1989年7月29日に公開されたスタジオジブリの宮崎駿監督のアニメ映画『魔女の宅急便』。
この記事では、『魔女の宅急便』の評価や感想と海外の反応、都市伝説やその後の裏話の考察について詳しく総まとめしましたのでご紹介します。
この記事の目次
- 『魔女の宅急便』とは
- 『魔女の宅急便』評価・感想・海外の反応
- 『魔女の宅急便』都市伝説・裏話の考察8選
- 『魔女の宅急便』の都市伝説・裏話の考察1 – キキが飛べなくなった理由
- 『魔女の宅急便』の都市伝説・裏話の考察2 – ジブリ初の黒字作品
- 『魔女の宅急便』の都市伝説・裏話の考察3 – 誕生秘話
- 『魔女の宅急便』の都市伝説・裏話の考察4 – その後の結末
- 『魔女の宅急便』の都市伝説・裏話の考察5 – 一人二役の高山みなみ
- 『魔女の宅急便』の都市伝説・裏話の考察6 – ジブリバス
- 『魔女の宅急便』の都市伝説・裏話の考察7 – 最後に全キャラ登場
- 『魔女の宅急便』の都市伝説・裏話の考察8 – ヤマト運輸との関係
- 『魔女の宅急便』について総まとめすると・・・
『魔女の宅急便』とは
スタジオジブリ初の原作付き映画『魔女の宅急便』
『魔女の宅急便』は『となりのトトロ』に続くスタジオジブリの宮崎駿監督によるアニメ映画で、現在までに公開された作品の中でも特に高い人気を得続けています。
『魔女の宅急便』はスタジオジブリの数ある作品の中でもトップクラスにストーリーと主題歌、音楽がマッチしている作品でしょう。
特に、松任谷由実さん(当時・荒井由実)がオープニングテーマの「ルージュの伝言」と、エンディングテーマの「やさしさに包まれたなら」は『魔女の宅急便』の世界観をとても惹き立てています。
『魔女の宅急便』の原作は角野栄子さんが1982年~1983年にかけて雑誌『母の友』で連載していた児童文学小説でシリーズ化されており
『魔女の宅急便(第1巻)』
『魔女の宅急便その2 キキと新しい魔法』
『魔女の宅急便その3 キキともうひとりの魔女』
『魔女の宅急便その4 キキの恋』
『魔女の宅急便その5 魔法の止まり木』
そして、2009年10月には最終巻となる『魔女の宅急便その6 それぞれの旅立ち』が刊行されています。
『魔女の宅急便』評価・感想・海外の反応
ジブリ1、2を争う名作『魔女の宅急便』の評価
『魔女の宅急便』は国内外でスタジオジブリの作品の中でも1、2を争う名作だと言われていますが、評価や感想についてご紹介します。
子供が大好きな”魔法”や大人も楽しめる”恋”の要素があり、老弱男女の幅広い層に支持され続けてきた『魔女の宅急便』。
Yahoo!映画の総評点数は5点満点中4.39点となっており、9割近い人が『魔女の宅急便』を面白いと言っていることになります。
『魔女の宅急便』の国内評価を「良い・普通・悪い」に分け、海外の反応についてもご紹介していきましょう。
『魔女の宅急便』”良い”の評価・感想
”良い”の評価の多くの感想には何度も視聴している人が多い
『魔女の宅急便』を”良い”と評価している感想の多くには「何度も観ている」という声が多いようです。
全てが優しい映画。登場人物みんな良い人。
ヒロインの成長物語みたいな面もあるけど、人と関わることの重要性とか、
人はどうあるべきかみたいな、基本的な道徳的なことも説教臭さなしに学べる。
ほうきで飛ぼうとするばあさんとか、キキの真似して黒服を来てる子供とか、
スタッフロールではニシンの孫娘と仲良さそうにしゃべってたり、
自分も優しい気持ちになれる。一瞬だけでも。
少年を助けるためにデッキブラシを叱りつけてなんとか飛ぼうとするあの場面。
宮崎駿の真骨頂って感じがしてしまう。
『魔女の宅急便』は子供にとってワクワクする冒険が詰まっていますが、大人にとっても細かい人間関係を楽しめる奥深い作品となっています。
見終わった後しばらく余韻に浸ってしまうような満足感があり、キキのその後の生活に思いを馳せてしまう良いエンディングでしょう。
小学生のころから何回みた?というくらい見ました。
ビデオに録画してたぶん人生で一番みた映画です。
大人になってから見てもやっぱり面白い。最初から最後まで面白いです。
登場人物に嫌な人がいないのも素敵ですね。
にしんパイの女の子も昔は嫌いでしたが、今見ると毎年贈られてくるんだからおばあちゃんに嫌いとは言えない年頃の女の子なんだろうなとむしろ微笑ましく見てしまいます。
もちろん音楽も大好きです。
『魔女の宅急便』はスタジオジブリ作品の中でも特にヘビーローテーションされている作品のひとつでしょう。
特に映像と音楽が非常にマッチした作品であるため、作業用のBGMとして聴いている人も多いようです。
子供の頃から何度もレンタルして観てる作品。
もう何回見たかわかりません。
制作秘話は沢山あるようですがとりあえずあのこの世界の片隅に。の片渕監督から宮崎駿に変わって再構築され作られた作品ですが、何度観てもいい。
何がいいのか。
老若男女楽しめ、抜かりのない作画とストーリー。
宮崎駿が描くキャラクター達。
『魔女の宅急便』は宮崎駿監督の卓越した表現力と、原作をうまく脚本した起承転結がわかりやすいストーリーが最大の魅力です。
色々な問題があっても魔女として一人前を目指していくキキのポジティブな生き方を観て、元気づけられる人もとても多いようです。
『魔女の宅急便』”普通”の評価・感想
”普通”という評価の多くの感想には原作との違いに不満を持つ声は多い
『魔女の宅急便』を”普通”と評価した感想の多くには「原作とは違うがこれはこれで面白い」とする声が多いようです。
ミステリー好きな自分にとっては君の名はを見た後だからか、展開の意外さや伏線等ではちょっと物足りない感じがしたが人の触れ合いを重視した素朴なあたたかみがある作品かな。
君の名はがディザスターやら青春恋愛やら入れ替わり、タイムスリップ、ミステリ、SF等々意表をつく二転三転する盛りだくさんの内容だったから、
何もひねりがない魔女宅はちょっと淡白に感じたが、
少女の成長がメインだし根本の路線が違うからそもそも比較するようなもんじゃないし、ほのぼの系が好きならいけるかも
『魔女の宅急便』は基本的に子供向けの作品であるため、複雑すぎるストーリーの伏線などは盛り込んでいないでしょう。
しかし、映画に慣れ親しんでいる人からすれば、ストーリーの見ごたえを期待した人はマイナス点となったようです。
子供のころに原作を読んで面白いなぁ、と思いました。
ジブリが映画化するとのことで、当時、期待に胸ふくらませて映画館に足を運び観ましたが、正直、少しがっかりした覚えがあります。
原作の良さは描かれてなかったのだと思います。
魔女の宅急便といえばまずそのイメージがあります。
だけど、原作とは切り離して観れば映像も音楽も素敵だとは思います。
宮崎駿監督は『魔女の宅急便』の原作者である角野栄子さんに脚本の大幅変更という点で不快感を与えたことは事実としてありました。
その度に宮崎駿監督は熱心に説明して説得し和解していますが、原作ファンにとっては割り切れない点はあるようです。
ホウキに乗って空を飛ぶ魔女、というイメージはいつ頃つくられたのだろうか。中世ヨーロッパではすでにあったイメージなのだろうか。中世ヨーロッパの魔女といえば、性的な存在でもあったらしく、そこから連想されるホウキとはまさにそういった意味も含んでいたりするのだろうか。
そういえば絵描きのお姉さん、それシャガールのパクりですやん。
この感想のように魔女がほうきで飛ぶというのは、ハリーポッターでもそうであるように一般的に違和感が無いこととして認識されています。
一説には魔女は彗星(ほうき星)に例えられていたことから”ほうき(星)に乗って飛ぶ”というスタイルが確率されたと言われていますが、この感想のように中世ヨーロッパで魔女と呼ばれる女性たちが性的な意味でほうきを使用していたという説もあります。
『魔女の宅急便』”悪い”の評価・感想
”悪い”の評価の感想の多くは批判したいだけの人が多い
『魔女の宅急便』を”悪い”と評価する感想の多くは詳しい理由を語らずに批判したいだけの人が多いようです。
はやおさんファンて基本教養レベルが低い子たちが大半だから
この程度のお絵書きでラプチャーしちゃうんでしょーな。
そもそもアニメ観る人種ってやっぱりアニメしか観ない子たちだから
鑑賞レベルが低いというか他にそれしか知らない子ばっかだから
何もわからず点滴うってる延命治療者のようにボーと受けるだけなんでしょー。
宮崎駿監督の作品への低評価で意外と多いのが、こうした自分が見えていないタイプの「こき下ろして優越感に浸りたい」だけの感想です。
そもそもスタジオジブリが子供向けに製作された映画のため教養の高さも何もないですが、そうしたことにも気づけず悦に浸りたいだけの酷評は多いようです。
ジブリ作品には教養の高い人のファンも非常に多く、黒澤明監督もまたジブリファンでした。
佳作だとは思うがさすがに2回目となると観れんわな。
いってしまえば子供向けだからな、やっぱ。
何度みてもおもしろいという事はさすがにないな。
恥ずかしい告白ですよ、それ。
そういうこと聞くと精神年齢とか他にどんな書物読んでるかとか
おおよその文化が知れてしまうからイタいことですよ。
10代の子供がいうことならまだあれですが、社会人がいってるのであれば
かなり、かなり不味いことですよ。
上述の感想と同じように、この感想もまた自ら見識の狭さを露呈しているようなものでしょう。
こうした意見を述べる人は非常に狭い世界で生きている人だと思われますが、ウン億と稼いでいるやり手事業家や、それこそ高学歴の政治家にすらジブリファンはたくさんいます。
どうしようもない酔いどれオヤジや卑屈な引きこもりが憂さ晴らしに書き込んでいるというイメージが浮かぶようですね。
下の方のいうとおりでして原作者を騙して発表しちゃったアニメなんです。
だからこんなんで浮かれてる輩はヒゲ親父を喜ばせてるだけで
実は角野栄子さんを愚弄してるだけなのです。あんたら宮崎オタは。
宮崎をはじめ、ジブリはメチャクチャで出鱈目な改悪を角野さんに謝れ!
アニメ制作中にも角野さんが内容にクレームを出すたび
何度も面談して、誤魔化し誤魔化しで公開にこぎつけたという曰く付き。
はっきりいえば騙しです。
この感想は『魔女の宅急便』に低評価を付ける人の中では比較的まともな意見だと言えるでしょう。
しかし、詳しくは後述しますが宮崎駿監督は確かに原作者の角野栄子さんの作品とは違う方向に持って行きましたが、ちゃんと説明して納得させており、角野栄子さん自身も後に「面白い」と認めています。
『魔女の宅急便』海外の反応
海外の反応はおよそ90%が高評価で絶賛の嵐
日本人よりも感情表現がストレートな海外の反応は素直な意見が多く、Amazon.comの評価は実に90%が”良い”と高評価を付けています。
「私たちには、みんなインスピレーションが必要です。手に入れるのが簡単じゃない場合もありますけれどね」 女性 バージニア州
チャーミングなだけでなく、とても楽しい物語です。自己発見と自立の物語でもあります。すでに他の多くの人が語っているように、映像は息を呑むほどの美しさです。私はこれまで、本当にたくさんの映画を鑑賞してきましたが、その映画の世界にずっととどまっていたい、できれば、ここへ住みたいとまで感じたことは稀です。宮崎監督はアニメーションを使って、愛すべき優しい世界を作り出してくれました。キキの辿り着いたコリコの街は、私にとって夢のような場所です。
海外の反応で特徴的なのは、あまり穿った目で見ずに素直に感じた感想を書いているということでしょう。
スタジオジブリ作品の多くがAmazon.comのレビューで高評価となっているのは、英語圏で生活する海外の人は日本人より論理的に物事を観るのが得意だからかもしれません。
「かわいらしく魅力的なヒロイン」 男性 ニューヨーク
もし、あなたに小さな子供がいなくても、これは観るべき映画だ。そして、良き思い出として、胸の中に大切にしまっておくべき映画でもある。アニメーション、色づかい、英語の吹き替えなど、どれもが素晴らしい。
『魔女の宅急便』を観た海外の反応の多くには大切な宝物のように感じている人は少なくないようです。
宮崎駿監督の作品は技術的、美術的にも非常に優れているため、海外のアニメーターもよく参考にすることが多いようです。
「猫のジジがいなければ、半分以下に減点です!」 女性 シカゴ
7歳、11歳の娘たちと一緒に観ました。年齢に関係なく、みんなが楽しめる映画でしたよ。
11歳の娘は、街の人々が若い魔女をポジティブな存在としてとらえているところがすごく気に入ったようです。確かに、西洋の一般的な作品では見かけない設定ですし、興味深いところです。日本の人たちは、違和感無く受け入れられたのでしょうかね?この点は、今も不思議に感じています。
この感想のでは『魔女の宅急便』に登場する人々が当たり前のように魔女を受け入れていることに違和感を感じてしまったようです。
これは魔女狩りなどネガティブな歴史背景が無い日本だからこその魔女の捉え方なのかもしれませんね。
『魔女の宅急便』都市伝説・裏話の考察8選
『魔女の宅急便』にまつわる都市伝説・裏話
スタジオジブリ作品には付き物の都市伝説・裏話ですが、『魔女の宅急便』もネット上で色々と話題になってきたようです。
前作『となりのトトロ』は「狭山事件」との関連や、原作がホラー小説だったこと、サツキとメイが死んでいた説など色々とダークな都市伝説がありました。
『魔女の宅急便』は主人公のキキが魔女として色々な人との交流を経て少女から女性へ変化していく成長を描かれているため、それにまつわる都市伝説が語られてきたようです。
『魔女の宅急便』の都市伝説、裏話について総まとめしましたのでご紹介していきましょう。
【スウェーデン】ヴィスビー(Visby)。スウェーデン南西部に位置する、バルト海で最も大きな島のゴトランド島にある街。「薔薇の都」とも呼ばれ、ジブリ映画『魔女の宅急便』に登場する街「コリコ」の舞台となった街としても知られています。 pic.twitter.com/t0arupmC5P
— 素直に感動する世界の絶景 (@gihajedirovy) 2018年2月14日
『魔女の宅急便』の都市伝説・裏話の考察1 – キキが飛べなくなった理由
キキが物語中盤で魔法が使えなくなった理由とは?『魔女の宅急便』の物語中盤でキキはジジの言葉がわからなくなり、ほうきで飛べなくなりましたが、魔法の力が失われた都市伝説についていくつか説があります。
まず、『魔女の宅急便』の物語をおさらいしながら説明すると、キキは田舎にある自宅で魔女の見習いとして修行をしていましたが、13歳で独り立ちをするという魔女の掟に従い、黒ネコのジジと一緒にほうきに乗って旅立ちます。
物語の冒頭でのキキはまだまだ少女であり、背伸びをしているもののどこか頼りなく、経験不足から次々と問題に直面します。
特にキキは地元の田舎では同世代の女の子の友達しかいなかったようで、都会に出てきたことでとんぼからナンパをされてからは、それまで意識していなかった異性に対してナイーブになります。
キキはとんぼを通して都会での交友関係を築くきっかけとなり、最終的にはキキはとんぼに対して友達以上の気持ちを持っていたでしょう。
少年と少女の恋は『耳をすませば』などでもそうですが、主人公が物語が進行するにつれて恋愛を通して成長する姿を描くのはスタジオジブリが得意な表現でしょう。
『魔女の宅急便』のキキはそれが顕著に表現されているため作品の虜になる人が多いのだと思いますが、108分という短い尺で段階的なキキの成長を描いたのは宮崎駿監督の手腕によるものでしょう。
魔力を失ったことが成長の転換点だった
キキが熱を出して寝込み、とんぼに招待されたパーティーに参加できませんでしたが、翌日に起きてみるとジジの言葉がわからないばかりか、ほうきに乗って飛ぶこともできなくなっていました。
キキが魔力を一時的に失ってしまった表現は、とんぼを異性として意識し始めたキキの心の変化と成長を表しているものだと言われています。
そしてこの説に都市伝説が加わることになりますが、キキが魔力を一時的に失ったのは初潮を迎えたからだと言われ始めました。
さらにほうきでの飛行シーンの中にお腹を抑えているのは初潮を表しているという都市伝説も生まれましたが、これは該当のシーンが無いためデマのようです。
キキは13歳であり、異性を意識することで女性ホルモンが活発化したことで初潮を迎えてしまったため、魔力が極端に弱まってしまったのだとされています。
あくまで都市伝説であり公式の発表ではありませんが、不思議と説得力を感じてしまいますね。
『魔女の宅急便』の都市伝説・裏話の考察2 – ジブリ初の黒字作品
『魔女の宅急便』は『となりのトトロ』の資金回収だった
『魔女の宅急便』が製作された理由は前作『となりのトトロ』の興行収入が低く赤字だったため資金回収のためだったと言われています。
当時、スタジオジブリは『ルパン三世 カリオストロの城』『風の谷のナウシカ』『天空の城ラピュタ』と公開してきて、まだ世間的知名度が十分ではなかったため赤字続きでした。
そして『となりのトトロ』も興行成績が振るわず赤字となり、資金回収をするために急遽全世代が楽しめる作品としてよりキャッチーな『魔女の宅急便』が製作されました。
『となりのトトロ』は公開以降、グッズが驚異的なセールスを記録し、プロデューサーの鈴木敏夫さんが「一番の稼ぎ頭」と語るほど現在までその人気の高さは続いているため、『魔女の宅急便』を製作しなくても資金回収は十分すぎるほどできていました。
しかし、”売るため”の作品として公開した『魔女の宅急便』はスタジオジブリ初の黒字を記録した作品となりました。
『魔女の宅急便』以降、国民的アニメメーカーの地位を不動のものにしたスタジオジブリは驚異的な右肩上がりの売上げをたたき出して行きます。
『魔女の宅急便』の都市伝説・裏話の考察3 – 誕生秘話
『魔女の宅急便』の製作は一筋縄ではいかなかった
スタジオジブリ作品はどれも大変な経緯があって誕生していますが、『魔女の宅急便』も原作者との衝突や、元々宮崎駿監督が乗り気では無かったことなど順風満帆には行きませんでした。
『魔女の宅急便』の製作の裏話として最も言われているのは、宮崎駿監督が原作の内容から大きく逸脱して脚本していたため、原作者の角野栄子さんが度々不快感を示していたことです。
『魔女の宅急便』の企画原案が立ち上がった時、角野栄子さんが唯一宮崎駿監督に付けた注文は、キキがほうきに乗って旅立つシーンで木々にぶつかって鈴を鳴らしていくというものでした。
これは注文通りに盛り込まれていますが、それ以外の点で任されたはずなのに角野栄子さんは原作から大きく外れていくことに対して宮崎駿監督に否定的なコメントを送り、その度に鈴木敏夫さんと共に角野栄子さんの元を訪れて数時間説得していたそうです。
納得した角野栄子さんは宮崎駿監督の『魔女の宅急便』としてアニメ化を承諾し、以下のように語っています。
「皆さんがご存じのキキがいるでしょ? アニメのね。それから蜷川さんがミュージカルにしたでしょ。今度は清水(崇)監督。いろんな方が創ったキキを見られるというのはとても楽しかった」と振り返った角野。今回の実写映画化についても「わたしのキキはわたしの中にいるんだけど、宮崎さんのキキ、蜷川さんのキキ、清水さんのキキっていうのが、またそれぞれ違って面白いかな」と思ったという。
『魔女の宅急便』のアニメかの企画が発足したのは1987年ですが、当時のスタジオジブリは1988年の公開に向けて『となりのトトロ』と『火垂るの墓』をそれぞれ宮崎駿監督と高畑勲監督が製作中で忙しく、宮崎駿監督は原作を読む時間がないためプロデューサーの鈴木敏夫さんに代読させていました。
宮崎駿監督の代わりに原作の『魔女の宅急便』を読み終えた鈴木敏夫さんは、子供向けの作品だと思っていたため困惑してしまい、宮崎駿監督に「これは子供じゃなくて若い女性の話ですよね?」と説明しました。
なぜなら、キキは13歳で独り立ちして都会で仕事と新居を探す話のため、田舎から成人女性が上京して一人暮らしを始める話だと解釈しました。
そして、お金も生活する程度にはあるし、友人もできたけど、アパートに戻ると一人の寂しさがこみ上げてくるような、何か足りないようなものがある。
鈴木敏夫さんはこの”足りないもの”を埋めてあげればアニメ映画化できると宮崎駿監督に説明したそうです。
そして、宮崎駿監督も「それは面白い」と鈴木敏夫さんに共感したそうです。
元々監督は片渕須直が務める予定だった
宮崎駿監督は『となりのトトロ』を鋭意製作中だったため、後に『アリーテ姫』や『マイマイ新子と千年の魔法』の監督を務める当時の若手、片渕須直さんに白羽の矢が当たりました。
宮崎駿監督は脚本だけを務める予定だったため、『となりのトトロ』の製作が終わると原作の『魔女の宅急便』を読み始めましたが、鈴木敏夫さんが説明した「上京した女性の話」だと思い込んでいたため「まったく話が違うじゃないか!」と怒ってしまったそうです。
そして、宮崎駿監督が「責任を取って鈴木さんも手伝え」というので、鈴木敏夫さんは朝から晩まで一日中プロットの作成の手伝いに追われたそうです。
『魔女の宅急便』公開後にエンドクレジットで脚本は宮崎駿監督になっていますが、実際は鈴木敏夫さんもクレジットされていても良かったのでしょう。
クライマックスのシーンは鈴木敏夫の発案だった
『魔女の宅急便』の一番の盛り上がる場面である飛行船から落ちるとんぼをキキが助けるシーンは鈴木敏夫さんが発案して生まれたアイデアでした。
宮崎駿監督が書き上げた脚本にはクライマックスの盛り上がるシーンは含まれておらず、キキが成長したことで魔法が使えなくなって終わるという予定だったそうですが、鈴木敏夫さんが「娯楽映画なのに盛り上がるシーンが無いのは物足りない、ラストはお客さんのために派手なシーンを入れるべきだ」という話をしたことから宮崎駿監督は最後の飛行船墜落ととんぼ救出のシーンを入れました。
しかし、いざクライマックスシーンを入れて脚本を完成させてみると、尺が80分だったところ、100分以上に膨らんでしまったためスタッフ内で物議が上がります。
作画枚数も当初の予定から大幅に増えることになったため、このまま製作に踏み切るのは危険だという声が上がり、スタッフの多くは否定的な意見を出していました。
鈴木敏夫さんは映画化するなら絶対にクライマックスの盛り上がるシーンは必要だと説得したことから脚本の変更はせずに製作が決定しました。
しかし、情報量が増えたことにより当時若手の片渕須直さんには荷が重いということから、監督から演出補佐に変更され、監督には宮崎駿監督が就くこととなりました。
ところが宮崎駿監督は『魔女の宅急便』の監督に就いたことを「面倒くさい」と感じていたそうです。
宮崎駿は最初やる気が沸かなかった
宮崎駿監督は『魔女の宅急便』公開後しばらくしてからのインタビューで監督を務めるのは面倒だったことを明かしています。
宮崎駿監督は当時、『ルパン三世 カリオストロの城』『風の谷のナウシカ』『天空の城ラピュタ』『となりのトトロ』が終わった時点で出し尽くしたと思っており、特に『となりのトトロ』は創造性の全盛期だったと後に語っています。
この4作品で宮崎駿監督の不動の四角形は完成しており、やる気はすでに無かったそうです。
そのため『魔女の宅急便』では自分がメインにならずに若手監督に任せて、演出やメインスタッフを立てて、宮崎駿監督は高みの見物をしていたかったそうです。
それが脚本を完成させた時点で自分が監督を務めざるを得ない状況になったことで、宮崎駿監督は面倒くさいと感じたそうですが、やるからにはしっかり製作に臨んだそうです。
そして、気負うものがないため全力投球ではなくある程度肩の力を抜いていたため、製作自体は楽だったと語っています。
しかしその全力じゃなかったことから産みの苦しみを体験しておらず、結果として『魔女の宅急便』は大ヒットしたものの宮崎駿監督は後ろめたかったそうです。
『魔女の宅急便』の都市伝説・裏話の考察4 – その後の結末
宮崎駿が語るキキととんぼのその後
『魔女の宅急便』の本編ではキキがとんぼを救って、実家の家族への手紙のナレーションが入ることで終わりますが、その後の結末について宮崎駿監督が語っています。
とんぼはその後大学に行って勉強に励み、飛行機関連かどうかは置いておいて仕事に就かなければいけませんが、宮崎駿監督によればそれができて初めてとんぼはキキにデートの申し込みができると語っています。
かなり奥手で真面目すぎる印象もありますが、一方でキキはそれなりに魔女として宅急便の仕事を続けながら、色々な人と交流し、時には腹を立てながら生活しているようです。
さらに、宅急便の仕事が膨らんでキキは配送サービス会社を立ち上げて取締役社長の座に就くというイメージも持っていたようですね。
『魔女の宅急便』の都市伝説・裏話の考察5 – 一人二役の高山みなみ
性格の違うキャラを演じ分けた声優・高山みなみ
キキの友達となる画家のウルスラですが、ふたりの声優は高山みなみさんが一人二役で務めていました。
高山みなみさんはすでにウルスラ役として声優を務めることが決まっていましたが、キキ役の声優がなかなか決まらなかったため、オーディションに合格した上で高山みなみさんが務めることになりました。
そうなるとウルスラの声優が不在となったため、高山みなみさんが一人二役を演じることになったそうです。
主人公のキキとの会話量が多い友人のウルスラを担当した高山みなみさんの器用さには驚くばかりですね。
『魔女の宅急便』の都市伝説・裏話の考察6 – ジブリバス
街中に走っているバスは「ジブリバス」
他の作品のキャラクターや物など隠し要素が多いスタジオジブリの映画ですが、『魔女の宅急便』にはジブリバスが走っていました。
キキはたどり着いた立派な時計塔のあるコリコの町に降りて行って、ほうきで飛んだまま街中を飛びますが、トンネルを抜ける際に2階建てバスと鉢合わせして慌てて避けます。
このバスはよく見ると「STUDIO GHIBLI」と書かれているジブリバスなのです。
また、その後街中を疾走してようやく降り立った時に駆けつけてきた警官にキキは怒られますが、警官の向こう側に一瞬走り抜けたバスにも「GHIBLI」という文字が見えます。
どちらも文字が見えるのは一瞬なので、スロー再生や停止をしてみると確認できるでしょう。
『魔女の宅急便』の都市伝説・裏話の考察7 – 最後に全キャラ登場
物語中にキキが会ったキャラは最後に登場していた
『魔女の宅急便』の物語の中でキキが出会った人物はクライマックスの飛行船が墜落するシーンで全員登場しています。
クライマックスで飛行船が風に煽られて街中に墜落するシーンがあります。
とんぼを助けに行くキキが何とかとんぼの手を取ろうとしている手に汗を握るシーンで、キキが町に初めて来て話してくれたおばさんや、叱られた警察官、ニシンのパイを届けた少女など物語中に出会ったキャラクターが総出演しています。
ちなみに、とんぼを助けに行くためにデッキブラシを借りたおじさんのモデルは宮崎駿監督だと言われています。
『魔女の宅急便』の都市伝説・裏話の考察8 – ヤマト運輸との関係
ヤマト運輸がスポンサーだった理由
『魔女の宅急便』には黒ネコのジジが登場するため、ある意味「クロネコ宅急便」でもありますが、誰もがヤマト運輸を思い出したことでしょう。
『魔女の宅急便』のスポンサーには”クロネコヤマトの宅急便”で知られる国内の宅配業者筆頭のヤマト運輸が入っていますが、プロデューサーの鈴木敏夫さんは同作公開の必須条件だったことを語っています。
一般的に”宅急便”という言葉は浸透しているため一般名称かと思ってしまいますが、実はこの言葉はヤマト運輸が過去に商標権を取得していた言葉でした。
『魔女の宅急便』の原作者である角野栄子さんは執筆当時、何の疑問も持たずに”宅急便”という言葉をタイトルに使いましたが、それによってヤマト運輸が商標権侵害を訴えることは無かったため本人はおろか出版社も気づきませんでした。
そして1989年にスタジオジブリにより『魔女の宅急便』がアニメ映画化されるという話が持ち上がり、この時もまだ宮崎駿監督や鈴木敏夫さんを始めスタッフも”宅急便”は一般名称だと思っていました。
しかし、『魔女の宅急便』の発表が報じられるようになると、ヤマト運輸は初めて気づき「当社が商標権を持つ言葉です」とスタジオジブリに忠告してきたそうです。
ヤマト運輸はそれでも訴えはしなかった
『魔女の宅急便』はすでに制作の最終段階に入っていたため急にタイトルを変更することはできませんでしたが、ヤマト運輸が訴えを起こさず使用を認めたため予定通り公開されることになりました。
ヤマト運輸は国民的アニメを制作しているスタジオジブリ相手に訴訟を起こして国民の敵になることだけは避けたのでしょう。
ヤマト運輸は『魔女の宅急便』にジジという黒猫が登場していることを知り、自社とジブリが相互に利益を得られる方法を思いつきました。
ヤマト運輸はスタジオジブリに対して、宣伝のためにアニメを自由に使わせて欲しいと申し出、筆頭スポンサーになることが決まりました。
そのため、『魔女の宅急便』と「クロネコヤマトの宅急便」がタイアップしたCMが制作され、ヤマト運輸が映画公開の直前に新聞に「ヤマトは大きく成長しました。今や、宅急便は一般名称となりつつあります。」というキャッチコピーを掲載したため、世間も”宅急便”という言葉がヤマト運輸の商標だということを知ったようです。
『魔女の宅急便』は大ヒットし双方ハッピーに
『魔女の宅急便』が興行収入21.5億円の黒字を出して大ヒットしたことから、スポンサーを務めたヤマト運輸も宣伝効果が絶大で双方に利益をもたらしました。
しかし、アニメ映画においては双方ハッピーエンドで終わりましたが、原作の『魔女の宅急便』の件は見過ごされてきました。
原作の最終巻は2009年10月に発刊された『魔女の宅急便その6 それぞれの旅立ち』ですが、角野栄子さんはヤマト運輸から指摘されることなく執筆を続けていました。
その理由は、表現の自由が法的に約束されている書著や映画など作品はタイトルに商標権の侵害が適用されないということで、ヤマト運輸にしても『魔女の宅急便』が売れるほどに自社の宣伝効果になるためあえて指摘はしなかったようです。
ヤマト運輸がスタジオジブリのスポンサーになった理由は、もし映画が不評だった場合に”宅急便”が入っていることから自社のイメージダウンに繋がると考えたからとも言われていますが、真意は公開されていないようなので不明です。
『魔女の宅急便』の前作『となりのトトロ』が興行収入的には赤字だったことから慎重になったと言われていますが、同作は先述の通りスタジオジブリの稼ぎ頭となっているため、この説は関係ないかもしれません。
この前、しあわせになりたかっ太などの実況ツイートなど見ながら観てて号泣ものだった魔女の宅急便。本当いい作品だよな〜✨<RT
— 乙女座のまや (@6LtWNlVkkQGx9ta) 2018年2月1日
この前金曜ロードショーでやった魔女の宅急便見てたんだけどよくよく思えばちゃんと全部見たの初めてかもしれない、笑
— Lyta@ブルバレ 2/22 新宿Zirco Tokyo (@Lyta_vo) 2018年1月16日
夏にやったメアリもかなりいい作品だだから早くDVD出ないかなぁーー!!
『魔女の宅急便』について総まとめすると・・・
1989年7月29日に公開されたスタジオジブリの宮崎駿監督のアニメ映画『魔女の宅急便』について総まとめしてきました。
『魔女の宅急便』はストーリー構成、キャラクター、背景美術どれをとっても幅広い層にウケが良い作品でしょう。
『となりのトトロ』や『思い出のマーニー』などは怖い都市伝説がありますが、『魔女の宅急便』は無いようですね。
『魔女の宅急便』は2017年に舞台や日清「カップヌードル」のテレビCMシリーズ第一弾『HUNGRY DAYS』にも使われていることから、今後も違う形で表現されるかもしれませんね。