2023年6月に発生した「潜水艇タイタン沈没事故」が話題です。
この記事では潜水艇タイタン沈没事故の詳細な経緯、何回目の深海ツアーだったのか、事故の原因とされる爆縮や構造上の危険性の指摘、乗船者5人の死因や遺体はどうなったのか残骸引き上げや現在などについてまとめました。
この記事の目次
潜水艇タイタン沈没事故の概要
「潜水艇タイタン沈没事故」は、アメリカのオーシャンゲート(OceanGate)社が運行する「潜水艇タイタン」が、水深3810mの海底に眠るタイタニック号の残骸を見に行くツアーの途中に水圧で圧壊し乗船していた5人全員の死亡が確定的になった海難事故です。
潜水艇タイタン沈没事故の経緯
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潜水艇タイタンは2023年6月18日午前8時(米東部夏時間)にカナダのニューファンドランド島セントジョンズを小型の母船に牽引される形で出発。
目的は1912年に大西洋に沈没した豪華客船「タイタニック号」の残骸を見に行くツアーで、運営会社は「オーシャンゲート」。同社CEOであるストックトン・ラッシュ氏が自ら操縦士を務め、ツアー参加者の4人の富裕層男性を合わせて乗船者は5人でした。オーシャンゲート社によるとツアー料金は1人あたり25万ドル(約3600万円)という事です。
潜水艇タイタンはセントジョンズ港から約700km東の地点で潜水を開始しました。ところが潜水開始から1時間45分後、潜水艇タイタンと母船との連絡が途絶えます。
通報を受けたアメリカ沿岸警備隊がただちに捜索を開始。潜水艇タイタンの残酸素は約94時間分しかなく時間との戦いとなるため、翌6月19日早朝からは、アメリカ、カナダ、フランスの合同による前例がないほど大規模な捜索が開始されています。
19日朝にはアメリカ沿岸警備隊がこれを公式発表し、世界的に有名な豪華客船「タイタニック号」を巡るツアー中に発生した事故であった事や、発生直後は潜水艇タイタンに乗船していた5人が海底で遭難し生存している可能性が高いと見られていた事などからこの事件は世界中からの注目を集め、日本でもこの日から連日ニュース報道がされていました。
20日には、複数の現地メディアが、タイタンが消息不明になった海域で何かを激しく叩くような音がちょうど30分おきに確認されていると発表。アメリカ政府内部文書に「生存者が居ることを示す継続的な希望だ」と記されている事が明らかにされています。
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21日にもカナダ軍の哨戒機が海底からの音を感知した事が発表されています。この日までに捜索範囲は四国4県を合わせた面積のおよそ1.5倍にまで広げられています。
22日の朝(日本時間では22日の夜)、カナダの無人探査機が、タイタニック号の船首から約490メートル離れた海底で潜水艇タイタンの船尾部分の破片など主要な5つの破片を発見。
アメリカ沿岸警備隊は発見された破片の分析結果をもとに「破片は(潜水艇の)耐圧室が破壊されたことを示している」と発表。これを受けてツアー運営会社のオーシャンズゲートは「(乗船者の)5人全員が亡くなったとみられる」との声明を発表しました。
同日、現地メディアが、アメリカ軍高官の話として、潜水艇タイタンが潜水を始めて数時間後に現場海域で爆発音のような音が検知されていた事を伝えており、潜水艇タイタンと母船との連絡が途絶えたタイミングで耐圧室の破壊により沈没していた可能性が強まりました。
20日から21日にかけて海中からの何かを強く叩くような人工的な音が検知されていましたが、この時には既に潜水艇タイタンは沈没していた可能性が高い事が判明。ならばこの音の正体は何だったのかと話題になりましたが、その後、米テレビ局CBSが別の船が出した音の可能性が高いとの見解を報じています。
潜水艇タイタンは何回目の潜水ツアーだったのか
タイタニック号を見に行くツアーの途中で乗船者全員が死亡するという破滅的な事故を起こした潜水艇タイタンですが以前から何度も安全性についての懸念を指摘されていた事がわかっています。
安全性に不安があると指摘されていたにも関わらず、オーシャンゲート社はこれまでに何度も潜水ツアーを実施していたとされ、今回が何回目のツアーだったのかにも関心が集まっています。
潜水艇タイタンが何回目の潜水ツアーだったのかははっきりとはわかっていませんが、アメリカのオンラインメディア「INSIDER」が2023年7月9日に配信した記事によると、潜水艇タイタンはこれまでにタイタニック号の残骸がある水深3810メートルの地点を目指して90回の潜水を試みているとの事です。
しかし、タイタニック号の残骸のある地点まで到達できたのはそのうちのわずか13回だったという事で成功率はわずか14.4パーセント程度だったとの内容も明らかにされています。
インサイダーによると、タイタニック号の残骸がある水深1万2500フィート(約3810メートル)まで、タイタン号はこれまで90回の潜水を試み、うち到達したのはわずか13回だけだったという。
つまり、成功率はたったの14.4パーセント程度だったことになる。これを受け英インディペンデントも「到達したのは15%にも満たなかった」と報じた。
一方、アメリカのCBS局の記者デービッド・ポーグ氏は、過去に潜水艇タイタンに乗ってタイタニック号を見に行くツアーの取材のオファーをオーシャンゲート社から受けたといい、その際に同社CEOのストックトン・ラッシュ氏(潜水艇タイタン沈没事故の乗船者の1人)から、タイタン号はこれまでに20回もタイタニック号の深さまで潜水に成功していると聞いたといっています。
ボーグ氏ら取材班は、タイタン号の安全性についていくつか質問をしているが、ラッシュCEOは安全性は問題ないとしていた。さらに「ラッシュ氏はタイタン号がタイタニック号の深さまですでに20回も何事もなく潜水しており、そのほとんどを彼自身が操縦したと言っていた。その話は私を安心させた」と証言している。「タイタンの安全性に懸念があるならば、彼は自ら操縦しただろうか?(しなかっただろう)」。
ただ、ストックトン・ラッシュ氏は自社の宣伝のために、実際よりも成功回数を水増しして伝えた可能性も考えられます。
また、イギリスのデイリーメール紙は6月23日の記事で、潜水艇タイタン号がタイタニック号までの潜水を何度成功させたのかは不明だが、今回の事故が起こる前に少なとも10回は客を乗せて同様のツアーを実施したと見られているとする内容を報じています。
このように、潜水艇タイタン号が何回目のタイタニック号への潜水ツアーで事故を起こしたのかについては海外メディアでも様々な情報が飛び交っており正確な回数はわかっていません。
潜水艇タイタンの構造や安全性の懸念が事故以前から複数指摘されていた
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潜水艇タイタン沈没事故が発生する前から、潜水艇タイタンに対してその構造や使用されている素材を理由に安全性を疑問視する声が上がっていた事が明らかになっています。
オーシャンゲート社の元社員が潜水艇タイタンの安全上の懸念を指摘していた
2023年6月22日にイギリス・BBCニュースが報じたところによると、潜水艇タイタンを運行していたオーシャンゲート社で2018年に海洋オペレーションのディレクターとして働いていたというデイヴィッド・ロクリッジという方が船体構造のテスト方法を含む多くの重大な安全上の懸念を指摘する検査報告書を提出していたという事です。
ロクリッジ氏は潜水艇タイタンが一定の深さに達すると乗船者に危険が及ぶ可能性を指摘し上層部に会議を求めるも、オーシャンゲート社はロクリッジ氏を解雇した上、情報を流出させたとして同氏を提訴までしています。
ロクリッジ氏はこの裁判で潜水艇タイタンは船体が適切にテストされていないと主張し、タイタンの小型模型を使った圧力テストでカーボンファイバーの構造部に欠陥が見つかったと説明。
さらにロクリッジ氏はタイタンのチタン製のドームの片方に取り付けられたガラス製ののぞき窓についても素材メーカーが深度1300メートルまでの使用しか認証していないものであるとして、自身の指摘の正当性を主張しています。
海洋技術協会(MTS)も潜水艇タイタンの「実験的」試みの危険性を警告
また、アメリカのニューヨークタイムズ紙によると、海洋研究者や技術者などで構成されるアメリカの組織・海洋技術協会(Marine Technology Society)が、2018年3月にオーシャンゲート社に「オーシャンゲート社が採用している現在の『実験的』な試みは良くない結果(軽微なものから壊滅的なものまで)をもたらす恐れがある」と警告する書簡を送っていた事が確認されています。
潜水艇タイタンの構造上の問題点
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潜水艇タイタンは、全長6.7メートル、重量は10432kgで、円筒の両側にドームを取り付けたような構造をしています。
乗船者の入る船体(耐圧殻)の構造は一般的に深海艇の素材として使われる事のないカーボンファイバー製の円筒状で両側のドーム構造はチタン製で、このドーム構造の片方にはガラス製ののぞき窓が取り付けられています。
この潜水艇タイタンの構造についても、専門家から多くの問題点が指摘されています。
まず、耐圧殻(たいあつこく)と呼ばれる乗船者を水圧から守る構造物に、潜水艇タイタンはカーボンファイバーを使用している点について、複数の専門家が深海艇の耐圧殻の素材として使用される事は考えられないと指摘しています。
カーボンファイバーは、旅客機の胴体部分などにも使用される強度の大きい素材ですが、繊維状であるため特に強度を発揮するのは内側からの圧力など引っ張られる力に対してであり、潜水艇のような外側からの圧力(水圧)にさらされる構造体の素材としては適さないと考えられています。
また、円筒構造部分と両端のドーム構造部分で異なる素材が使用されていた事についても、水圧を受けて素材ごとに異なる速度で形状が変化するため結合部分が破損する可能性が高くなると指摘されています。
さらに、5月に潜水艇タイタンのタイタニック号探検ツアーに参加したというアメリカの旅行業界メディア「トラベル・ウィークリー」の編集長・アーニー・ワイスマン氏は、オーシャンゲート社CEOのストックトン・ラッシュ氏から、タイタンの耐圧殻の構造体に使用されていたカーボンファイバーは航空機での使用期限が切れたもので、ボーイング社から格安価格で購入したものだと聞いたと証言しています。
オーシャンゲート社CEOのストックトン・ラッシュ氏は潜水艇の製造コストの削減も図っていたようだ。
ワイスマン氏はラッシュ氏が「タイタン号の製造に使用されたカーボン・ファイバーはボーイング社から大幅な割引価格で入手したものだ。なぜならそれは航空機での使用期限が切れていたからだ」と話したと述べている。
つまり、潜水艇タイタンは、潜水艇には適さないと考えられるカーボンファイバーを船体構造に使用していた事に加えて、使用期限切れで格安になっていた古い素材を使用していたという事になります。
また、潜水艇タイタンの乗船者の乗り込む耐圧殻の構造は円筒型ですが、極めて強い水圧のかかる深海まで潜航する潜水艇の場合、人が乗り込む耐圧殻の安全性を高めるには全方向からかかる水圧に耐えられるように限りなく真球に近い形状にする必要があり、タイタンのように耐圧殻を円筒形の構造にするのは非常に危険だとする指摘も多く上がっています。
潜水艇タイタン沈没事故の原因は爆縮の可能性が高いと発表
潜水艇タイタン沈没事故の原因について、捜索にあたっていたアメリカの沿岸警備隊は「catastrophic implosion」(カタストロフィック・インプロージョン)だと発表しました。
日本国内のメディアはこれを直訳して、潜水艇タイタン沈没事故の原因を「壊滅的な爆縮」と報じています。
海底に沈んだ豪華客船タイタニック号の残骸探索に向かった米潜水艇「タイタン」は、水圧に押しつぶされたとみられている。
米沿岸警備隊は「catastrophic implosion」が起きたと表現した。直訳すると「壊滅的な爆縮」だ。
潜水艇タイタン沈没事故の原因となったとされる「爆縮」とは、外側からの高い圧力に耐え切れなくなった物体が内側に向かって崩壊する事と説明されています。
通常の爆発(エクスプロージョン)は圧力が外側に向かうのに対して「爆縮(インプロージョン)」は内側に向かう爆発だと説明している専門家もいます。
潜水艇タイタンは、その構造上の脆弱性により、深海での高い水圧(爆縮が起きた位置をタイタニック号が沈む海底付近だと仮定すると海面の圧力の約400倍)に船体が耐えられなくなり、爆縮はほんの数ミリ秒(ミリ秒は1000分の1秒)の間に起きたと推定されています。
YouTubeで公開された潜水艇タイタンが爆縮を起こす瞬間をCGの3D映像で再現し、そのプロセスを詳細に説明した動画が再生回数1500万回を突破しています。
この爆縮が起きた原因は、先に見たように潜水艇タイタンの構造上の脆弱性にあったと指摘されています。上のYouTube動画でも、潜水艇タイタンは船体構造にカーボンファイバーを使っている事のリスクについて触れています。
潜水艇タイタン沈没事故の原因が構造上の問題に起因する爆縮だったとの発表を受けて、なぜこのように危険な潜水艇での深海ツアーを行う事が許されたのか?という疑問の声も上がっています。
これについては、潜水艇には安全性を認証する機関は複数あるものの、それは義務化されていないた、潜水艇タイタンはそうした認証を1つも受けておらず、かつ、潜水艇タイタンは規制の及ぶ港や領海内では乗客を乗せず公海に出てから乗船させて深海ツアーを実施していたため各種安全規制の対象外だったためだと説明されています。
つまり、オーシャンゲート社は法律やルールの外側で潜水艇タイタンを運用する事で、相対的に見て格安といえるコストで、極めて危険な深海ツアーを実現可能にしていたという事になります。
オーシャンゲート社のCEOで潜水艇タイタンの操縦士を務めていたストックトン・ラッシュ氏が、周囲に深海ツアーへの熱意を語り、潜水艇タイタンの構造上の脆弱性を認識しながらも目的を実現するために意図的に多大なリスクを取っていた事も明るみに出ており、「ラッシュ氏はあまりにも高いリスクを取ったギャンブラーだった」、「ラッシュ氏は明らかに狂っていた」などの声も上がっています。
潜水艇タイタンの乗船者は運営会社CEOと富裕層4人の合計5人で全員死亡
潜水艇タイタン沈没事故でのタイタンの乗船者は、操縦士を務めていたオーシャンゲートCEOのストックトン・ラッシュ氏の他、それぞれ25万ドル(約3600万円)の料金を支払って乗船していたツアー参加者の富裕層男性4人でした。
乗船者の富裕層の4人は、英国の億万長者のハミシュ・ハーディング氏(事故当時58歳)、フランスの深海探検家ポール=アンリ・ナルジョレ氏(当時77歳)、パキスタン系英国人実業家のシャザダ・ダウード氏(当時48歳)、ダウード氏の息子のスレマン氏(当時19歳)である事が発表されています。
6月22日に潜水艇タイタンの破片が発見された際に、アメリカの沿岸警備隊は乗船者の5人全員が死亡したとの見解を発表しています。
米沿岸警備隊は22日、英豪華客船タイタニック号の探索ツアー中に消息を絶った潜水艇「タイタン」の破片を海底で発見し、乗っていた5人は全員が死亡したとの見解を示した。大規模な捜索活動は最悪の結果で幕引きとなった。
潜水艇タイタンの乗船者5人の死因や遺体はどうなったのか
出典:https://news.tv-asahi.co.jp/
潜水艇タイタン沈没事故では乗船者5人全員の死亡が確定的になっています。
乗船者の死因については爆縮による圧死だと言えるかと思いますが、引き上げられた潜水艇タイタンの破片や一緒に見つかった「遺体の一部のようなもの」の状態から見て押しつぶされて死亡したとシンプルに表現できるような生易しい状況ではなかったと推測され、遺体の状態がどうなったのかについても様々な見方が示されています。
東京大学教授の伊東乾氏は、深海でどれほど大きな水圧がかかるのかをわかりやすく説明した上で、潜水艇タイタンの爆縮時の状況を推測して試算し、普段人間が受けている気圧(1気圧)の240倍もの爆発的な圧力が瞬時にかかって乗船者の遺体は瞬時にバラバラになって海の藻屑となって四散したと推測されています。
「10メートル潜ると1気圧相当の圧力がかかる」という水圧の基本に触れた上で、約4キロメートルの深海底に2時間半かけて降下する予定が1時間45分ほどで連絡が途絶えたという報道から、単純計算して爆縮は水深2.4キロメートルほど潜ったところで発生したと推定。約240気圧の衝撃が瞬時に乗船した5人に襲い掛かったと試算した。伊東氏は「瞬時にしてバラバラ」になったと指摘した。
また、一部では、潜水艇タイタンが爆縮を引き起こした時の状況について、わずか30ミリ秒の一瞬の間にタイタンの船内は断熱圧縮によって太陽の表面温度(約6000℃)近くまで温度が上昇したとの推測が出ています。
タイタン号の爆縮のイメージ。限界を越えた瞬間に一斉に全方向から約400気圧に一瞬で圧縮され30ミリ秒で核爆発クラスの6000℃が発生し爆散とのこと。大気圏突入と同じ断熱圧縮。これでは灰も残らない。
— noir@🐑¡Iä! ¡Shub-Niggurath! (@Mahaa_kaal) June 23, 2023
圧壊みたいに素材均一性とかの脆弱な箇所とかからとは違いすぎる。pic.twitter.com/vRaYAnFG8m
この場合、乗船者は死ぬと認識できないほど一瞬で死亡し、遺体は瞬時に炭化しチリのようになりほとんどが海中に散ったのではないかとの推測する見方も出ています。
2023年6月28日には引き上げられた潜水艇タイタンの残骸の中から乗船者の「遺体の一部のようなもの」が見つかったと発表されています。この「遺体の一部のようなもの」という表現は、見つかった潜水艇タイタンの乗船者の遺体の一部が原型を留めないほど(ほとんどそれとはわからないほどに)激しく損壊していた事を示唆しているように思われます。
潜水艇タイタン沈没事故の現在① 残骸が引き上げられ遺体のようなものも
6月28日までに潜水艇タイタンの残骸が引き上げられ、タイタンが今回のツアーに出発した港でもあるカナダニューファンドランド島セントジョンズ港に戻されたとの発表が出ました。
これに合わせて、潜水艇タイタン沈没事故の捜査も担当するアメリカの沿岸警備隊は残骸から乗船者の「遺体の一部のようなもの」が発見された事も発表しています。
大西洋で沈没した豪華客船「タイタニック」の残骸を見学するツアー中に、水圧で押しつぶされたとみられる潜水艇「タイタン」の残骸が28日、カナダ東部ニューファンドランド島セントジョンズの港に引き揚げられた。米沿岸警備隊は、残骸から遺体の一部とみられるものが見つかったとしている。
潜水艇タイタンがの残骸が沈んでいたのは海底3800メートルの深海でとても人間が潜水具をつけて潜り作業できるような深度ではないため、遠隔操作できる水中作業ロボットを使って引き上げを行ったのだろうと推測されています。
「遺体の一部のようなもの」という表現から乗船者の遺体がどうなったのかについても色々と推測する声が出ており、「肉片は残らずに歯や髪の毛、爪などの組織がごく微量残されていたのでは」、「構造物の破片表面に、遺体の組織の一部が焼付塗装のように付着していた状態では」などといった推測が出ています。
潜水艇タイタンの乗船者の遺体がどうなったのかについては具体的な事は発表されておらず実際のところは現在の時点では不明です。
タイタンで見つかった遺体の一部とみられるもののサイズや量が知りたい。状態も知りたい。気になって仕方ない。ミンチよりひでぇっぽいな。結局人体はどうなるのか色々言われてたやつの答え合わせをさせてくれ。
— 須川鴈治🐥💥 (@mogeten) June 29, 2023
タイタンよく見つかったな
— ひびきちゃんぐ。 (@hibiki_BB) June 29, 2023
ただ中に遺体と推定されるものって文面からしてギリギリ人とわかる状態なんだろうな…
潜水艇タイタン沈没事故の現在② オーシャンゲート社は全ての業務を停止
現在、潜水艇タイタン沈没事故でのオーシャンゲート社の責任を追求する声が強まっています。
オーシャンゲート社は7月、ウェブサイトのトップページで「OceanGate Expeditions has suspended all exploration and commercial operations.(オーシャンゲート・エクスペディションズは、全ての探査および商業活動を停止した)」と発表しています。
6月に行方不明となり、爆縮した潜水艇「タイタン」を運営していた海洋探査会社オーシャンゲートは、同社のウェブサイトによると、すべての探査および商業業務を停止した。
オーシャンゲート社は、ツアー中に死亡したとしても同社の責任を問わないとする免責同意書への署名を乗員乗客全員に求めており、潜水艇タイタン沈没事故での乗船者5名もそれに署名していた事がわかっています。
そのため、死亡した乗船者の遺族がオーシャンゲート社を相手どって訴訟を起こす事は難しいだろうとの見解を複数の専門家が示しています。
まとめ
今回は、2023年6月18日頃に発生した「潜水艇タイタン沈没事故」についてまとめてみました。
潜水艇タイタン沈没事故は、大西洋に沈む豪華客船タイタニック号を見に行く深海ツアーを行っていた潜水艇タイタンが潜航開始から1時間45分後に消息を断ち、過去に前例がないほどの大規模捜索が行われるも、捜索4日目の22日に潜水艇タイタンの残骸が見つかり、乗船していた5人全員の死亡が確定的となった海難事故です。
潜水艇タイタンは事故以前から構造面での安全性の懸念が各方面から指摘されていた事が判明しており、今回の事故が何回目の神階ツアーだったのかにも関心が集まっています。
残された記録から潜水艇タイタンはこれまでに90回のタイタニック号を目指す潜水ツアーを実施し成功したのは13回で成功率は14.4パーセントだった事も判明しています。
潜水艇タイタン沈没事故の原因は、本来深海艇に使用される事のないカーボンファイバーが船体素材に使用され、両端部だけはドーム上のチタンが使用された異なる素材を結合させた圧力に弱い構造により、船体が水圧に耐えられず「爆縮」という現象を起こした事と推測されています。
潜水艇タイタンの乗船者は、深海ツアーの運営会社「オーシャンゲート」のCEOのラッシュ氏と25万ドルの料金を支払ってツアーに参加した富裕層の男性4人でした。
乗船者5人全員が死亡したのが確定的となっており、死因は爆縮による圧死と推定されますが、瞬間的に爆発的なエネルギーがかかったと思われ、遺体がどうなったのかについても様々な意見が見られます。
6月28日までには潜水艇タイタンの残骸が引き上げられ、「遺体の一部のようなもの」も発見されています。現在、運営会社のオーシャンゲートは全ての業務を停止しており、今後の展開にも注目が集まっています。