「タケモトピアノ」のCMへの出演で知られていた俳優の財津一郎さんが2023年に亡くなりました。
この記事では、財津一郎さんの若い頃、嫁や息子などの家族情報、死去などについてまとめてみました。
この記事の目次
財津一郎のプロフィール
名前：財津一郎（ざいつ いちろう）
本名：財津永栄（ざいつ ながひで）
生年月日：1934年2月22日
出身地：熊本県熊本市
身長：176cm
財津一郎はタケモトピアノのCMで長く愛された名俳優
財津一郎さんといえば、大河ドラマ「秀吉」の竹阿弥役や「3年B組金八先生」シリーズの左右田役などを代表作に持つ実力派俳優となります。
「タケモトピアノ」のCMに出演していることでもお馴染みとなっていた財津さんですが、同CMが「探偵ナイトスクープ」にて「赤ん坊が泣き止む魔法のCMソング」として取り上げられたこともありました。
番組内の検証でも100人中100人の赤ん坊が泣き止んだという伝説を残した「タケモトピアノ」のCMですが、その魔法の秘密は、財津さんの歌声が赤ん坊にとって心地良い440Hzだからという話となっています。
「探偵ナイトスクープ」でも取り上げられましたが、歌っている財津さんの声が、赤ちゃんにとって心地よい440ヘルツの音域に合っているとのことらしいです。不思議で素敵な事ですね。
「タケモトピアノのCMソング」の効力は医療現場で認められているらしく、赤ん坊と接する機会の多い医療関係者の中には、スマホの中に「タケモトピアノのCMソング」が入っているケースも少なくないとか。
乳腺炎診察だと赤ちゃん連れてくる人が多くて、処置中に泣かれる時もある。そんな時の隠し球として、産科の先生から薦められた、ピアノ売ってちょうだい「タケモトピアノ」のCM音楽がスマホに入ってる。
— のーないすこうぷ (@nonaiscope) 2018年7月25日
驚くほどによく泣き止む。謎の波長でも出てるんじゃないかってくらい。
財津一郎の若い頃～元々は吉本新喜劇の座長を務めていた
財津一郎、父親はシベリアに抑留されて死亡
財津一郎さんの実家については、熊本県阿蘇郡黒川村（現在の阿蘇町）の地主の家系だったそうですが、父親は東京に上京して農林省の役人をしていました。
そのため、幼少期は一家揃って東京で暮らしていた財津さんでしたが、父親が中国に出征したことをきっかけに、1944年に熊本県熊本市に移住することになりました。
出征した父親の運命に関しては、終戦後に中国でソビエト軍（現ロシア軍）に拘束された後シベリア抑留となり、結局は現地で命を落としてしまったそうですね。
財津一郎、農地改革で地主だった実家が没落
終戦後の混乱期に、女手1つで一家6人の子供たちを育てる羽目となった財津家ですが、1947年から始まった農地改革により、先祖代々の農地の大半を失ってしまうといった悲劇まで起こりました。
その後は農地改革で残った農地を守るために、1947年に黒川村に移住して来た財津一家でしたが、地元の人間に完全に余所者扱いされる立場だったことも手伝い、財津一郎さんには学校でイジメを受ける日々が待っていました。
地元の少年たちによる財津さんイジメはかなり壮絶なものがあったらしく、意味もなく後ろから殴り倒されるだけでなく、学費まで盗まれたこともあったと言われております。
そんな財津さんの窮状を見かねて声をかけてくれたのが、当時通っていた阿蘇農業高校の英語教師・高橋伯夫さんでした。
財津さんを農業実習地での麦踏みに誘った高橋先生は、「今は勝負の時じゃない。踏まれた麦ほど豊かに実る」と語り、辛い時こそ踏ん張る必要性を説いたそうです。
高橋先生の言葉は、財津さんにとって人生観を変えるほどの感銘を受けた一言となり、以降の財津さんは、逆境の時こそ志を持って努力をすることを心に誓うようになりました。
財津一郎、俳優を志すも所属劇団が次々に解散の憂き目に
高校を卒業後の財津一郎さんは、1953年になると俳優を志して上京し、早稲田大学文学部演劇科を受験していますが、受験には失敗してしまい入学はかないませんでした。
その後の財津さんは、早稲田大学近くの印刷所で住み込みのアルバイトをしながら榎本健一映画演劇研究所に通い役者の勉強をした後、帝劇ミュージカルの研修生となっています。
財津さんが、邦画実写全盛期となる1950年代にあえて舞台演劇への道を進んだ理由については、下積み時代に社会でもまれた方が役者として表現の幅が増えるのではないかといった思惑があったようですね。
「30歳までは砂をかむ思いをしよう」と最低限の収入がある撮影所には入らず、実社会でもまれながら芸を磨く道へ。
この時代の財津さんは、「ジミー財津」と名乗って進駐軍のキャンプ回りまでするなど、色々なことにチャレンジをしていました。
しかしながら、下積み時代の財津さんには、所属した劇団が次々に解散するといった大逆風が待っており、一旦東京を離れて大阪から再起することになりました。
財津一郎、「てなもんや三度笠」で大ブレイクしていた
大阪移住後の財津一郎さんに対しては、1962年に吉本興業に所属しております。
吉本興行時代の財津さんは、1965年に吉本新喜劇座長に就任するなど次第に頭角を現していくことになりました。
そんな財津さんがお茶の間でブレイクするきっかけとなったのが、1966年より蛇口一角役で出演することとなった時代劇風コメディ「てなもんや三度笠」でした。
藤田まこと主演の『てなもんや三度笠』に浪人・蛇口一角（へびぐち いっかく）役で出演し、手を頭の後ろから回して反対側の耳をつかんで甲高い声で叫ぶ「非っ常にキビシ〜ッ!」「〜してチョウダィ!」のギャグや抜いた刀の刃を蛇のようになめまわす、といった奇怪な動きが評判となり、一世を風靡（ふうび）した（当初はギャグで言った台詞ではなかったそうで、演技中に突発的に奇声を発すると予想外にウケたことが由来）。
引用：財津一郎
その後、1969年に吉本興業を退社して東京へと拠点を戻した財津さんは、実力派俳優としてドラマや映画に大活躍をすることになりました。
財津一郎の結婚した嫁や子供（息子）について
財津一郎、嫁とはどん底時代に知り合っていた
財津一郎さんに関しては、1960年に妻・ミドリさんと結婚しているようですね。
財津さんとミドリさんとの馴れ初めについては、石井均一座に所属していた1950年代中盤頃に知り合ったと言われております。
財津さんが大阪に拠点を移した1960年代前半頃は、お寺の離れで下宿する極貧時代も経験するなど、ミドリさんはまさに糟糠の妻となりました。
当初は妻と幼い息子を抱え、寺の離れで食うや食わずの下宿生活だったが、「座長になると少しずつ食べられるように。大阪に成長させてもらった」と感慨深げだ。
そんなミドリさんに深い感謝の念を抱いていたのか、財津さんは同世代の大物芸能人には珍しく、離婚をすることもなくミドリさんと添い遂げています。
財津一郎、息子・財津功はテレビプロデューサーとして活躍
財津一郎さんの長男である財津功さんは、1961年8月に誕生していたようですね。
幼少期は極貧生活も味わうこととなった功さんですが、財津さんが「てなもんや三度笠」でブレイクして以降は経済的に恵まれるようになったこともあり、大学を卒業後は日本テレビに入社するほどのエリートに育つことになりました。
日本テレビのプロデューサーとして活躍することになった功さんの代表作には、「ビートたけしのお笑いウルトラクイズ」や「宝探しアドベンチャー謎解きバトルTORE!」などがあります。
近年の功さんの役職については、情報カルチャー局専門局次長にまで出世している模様です。
ちなみに、功さんは既婚者であり、1999年に息子も誕生しています。
財津一郎、孫・財津優太郎は俳優として活躍
出典：https://red-actors.com/
財津一郎さんの長男・財津功さんの息子である財津優太郎さんは現在俳優として活動しています。
ドラマ「正直不動産」や「下剋上球児」など話題作にも出演しており、今後の活躍が期待されている若手イケメン俳優です。
財津一郎と財津和夫が親戚関係にあることが判明
財津一郎さんには、「青春の影」や「サボテンの花」のヒット曲などで知られている元チューリップの財津和夫さんと親戚関係にあるという意外な情報もあります。
財津和夫さんの先祖に関しては、熊本藩の下級武士の家系だったそうですが、明治10年に西南戦争のせいで家屋が焼け落ちたうえ、明治12年になると一家の大黒柱だった曾祖父・緒方小平太さんが亡くなってしまうなど、生活は困窮を極めていました。
そのせいで祖父・緒方民平さんは小学校に通うことも出来ずに、校舎の窓の外から授業に耳を傾ける日々が続いていたと言われております。
そんな姿を見かねた小学校の教師・財津永枝さんが、ある時学校に掛け合ってくれたおかげで民平さんは小学校に通うことが可能となり、警察官にもなることも出来ました。
その後熊本県の役人へと転職した後、最終的には農場経営者となった民平さんでしたが、恩師となる永枝さんとは死別するまで連絡を取り合う仲だったそうですね。
そして、永枝さんの死後に跡取りが子をなさずに死んでしまったせいで財津家が断絶しそうになると、民平さんは次男・國平さんに財津姓を名乗らせるようになり、その國平さんの息子が財津和夫さんだという話となっています。
つまりは、財津和夫さんの父親が養子に入った家系の縁戚に財津一郎さんがおり、2人に直接的な血縁関係自体はないことになります。
そのため、2016年9月に放映されたドキュメンタリー番組「ファミリーヒストリー」にて、財津和夫さんの一族の歴史が調べ上げられて2人の親戚関係が判明するまでは、お互いに親戚付き合いなども一切なかったとか。
財津一郎は1995年に脳出血を発症していた
財津一郎さんは、1995年に脳出血に倒れて緊急手術を受けたこともありました。
脳出血というと重い後遺症が心配される病気の１つとなりますが、財津さんの場合は幸いにも身体的な後遺症はほとんどなく、術後3ケ月ほどで仕事に復帰出来ることになりました。
とはいえ、身体機能的な障害が残らなかった一方で、頭がピリピリするといった感覚的な後遺症は残っていたらしく、財津さんも不安に思うことはあったようですね。
財津さんは61歳の時、脳出血で倒れ緊急手術を受けた。後遺症はなかったものの、今も何本もの“びょう”が右脳を固定する。「時々頭にピリピリと感じると、『そろそろお迎えなのか、もうちょっと待って』と不安になる」。
その他にも、脳出血といえば再発率の高さでも厄介な病気だったりしますが、財津さんの場合は、術後10年たっても脳出血の再発は起こらずに元気に俳優活動を続けることが出来ました。
財津一郎の現在① ネットで死亡説が流れていた
財津一郎さんは以前から、ネット上で死亡説が流れていました。
だいぶ前、夫が絶大な自信を持って「財津一郎はもう死んだ」と言ったことがあった。それからほどなくしてナイトスクープでタケモトピアノのネタをやっていたので問いただすと「あれは生前の映像だ」ドラマに出てることについても言うと「最近のCG技術は素晴らしい」と言ってきかない。
— ooiwa (@ooiwapyun) 2014年6月29日
財津さんに死亡説が流れてしまった理由については、2010年に公開された映画「ふたたび swing me again」への出演を最後に俳優活動が停滞していたことが原因のようです。
2010年時点で財津さんは76歳とかなり高齢だったうえ、2004年に出演したNHK朝の連続テレビ小説「天花」以来7年ぶりのドラマ・映画出演となりました。
その他にも財津さんの所属していた親睦団体「昭和九年会」のメンバーたちが、2010年代に次々と亡くなっていたことも、財津さんに死亡したイメージがついた原因だったのかもしれませんね。
・坂上二郎（2011年3月没）
・長門裕之（2011年5月没）
・愛川欽也（2015年4月没）
・大橋巨泉（2016年7月没）
・藤村俊二（2017年1月没）
財津一郎の現在② 老々介護の末に嫁が死去
出典：https://reishoku.jp/
ネット上で死亡説が流れていた財津一郎さんですが、仕事のオファーを断り、妻であるミドリさんの介護をしていたという実情もあるようです。
「週刊文春」に掲載された2019年のインタビューで財津一郎さんは、肺の前がん病変（がんになる前の状態）であったことや心臓に水がたまる病気であったことを明かしています。
さらに脊柱管狭窄症を患い足が不自由になってしまった中、ミドリさんも2019年秋に自宅で転倒して骨折。もともと高齢で身体が弱っていたミドリさんはその後みるみる衰えてしまったようです。
そんため、財津一郎さんは自身も身体の不自由を抱えながら家事のすべてを一人で担い、ミドリさんの介護も行うようになりました。
毎朝4時半に起きて、掃除をする。家の前を箒で掃き、ゴミ出しを済ませてから、朝食を作る。「それまでの人生、包丁すらまともに握ったことがなかったから、大変だった。何より、台所で1時間くらい立ちっぱなしだから、膝にも来るし、熱気で立ちくらみもする。しんどかったけれど、むしろ『ママはこんなことを何十年も黙々と続けてきたのか』と、ありがたさがますます身に沁みた」
老々介護の状況となった財津一郎さんですが、ミドリさんには若いころから苦労をかけ続けて
いたこともあり、”最後の奉公”のつもりでミドリさんの介護を続けていたようです。
その後、ミドリさんは2020年2月に89歳でこの世を去ったとのことですが、最愛の妻に先立たれた財津一郎さんは悲しい胸の内を明かしていました。
「ママの遺品を整理しているときが、一番こたえます。もっとしてあげられたんじゃないか、もっと優しくできたんじゃないか……。そうやって考えだすとキリがない。
人間には寿命というものがあるから、ずっと前から覚悟は決めていた。それでも、たまらなく寂しくなる。こればかりは、どうしようもありません」
財津一郎の現在③ 慢性心不全のため89歳で死去
出典：https://news.livedoor.com/a
2023年10月、財津一郎さんが慢性心不全のため亡くなったことが明らかになりました。4歳年上だった妻のミドリさんと同じ89歳で亡くなったとのことです。
財津一郎さんは2023年3月に「週刊新潮」のインタビューに応じ、体操やヨガ、家事も行い健康的な日々を送っていることを明かしていました。
「毎日、早寝早起きで4時半起床。少しでも長生きしたいし、健康でいたいから、朝の30分の体操やヨガのほか、200回の足踏み器も日課です。3年前にママ（妻のミドリさん）が死んじゃったので、家の掃除や洗濯も自分でやってます」
財津一郎さんの息子も、2023年6月までは毎月、親子で一緒にゴルフを楽しんでいたことを明かしていました。
また、息子は自宅で息を引き取った財津一郎さんの最期についても語っています。
「8月ごろ、血液を全身に送り出す心臓の力が弱まってきたんです。“入院だけはしない”とする本人の意思を尊重し、自宅療養を続けていました。何でも人に頼らず“自分でやる”という人でしたが、10月の初旬からは歩くのも困難になっていき……14日に息を引き取りました。死因は慢性心不全でした」
財津一郎さんの訃報を受け、SNS上には多くの追悼コメントが寄せられました。
ただ、財津一郎さんをCMに起用していた「タケモトピアノ」はショックのあまり、会社としてすぐに公式コメントを出せる状態になかったといいます。20年以上続いたCM契約は、ちょうど財津一郎さんが亡くなる2週間前の2023年9月末で満了したところでした。
財津一郎さんがその成長や活躍を楽しみにしていたという孫で俳優の財津優太郎さんは、「いつもかっこよく、力強く、面白い自慢の祖父でした。」とのコメントを寄せ、偉大な祖父の死を悼みました。
「いつもかっこよく、力強く、面白い自慢の祖父でした。祖父は生前『役者は役を演じてはならない。役の人生を生きなければならない。』と言って いました。その言葉を胸に、祖父のような見た人の記憶に残る俳優になれるよう精進してまいります」と伝えた。
財津一郎についてまとめると…
・財津一郎は若い頃、吉本新喜劇の座長を務めたこともある
・財津一郎は、2023年に慢性心不全のため89歳で亡くなった
CM以外で見かけなくなったこともあり、ネット上で死亡説が流れていた財津一郎さんですが、自身の病気や妻の介護と向き合いながら晩年を過ごし2023年に89歳で亡くなりました。財津一郎さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。
