2001年7月20日に劇場公開され、世界で高評価を受けたスタジオジブリの宮崎駿監督によるアニメ映画『千と千尋の神隠し』には驚くような多くの都市伝説と裏話が盛り込まれています。
『千と千尋の神隠し』の都市伝説や謎の考察について詳しく総まとめしましたのでご紹介します。
この記事の目次
- 『千と千尋の神隠し』とは
- 『千と千尋の神隠し』都市伝説&裏話の考察20選
- 『千と千尋の神隠し』都市伝説&裏話① 油屋は風俗?
- 『千と千尋の神隠し』都市伝説&裏話② カオナシのモデル
- 『千と千尋の神隠し』都市伝説&裏話③ 「千とちさとの神隠し」だった
- 『千と千尋の神隠し』都市伝説&裏話④ 千尋の両親が豚になった理由
- 『千と千尋の神隠し』都市伝説&裏話⑤ 冒頭で千尋たちは瀕死だった?
- 『千と千尋の神隠し』都市伝説&裏話⑥ 電車の真実が怖い
- 『千と千尋の神隠し』都市伝説&裏話⑦ 「火垂るの墓」の節子が登場する
- 『千と千尋の神隠し』都市伝説&裏話⑧ 湯婆婆と銭婆の初期設定
- 『千と千尋の神隠し』都市伝説&裏話⑨ 神様の世界は四季がごちゃ混ぜ
- 『千と千尋の神隠し』都市伝説&裏話⑩ 隠れジブリがある
- 『千と千尋の神隠し』都市伝説&裏話⑪ リンの正体
- 『千と千尋の神隠し』都市伝説&裏話⑫ ドラゴンボール風だった?
- 『千と千尋の神隠し』都市伝説&裏話⑬ ススワタリは”まっくろくろすけ”
- 『千と千尋の神隠し』都市伝説&裏話⑭ 契約を破った千尋が帰れた理由
- 『千と千尋の神隠し』都市伝説&裏話⑮ 物語は4日ではなかった?
- 『千と千尋の神隠し』都市伝説&裏話⑯ 最後に千尋が振り返っていたら…
- 『千と千尋の神隠し』都市伝説&裏話⑰ ハクは最後に死んでいた
- 『千と千尋の神隠し』都市伝説&裏話⑱ 「耳をすませば」に原作が登場
- 『千と千尋の神隠し』都市伝説&裏話⑲ 当初は勧善懲悪ものだった?
- 『千と千尋の神隠し』都市伝説&裏話⑳ 『もののけ姫』の続編だった?
- 『千と千尋の神隠し』について総まとめすると・・・
『千と千尋の神隠し』とは
10歳の千尋が神々の世界に迷い込むストーリー
『千と千尋の神隠し』は主人公である荻野千尋が引越し先へ向かう途中に見つけた古びたトンネルから神々の世界である”あの世”に訪れてしまい、現世に戻るために奮闘する中で助けてくれた竜の少年・ハクとの淡い恋を描いた物語です。
『千と千尋の神隠し』は2001年7月20日に劇場公開され、興行収入は300億円以上となり日本歴代興行収入の第2位の記録を維持し続けています。
「第52回ベルリン国際映画祭」では金熊賞を受賞し、「第75回アカデミー賞」ではアカデミー長編アニメ映画賞を受賞しています。
また、2016年にイギリスのBBCが主催した「21世紀の偉大な映画ベスト100」では第4位に選ばれています。
20位以内で選ばれたアニメ映画は『千と千尋の神隠し』だけだというところからも、同作が世界でどれほど高評価をされているかがわかるものでしょう。
『千と千尋の神隠し』都市伝説&裏話の考察20選
複雑な裏話が多い『千と千尋の神隠し』
普通に鑑賞しているだけでは当然分からないものの、『千と千尋の神隠し』には非常に複雑な裏話がたくさん隠れています。
『千と千尋の神隠し』の都市伝説、裏話を知ってから改めて鑑賞してみると、また違った楽しみ方が出来るでしょう。
ここからは20個の都市伝説、裏話について総まとめしていますのでご紹介していきましょう。
『千と千尋の神隠し』都市伝説&裏話① 油屋は風俗?
『千と千尋の神隠し』の舞台”油屋”は風俗店だった?
『千と千尋の神隠し』の主人公・千尋は”油屋”で「湯女(ゆな)」として契約し働いていますが、この「湯女」とは江戸時代に実在した職業で、現代的に言うと”ソープ嬢”のことになります。
『千と千尋の神隠し』のインタビューを受けた宮崎駿監督は、現在の世界を描くときに何が一番相応しいのかということについて、”風俗産業”だと答えています。
宮崎駿監督によれば、日本は全て風俗産業みたいな社会になっているということでした。
湯婆婆の経営する”油屋”に「回春」の文字がある
本来、「回春」の意味は”春が巡ってくること”から転じて「若返り」や「病気が治る」ことを指しますが、「気持ちよくなる」風俗産業でも用いられています。
そして、千尋が油屋で働く契約を結ぶ際に、湯婆婆から「千」と名付けられますが、これはいわゆる”源氏名”に当たるということです。
『千と千尋の神隠し』都市伝説&裏話② カオナシのモデル
カオナシのモデルは米林宏昌監督?
米林宏昌監督はスタジオジブリのアニメ映画『借りぐらしのアリエッティ』の監督ですが、プロデューサーの鈴木敏夫さんがカオナシのもでるは米林宏昌監督だと語っていましたが、本人によれば後付けの話であると否定しています。
宮崎駿監督によれば、カオナシは”現代の若者”を象徴しているということです。
現代の若者は他者とのコミュニケーションが苦手な傾向があり、感情をうまく表現できない、そして他者からの拒絶を極端に恐れ、物や欲などで相手の気を引こうとする、拒絶に対して過剰に反応する、普段はおとなしく自己表現を控えるが時として態度が急変する、など宮崎駿監督にとっては”何を考えているか分からない”という存在であり、それがカオナシとして現れているということです。
しかし、同時に宮崎駿監督は「みんなの中にもカオナシがいる」と語っており、現代若者に限らず、相手の関心を金でしか釣ることができないカオナシ的な考え方は、少なからず現代人の誰しもが持っているということです。
ラフ画の設定にはカオナシは”後半の主要人物”とされている
元々カオナシは原案当初から重要な役割を持ったキャラクターではなく、宮崎駿監督によれば「本当に単なる脇役だった」ところが、物語の制作を詰めていく段階で重要なポジションに据えられたそうです。
原案の設定画にあるカオナシはまるで『ハウルの動く城』のハウルがお面を被ったかのようなイケメンの雰囲気を漂わせています。
その隣のカオナシも魔法でも使いそうなファンタスティックなデザインになっています。
実はカオナシには歌がある
「カオナシの歌」は宮崎駿監督が作詞をして、故・ムッシュかまやつさんがイメージアルバムで歌っています。
カオナシの歌の歌詞の一部をご紹介します。
◆カオナシの歌「さみしい さみしい」◆
<歌詞>
さみしい さみしい
僕ひとりぼっち
ねぇ 振り向いて こっち向いて
食べたい 食べたい
君 たべちゃいたいの
君、かわいいね
きっと寂しくなんかならないんだね
自分の人間性だけで人と正しく交わることができない人が増えた、現代病とも言える心の闇を歌っているかのようですね。
『千と千尋の神隠し』都市伝説&裏話③ 「千とちさとの神隠し」だった
宮崎駿監督はふたりの友人の娘のために作った
『千と千尋の神隠し』は宮崎駿監督の友人で、『紅の豚』のポルコ・ロッソのモデルとなった佐伯さんの娘と、プロデューサーの鈴木敏夫さんの娘のために作ったと語っています。
宮崎駿監督の家族とこのふたりの友人の家族でキャンプに行った時に、佐伯さんの娘・ちさとちゃんの赤い靴が川に流されてしまい、みんなで慌てて靴を追いかけたためびしょ濡れになってしまったそうです。
みんなで大笑いしあったそうですが、その時の出来事が宮崎駿監督の中でそれまで抱えていた鬱蒼とした気持ちを晴らしてくれたことで、ちさとちゃんのために『千と千尋の神隠し』を作ろうと思い、当初は『千とちさとの神隠し』というタイトルにしていました。
そして、ちさとちゃんはプロデューサーの鈴木敏夫さんの娘と同年齢であり、ふたりの娘に社会の真実を見せるために作ったそうです。
2人は千尋と同じ10歳です。私は「善と悪の戦い」のようなものを見せたかったのではありません。世界の真実を見せたかったのです。少女たちはあまりに単純な善と悪の二元論的状況ではなく、あるがままの世界を発見しなければなりません。
しかし、制作が進むにつれて風俗産業を題材とすることにしたため、ちさとちゃんの名前を使うことはできずタイトルを『千と千尋の神隠し』と変更しました。
『千と千尋の神隠し』都市伝説&裏話④ 千尋の両親が豚になった理由
作品冒頭で豚になった千尋の両親
冒頭で千尋の両親が貪るように食べたことから豚になってしまいますが、先述の千尋のモデルであるちさとちゃんの父親が『紅の豚』のモデルだったことから豚にしました。
また、宮崎駿監督の作品には豚がよく登場しますが、それは宮崎駿監督が豚を”すべてを食べつくす貪欲な生き物”であり現代日本を象徴しているからだと語っています。
最終的に人間の姿を取り戻したときでさえ、千尋の両親は本当には変わっていないのです。こういうタイプの親は日本にゴロゴロしています。日本でこの映画を見た2千万人の観客の中には子供だけでなく、多くの親=豚がいたはずです
宮崎駿監督の独特の社会風刺の仕方ですが、妙に説得力を持っているのは作中での表現力が絶妙だからなのでしょう。
『千と千尋の神隠し』都市伝説&裏話⑤ 冒頭で千尋たちは瀕死だった?
実は冒頭で千尋たちは瀕死になっていた?
物語の冒頭で車を運転する千尋の父親がいきなりスピードを上げてふしぎの町の入口であるトンネルに向かっていきますが、実はこの時に事故に遭っており、瀕死の状態だったため意識だけふしぎの町に入ってしまったという都市伝説があります。
千尋がトンネルの向こうにあるふしぎの町に入った時、体が半透明に透けて無くなりそうになるシーンがありました。
実はこれは千尋が死にかけていたからであり、本当に透けてしまったら死んだことになっていたと言われています。
ちなみに千尋の父親が運転する車のモデルは宮崎駿監督の愛車・「アウディA4 2.4クワトロ」で、当時仕事用に使っている車だったようですが、現在は別の車に乗っているようです。
『千と千尋の神隠し』都市伝説&裏話⑥ 電車の真実が怖い
海原電鉄に乗っている人たちが黒い理由
物語中盤に登場する海の上を走る電車・海原電鉄ですが、中に乗っていた半透明の黒い人たちは、実は自殺をする人たちでした。
この海原電鉄は自殺をする人があの世に行くために乗るものであり、黒いのは生きる希望も未来も失っているからだということです。
そして、途中に下車できる駅があるのは、自殺を思いとどまった人が降りることができるようにあり、海原電鉄が一方通行なのはあの世が終点だからのようです。
ちなみに、海原電鉄のモデルとなったのは相模鉄道と小田急電鉄だと言われています。
『千と千尋の神隠し』都市伝説&裏話⑦ 「火垂るの墓」の節子が登場する
海原電鉄の沼原駅のホームに節子がいた
自殺をする人をあの世に運ぶ海原電鉄ですが、千尋が銭婆の家に向かう途中にある沼原駅のホームに一人の女の子が佇んでいるのが見えます。
海原電鉄の乗客と同様にこの女の子も黒く半透明で顔の判別もできませんが、おかっぱ頭をしているこの女の子は実は『火垂るの墓』で登場した節子でした。
『火垂るの墓』で、節子は栄養失調により兄の清太よりも早く亡くなっており、終戦を迎えた後に清太も駅舎で餓死しています。
節子は兄より早くあの世に向かう海原電鉄が停る沼原駅に来たため、ホームで清太が来るのを待ち続けていたのだと言われています。
『火垂るの墓』は救われない物語ですがこのエピソードを知ると、清太と節子はあの世でも蛍を採って仲良く暮らすのだろうと少しだけ救われた気分にさせてくれます。
『千と千尋の神隠し』都市伝説&裏話⑧ 湯婆婆と銭婆の初期設定
湯婆婆はコンプレックスの塊だった?
『千と千尋の神隠し』の制作初期段階での湯婆婆と銭婆の初期設定のイメージボードを見ると、実際の映画と設定が違うことが分かります。
銭婆のラフ画には「魔力も金力も強い」と書いてあり、湯婆婆のラフ画には「コンプレックス」と書かれてあります。
湯婆婆の表情もどこか銭婆に対して引け目を感じているような顔つきをしています。
『千と千尋の神隠し』の制作初期段階では湯婆婆は全てが優秀な銭婆に対して強いコンプレックスを抱えているキャラクターとして描かれていますが、その後設定が変わり双子のように同じ容姿で同程度の能力のキャラクターになりました。
ちなみに、湯婆婆と銭婆の見分け方としては、湯婆婆が胸元にイボがひとつあるのに対して、銭婆は4つあります。
ちなみに坊の当初の設定画はこちら
初期設定の坊はかなり性悪な顔立ちをしていますが、このままの設定だったらかなり嫌われキャラクターになっていたかもしれません。
『千と千尋の神隠し』都市伝説&裏話⑨ 神様の世界は四季がごちゃ混ぜ
神様の世界は四季が入り乱れている
あの世である神様の世界では四季の区別はなく、いつでも美しい四季折々の花々が咲き乱れています。
千尋が歩いている花畑に咲いている花を見ても「アジサイ」「ツツジ」「ウメ」「ツバキ」と、バラバラの季節に咲く花々であることが分かります。
『千と千尋の神隠し』都市伝説&裏話⑩ 隠れジブリがある
ジブリファンがニヤリとするシーンがある
ディズニー映画でもそれぞれの作品が相互に干渉しあっていて「隠れ」要素がありますが、スタジオジブリの映画にも実はよく見ると「隠れジブリ」要素が入れられています。
上図のように坊の部屋にあるクッションには『魔女の宅急便』に登場する猫のジジが描かれています。
『となりのトトロ』の構図と非常に似ているシーン
『となりのトトロ』のサツキとメイがトトロとバス停で待つシーンと、『千と千尋の神隠し』の千尋が湯屋に訪れた客の横にいるシーンが非常に構図が似ています。
脇から覗き込むサツキと千尋
トトロの脇から覗き込むサツキと、客の脇から覗き込む千尋の構図も似ています。
トトロと客の目線も同じ
ここまで構図が一緒だと、確実に宮崎駿監督は意識していることが分かります。
『千と千尋の神隠し』都市伝説&裏話⑪ リンの正体
リンは14歳という設定だった
『千と千尋の神隠し』の公式資料を見ると「リンはイタチかテンが人間に化けたキャラクターにしようという案があった」という趣旨が書かれてあります。
そして、初期設定のラフ画にはリンが若いイメージで描かれており年齢は14歳という設定だったそうで、「リン(白狐)」とメモ書きされています。
ちなみに白狐とはいわゆる世間で言われるところの”お稲荷さま”の狐のことですが、実は稲荷神の神使であり”お稲荷さま”そのものではありません。
『千と千尋の神隠し』都市伝説&裏話⑫ ドラゴンボール風だった?
宮崎駿監督はドラゴンボール風と支持していた
『千と千尋の神隠し』の劇中で湯婆婆がカオナシに対してドラゴンボールのエネルギー弾のような波動を打つシーンがあります。
宮崎駿監督の絵コンテを見ると「ドラゴンボール風」と書かれており、やはりエネルギー弾であったことが分かります。
『千と千尋の神隠し』都市伝説&裏話⑬ ススワタリは”まっくろくろすけ”
『となりのトトロ』にもススワタリは登場していた
『となりのトトロ』でサツキとメイが”まっくろくろすけ出ておいでー!出ないと目玉をほじくるぞー!”と歌っていますが、この”まっくろくろすけ”と『千と千尋の神隠し』に登場するススワタリは全く同じ生き物です。
『となりのトトロ』に登場するサツキの同級生のかんたのおばあちゃんが「こりゃあススワタリじゃ」と言うシーンもあります。
しかし、『となりのトトロ』と『千と千尋の神隠し』のススワタリは成り立ちに違いがあり、前者は釜戸やお風呂を炊いた時に出るススから生まれるのに対して、後者は釜爺の煤のススに魔法をかけて働けるようにしています。
『千と千尋の神隠し』都市伝説&裏話⑭ 契約を破った千尋が帰れた理由
契約書に間違った名前を書いたため千尋は助かった
『千と千尋の神隠し』の主人公・千尋の本名は「荻野千尋(おぎの ちひろ)」ですが、湯婆婆との契約書に名前を書いた際に、「荻野」の”火”が”犬”になって間違っていたため千尋は湯屋から出ることができました。
ハクも「湯婆婆は相手の名を奪って支配するんだ」と千尋に教えてくれ、普段は”千”でいるように忠告しますが、実はこのシーンは契約の後だったりします。
千尋が漢字を間違えたから良かったものの、ハクももう少し早く言って欲しかったですね。
『千と千尋の神隠し』都市伝説&裏話⑮ 物語は4日ではなかった?
千尋は湯屋に1ヶ月ほどいた?
『千と千尋の神隠し』の物語は4日程度の滞在のように見えますが、月の満ち欠けを見るとおよそ1ヶ月ほどいたことになります。
『千と千尋の神隠し』を通して時間の経過を見ると、千尋の滞在期間は4日に収まることが分かります。
2日目:千尋がくされ神の世話をして湯婆婆に褒められる
3日目:カオナシが油屋で暴走し、千尋は銭婆の元に向かう
4日目:豚舎に両親がいないことを知り、ハクの助けで現世へ戻る
物語は上記の4日間で進行していたように見えますが、月の満ち欠けを見ると千尋はもっと滞在していたことになります。
登場するシーンごとに月の満ち欠けが違う
『千と千尋の神隠し』では月が登場するシーンがいくつかありますが、どれも満ち欠けが変わっており、1ヶ月は千尋は油屋に滞在していたことになります。
シーンごとに月は「三日月⇒満月⇒上弦の月」と変わっており、あの世の時間では1ヶ月は経過していたことになりますが、そもそも四季の区別もない世界なので現世通りに満ち欠けが進行しない可能性もあります。
『千と千尋の神隠し』都市伝説&裏話⑯ 最後に千尋が振り返っていたら…
ハクが最後に「さぁ行きな。振り向かないで」と言うのには意味があった
『千と千尋の神隠し』の物語終盤で、千尋はハクと別れるシーンがありますが、ハクは「振り向かないで」と念押ししたにも関わらず千尋はつい振り返ろうとしてしまいます。
千尋が振り返ろうとした瞬間に銭婆からもらった髪留めが光ったため千尋は間一髪で踏みとどまって現世に戻ることができました。
しかし、もし千尋がハクに振り返っていたら、トンネル付近にあった不思議なダルマになってしまっていたと言われています。
もしどこかで不思議なダルマの像を見たら、それはあの世に振り返ってしまった人間の成れの果てなのかもしれませんね。
『千と千尋の神隠し』都市伝説&裏話⑰ ハクは最後に死んでいた
物語のその後、ハクは八つ裂きにされて死んだ
『千と千尋の神隠し』が劇場公開された当時、スタジオジブリの公式ホームページ上でハクの最期について説明が書かれており、「すべてのことはルールに従わなければならない」というあの世の掟により、湯婆婆の言葉通りハクは八つ裂きにされて殺される運命を受け入れていると示唆していました。
物語終盤の千尋とハクが別れる場面で、繋いだ手を写したシーンでハクの手だけが名残惜しそうに残っています。
ハクはこれから訪れる自分の死を受け入れていた
この千尋とハクのつないだ手が離れるシーンは、宮崎駿監督によれば”2人の永遠の別れ”を表現していたそうです。
千尋が現世に戻ってきてあの世へつながっていたトンネルを振り返るシーンがありますが、この時千尋の髪留めが再び光ったのはハクの涙が光った演出であり、この時ハクは八つ裂きにされて殺されていました。
別れる前にハクが千尋と再び会う約束をしたのは、殺された後に魂だけとなり現世に降りることを意味していたそうです。
『千と千尋の神隠し』都市伝説&裏話⑱ 「耳をすませば」に原作が登場
天沢聖司が読んでいた本は『千と千尋の神隠し』の原作
『耳をすませば』の主人公・月島雫の恋人となる天沢聖司が市立図書館で本を読んでいるシーンがありますが、天沢聖司が読んでいた本は「霧のむこうのふしぎな町」という本で『千と千尋の神隠し』の原案となった本でした。
また、『千と千尋の神隠し』に関係は無いですが、月島雫が作家になって書いた処女作が『猫の恩返し』でした。
『千と千尋の神隠し』都市伝説&裏話⑲ 当初は勧善懲悪ものだった?
当初、千尋は湯婆婆と銭婆を倒すヒーローだった?
スタジオジブリのプロデューサー・鈴木敏夫さんによれば、インタビューで初期の構想では中盤以降が全く変更されることになったと語っています。
制作初期の段階では、千尋が湯婆婆を倒して物語が終わるという構想に付け加え、さらに銭婆を最終ボスとして登場させてそれも倒すという構想だったそうです。
まるで『ドラゴンクエスト3』のバラモスとゾーマのような設定ですが、話し合いの結果としてカオナシを物語のキーキャラクターに据えて、銭婆は千尋の味方として描くことにしました。
これにより『千と千尋の神隠し』のキャラクターの関係性が非常に奥深いものとなりました。
『千と千尋の神隠し』都市伝説&裏話⑳ 『もののけ姫』の続編だった?
ある意味『千と千尋の神隠し』は『もののけ姫』のスピンアウト作品?
『千と千尋の神隠し』の公式設定資料集によれば、千尋は実は『もののけ姫』のヒロイン・サンの子孫だと書かれてあります。そうなると、スタジオジブリの唯一のスピンアウト作品だと言われた『猫の恩返し』以外に、『千と千尋の神隠し』もある意味スピンアウト作品だとも言えるでしょう。
千尋がサンの子孫だという話を紐解くと、『もののけ姫』の主人公・アシタカの説明からする必要があります。
ハクは千尋と出会う前の本名は「ニギハヤミ・コハクヌシ」であり、この名前は古事記や日本書紀にも登場する神・ニギハヤヒからきています。
そして、アシタカは『もののけ姫』の物語冒頭で村人から「アシタカヒコ」と呼ばれていますが、この名前の由来は日本神話に登場する「大和朝廷と争った東の狩猟民族の長だった長髄彦(ナガスネビコ)」であると言われています。
そして古事記や日本書紀によると、このナガスネビコの祖先だとされているのが神・ニギハヤヒであり、このことからナガスネビコから着想を得たアシタカの先祖であるとも読み解くことができます。
『もののけ姫』でアシタカとサンが子供をもうけたという話は当然ありませんが、もし子供をもうけていたのだとしたら、千尋はアシタカとサンの子孫ということになり、千尋とハクは非常に遠い血縁関係にあるということになります。
それならば公式設定資料集にもそう記述するはずなので、アシタカとサンは『もののけ姫』の物語のその後は何らかの理由で再会を果たすことはできなかったということになります。
『千と千尋の神隠し』でサンの子孫である千尋と、アシタカの祖先であるハクが出会ったことは、世代を超越してアシタカとサンが再会したとも取ることができるでしょう。
千と千尋の神隠しの中の
— 都市伝説、雑学王 (@toshidensetuiit) 2018年1月27日
銭婆に会うためにのる海原電車
人生そのものを表しているらしい。
行きだけで戻ってこれない。
途中何もない駅で沢山の荷物を
抱えて降りていく人は
何かを抱えて人生を降りた人達。
pic.twitter.com/SNxmwmV1Js
銭婆の家でカオナシが美味しそうにケーキを食べたり編み物を手伝っていた印象が強くてセリフをあまり覚えてないので千と千尋の神隠しを改めて見たい
— ハセル (@haseru___) 2018年1月26日
『千と千尋の神隠し』について総まとめすると・・・
2001年に公開されたスタジオジブリの宮崎駿監督によるアニメ映画『千と千尋の神隠し』について総まとめしてきました。
『千と千尋の神隠し』の都市伝説、裏話からこの物語は非常に深く、複雑な設定の上に成り立っていることが分かりました。
世界で大絶賛され、「アカデミー長編アニメ映画賞」を受賞したことも頷けますが、こうした都市伝説、裏話を知った後で改めて『千と千尋の神隠し』を観ると、さらに多くのことを発見するかもしれませんね。