠を見つけたのでは、人体実験の機密情報を知ったのではなど中国の国家犯罪の機密を知ってしまったために拘束されたのではといった、実体の見えない中国への不信感に今回の事件を絡めたような見方が多くあるようです。
中国は日本の税金泥棒なのに何で製薬会社の社員捕まえるのよ?
— 私の彼はカレー。 (@yunomiclon) March 26, 2023
もしかしてコロナの発生源とか人体実験とかいろいろやばいもの見つけられたの?
アステラスのみなさーん、出番ですよー
その他、もっと現実的な推測として、西山寛氏が何らかの「産業スパイを働いたのではないか?」、逆に中国側が「拘束して日本の製薬業界やアステラス製薬の機密情報を盗もうとしているのでは?」と考える方もあるようです。
また、アステラス製薬の中国駐在の幹部社員だった西山寛氏は長年中国ビジネスに関わり、現地の日本人コミュニティの中でも代表的な地位にいたため、中国政府の高官や要人と接触する機会が多かったと推測される事から、中国共産党内部の権力闘争の巻き添えを食ったのではないかといった見方も出ています。
中国当局はこうした件については情報を全く出さないため、真相が明らかになる事はまずないでしょう。また、犯人とされてしまった西山寛氏が釈放されたとしても本人ですらなぜ反スパイ法で逮捕されたのかがわかっていない可能性の方が高いと思われます。
アステラス製薬の中国反スパイ法違反事件の現在…犯人とされた西山寛氏に実刑判決

アステラス製薬の中国駐在の幹部社員の西山寛氏が、中国の反スパイ法違反容疑で拘束されスパイ行為の犯人として起訴された事件の現在の状況ですが、2025年7月16日に北京市の第2中級人民法院(地裁)にて、西山寛氏に対して懲役3年6ヶ月の実刑判決が言い渡された事が報じられています。
中国でスパイ罪で起訴されたアステラス製薬の現地法人幹部を務めていた日本人男性の判決公判が16日午前、北京市の第2中級人民法院(地裁)で開かれた。傍聴した金杉憲治・駐中国大使は同日、記者団の取材に対し、懲役3年6月の判決が言い渡されたと明らかにした。
現在の時点では西山寛氏は上訴するつもりはないという意思を表明しているとの事で、このまま判決が確定すれば、未決勾留分が刑期から差し引かれて約1年半の服役期間での釈放が見込まれます。
一部報道では、判決文では「日本の情報機関の依頼を受け、中国国内の情報を収集し、報酬を受け取っていた」とされ、犯人とされた西山寛氏はそれをスパイ行為であると認めたとの事ですが、これが事実であるとも言い切れないようです。
というのも、これまで中国で反スパイ法違反容疑で逮捕起訴され有罪判決をうけた日本人の多くは懲役10年前後の実刑判決を言い渡されていて、西山寛氏の懲役3年6ヶ月は異例の短さです。これが、被告が罪を認めれば刑罰が軽減されるという中国特有の司法制度である「認罪認罰制度」により、かなり軽い判決が言い渡された結果ではないかと見られているためです。
つまり、西山寛氏は判決を軽くするために、実際にはスパイ行為などしていないにも関わらず、言われたままに罪を認めた可能性が考えられるという事です。
まとめ
今回は、中国に駐在していたアステラス製薬の幹部社員が中国の反スパイ法違反容疑で逮捕起訴され、約2年半にわたって拘束された挙句、懲役3年6ヶ月の実刑判決を言い渡された事件を中心にまとめてみました。
アステラス製薬は東証プライム市場に上場する国内売り上げ第3位の大手製薬メーカーで、中国にも進出しています。アステラス製薬社員の平均年収は1100万円ほどと推測されています。
中国で反スパイ法違反で逮捕され、中国当局にスパイ行為の犯人と見なされているアステラス製薬の幹部社員は西山寛氏という、中国ビジネスに詳しいベテラン社員である事がわかっています。
中国では反スパイ法によって日本人が具体的な理由の公表もないまま逮捕され長期にわたって拘束され、その多くが懲役の実刑判決を言い渡される事例が相次いでいてネット上でも「やばい」という声が多く上がっています。
中国でアステラス製薬の幹部社員が反スパイ法違反容疑で逮捕された事件の現在ですが、中国当局にスパイ行為の犯人とみなされた西山寛氏は懲役3年6ヶ月の実刑判決を受けて、上訴しないという意思を示しているという事です。このまま判決が確定すれば未決勾留期間が差し引かれ約1年半で釈放されると見込まれています。


















