2020年に発生した「大分県宇佐市親子強盗殺人事件」で逮捕起訴された佐藤翔一被告に死刑判決が言い渡されました。
この記事では佐藤翔一被告の生い立ちや実家の家族、結婚や嫁、3人の子供、経歴や勤務していた会社、多額の借金と事件の動機、死刑判決と現在についてまとめました。
この記事の目次
佐藤翔一は大分県宇佐市親子強盗殺人事件で強盗殺人罪に問われている男
佐藤翔一被告(逮捕当時36歳、2024年時点39歳)は、2020年2月2日の夜に、大分県宇佐市安心院(あじむ)町荘(まちしょう)の民家で発生した強盗殺人事件で、強盗殺人罪で逮捕起訴されている男です。
佐藤翔一が逮捕起訴された「大分県宇佐市親子強盗殺人事件」の経緯
最初に、佐藤翔一が強盗殺人罪で逮捕起訴されている「大分県宇佐市親子強盗殺人事件」の経緯を改めてまとめていきます。
2020年2月3日、大分県宇佐市安心院町荘の民家で住民親子の他殺体が見つかる
2020年2月3日の午前、大分県宇佐市安心院町庄の郵便配達員の山名博之さん(事件当時51歳)とその母親の山名高子さん(事件当時79歳)が住む民家のカーテンが血に染まっているのを近隣住民が発見し、山名博之さんの職場に連絡。職場からの通報を受けて安否確認に訪れた警察官が、同日午前11時10分頃、1階のダイニングルームで仰向けの状態で倒れ死亡している山名博之さんと山名高子さんを発見しました。
大分県宇佐市安心院(あじむ)町荘の住宅で3日、いずれも多数の傷がある男女の遺体が見つかった。2人はこの住宅に住む母子で、大分県警は4日、2人が何者かに殺害されたとみて、本格的な捜査を始めた。県警の発表によると、2人は無職の山名高子さん(79)と長男の郵便配達員博之さん(51)。
山名高子さんと山名博之さんには、それぞれ上半身を50ヶ所以上の刃物などによる傷があり、死亡推定時刻は2月2日の夜、凶器は菜切り包丁や千枚通し、はさみなど。山名高子さんは首を刺された事による失血死、山名博之さんは肩を刺されてた事による失血死である事などがわかりました。また、山名博之さんの後頭部には木製のはしが刺さったままの状態で、極めて凄惨な現場だったようです。
室内には荒らされた様子がなく玄関には鍵がかけられていましたが、1階の縁側に無施錠の窓がありました。また、照明や暖房器具などはついたままになっていました。
警察は、2人の遺体の状況や室内に土足の痕などが残されていた事から殺人事件と見て捜査を開始しました。
2021年10月15日、佐藤翔一が強盗殺人容疑で逮捕
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事件発生から1年半以上が経過した2021年10月15日、大分県警察は大分市緑が丘の会社員だった佐藤翔一被告を強盗殺人の容疑で逮捕しました。
佐藤翔一被告と殺害された山名博之さんと山名高子さんの間には面識はありませんでした。
大分県宇佐市の民家で昨年2月、住人の郵便配達員の男性とその母親が殺害された事件で、大分県警は15日、強盗殺人の疑いで大分市緑が丘の会社員、佐藤翔一容疑者(36)を逮捕した。県警は認否を明らかにしていない。
県警によると、佐藤容疑者と親子には面識がなかった。県警は動機や事件の経緯を調べている。
また、この逮捕に合わせて、佐藤翔一被告が事件現場となった民家の室内にあった現金少なくとも5万4000円を奪った疑いがある事も発表されています。
ドライブレコーダー映像で佐藤翔一の車が浮上し車内から被害者のDNA型が検出
警察の発表によると、事件当日に現場周辺を走る黒い乗用車の目撃情報が寄せられ、当日に近隣を走行した自動車からドライブレコーダー映像の提出を受け、佐藤翔一被告が当時乗っていた自動車を割り出したという事です。
任意で車の提供を受けて車内を調べたところ、トランクから被害者のDNA型と一致する血痕が検出されたという事です。さらに、事件現場に残されていた足跡と佐藤翔一被告の靴型が類似している事、佐藤翔一被告が事件後に消費者金融に借金の利息分を返済している事などを根拠に警察は逮捕に踏み切ったようです。
佐藤翔一は強盗殺人などで起訴され現在は裁判中
佐藤翔一被告はその後、強盗殺人と住居侵入で起訴され裁判が開始されています。佐藤翔一は事件に巻き込まれただけだとして無罪を主張していますが、第一審ではその主張が退けられ死刑判決が言い渡されています。(佐藤翔一の裁判や判決については後述)
佐藤翔一の生い立ち
佐藤翔一被告の生い立ちについては現在の時点では何の情報も出ていません。
裁判でも生い立ちについては特に言及されていない様子である事から、佐藤翔一被告が事件につながるような悲惨な生い立ちを送ったといった事はない可能性が高そうです。
佐藤翔一の実家
佐藤翔一被告の実家に関する情報についても現在の時点では出ていません。
佐藤翔一被告は逮捕時、住所は「大分県大分市緑が丘1丁目」と報じられていましたが、事件から見て3年ほど前に大分市内の別の場所から引っ越してきた事がわかっており、この住所は実家の住所ではありません。
大分県宇佐市安心院(あじむ)町の民家で2020年2月、母子が殺害された事件で、県警は15日、大分市緑が丘1丁目の会社員、佐藤翔一容疑者(36)を強盗殺人の疑いで逮捕した。
以前住んでいた場所も大分市内という事なので、出身も実家も大分市内の可能性が最も高そうですが、確定的な情報は1つも出ていません。
佐藤翔一の家族① 親など実家の家族については母親の存在が確認
佐藤翔一の家族については、実家の母親は健在である事が裁判でわかっています。
これは、佐藤翔一が借金を返済するために強盗殺人を起こしたとする検察側の主張に対して、弁護側が「佐藤翔一被告は母親の援助を受けられる状況であったため借金返済のために強盗殺人を起こす動機は成立しない」との趣旨で反論したため判明した内容でした。
弁護側は、被告の借金は母親の援助を受けられる状況にあったと反論。
あえて、「母親からの援助」と言及している事から、もしかすると父親とは何らかの理由で縁が切れている事も考えられますが、詳しい家族の状況については現在の時点では明かされていません。
佐藤翔一の家族② 結婚していて嫁がおり子供が3人いる
佐藤翔一被告の家族については、逮捕された当時の朝日新聞の報道で、結婚していて嫁がおり、子供も3人いて、大分県郊外の住宅地で家族5人で暮らしていたとの情報が明らかにされています。
佐藤翔一被告と嫁や子供が住んでいた地域の近隣住民によれば、佐藤翔一被告は地域の清掃に積極的に参加するなど評判は悪くなかったようです。
佐藤容疑者は以前、宇佐市内に住んでいたことがあったが、現在の自宅は大分市郊外の住宅地にある。近所の住民によると、妻と子ども3人との5人暮らしで、3年ほど前に大分市内から引っ越してきたという。「地域の清掃活動にも参加し、率先して側溝などを泥まみれになりながら掃除していた。(逮捕は)信じられない」と話した。
嫁や子供が3人もいる状況で強盗殺人事件を起こしたとすれば理解に苦しみますが、逆にいえば借金に困り、それが家族にバレれば結婚生活が破綻し嫁や子供を失う事になると考えて追い詰められた結果、凶悪な犯行に走ったといった事も考えられるかもしれません。
佐藤翔一の経歴…逮捕時の職業は「会社員」
佐藤翔一の経歴についても逮捕当時の職業が会社員だったという事しか明かされておらず、それまでの経歴に関する情報は現在の時点では何も出ていません。
ネット上のタレコミ情報レベルのものも出ておらず、出身高校や出身大学などの学歴も不明です。よくある名前という事もあり、SNSで「佐藤翔一」と検索すると大量のアカウントがヒットします。仮に佐藤翔一が本名でSNSを利用していたとしても、それを特定するのは難しそうです。
週刊誌系を含む各マスコミも佐藤翔一被告の経歴や生い立ちに関する情報を現在の時点では何1つ報じていません、卒アル画像や学生時代の様子などの情報も1つも出てきていないというのは、佐藤翔一被告が周囲とほとんど交流を持たない生活を送っていたといった事も考えられます。
佐藤翔一の会社は「ダイハツ九州」で勤務先は中津市の大分工場
佐藤翔一は逮捕時、職業を会社員だと報じられましたが、勤めていた会社は「ダイハツ九州株式会社」で、中津市内の大分工場に勤務していた事を朝日新聞が報じています。
佐藤容疑者はダイハツ九州大分工場(中津市)の従業員で、事件現場周辺は通勤経路だった。逮捕前に県警が任意で事情を聴いた際は「その辺りは通勤で頻繁に走っている」と話していたという。
佐藤翔一が勤めていた「ダイハツ九州株式会社」は、佐藤翔一の逮捕報道を受けて公式ウェブサイトを更新し、謝罪文を発表しています。
以下は佐藤翔一の逮捕報道を受けてのダイハツ九州株式会社の謝罪文の書き起こしです。
2021年10月15日、当社の社員が強盗殺人容疑で逮捕されるに至りました。
まず、謹んで被害に遭われた方のご冥福をお祈り申し上げますとともに、ご遺族の皆様に深くお悔やみ申し上げます。
また、関係者の皆様方に対し多大なるご迷惑とご心配をおかけすることとなり、重ねてお詫び申し上げます。
当社の社員が逮捕された事は誠に遺憾であり、警察の捜査に全面的に協力し、事実関係を確認した上で会社として厳正に対処して参ります。
佐藤翔一は現在はダイハツ九州株式会社を解雇されていると思われます。
佐藤翔一の大分県宇佐市親子強盗殺人事件の動機は借金返済か
佐藤翔一被告が、何の面識もなかった山名博之さんと山名高子さんを残忍な方法で殺害した動機ですが、ただ単に金銭を盗むという身勝手な理由だった可能性が高いと見られています。
裁判で、検察側は佐藤翔一被告の動機について「被告には160万円を超える借金があり、返済のために犯行に及んだ」と説明しています。
裁判員裁判は2024年5月から始まり、初公判で佐藤被告は起訴内容を全面的に否認しました。
これまでの裁判で検察側は「被告には160万円を超える借金があり、返済のために犯行に及んだ」などと動機を説明。
検察によれば、佐藤翔一は大分県宇佐市親子強盗殺人事件の翌日に、借金をしていた消費者金融に約1万円を返済していたという事で、これが山名博之さんと山名高子さん宅から盗み出した金銭であると考えられています。
一方、佐藤翔一被告は、犯行には巻き込まれただけで強盗殺人は犯していないとして無罪を主張しているため、現在に至るまで動機については供述していません。
佐藤翔一の大分県宇佐市親子強盗殺人事件の一審判決は「死刑」
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佐藤翔一被告の大分県宇佐市親子強盗殺人事件の裁判員裁判は2024年5月に大分地裁で始まりました。
検察側は佐藤翔一被告の車内から被害者のDNA型と一致する血痕が見つかった事、被告の靴型と一致する足跡が現場で見つかった事、犯行の際に身につけていたジャンパーをコインランドリーで洗濯しゴミ集積所に投棄した事などを証拠として挙げて被告が犯人であるとし、「残虐極まりない犯行で人命軽視も甚だしい」として死刑を求刑しました。
一方、佐藤翔一被告と弁護側は、事件当日にYouTubeの撮影をするというプロレスマスク(覆面)姿の男達に頼まれて、車に乗せて現場近くまで行ったなどと説明。その後、この男らに「交通事故があり撮影ができなかった。」と言われ、運動靴や血のついた服の入ったゴミ袋を「処分して欲しい」と渡されたためコインランドリーで洗濯して投棄したなどと説明し、事件には巻き込まれただけだとして無罪を主張していました。
一方、弁護側は「事件に巻き込まれた」として無罪を主張してきました。
被告は「事件当日、ユーチューブの動画撮影をするというプロレスマスクの男を車に乗せた」と話しています。しかし、男から「交通事故があり撮影ができず、運動靴や血の付いた服の入ったゴミ袋を処分してほしい」と頼まれ、コインランドリーで洗濯したと説明。
そして、2024年7月2日、判決公判が大分地裁で開かれました。大分地裁は概ね検察側の主張を支持して佐藤翔一被告側の主張を退け、求刑通り「死刑」の判決を言い渡しています。
大分県宇佐市の民家で親子2人を殺害して現金を奪ったとして、強盗殺人などの罪に問われた大分市の会社員佐藤翔一被告(39)に対する裁判員裁判の判決公判が2日、大分地裁であった。辛島靖崇裁判長は被告側の無罪の主張を退けた上で、「極めて強固な殺意に基づく執拗(しつよう)かつ残酷な犯行」などとして、求刑通り死刑を言い渡した。
佐藤翔一の現在…死刑判決を不服として即日控訴
佐藤翔一被告と弁護側は、大分地裁の死刑判決を不服として即日控訴しています。
大分県宇佐市の民家で2020年、親子を殺害して現金を奪ったとして、強盗殺人罪などに問われた会社員佐藤翔一被告(39)の裁判員裁判の判決で、大分地裁は2日、求刑通り死刑を言い渡した。被告側は無罪を訴えていたが、辛島靖崇裁判長は複数の間接証拠から被告による犯行と判断。「借金返済のために2人の生命を奪った刑事責任は極めて重大」と述べた。被告側は即日控訴した。
したがって、現在も判決は確定していません。
佐藤翔一被告の真犯人はプロレスの覆面の男3人組だとの主張について
佐藤翔一被告は、真犯人はプロレスマスクの男3人組だとして無罪を主張しています。
佐藤被告によると、ユーチューバーを名乗る覆面姿の男性3人組と事前に約束し、事件当日の夜に合流。うち1人を佐藤被告の車に乗せて現場近くまで送ったという。佐藤被告は到着後、車に1人で残ったが、同乗した男性が戻ってきてトランクに血の付いた服や靴など複数の荷物を積み込み、処分するように依頼されたと主張。佐藤被告は「犯人は3人組だ」と訴えた。
事実としてですが、事件の発生した2020年当時の報道では、事件現場となった民家内で、少なくとも3種類の犯人と思われる足跡が見つかったとの情報が出ていました。
屋内で男性用サンダルの痕など2人のものでない土足痕が少なくとも3種類見つかったこともあり、県警は複数犯の犯行とみて、怨恨(えんこん)と盗み目的の両面から約90人態勢で捜査してきた。
しかし、2021年10月に佐藤翔一被告が逮捕された時の報道では、複数の足跡は佐藤翔一被告が捜査を撹乱するために意図的につけたものと警察は見ているとの内容が報じられています。
室内からは、男性用サンダルなど複数の土足痕が見つかっていたが、県警は容疑者が意図的につけたもので、1人で実行したとみている。
裁判では、検察側は佐藤翔一被告が罪を逃れるために嘘のストーリーを創作したと指摘しており、大分地裁はこの主張を認めていて、この事も反省の様子が見えないとして死刑判決の理由の1つとして挙げられています。
検察側は「3人など存在せず、被告はうそのストーリーを創作し続けてきた」などと指摘。佐藤被告が3人の名前や動画の投稿先などを覚えておらず、連絡先も交換していなかったことなども不合理だと主張していた。
佐藤翔一被告の主張は明かされている内容だけを見ると荒唐無稽で信憑性はありませんが、ネット上では一部、冤罪ではないかと疑うような声も見られます。
冤罪では?
— 真GO!@嫌儲(ヽ´ん`) 税理士試験受験 (@shingoshinya) July 2, 2024
宇佐市親子強盗殺人 佐藤翔一被告に死刑判決 大分地裁(OBS大分放送) https://t.co/rhveIArk1U
裁判員が気の毒だ。いまの様々な冤罪事件や警察や検察への不信を起こさせるような事件があるなか、死刑判決に加担させられるなんて…
— ku_neru_dog (@DogNeru) July 2, 2024
宇佐市親子強盗殺人 佐藤翔一被告に死刑判決 大分地裁(OBS大分放送)https://t.co/wBWhCyrOSA
今後の裁判の展開にも注目が集まります。
まとめ
今回は、2020年2月2日に発生した「大分県宇佐市親子強盗殺人事件」で強盗殺人などの容疑で起訴され裁判を受けている佐藤翔一被告についてまとめてみました。
佐藤翔一被告は、大分県宇佐市安心院町庄の民家に侵入し、住人の山名博之さんと山名高子さん親子を殺害し、少なくとも現金5万4000円を奪ったとされています。
佐藤翔一被告の生い立ちや経歴については現在の時点では何も情報が明かされていません。家族については実家の母親が健在である事、少なくとも事件と逮捕当時は結婚していて嫁がおり、子供も3人いて家族5人で暮らしていた事などが明らかになっています。
佐藤翔一被告は逮捕当時の職業は「会社員」で、勤務先は「ダイハツ九州株式会社」だった事が明らかになっています。現在は解雇されているようです。
佐藤翔一被告は事件に巻き込まれただけだとして無罪を主張しており、動機については現在に至るまで語っていません。検察側は佐藤翔一被告が消費者金融に160万円以上の借金をしていたとして、金銭に困って犯行に及んだのが動機だと主張しています。
2024年7月2日、大分地裁は佐藤翔一被告に対して、求刑通りの「死刑」の判決を言い渡しました。
佐藤翔一被告と弁護側はこの判決を不服として控訴しており、現在も裁判は続いています。