2022年10月29日のハロウィン数日前に韓国・梨泰院で発生した大規模な圧死事故が注目されています。
この記事では韓国・梨泰院の圧死事故の概要、事故現場の場所、事故の原因、現在の死者数、日本人や有名人の犠牲者、加熱する犯人探し、事故後の現在の状況についてまとめました。
この記事の目次
韓国・梨泰院ハロウィン圧死事故の概要
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韓国の首都であるソウル特別市の繁華街・梨泰院(いてうぉん)で、2022年10月29日にハロウィンの季節で賑わう中発生した大規群衆雪崩事故は、少なくとも157人〜159人が圧死(死者数については情報が錯綜しており正確な数値がはっきりしない)するという凄惨な事故になりました。
死者の中には日本人女性2名が含まれており、日本のマスコミもこの韓国梨泰院ハロウィン圧死事故を大きく報道しています。
日本のメディアでは「韓国雑踏事故」、「梨泰院雑踏事故」、「韓国・梨泰院159人圧死事故」、「韓国繁華街事故」、「ハロウィン圧死事件」、「韓国転倒事故」などの多様な呼称で報じられていますが、全てこの事故を指しています。
事件が発生した韓国では、「梨泰院圧死事故(이태원 압사 사고)」や「梨泰院惨事(이태원 참사)」などの呼称で報道されています。
韓国・梨泰院ハロウィン圧死事故の背景① 例年を大きく超える人が訪れていた
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韓国・梨泰院ハロウィン圧死事故が起こった韓国の繁華街「梨泰院」は、首都・ソウル特別市の龍山区の一地区で、過去には米軍基地と隣接していた事からアメリカンカルチャーが発展し、米兵向け店舗やナイトクラブやバー、カフェが多く立ち並ぶ街として栄えました。
現在は国際的な都市かつ若者の集まる街となっており、2020年にヒットしたドラマ「梨泰院クラス」の舞台になった事でも知られています。
この梨泰院は、毎年ハロウィンの季節になると仮装をした若者が集まる場所としても知られており、今回の事故が発生した当日(2022年10月29日)は、ハロウィンを2日後に控え韓国内や外国からの観光客などで賑わっていました。
梨泰院は、ナイトクラブやバーが立ち並び、外国人も多く訪れる街で、ハロウィンの時期には、日本の東京・渋谷などと同様、仮装した若者らでにぎわう。
今年は新型コロナウイルス対策の規制解除を受けて3年ぶりに人波でごった返し、事故当時、一帯には10万人以上が訪れていたとも伝えられている。
さらに、過去3年間は新型コロナウィルスの感染拡大防止のための規制があり、2022年は3年ぶりのノーマスクでのハロウィンという事で、例年より遥かに多くの人が訪れていました。(推計で10万人以上。梨泰院駅での下車人数は8万人で前年の2.6倍、2017年〜2019年と比較して2万人多い)
ソウルの繁華街、梨泰院の雑踏事故で、事故当日に現場最寄りの地下鉄の梨泰院駅で下車した客が8万人を超え、3万人強だった昨年の同時期に比べ約2.6倍に上ったことが2日までに分かった。
韓国・梨泰院ハロウィン圧死事故の背景② 警察など当局による安全対策の状況
韓国の法令では、大人数イベントの主催者は安全管理や安全対策計画を提出する事が義務付けられていますが、事故発生日の梨泰院では業者による大規模イベントの開催がなく、現地の各店舗が個別にイベントを主催しているのみで、安全管理に責任を持つ主催者が存在しませんでした。
また、梨泰院を管轄する現地警察は事前に多くの人が訪れる事を予想し、事故が起きる可能性を指摘していましたが、その警告は事故当日の警察の警備計画に反映されませんでした。
韓国ソウルの繁華街イテウォンで起きた事故で、韓国メディアは、事前に、管轄する警察署が事故が起きる可能性を指摘したにもかかわらず、当日の警備計画には反映されなかったと伝えていて、警察の対応への批判が強まっています。
当日、地元警察はソウル市内の他の場所で行われた数万人規模のデモに対応するために6000人以上の人員を動員していましたが、梨泰院には130人ほどの人員が派遣されたのみでした。
市内のほかの場所で行われた数万人規模のデモに6000人余りの警察官が投入されたのに対し、10万人以上が集まったとされるイテウォンに派遣されたのは、130人余りだったと伝えています。
また、梨泰院を管轄する自治体である龍山区は、事前にハロウィンに関する対策会議を開いていたものの、事故を想定した安全管理対策は議論されていなかったという事です。区は現地に職員を派遣していたものの人数が足りず十分な対応が取れなかったとも発表されています。
イテウォンを管轄するヨンサン区(龍山区)はハロウィーンに関する対策会議を開いていたものの、事故を想定した安全管理対策が議論された様子は確認できなかったと伝えてられています。
また、区が職員を現場付近に派遣していたものの、人数が足りず十分な対応ができなかったとしています。
全体の警備体制についても、拡声器による注意勧告などは行われていたものの、地区ごとの人数の制限などの管理は行われていなかったとアメリカCNNが伝えており、各所で混乱が起こっていたとの証言も出ているようです。
CNNは30日、「梨泰院では社会的距離確保の制限が解除されてから初めての大々的なハロウィーンイベントが開かれると予想された。注意を呼び掛ける拡声器の警告はあったが群衆規模に関する制限などはなかった」と指摘した。
韓国・梨泰院ハロウィン圧死事故発生時の状況
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韓国・梨泰院のハロウィン圧死事故が発生したのは、2022年10月29日の22時10分〜15分頃です。この事故発生時刻の約1時間前から、事故発生場所周辺は身動きが取れないほど群衆が密集した状態になっていました。
目撃者の証言によれば、22時10分頃に最初の悲鳴が上がり、15分頃に突如、路地の坂の上の方から折り重なるようにして人々が次々と倒れたという事です。
人々は倒れた人々によって次々と連鎖的に押されて圧迫される形になり、坂の中程の「18.24平方メートル(約5.5坪)」の狭いスペースで、300人以上が折り重なる形となり、そのうちの多くの人々が呼吸困難の状態に陥りました。(下の図参照)
事故が発生したのとほぼ同時刻に、多くの人が倒れているとの通報が消防当局(ソウル総合防災センター)に入っています。消防局には事故発生から1時間の間に約80件の通報があったという事です。報道によれば、最初の通報は22時15分に入った「人が下敷きになっている」という内容の通報だったという事です。
事故現場に居合わせた人々の証言によれば、「押さないで」という掛け声をあげたが、それが突然悲鳴に変わったという事です。また、「(倒れた人が)5、6人が折り重なっていた」と、現場の悲惨な状態も証言しています。
現場にいた人は韓国メディアに対し「みんなで『押さないで』と大きな掛け声をあげたが突然、悲鳴に変わった」と混乱した様子を語ったほか「5、6人が折り重なっていた」という証言も出ています。
事故時の状況について、専門家の分析では、群衆雪崩に巻き込まれた人々は胸部や腹部を強く圧迫され、呼吸困難の状態や全身の血液の循環が悪くなる「外傷性窒息」と呼ばれる状態に陥り、立ったまま意識を失って死亡した人々が多かった可能性が指摘されています。
韓国ソウルの繁華街イテウォンでの事故について、日本救急医学会の理事で日本医科大学付属病院の横堀將司 高度救命救急センター長は、多くの人は胸や腹を強く圧迫されて、呼吸や血液の循環が難しくなり、立ったまま意識を失って亡くなったのではないかという見方を示しました。
事故直後の状況については、事故発生から約1時間15分が経過した23時30分時点の状況として、数十人が心肺停止状態となっていて、救急隊員、派遣されていた公務員、居合わせた市民らによる心配蘇生措置が続けられているとの報道が出ていました。
聯合ニュースによると、同日午後11時半現在、梨泰院の中心にあるハミルトンホテルの近くで、数十人が心肺停止状態にあり、駆けつけた救急隊員らが心肺蘇生措置を続けている。
その後の報道によると、事故現場に救急隊員が駆けつけた後も、あまりの人の多さから、速やかに現場にたどり着く事自体が困難であり、到着できた後も対応すべき人が多すぎて時間が掛かったなど、現場は極度の混乱状態にあったようです。
KBSは「人混みや道路が混み合い、救助隊がすぐに現場にたどりつくのが難しかったうえに到着したあともあまりにも対応すべき人が多かったため、時間がかかった」と伝えています。
救急隊員が現場に到着できたのは最初の通報から約1時間後だった事や、病院への救急搬送にも時間が掛かった事なども報じられています。
こうした状況から救急対応や病院での治療が間に合わずに亡くなった人も多かったとみられています。
なお、この事故発生時、現場では死者の財布や貴金属を盗難する火事場泥棒や、心肺蘇生措置をするフリをして女性の服を脱がせて猥褻な行為をする者もいたとの証言も複数出ていますが、こうした事を報じている日本のメディアはどういうわけか少ないようです。(外国メディアでは普通に報じられている)
韓国・梨泰院ハロウィン圧死事故が発生した場所と地図
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韓国・梨泰院ハロウィン圧死事故が発生した場所は、幹線道路(イテウォンロ)沿いにある地下鉄梨泰院駅の1番出口から出て西方向約20メートルの地点を北側へと曲がる幅3.2メートル、長さ40メートル、傾斜度10パーセントの狭い坂道です。
この坂道は「世界料理街(梨泰院・世界食べ物通り)」と呼ばれる通りにつながる丁字路に至る道であり、そこで一時通行が滞るために事故発生場所に群衆が密集する状態になった事も事故原因の1つと考えられています。
韓国・梨泰院ハロウィン圧死事故が発生した場所の地図
下は韓国・梨泰院ハロウィン圧死事故が発生した場所の地図です。Googleマップのストリートビューで閲覧するとかなり細い路地でかなりの傾斜がある事もよくわかります。また、隣接する大通り(イテウォンロ)の道幅が広く、事故があった場所に入ると急激に道幅が狭くなっている事も視覚的にわかりやすいです。
韓国・梨泰院ハロウィン圧死事故の原因① 当局による安全対策の不足
韓国・梨泰院のハロウィン圧死事故の原因については、上でも触れたようにあまりにも多くの人々が梨泰院に殺到した事がまず挙げられますが、事前に「予想を超える人々が訪れて事故が起こる可能性がある」としていながら、地元警察をはじめとする当局が適切な対応策を講じていなかった事も事故発生の重要な原因として指摘されています。
そもそも派遣されていた人員が圧倒的に足りていなかった
上でも触れたように、地元警察は当日現地に130人ほどの人員しか派遣しておらず、この人数で10万人以上と言われる群衆の安全管理を行う事はそもそも不可能だったでしょう。そもそも当日に派遣されていた警官に与えられていた任務は犯罪予防や麻薬取締りで安全対策には関与していなかったとの情報も出ています。
また、梨泰院を管轄する龍山区から派遣された職員も人数が足りていなかったとも発表されており、人員不足が事故の大きな原因の1つとなった事は疑いようがありません。
梨泰院のハロウィンに対して法的な安全対策が適応されていなかった
韓国には、「災害及び安全管理基本法」、「地域祝祭会場安全管理マニュアル」等が整備されています。しかし、この日の梨泰院に対しては「ハロウィンが法的な祝祭ではない事」、「(この当日においては)主催者がおらず公的なイベントではない事」などを理由に、こうした法に基づいた対応が適用されていませんでした。
梨泰院の事故の3日前の10月26日には、地元警察、龍山区、最寄駅である梨泰院駅、地元事業者団体である梨泰院観光特区連合会が合同でハロウィンの対応を検討しています。
しかしその場では安全管理対策の必要性についてはあまり議論されず、警察からは性犯罪、麻薬取り締まりに関する協力要請が、龍山区からは梨泰院観光特区連合会に対して、清掃やコロナ対策、通行を阻害するような屋外の違法設置物の点検などの要請が出されたのみだったという事です。
この事から、そもそも今回の梨泰院でのハロウィンでは、安全対策を行うという視点そのものが欠けていたと見られ、これが今回の事故の原因になった事も異論を挟む余地はないように思われます。
韓国・梨泰院ハロウィン圧死事故の原因② 街構造や違法建築による通行阻害
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梨泰院の事故が発生した場所は上でも触れたように、大通りから入っていく狭い坂道でした。しかもこの坂道の先は丁字路になっていて人の通行が滞りやすい構造になっており、これが事故現場にあまりにも多くの人が密集する原因となって事故へとつながりました。
そもそも、梨泰院という街の交通路の構造は、梨泰院駅と大通り(イテウォンロ)と、「梨泰院・世界食べ物通り」と呼ばれるメインストリートを繋ぐ道路は、事故の発生場所と同じような細い路地が数本あるのみで、繁華街全体もかなりごちゃごちゃとしています。
また、事故現場の東隣に建つ「ハミルトンホテル」は、違法建築で建造物が道に張り出しており、ただでさえ狭い道幅をさらに狭めていました。また、事故場所の先にある丁字路「梨泰院・世界食べ物通り」の飲食店の多くも違法増築で通行幅を狭めている状況でした。
こうした、梨泰院という街の構造上の問題が、今回の事故の原因の1つとなったとも言えるでしょう。
韓国・梨泰院ハロウィン圧死事故の死者数
韓国・梨泰院でハロウィンに起きた圧死事故の死者数は、2022年11月13日23時に韓国政府が発表した情報によると「158人」となっています。
韓国政府は14日までに、ソウル・梨泰院の雑踏事故の死者が1人増えて158人になったと発表した。20代の韓国人女性が死亡した。
死者数の内訳については、11月13日23時時点の情報で女性の死者が102人、男性の死者が56人で、年代別の死者数は10代が12名、20代が105名、30代が31名、40代が9名、50代が1名でした。
さらに、この死者の中には2名の有名人(後述)、3人の教師、3人の韓国軍人が含まれる事も報じられています。
また、死者には外国人26名が含まれており、その内訳は日本人2名(後述)、中国人4名、イラン人5名、アメリカ人2名、ロシア人4名、ベトナム人、タイ人、カザフスタン人、ウズベキスタン人、スリランカ人、オーストラリア人、フランス人、ノルウェー人、オーストリア人が各1名と発表されています。
なお、負傷者は11月13日23時時点の発表で196名と発表されています。負傷者の内訳は重傷31名、軽傷165名、そのうち186名は退院して帰宅しており、現在も入院しているのは10名と発表されています。
韓国・梨泰院ハロウィン圧死事故の日本人の死者2名
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韓国・梨泰院のハロウィン圧死事故の死者には日本人2名も含まれていました。
日本人の死者は埼玉県川口市出身の小槌杏さん(当時18歳)と、北海道根室市出身の冨川芽生さん(当時26歳)の2名でした。
この日本人2名は共に韓国への留学生で、小槌杏さんは2022年8月末からソウルの私立大学建国大の言語教育院に留学し韓国語を学んでいたそうです。小槌さんは韓国の文化や音楽、ファッションに興味を持ち、将来は日本語教師になる夢を持たれていたという事です。
冨川芽生さんは、2022年6月からソウルの西江大学併設の語学学校「語学堂」に留学されていました。冨川芽生さんはK-POPが好きでアルバイトをして留学費用を貯めて留学し、将来は韓国で仕事に就くことを夢見ていたそうです。
冨川芽生さんの父親の歩さんはメディアの取材に応じられていて、梨泰院での事故を知り、心配して冨川芽生さんに電話をかけたが、出たのは現地の警察官で「事故現場近くで電話を拾った」と説明を受けた事を明かされていました。
その後、無事を祈り連絡を待っていたという事でしたが、30日の夕方に外務省から日本人の死者の1人が冨川芽生さんと確認されたとの連絡を受けられたそうです。
韓国・梨泰院ハロウィン圧死事故の死者には有名人も
韓国・梨泰院のハロウィンの圧死事故の死者には2名の有名人も含まれていました。
有名人のうち1人は、2017年の韓国のオーディション番組「PRODUCE 101 SEASON2」に出演した事で話題になっていた若手俳優のイ・ジハン(이지한)さんでした。
イ・ジハンさんは、2019年のドラマ「きょうもナムヒョンな一日」の主人公・シン・ナミョン役を演じられていた方です。事故当時は新ドラマ「コクドゥの季節」への出演が決まっており、撮影中でした。
死者の2名の有名人のうちもう1人は、韓国プロ野球(KBO)のLGツインズや起亜タイガースなどでチアリーダーとして活躍した事で知られるキム・ユナ(김유나)さんでした。
2016年からLGツインズのチアリーダー、2018年から起亜タイガースのチアリーダーを努めました。
なお、このキム・ユナさんと同じ1996年生まれで、同姓同名、同じくチアリーダーとして活躍されている方がいますが、この方は自身のインスタグラムで無事である事を報告されています。
韓国・梨泰院ハロウィン圧死事故の犯人はウサギ耳の男との情報が拡散
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韓国・梨泰院で発生したハロウィン圧死事故をめぐり、犯人探しが加熱しています。
この事故の犯人として挙げられているのが「うさぎ耳」のカチューシャをつけた男で、これは「ウサギの耳の形をしたヘアバンドの男性ら5〜6人が『押せ』などと言って人々を押し始め、それが事故の原因になった」とする内容の証言が多数あがっている事が根拠とされています。
また、事故発生当時に現場にいたというある韓国人の女性YouTuberは事故直前に後方から「押せ、俺らが勝とう」という声が聞こえた直後に、突然強い力が加わったとの証言をしています。
事故の原因を作った犯人とされたこの男についてはウサギ耳のカチューシャの他、髪型がセンター分けだったとの情報も出ていました。
「5~6人の男性の集まりが人を押し始めた」
「(その中心人物と見られる)ウサギ帽の男が”押せ”と言い始めた瞬間に、周囲も押し始めた」
「そこから”下がれ”の声が”押せ”に変わった」
さらに該当男性は髪型が「センター分けのパーマ」だったとも。
現地の警察はこうした直接的な犯人がいたとする多数の証言が上がった事を受けて捜査を開始しており、340人での捜査体制を敷いて、当日そこにいた人々から提供された動画や現地の防犯カメラの解析などを行っているという事です。
韓国警察は現在、うさぎの耳をつけた男性を含む数人が前の人を意図的に押して事故を発生させた疑惑について、目撃者への聞き込みや映像分析などを進めている。犯人が特定できた場合、刑法上の過失致死罪が適用されるとの立場を示しているという。
実際に何人かへの事情聴取も行われているようですが、現在のところ犯人の検挙には至っていません。
梨泰院事故では犯人探しが加熱して冤罪被害者も
梨泰院の事故直後から犯人探しが加熱しており、「うさぎ耳のカチューシャ」といった情報から何人かの男性が犯人だとされてネットなどで晒され嫌がらせ被害を受ける事態も発生しています。
現在の時点で犯人だと言って晒されている人物の全員は冤罪であり、警察の捜査による事故とは無関係である事が証明されています。
韓国・ソウルの繁華街、梨泰院でハロウィーン前の10月29日に発生した雑踏事故で、前の人を押すようにあおったとされるウサギの耳のカチューシャを頭に着けた男性について、警察庁特別捜査本部は7日、この男性の携帯電話の位置情報や現場付近の防犯カメラの映像を分析した結果、「嫌疑なし」と判断し、男性に対する捜査を終えたと発表した。
うさぎ耳の男が犯人だとする証言の他にも、事故時に仮面をつけた2人組が道路にアボガドオイルを撒いて人々を故意に滑らせて転倒させたとする情報も拡散されています。
この証言についても警察が捜査しており、撒いたのはオイルではなく酒だった事などが明らかになっています。
また警察は、事故当日に仮面を着けた2人が道路にアボカドオイルをまいて人を滑らせたとする証言についても、防犯カメラの映像を確認した結果、オイルではなく酒で、まかれた場所は事故現場ではなかったと説明した。
こうした犯人探しが加熱する一方で、「必死に犯人を作り出そうとする心理は危険」、「冤罪被害が出る前にやめた方が良い」と、そうした心理状態の危険性を指摘する声も上がっています。
韓国・梨泰院ハロウィン圧死事故の現在① 現場に献花に訪れる人が絶えず
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韓国・梨泰院の圧死事故後、現在も事故のあった場所周辺には献花や追悼に訪れる人が絶えていないようです。外国人留学生や観光客も多く犠牲になった事もあり、現地の人の他、外国人の姿も多いという事です。
雑踏事故が起きた韓国・ソウル市内の繁華街「梨泰院(イテウォン)」には30日夜、大勢の人が献花に訪れた。現場にほど近い地下鉄梨泰院駅の1番出口には花束のほか、マッコリなどのお酒が供えられ、涙を流しながら手を合わせる人の姿もあった。
梨泰院事故から1週間、”国家哀悼期間”が終了した。
— 原田 敦史 NNN@Seoul (Harada/하라다) (@HRD_Atsushi) November 6, 2022
1人現場を訪れた。ミサイル対応で来られず、数日ぶりの梨泰院。
増え続ける花、メッセージ、犠牲者の写真、涙を流す市民、静まりかえった通り。
何か区切りになるのではないかと思ったが愚かな考えだった。
癒えることのない痛みが続いている pic.twitter.com/BLZ1kPZ4As
韓国・梨泰院ハロウィン圧死事故の現在② 責任を問われた警察官が死亡
2022年11月11日に、事故発生現場を管轄する竜山警察署の情報課係長が死亡した事が報じられています。
死亡した情報課係長に対しては、同課職員が作成した「予想を超える人波が押し寄せる」事を警告する報告書を事故後に削除を指示して隠蔽を試みた容疑がかけられていました。
この警察官の遺体は自宅で家族によって発見されており、自殺の可能性が高いとみられています。
梨泰院(イテウォン)惨事と関連し、情報課報告書の削除を指示した疑いで立件されていたソウル龍山(ヨンサン)警察署の前情報係長が遺体で発見された。 江北警察署は11日午後12時45分、龍山署前情報係長のC氏が自宅で死亡しているのが家族によって発見されたと明らかにした。警察はC氏が自殺したものと見ている。
まとめ
今回は2022年10月29日に韓国・梨泰院でハロウィン数日前に発生した圧死事故についてまとめてみました。
韓国・梨泰院のハロウィン圧死事故は、狭い通りに群衆が溢れたために人々が圧迫される状態になり、呼吸困難や血液の循環不良などの原因による少なくとも158人の死者を出した大惨事です。
事故の発生場所は梨泰院駅1番出口から出た、大通りの「イテウォンロ」を20メートルほど東を北側に折れた狭い坂道でした。この先は梨泰院のメインストレートとされる「梨泰院・世界食べ物通り」のある丁字路で、人の通行が滞る構造だった事などから人が溢れ今回の悲惨な事故が発生しました。
事故の原因としては、警察や自治体による安全対策の不備や、人の通りが滞りやすい街の構造などが指摘されています。
死者の中には日本人2名が含まれており、いずれも2022年に韓国に来たばかりの留学生でした。また、韓国人の有名人2名(若手俳優とチアリーダー)も死者に含まれている事も報じられています。
事故後には犯人探しが加熱しており、「うさぎ耳のカチューシャの男」が群衆を押した事が原因となって事故が発生したとする証言が多数あがり冤罪被害も生じています。
現在も事故現場には献花に訪れる人が絶えない他、責任を追求された警察官1名の死亡(自殺と見られている)も報じられています。