紅の豚

紅の豚の都市伝説と考察!最後やその後の結末と名言なども徹底解説

1992年7月18日に公開されたスタジオジブリのアニメ作品『紅の豚』は世界大恐慌時代のイタリア、アドリア海を舞台にした空挺乗りの賞金稼ぎポルコ・ロッソの恋物語です。

 

『紅の豚』のあらすじと名言・結末や最後・都市伝説や謎など徹底解説していきます。

「紅の豚」あらすじ・ネタバレ

 

大人が楽しむための作品『紅の豚』

宮崎駿さんが監督を務めたアニメ映画『紅の豚』は、1929年に始まった世界大恐慌時代のイタリア・アドリア海を舞台にしており、第一次世界大戦を経験した飛行艇を駆る空中海賊と、それらを相手に賞金稼ぎとして活躍する元イタリア空軍操縦士の豚・ポルコ・ロッソの物語です。

 

『紅の豚』は劇場映画として企画されたのではなく、日本航空の機内上映用映画として制作がスタートしました。

 

しかし、『紅の豚』は当初予定していた尺よりも長くなったことから、日本航空の国際線機内での公開後に劇場での公開がされました。

 

詳しくは後述しますが、『紅の豚』の未公開シーンの絵コンテの中には、日本航空機と思われるジャンボジェットと併走するポルコ・ロッソの姿を描いています。

 

『紅の豚』の原案は月刊誌『モデルグラフィックス』の中で宮崎駿さんが連載していた「飛行艇時代」で、宮崎駿さんの実家が航空機関連の部品製造をしていたことから幼少期から飛行機に馴染みがあり、空を飛ぶことが幼少時代からの夢だったことを作品化したものでした。

 

 

メカ・ロマン好きの中年男性のための作品

宮崎駿さんは『紅の豚』を「疲れて脳細胞が豆腐になった中年男のためのマンガ映画」と紹介していました。

 

宮崎駿さんはアニメ制作の信念として「アニメーション映画は子供のためのもの」だといつも語っていましたが、『紅の豚』と『風立ちぬ』だけは大人向けの作品として制作されました。

 

この2作は宮崎駿さんが大好きな飛行機を題材とした作品で、最も”宮崎駿らしい”と言っても過言ではない作品でしょう。

 

しかし、「子供向け作品」を信念としてきた宮崎駿さんにとっては、『紅の豚』については公開後もずっと是否について悩むことになり、『風立ちぬ』の企画をプロデューサーの鈴木敏夫さんに猛プッシュされた時には宮崎駿さんは激怒して大反対していたそうです。

 

そんな特殊な作品だとも言える『紅の豚』のあらすじや都市伝説について総まとめしましたのでご紹介していきます。

 

あらすじはネタバレとなりますので自己責任にてお読みください。

 

 

『紅の豚』ネタバレあらすじ – ポルコ・ロッソが依頼を受ける

 

ポルコ・ロッソが空賊狩りを請け負う

『紅の豚』は飛行艇時代に富と名声と女を賭けて戦っていた”紅の豚”と呼ばれたポルコ・ロッソのロマン溢れる物語です。

 

真紅に染まった飛行艇を操る”紅の豚”・ポルコ・ロッソは、第一次世界大戦時にはイタリア空軍のエースとして活躍した英雄的な飛行艇乗りでした。

 

現在は退役してアドリア海に臨む小島でひっそりと暮らしており、空中海賊(空賊)を相手に賞金稼ぎとして生きていました。

 

空中海賊の中でも特にポルコ・ロッソを目の敵にしているのはマンマユート団と呼ばれる空賊連合で、度々ポルコ・ロッソに邪魔をされて痛い目を見てきました。

 

この日もポルコ・ロッソに空賊退治の依頼の電話が舞い込んできました。

 

「ポルコ・ロッソ!すぐ飛んでくれ。マンマユート団が出たんだ」

 

「マンマユート?安い仕事はやらねぇぜ」

 

マンマユートと聞いてテンションの上がらないポルコ・ロッソでしたが、依頼主が言うにはヴェニスから出航した船が狙われており、鉱山会社の社員に支払われる給料が積まれているということでした。

 

さらに詳しく内容を追求するポルコ・ロッソに依頼主は口ごもりながら、バカンスツアーをしている女学校の生徒たちがたくさん乗っていることを伝えました。

 

 

面倒くさそうな依頼にポルコ・ロッソは「そいつはちと高くつくぜ」と念押しすると愛機・サボイアS.21に乗り込んで現地へ向かいます。

 

 

『紅の豚』ネタバレあらすじ – マンマユート団から奪われた金と人質を奪還

空賊・マンマユート団から金と人質を奪還したポルコ・ロッソ

ポルコ・ロッソは難なくマンマユート団から奪われた金と女学校生徒たちを奪還しましたが、その方法はポルコ・ロッソらしいものでした。

 

女学生が大勢乗った船を脅しながら停船を呼びかけて、金と女学生を誘拐していくマンマユート団。

 

しかし、女学生たちに緊迫感の欠片もなく、「さらわれるー!海賊だー!」「海賊じゃないよ、空賊って言うんだよ」と宮崎駿監督作品らしい楽天的な調子で誘拐劇を演出しています。

 

現地に到着したポルコ・ロッソですが、愛機・サボイアS.21は年季がある機体のためガタが来ており、煙を噴いてオーバーホールをしかけていました。

 

マンマユート団はというと人質に取るなら少数で良いものの15人全員を連れて行き、疑問の声を上げる部下に「仲間はずれを作っちゃかわいそうだ」とボスの不思議な人情で和やかな様子でした。

 

ポルコ・ロッソはマンマユート団の手口を知り尽くしているため針路を予想して先回りしていました。

 

突然現れたポルコ・ロッソに女学生たちは「キャー!豚よ!」「ブタさんよ!ブタさーん!」「かわいい~!」と黄色い声援を送っています。

 

マンマユート団はポルコ・ロッソを撃ち落とそうと機関銃を撃ちまくりますが見事に交わされて一発も当たらず、ポルコ・ロッソからの通信を受けます。

 

「“オ前ノ負ケダ、話ヲ聞ケ”」

 

この間も女学生たちは「沈没するー!沈没するー!」ととても楽しそうに騒いでいます。

 

ポルコ・ロッソは続けて、「“金貨ハ半分クレテヤル、残リト人質ヲオイテウセロ。サモナイト皆殺シにシテヤルゼ”」と通信を出しました。

 

マンマユート団はそれでもひるまず「来やがれ豚野郎!最後の勝負だ!」と息巻いていましたが、機関銃が壊れたことであっさりと「降参だぁ、降参!」と降伏を認めました。

 

結局、ポルコ・ロッソはオンボロの愛機でもあっさりとマンマユート団から金の奪還と女学生たちを救出することに成功しました。

 

「金を半分くれてやる」とポルコ・ロッソが言ったのは、”殺しをしない”という信念からマンマユート団に落としどころをつけさせるためでしょう。

 

 

『紅の豚』ネタバレあらすじ – ポルコ・ロッソ、カーチスに出会う

ポルコ・ロッソ、ライバルのカーチスに出会う

ポルコ・ロッソはマンマユート団の仕事を終えた夜、亡き戦友の妻で飛行艇たちのマドンナ・ジーナが経営する「ホテル・アドリアーノ」に寄って、お酒を飲んでいると、アメリカの飛行艇乗り・カーチスと出会います。

 

「ホテル・アドリアーノ」でしっぽりと飲んでいたポルコ・ロッソでしたが、そこには空軍連合が雇った米国製飛行艇を駆るアメリカ人のカーチスがいました。

 

ポルコ・ロッソは記者からマンマユート団からの奪還作戦を成功させたことについて取材を受けており、「今年の賞金総額の予想なんですが、去年を軽く越えると思われますが…」と質問を投げられていました。

 

カーチスが空軍連合の用心棒に加わったことにポルコ・ロッソは「気をつけろよ若えの。奴らは ケチで貧乏だ。フロにも入らねえからくせえしな」と挑発をすると、空軍連合は「何を!クサレ豚、やるか!」と火がついてしまいました。

 

その騒動を聞いたジーナは呆れた様子でカーチスに「来てくれて嬉しいわ。でも戦争ごっこはダメよ」と釘を刺しました。

 

ジーナに惚れているカーチスは「この店の50キロ以内じゃ仕事はしねぇさ。豚とだって仲良くやってるぞ、なぁ!」とポルコ・ロッソに相槌を打つと、「えっ、ああ」とポルコ・ロッソもジーナの手前穏やかに収めました。

 

 

ジーナは3度結婚して3度夫を失っていた未亡人

ジーナはポルコ・ロッソにカーチスからプロポーズを受けたことを話し、過去の夫たちについて触れました。

 

ジーナはポルコ・ロッソに「ポルコ、お話聞かせて」とお願いしましたが、「今度、二人きりの時にな」とポルコ・ロッソははぐらかしました。

 

ジーナはポルコ・ロッソが来る前にカーチスから唐突にプロポーズをされていたことを明かし、断った理由として過去に3回飛行艇乗りと結婚したが3人とも戦争で戦死したことを明かしました。

 

最後の旦那はアジアで死んだことをこの日に連絡を受けており、ベンガルで夫の機体の残骸が見つかったことをジーナは寂しげに話しましたが、「もう涙も枯れちゃった」と諦めきった様子でした。

 

そしてジーナはポルコ・ロッソの本名で「マルコ、ありがとう。いつもそばにいてくれて」と感謝の気持ちを伝え、「もう、あなただけになっちゃったわね」とかつての仲間たちは全員死んでしまい、心の拠り所はポルコ・ロッソただひとりになってしまったことに寂しげでした。

 

ポルコ・ロッソはお店に飾られた写真を指して「この店でひとつだけ気に食わねぇのは、あの写真を外さねぇことだ」と自分が人間だった頃の写真にうんざりした様子で語りました。

 

 

ジーナは「どうやったらあなたにかけられた魔法が解けるのかしらね」と言いましたが、ポルコ・ロッソはカーチスの腕前が高いことを察知して気にしている様子でした。

 

 

 

『紅の豚』ネタバレあらすじ – ポルコ・ロッソ、カーチスに撃墜される

カーチスに撃墜されたポルコ・ロッソ

ポルコ・ロッソは愛機・サボイアS.21のエンジンが不調のため修理のためにミラノに飛びましたが、途中でカーチスに遭遇して撃墜されてしまいます。

 

煙を噴くエンジンを不安に思いながらも、「ミラノまでもってくれよ、エンジンちゃん」とポルコ・ロッソは飛行していました。

 

天候も悪くなってきたことから安全である雲の中を飛ぶこともできなくなり、ポルコ・ロッソは雲の下を飛んでいました。

 

 

「いい子だ、ガンバレ、ホレホレ」

 

「そうそう、いい子だよエンジンちゃん」

 

と愛機・サボイアS.21をおだてながら飛んでいたポルコ・ロッソでしたが、不意にカーチスの声が空に響き渡ります。

 

「豚!!一対一だ、勝負しろ!」

 

とても戦いなどできる状態ではないため、ポルコ・ロッソは「今それどころじゃねぇ」とカーチスを回避する行動を取りました。

 

「逃げるな!」と追ってきたカーチスに「また会おうぜ、アメリカ野郎!」と言った瞬間にいよいよポルコ・ロッソの愛機は故障してしまいます。

 

ポルコ・ロッソは墜落していき、カーチスは自分が撃った弾が当たったと信じ込んで有頂天になって戻っていきました。

 

ポルコ・ロッソは海面に不時着し、2日間無人島で過ごした後にジーナに電話で連絡を入れたのでした。

 

 

ポルコ・ロッソはミラノに修理に行くため、カーチスにまた会おうと伝えるようにジーナにお願いすると、ジーナは危険なことを繰り返すポルコ・ロッソからの伝言に対して「いくら心配してもあんた達飛行艇乗りは女を桟橋の金具くらいにしか考えてないんでしょう!」と憤慨してしまいます。

 

ジーナは「今にローストポークになっちゃうから…私イヤよ そんなお葬式」と寂し気に言うと、ポルコ・ロッソが「飛ばねえ豚はただの豚だ」と返してきたため「バカ!!」と怒鳴って電話を切ってしまいました。

 

 

『紅の豚』ネタバレあらすじ – ポルコ・ロッソ、フィオと出会う

ポルコの愛艇の修理はフィオが請け負う

ミラノにある飛行艇工房のピッコロ社に到着したポルコ・ロッソは、ピッコロの孫で17歳の少女フィオが愛艇の修理を請け負うことになります。

 

 

ピッコロはポルコ・ロッソを待っていたようで、「今夜あたり着くと思って待っとったよ」と歓迎してくれました。

 

あまりにボロボロになったポルコ・ロッソの愛艇を見てピッコロは「新造した方が早くないかい?」と提案しましたが、ポルコ・ロッソは「コイツは残してぇんだ」と断りました。

 

すると工房に愛艇を搬入していた少女を見つけたポルコ・ロッソは「誰だ、あのカワイコちゃんは?」とピッコロに聞くと、「アメリカに行っとった孫だよ」と教えてくれました。

 

フィオは搬入を終えると愛艇をしげしてと見て「わぁ、綺麗な艇。おじいちゃん綺麗ね、良いラインしてる」と感激しているようでした。

 

ピッコロの3人の息子たちがちょうど出稼ぎで不在にしていたため、フィオが飛行艇の設計をすることになりましたが、ポルコ・ロッソは若干17歳の少女に任せるわけにはいかずピッコロに「じいさん、長い付き合いだがな、今度の仕事は他を当たらせてもらうぜ」とフィオに任せることを断りました。

 

それを聞いたフィオは慌てて「待って!私が女だから不安なの?それとも若すぎるから?」とポルコ・ロッソに聞きました。

 

ポルコ・ロッソは「両方だよ、お嬢さん」と答えるとフィオは「そうね、当然だわ」と納得した様子でしたが、「いいパイロットの第一条件を教えて」と質問をしてきました。

 

ポルコ・ロッソが「ん?」と首をかしげるため、フィオは「経験?」と聞きましたがポルコ・ロッソは「いや、インスピレーションだな」と答えました。

 

それを聞いたフィオは顔を輝かせて「良かった、経験だって言われなくて」と言うと、「おじいちゃんに聞いたんだけど、あなたの単独飛行はとても早かったんですってね。その時からとても上手だったって…」とポルコ・ロッソに聞きました。

 

ポルコ・ロッソは「1910年だ、17の時だったな」と答えたため、フィオは喜んで「17歳!今の私と同じ!女をやめるわけにはいかないけどやらせてくれない?」とポルコ・ロッソにお願いしました。

 

うまくいなかったらお金は取らないことを条件に出したフィオに、ピッコロも孫娘の腕の確かさを保証したため、フィオの熱意に根負けしたポルコ・ロッソは任せることにしました。

 

 

『紅の豚』ネタバレあらすじ – フィオに全て任せたポルコ・ロッソ

徹夜で愛艇のプランを考えていたフィオ

ポルコ・ロッソが寝ている間ずっとフィオは愛艇の設計に関するラフプランを練っていました。

 

朝にポルコ・ロッソが起きてくると「おはよう、眠れた?」とフィオがすでに作業をしていました。

 

ポルコ・ロッソが「あんた、徹夜したのか?」と聞くと、フィオは「ラフプランだけど、どうかしら?」と愛艇の設計図を見せてくれました。

 

フィオはポルコ・ロッソの愛艇を設計した人の知識にとても興奮した様子で語ると、ポルコ・ロッソは愛艇は試作機であり危なくて飛ばせられないとして倉庫で埃をかぶっていた飛行艇だと明かしました。

 

フィオは納得したように「やっぱり、こんな過激なセッティングでよく水から離れられるわね」とポルコ・ロッソの操縦の腕に感心しているようでした。

 

ポルコ・ロッソは翼の角度を0.5度増やす注文だけしてフィオに任せると、フィオは「ありがとう、一生懸命やるわ!」と意気込みました。

 

しかし、ポルコ・ロッソは一点だけ条件を付け加え「徹夜はするな。睡眠不足はいい仕事の敵だ。それに美容にもよくねぇ」とフィオへの気遣いを含めて注意しました。

 

 

ローンを支払い終わったばかりのポルコ・ロッソでしたが、フィオが張り切って愛艇を設計したためパーツ代などで予算はかなりオーバーしていました。

 

 

『紅の豚』ネタバレあらすじ – ポルコ・ロッソ、空軍時代の旧友と会う

 

空軍に籍を置くフェラーリンと会ったポルコ・ロッソ

フィオに愛艇の修理を任せている間、ポルコ・ロッソは旧友でイタリア空軍の少佐・フェラーリンと会いました。

 

ポルコ・ロッソは久しぶりに会った旧友・フェラーリンに「少佐か、出世したなフェラーリン」と称えました。

 

フェラーリンがポルコ・ロッソに会いに来た理由は、祖国に対して非協力的な態度をとり続けるポルコ・ロッソが警察や空軍など国家権力に狙われていることを伝えに来たためでした。

 

 

フェラーリンは「お前には反国家非協力罪、密出入国、退廃思想・ハレンチで怠惰な豚でいる罪、ワイセツ物陳列で逮捕状が出される」と、国がめちゃくちゃな罪状で狙っていることを教えました。

 

から笑いするポルコ・ロッソにフェラーリンは「バカヤロウ、笑ってる時か。お前の戦闘艇も没収すると言ってるぞ」と忠告しました。

 

そして、フェラーリンは「なぁ、マルコ。空軍に戻れよ」とポルコ・ロッソの空軍復帰を勧めてきました。

 

 

しかし、ポルコ・ロッソは「ファシストになるより豚の方がマシさ」と、心底戦争をする国に対して嫌気が差しているようでした。

 

フェラーリンは「冒険飛行家の時代は終わったんだ。国家とか民族とか、くだらないスポンサーをしょって飛ぶしかないんだよ」とポルコ・ロッソを諭しましたが、考えを変える奴ではないことを知っているフェラーリンは「気をつけろ、奴らは豚を裁判にかける気はないぞ」と命の危険が迫っていることを注意して去りました。

 

フィオの元に戻ってきたポルコ・ロッソは追っ手が迫っているため工房の裏の川を滑走路にして飛び立つことに決めました。

 

 

テスト飛行を止めて本番飛行に臨んだポルコ・ロッソ

フィオはテスト飛行の準備をしていましたが、追っ手から逃れるために一刻の猶予もないポルコ・ロッソは本番飛行に踏み切ります。

 

すぐに出立することを伝えたポルコ・ロッソに、フィオは「バカな事言わないで。テストもしないで引き渡せやしないわ」と反対しました。

 

 

フィオは離陸のための湖まで愛艇を運ぶだけでも1日はかかるとポルコ・ロッソを説得しようとしましたが、ポルコ・ロッソは「そこの窓から後ろを見てみな、そっとだ」と教えました。

 

フィオが窓から覗いてみると、そこにはファシストの秘密警察が迫っており、ポルコ・ロッソはフィオをつけてきたと教えます。

 

そうこうしている内に物々しい音が聞こえてきたため、ポルコ・ロッソはすぐに出立する準備を始めました。

 

するとフィオも乗り込む準備をはじめたため、ポルコ・ロッソが「フィオ 何のまねだ?」と聞くと「私も行くの、乗るところ作るから5本待って」と言うため「冗談じゃねえ、何を言ってるのかわかってるのか!」と怒鳴りました。

 

 

フィオは初めての仕事のため最後までやり遂げたいことや、飛んだ後に調整をする必要があることを理由に語りましたが、ポルコ・ロッソはこれから行うテイクオフは川から無事に飛び立てるかも分からない博打だと伝えます。

 

しかし、フィオの頑固なまでの意思の強さと、ピッコロにまで「連れてけよ、カーチスに勝ってもらわないと払いが残ってるからなぁ」と擁護するためポルコ・ロッソは観念してフィオを乗せて行くことにしました。

 

 

ドブ川から無事に離陸したポルコ・ロッソ

川を滑走路に愛艇を走らせ始めたポルコ・ロッソは、さらに精度が上がった機体に手こずりながらも正面から迫る船をギリギリで交わして離陸に成功しました。

 

上空に無事舞い上がったところで、ポルコ・ロッソはイタリア空軍機を確認し、それがフェラーリンからだとわかると通信を受けました。

 

フェラーリンは行先に空軍が網を張っていることを伝え、「低空でアドリア海へ抜けろ」と抜け道を教えてくれました。

 

ポルコ・ロッソは「ありがとうよ、戦友」とつぶやきましたが、フェラーリンはフィオを見て「豚に真珠」と通信を送ると去っていきました。

 

その頃、「ホテル・アドリアーノ」ではカーチスがジーナを口説いており、一緒にハリウッドに行こうと誘ったり、ゆくゆくは大統領になると夢を語っていましたが、ジーナはポルコ・ロッソを待っているためカーチスの求婚を断りました。

 

 

『紅の豚』ネタバレあらすじ – ポルコ・ロッソ、カーチスと対決を約束

フィオの活躍で難を逃れたポルコ・ロッソ

ポルコ・ロッソとフィオはフェラーリンの助けでイタリア空軍を回避してアドリア海戻ってきましたが、そこにはマンマユート団が待ち構えていました。

 

マンマユート団は「待っていたぞ豚野郎!」とポルコ・ロッソの帰還を歓迎すると、ポルコ・ロッソを捕まえて直ったばかりの愛艇を壊そうとしました。

 

それを阻止するようにフィオは空賊たちに向かって一喝しました。

 

 

「アメリカのカーチスに助けられてよく平気ね。お母さんが聞いたらきっと泣くわ!何よ、おフロにも入らないで。」

 

フィオは敵国だったアメリカのカーチスを用心棒に雇った空賊連合の誇りに訴えかけるように一喝すると、「ポルコはアドリア海の飛行艇乗りの名誉と誇りのために、カーチスと一対一の対決をしにここへ戻って来たのよ。」と場を収めるためにカーチスとの一騎打ちに持ち込みます。

 

するとそこにカーチスがちょうど現れ、「話は聞いた。俺は逃げも隠れもしないぜ」とポルコ・ロッソからの挑戦を受けて立ちました。

 

しかし、カーチスが勝てばフィオと結婚することを条件に突きつけており、ポルコ・ロッソが勝てば飛空艇の支払いは全てカーチスが支払うことになりました。

 

 

 

『紅の豚』ネタバレあらすじ – ポルコ・ロッソ、フィオに昔話をする

 

カーチスとの決闘の前夜にフィオに昔話をしたポルコ・ロッソ

ポルコ・ロッソは、カーチスとの一騎打ちの前夜にフィオからお願いされて、第一次世界大戦での体験を話して聞かせました。

 

フィオはポルコ・ロッソに「ポルコはどうして豚になっちゃったの?」と直球で聞きましたが、ポルコ・ロッソは「さぁてね」とはぐらかすだけでした。

 

するとフィオが「ポルコ、私がキスしてみようか?」と提案するとポルコ・ロッソは素っ頓狂な声を上げて驚き、フィオは「ほら、蛙になった王子様がお姫様のキスで人間に戻るって話あるじゃない」と続けました。

 

しかし、ポルコ・ロッソは照れながら「バカヤロウ、そういうものは一番大事な時にとっとけ!」と突っぱねました。

 

フィオは「私じゃダメかなぁ…」とポルコ・ロッソへの愛の告白と取れる発言をしましたが、ポルコ・ロッソは「へへ、オメェはいい子だ」と乙女心を傷つけないように慰めました。

 

そしてポルコ・ロッソは「フィオを見てるとな、人間も捨てたもんじゃねえって、そう思えてくるぜ」と本当に心を許した様子でした。

 

 

第一次世界大戦中の戦友について語り出したポルコ・ロッソ

ポルコ・ロッソは自身にとっては辛い思い出である第一次世界大戦の戦友との話を始めました。

 

ポルコ・ロッソは第一次世界大戦も最後の夏に、戦友のベルリーニと一緒にパトロールのためにイストリアを目指してアドリア海を飛んでいました。

 

ベルリーニはその2日前にはジーナと結婚したばかりで、ポルコ・ロッソが立会人となって結婚式を挙げていました。

 

戦線の都合で戦場に戻ったふたりは味方の艇が次々と撃ち落とされるような過酷な状況に追い込まれ、ポルコ・ロッソは手練の3機に追われているうちに周りの味方は全て撃ち落とされていました。

 

疲労困憊で手足も痺れながらも死に物狂いで逃げ続けたポルコ・ロッソはふと目の前が真っ白になり、気づいた時にはそこは雲の平原に入っていました。

 

ようやく敵機を撒いて静かに飛行していたポルコ・ロッソでしたが、高いところに一筋不思議な雲が流れていることに気づき、それがベルリーニだと気づくとポルコ・ロッソは「行くな!」と必死に叫びました。

 

結局、ポルコ・ロッソは気づいてみれば海面すれすれを飛行しており、ベルリーニは敵機に撃ち落とされて戦死していました。

 

その話を聞いたフィオが「神様がまだ来るなって言ったのね…」とポルコ・ロッソを慰めるように言うと、「俺には、”お前はずっとそうして一人で飛んでいろ って言われた気がしたがね」と返すと、フィオは「そんなはずはないわ!!ポルコは いい人だもの」と否定しました。

 

ポルコ・ロッソは「いい奴は死んだ奴らさ。それに、あそこは地獄かもしれねえ」と話を終わらせるとフィオに寝るように言い、カーチスとの決戦の日を迎えました。

 

 

『紅の豚』ネタバレあらすじ – ポルコ・ロッソ、カーチスと対決

 

ポルコ・ロッソとカーチスが金と名声と女を賭けて決闘をする

ポルコ・ロッソ、カーチス双方が賭け金を出して、いよいよ決闘が始まりました。

 

スタート時はカーチスがポルコ・ロッソの上を取り有利に進めます。

 

ポルコ・ロッソは水面スレスレを飛行しながら、アドリア海のエースと呼ばれるようになった得意技・ひねり込みでカーチスの後ろを取り一瞬にして圧倒的有利に立ちます。

 

通常ならポルコ・ロッソが機関銃を発射すればすぐに終わるような状況だったものの、戦争体験により殺しを封印したポルコ・ロッソはカーチスが疲弊するまで待つ作戦に出ました。

 

 

機関銃を使ってこないポルコ・ロッソに舐められていると感じたカーチスは「ポルコ…てめぇ、おちょくる気か!?撃ってこい!」と挑発しましたが、まったく撃ってこないため「さてはマシンガンがいかれやがったな!ザマーミロ!」といい気になった瞬間にポルコ・ロッソは当てないように機関銃を発射し故障していないことを証明しました。

 

超一流同士の空中戦に観衆は色めき立っていましたが、そうしている内に「豚ヘ連絡請ウ。空軍ガカギツケタ、バカ騒ギヲヤメロ」とフェラーリンから忠告の通信がジーナに入ります。

 

空軍が迫っていることを露にも知らないポルコ・ロッソとカーチスは「食い過ぎ豚め!」「カウボーイ野郎が!」と罵り合いながら、ついには弾切れとなり飛行艇を降りて殴り合いでの決闘に発展しました。

 

カーチスが「来い!色魔野郎!」とポルコ・ロッソを殴りつけると「色魔はテメェだ!手あたり次第にくどきやがって!」とポルコ・ロッソもやり返します。

 

カーチスが「テメェこそ、ジーナかフィオかどっちかにしろ!」と返すと、ポルコ・ロッソは「何だぁ?」と少し戸惑いを見せました。

 

カーチスは続けて「独り占めするな!ジーナはなぁ…」というとポルコ・ロッソが「ジーナ、、ジーナと気安く呼ぶな!」と殴りましたが、「ジーナはテメェに惚れてんだ、彼女はオメェが来るのをなあ、ずーっと庭で待ってんだぞ!」とカーチスはジーナの気持ちを代弁しました。

 

するとポルコ・ロッソは少し顔を赤らめて照れてしまいますが、お互いに限界を迎えて殴り合ったところでダブルノックダウンしてしまいました。

 

カウントが始まり、どちらか先に立った方が勝利ということになり、駆けつけたジーナが「マルコ、マルコ聞いてる?あなたもう一人女の子を不幸にする気なの?」と声をかけたことで、カウントナインでぎりぎりで立ち上がり、カーチスとの決闘に勝利を収めます。

 

 

『紅の豚』ネタバレあらすじ – ポルコ・ロッソ、最後は姿を消す

 

ポルコ・ロッソの勝利で決闘が終わる

ボコボコに顔を腫らしているポルコ・ロッソの元に、カーチスとの結婚を回避できたフィオが抱きついてきました。

 

ジーナは空軍が迫っていることを参加者らに伝え、「ホテル・アドリアーノ」に来ればサービスすると伝えて男たちが湧いていました。

 

その中で、ポルコ・ロッソはフィオにキスをされますが、その顔を見たカーチスが「ああ!?オメエその顔、待てよおいっ!顔見せろって!」と驚いていましたが、人間に戻ったであろうポルコ・ロッソの顔は見えず終いでした。

 

物語はここで終わり、フィオの回想が挿入されます。

 

ポルコ・ロッソとカーチスの決闘を最後に、イタリア空軍の出動は空振りに終わり、フィオがミラノに帰る日が訪れてもポルコ・ロッソが再び姿を見せることはありませんでした。

 

フィオはジーナととても仲良くなったようですが、それから何年も経ち何度も大きな戦争や世の中の動乱があっても友情は続いていました。

 

カーチスはかねてからの夢だったハリウッドスターになり、当時の馴染みの連中もジーナの「ホテル・アドリアーノ」に通っていました。

 
 
 

『紅の豚』公開され無かった幻のシーン

 

日本航空機がエンディングで入る予定だった?

本編ではカットされた絵コンテでは、『紅の豚』が日本航空の国際便機内での上映用だったことからジャンボジェットに並走するポルコ・ロッソが挿入される予定でした。

 

 

ポルコ・ロッソかどうかは分からない

酸素マスクをつけていて判別がつかないためポルコ・ロッソかは不明ですが、一般公開されることになったためこのシーンはカットされたのでしょう。

 

 

 

『紅の豚』名言集

 

『紅の豚』には数々の名言が登場する

最後に『紅の豚』に登場するかっこいい名言の数々についてご紹介します。

 

ここまでのあらすじの中でもポルコ・ロッソやカーチス、ジーナなど登場キャラクターによる名言はありましたが、列挙してみると『紅の豚』という作品には深い言葉が多いことが分かります。

 

飛べねぇ豚はタダの豚だ
ファシストになるより豚のほうがましさ
飛んだところで所詮豚は豚だぜ
仲間はずれ作っちゃ、可哀想じゃねぇか
そりゃあ戦争で儲けるやつは悪党さ。賞金稼ぎで稼げねぇやつは能無しだ。
睡眠不足は良い仕事の敵だ。それに、美容にもよくねぇ
3年待ったわ。もう涙も枯れちゃった
意地も見栄もない男なんて最低よ!
彼らの一番大事な物は金でも女でもない名誉だって
俺は、俺の稼ぎでしか飛ばねぇよ
俺たちは戦争してるわけじゃねぇ
尻の毛まで抜かれて鼻時も出ねえや
いくら心配してもあんたたち飛行艇乗りは、女を桟橋の金具くらいにしか考えてないんでしょ
それは海と空の両方が奴らの心を洗うからだって。
だから飛行艇乗りは船乗りも勇敢で、丘の飛行機乗りよりも誇り高いんだって。
マルコありがとう。いつもそばにいてくれて。あなただけになっちゃったわね、古い仲間は・・・。
鉄で出来た艇(フネ)なんてゾッとしねぇな…
いい奴はみんな戦争で死んじまった・・・。
そういうのをアジアじゃ仏陀に教えを説くっていうんだ。
心配するな!お袋の話では惚れるより慣れだってよ
信じるか・・・。でぇきれな言葉だがおまえが言うと違って聞こえて来る。

 

引用:役立つ3分 – 紅の豚はなぜ豚に?ラスト結末は?都市伝説と名言集めてみました!

 

劇中にはまだまだ名言はたくさん隠されていますので、ぜひ『紅の豚』のDVDやBDなどでチェックしてみてください。

 

 

 
 

『紅の豚』都市伝説と謎4選…最後とその後の結末とは

 

『紅の豚』最大の謎はなぜポルコ・ロッソが豚なのかということ

ポルコ・ロッソが豚になった理由と、人間に戻ったのかということは『紅の豚』の最大の謎だと言われています。

 

宮崎駿さんが監督を務めた作品には”豚”がよく登場しますが、『紅の豚』では主人公・ポルコ・ロッソが何の説明も挿入されないまま豚であることが当たり前な世界観となっています。

 

これは『紅の豚』の原案である「飛行艇時代」から踏襲していることなので、映画でも特に説明をするシーンは入れなかったようです。

 

『紅の豚』の世界は大恐慌時代というリアルの世界を背景にしていますが、そこにポルコ・ロッソがなぜか豚であること、そして”魔法”の力でそうなったと当たり前のように語られることで完全にファンタジー作品になっています。

 

ここには宮崎駿さんが完全にリアルの世界観にしたくないという思いもあったのかもしれませんが、”ありえない”とさも当たり前にやってしまうのが宮崎駿さんのスタイルでもあるので、この”豚”という設定を入れることで唯一無二の世界観になっています。

 

では、ポルコ・ロッソを豚にする必要があったのか、どういう理由から豚になったのかを探ると、そこにはポルコ・ロッソというキャラクターの内面が深く関わっていました。

 

 

『紅の豚』都市伝説・謎1 – ポルコ・ロッソが豚である理由

 

ポルコ・ロッソは多くの命を奪った罪を背負っている

ポルコ・ロッソは第一次世界大戦では”アドリア海のエース”と呼ばれるイタリア空軍きっての飛空艇乗りでしたが、それは裏を返せば誰よりも敵機を撃ち落としてきたということになります。

 

ポルコ・ロッソはあまりに多くの人を殺してきたため、自分自身が人間でいる資格が無いと罪の意識から人間をやめて豚になってしまったのかもしれません。

 

本名はマルコ・パゴットですが、「ポルコ・ロッソ」という名前にした理由は、この言葉がイタリア語で「赤い豚」という意味で侮蔑に当たる言葉だからでした。

 

ポルコ・ロッソは第一次世界大戦で飛空挺乗りとしての超一流の腕前を利用して多くの人の命を奪い、戦友たちも全員死んでしまい自分だけが生き残ってしまったことにも深い罪の意識を抱いているようです。

 

そのため、”魔法”というアバウトな理由ながらポルコ・ロッソは豚になることを選び、賞金稼ぎとして飛空挺を駆りながらも自分を蔑み、戦争が無くならない人間社会にも嫌気がさしていました。

 

そのため、ポルコ・ロッソが恋心を持ちながら頑なにジーナとの一定の距離を取っていたのは、人を愛する資格は自分には無いと感じていたからでしょう。

 

『紅の豚』の物語中にはポルコ・ロッソが豚になった以外の”魔法”は登場していないことから、宮崎駿さんがポルコ・ロッソの内面を象徴的に描くための要素のひとつであり、”魔法”が分かりやすかっただけで理由は何でも良かったのでしょう。

 

 

マルコ・パゴットが”ポルコ・ロッソ”と名乗ったことが魔法

『紅の豚』の劇中ではもちろんポルコ・ロッソの見た目は豚ですが、あだ名だけに留めていても物語は成り立っていたでしょう。

 

 

自ら豚になった魔法はポルコ・ロッソ自身がかけたもので、第一次世界大戦の終戦直後に戦争で活躍したことへの強い後悔の念や、戦友らを失いジーナを悲しませてしまったことへの懺悔の気持ちから”ポルコ・ロッソ”と名乗り豚になったのでしょう。

 

これは”豚になる”というファンタジー要素を除外しても成り立つ話ではあるものの、敢えて”魔法”を取り入れて近代世界を完全にファンタジーに変えたことで子供も楽しめるアニメ映画作品として成立しています。

 

仮に豚ではなく人間のまま描いていたら、子供世代が『紅の豚』の世界に入り込めたかは難しいかもしれません。

 

また、”失意から暴飲暴食して醜く太って豚になった”という意味で描いても、ポルコ・ロッソに共感する人は減ったことでしょう。

 

ここにポルコ・ロッソが”豚”の姿になるという、宮崎駿さんのセンスの素晴らしさが伺えます。

 

 

飛空挺を捨てきれない人間味溢れるポルコ・ロッソ

ポルコ・ロッソは第一次世界大戦で大きな後悔をしていますが、その後も愛する飛空挺からは離れられず、賞金稼ぎという忌み嫌っている政府の犬として生業しています。

 

このあたりがポルコ・ロッソという人物の中にある非常に矛盾した部分ですが、かつて空軍のエースとして活躍し、多くの人の命を奪ってきた飛空挺からは決別できずにしがみついている姿が人間を捨てたポルコ・ロッソの”人間らしさ”なのでしょう。

 

人間は時として大きな矛盾した感情を持って生きていくものですが、ポルコ・ロッソは誰よりも人間臭いからこそ多くの人に共感を持たれて好かれるキャラクターになっているのだと思います。

 

ジーナを愛する資格は無いと自分で距離を取っておきながらつかず離れずでいることも、未練がましいポルコ・ロッソの弱さが見えて”かわいい”と視聴者は思ってしまいます。

 

そして、途中から登場する第二のヒロインであるフィオの存在により、ポルコ・ロッソはそれまでの頑なな心が大きく揺れ動くことになり、終盤にフィオのキスによりポルコ・ロッソの凍った心は完全に雪解けして人間に戻ったのでしょう。

 

もちろん劇中ではカーチスの反応からポルコ・ロッソが人間に戻ったと推察することしかできませんが、後に宮崎駿さんが2002年に発売されたインタビュー本『風の帰る場所』で「人間に戻ってもすぐにまた豚に戻り、10日もすれば何事もなかったように飯を食いにジーナの元に現れる」というように語っているように、ポルコ・ロッソはフィオのキスで人間に戻ったのは間違いないようです。

 

 

敵からは”豚野郎”と嫌われるポルコ・ロッソ

マンマユート団など空軍連合などからはポルコ・ロッソは”豚野郎”と敵対視されていましたが、忌み嫌う政府からお金を貰って空中海賊を相手に賞金稼ぎをする姿はまさに”豚野郎”なのでしょう。

 

ポルコ・ロッソはとことん自分を蔑んでいるわけですから、空中海賊らから”豚野郎”と呼ばれて信念もなくただ金稼ぎのために賞金稼ぎをする姿は、最も自身を侮蔑する方法だったのかもしれません。

 

だからこそ、ジーナに賞金稼ぎといういつ命を落としてもおかしくない仕事をやめるように言われた時も、ポルコ・ロッソは「飛ばねえ豚はただの豚だ」と言っており、「飛べねぇ」ではなく「飛ばねぇ」と言うあたりに、”ただの豚”には成り下がりたくないポルコ・ロッソの最後の自尊心が感じられるようです。

 

また、空中海賊という社会の治安を脅かす存在を懲らしめることで、少しでも罪滅ぼしをしたいという気持ちも含まれていたのかもしれません。

 

 

ジーナを愛したくなかった理由

ポルコ・ロッソにはジーナの夫で戦友のベルリーニを死なせてしまった後悔と、親友の妻と結婚するわけにはいかないという複雑な思いがあるようです。

 

ジーナは過去に3度の結婚をしており、いずれの夫も戦争で戦死しています。

 

ポルコ・ロッソは空挺乗りのマドンナだったジーナと結ばれなかった4人目の男であり、当時は空軍のエースと呼ばれながらも他の3人の友人に及ばない部分があったのかもしれません。

 

もしかしたらポルコ・ロッソは生き残り続ける中で人間的な魅力が大きくなり、ジーナもそうした姿に惹かれていった部分があるのかもしれません。

 

しかしその説よりも考えられるのは、責任感が強すぎるあまり当時からいつ死ぬかも分からない空挺乗り、しかも空軍のエースであることから戦場に出る機会が多く、ポルコ・ロッソは結婚は考えていなかったのかもしれません。

 

そうした思いがあり、ジーナに長年思いを寄せながらもポルコ・ロッソは求婚するということはできなかったのでしょう。

 

ジーナは本当は昔から一番ポルコ・ロッソが好きだったものの、結婚をしてくれないから仕方なく2番目に好きだった男と結婚する内に3度も戦死してしまったのでしょう。

 

つまり、『紅の豚』は悲恋の物語でもあり、映画終盤でのフィオの回想の中で描かれた中に、ポルコ・ロッソとジーナがついに結ばれることを示唆するようなシーンがあります。

 

 

 

 

『紅の豚』都市伝説・謎2 – ポルコ・ロッソはジーナと結婚した?

 

ジーナの賭けは最後に勝った

ジーナは「私がこの庭にいるときその人が訪ねてきたら、今度こそ愛そうって賭けをしているの」と言っていましたが、フィオの回想の中ではそれが叶ったことを示唆するシーンがあります。

 

「飛行艇時代」の中で宮崎駿さんはインタビューでポルコ・ロッソとジーナの結婚について触れています。

 

ジーナの最初の夫はポルコ・ロッソの戦友だったベルリーニでしたが、ベルリーニの載っていた艇に刻まれた番号は”1”番でした。

 

実はこの番号はジーナの歴代の夫のナンバリングであることを宮崎駿さんは明かしており、ベルリーニの後にジーナが結婚した夫が”2”番、”3”番で、ポルコ・ロッソが乗っている愛艇に刻まれた番号は”4”番。

 

つまり、ポルコ・ロッソはその後ジーナと結ばれたということになります。

 

 

ジーナは賭けの中でこうも語っていた

「でもそのバカ、夜のお店にしか来ないわ。日差しの中へはちっとも出てこない。」とジーナは語っていますが、フィオの回想の中で昼間にジーナのプライベートな庭にポルコ・ロッソの愛艇が停泊していることが分かるシーンがあります。

 

ポルコ・ロッソはやはり宮崎駿さんが言ったように、カーチスとの決闘から10日ほどしてひょっこりとジーナの元を訪れたのでしょう。

 

そして、夜の「ホテル・アドリアーノ」ではなく、昼の「庭」に訪れたということは、ポルコ・ロッソがジーナに求婚しに行ったと受け取ることができるでしょう。

 

 

 

 

『紅の豚』都市伝説・謎3 – 宮崎駿自身への手紙だった

 

宮崎駿は作品が自分への手紙だった?

現在までに公開してきた宮崎駿さんが監督を務めたアニメ作品は、自分自身への手紙でもあったとインタビューで語っています。

 

宮崎駿さんがこれまで監督として制作してきた『風の谷のナウシカ』や『天空の城ラピュタ』、『となりのトトロ』などは、自分が幼少時代や少年時代を思い返して、”やってみたかったが叶わなった”ことを表現しており、自分の全世代に向けた手紙だと語っています。

 

この手紙は『となりのトトロ』の制作が終わった時に、全部出し尽くして終わったと思ったそうですが、続く『魔女の宅急便』はやらざるを得ない状況になって自分にムチを打って制作をしていたそうです。

 

そして中年に差し掛かった頃にこの先どういう作品を作っていくのか迷ってい時に、現在進行形の自分への手紙として好きな飛行艇を題材にした『紅の豚』を思い立ったそうです。

 

 

『紅の豚』都市伝説・謎4 – 宮崎駿の全盛期は『となりのトトロ』?

 

『紅の豚』制作時に50歳を迎えた宮崎駿

宮崎駿さんは長年子供達のためにアニメ映画を制作してきましたが、『となりのトトロ』の制作を終えた頃にやりきったという思いが強かったようです。

 

1990年に『紅の豚』の企画が立ち上がり、1991年から制作がスタートしました。

 

この時すでに宮崎駿さんは50歳を迎えた完全な中年であり、全てを出し尽くしたと感じていたため、モチベーションを上げるためにも自分自身への手紙として制作したようです。

 

宮崎駿さんが言うには、最も創造的に制作ができた時期は30代後半から40代後半だったそうで、『となりのトトロ』で全てを出し尽くしたと感じていたため、『紅の豚』は新たなスタート地点となりました。

 

そして『紅の豚』の次に制作した作品が『もののけ姫』ですが、作るものが一度無くなった宮崎駿さんは自分への手紙ではない社会へのメッセージ性の強い作品となったためか、『もののけ姫』以降から興行的な成功は飛躍的に伸びています。

 

宮崎駿さんの息子・宮崎吾朗さんは父親について「死ぬまで映画を作るだろう」と語っており、プロデューサーの鈴木敏夫さんも「製作中に宮さんは死ぬかも知れない」と語っていることから生涯現役で名作を世に送り続けることでしょう。

 

 

 

 

『紅の豚』について総まとめすると・・・

1992年に公開されたスタジオジブリのアニメ映画『紅の豚』について総まとめしてきました。

 

『紅の豚』は宮崎駿さんが50歳の頃の等身大の自分を表現した作品でもあり、最も”宮崎駿らしい作品”だと言えるでしょう。

 

その後の『もののけ姫』以降は飛躍的に世界的評価を得るようになった宮崎駿さんですが、今後も全盛期に負けない作品を期待したいですね。

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