日本の元総理大臣だった橋本龍太郎さんですが、経済政策の失敗やハニートラップ騒動など、スキャンダルが目立った政治家でもありました。
この記事では、橋本龍太郎さんの経歴、父親と祖父や家系図、結婚した嫁と息子や娘、中国のハニートラップ騒動、そして死因や暗殺説などをまとめました。
この記事の目次
橋本龍太郎のプロフィール
橋本龍太郎（はしもと りゅうたろう）
生年月日：1937年7月29日
身長：165cm
出身地：東京渋谷区
最終学歴：慶應義塾大学法学部卒
所属政党：自民党
橋本龍太郎、大臣を歴任して総理大臣を務めた大物政治家だった
橋本龍太郎さんといえば、竹下登さんと金丸信さんが設立した経世会の中心的人物であり、40代から各種大臣を歴任するなどエリート政治家でした。
1980年代末頃より時期総理大臣候補と目されていた橋本さんでしたが、同じ経世会のライバル・小沢一郎さんの妨害工作や世代交代を嫌う自民党内の重鎮たちの意向もあり、大臣止まりの日々が続くことになりました。
そんな橋本さんにとって転機となったのが、1995年9月に行われた自民党の総裁選となっており、河野洋平さんや小泉純一郎さんといったライバルたちを退けて、自民党総裁の地位に就くことに成功しています。
その後の橋本さんは、当時自民党と連立内閣を組んでいた社会党の村山富市さんが退陣したことで、1996年1月に58歳の若さで総理大臣に就任することになったそうですね。
橋本龍太郎、総理大臣としては賛否両論だった
政治家としての橋本龍太郎さんは、厚生大臣時代に薬害問題の1つである「スモン訴訟」を和解に導いた他、自民党行財政調査会長時代には日本電電公社や日本専売公社の民営化を実現させた辣腕ぶりで自民党内でも一目置かれていました。
総理大臣候補と目されるようになってからも橋本さんの実務家ぶりは変わらずに、通商産業大臣時代に「日米自動車交渉」をまとめあげるなど、日本産業界に多大な貢献を果たしています。
そんな橋本さんが総理大臣就任後に真っ先に取り組んだ案件が「住専問題」となっており、野党の大反対を押し切り公的資金を注入する道筋を整えた結果、バブル崩壊後の日本経済を悩ませていた不良債権問題解決の功労者となりました。
また、沖縄の米軍基地問題に対しても意欲的に取り組んでいた橋本さんは、アメリカ政府より「普天間飛行場」返還の確約を取った功績もあります。
同年2月23日にアメリカのクリントン大統領との首脳会談で、橋本は普天間飛行場の返還を要求し、4月に全面返還で日米政府が合意した。普天間の代替基地についても安全保障政策や環境政策が絡む中で米国や沖縄の基地自治体関係者と対談を行い、代替施設について名護市の受け入れ表明を取り付けて、普天間基地返還に本格的道筋を付けた。
引用：橋本龍太郎
しかしながら、不況下に財政再建に拘り赤字国債発行を削減し続けるなど、臨機応変な政治が出来なかった橋本さんは、「山一証券」や「北海道拓殖銀行」の破綻に象徴される「平成恐慌」を招いてしまった張本人との指摘も存在します。
橋本さんが強行した緊縮財政の影響は大きく、日本が長期的なデフレ経済に入るきっかけとなった他、バブル崩壊後に顕在化していた就職氷河期を悪化させてしまい、多くの失業者を生む結末となってしまいました。
ちなみに、橋本さんが緊縮財政という致命的な失政を犯してしまった原因については、財務官僚たちの言い分を鵜呑みにしすぎてしまったようですね。
橋本龍太郎、失政を取り戻せずに首相退陣していた
総理大臣として経済政策に大失敗してしまった橋本龍太郎さんは、1998年7月に行われた「第18回参議院議員通常選挙」での自民党の惨敗の責任を取り、総理大臣を退陣しています。
橋本さんがわずか2年半ほどの任期で総理大臣の地位から失脚してしまった原因については、自民党内での人望のなさのせいで、失敗を庇ってくれるような政治家仲間がいなかったことも大きかったとか。
「あれだけ政策に通じ、頭の切れも抜群だったのに、人望がなかった。気位が高く、向こうっ気が強い自信家だから、筋が違うとなると誰に対しても徹底的にやり込める。相手を土俵の外まで追い出してしまうから、かわい気がないということだった。
だから、橋本には人が集まらず、子分ができなかった。要するに、結局は“一匹狼”で終わってしまった。外からのエネルギーを吸収できない『硬構造ビル』の政権だっただけに、“激震”には耐えられなかったということだった」
橋本龍太郎の生い立ちと経歴…父親の急死で政治家へと転身していた
橋本龍太郎、麻布中学の劣等生だった
政治家・橋本龍伍さんの長男として東京都渋谷区に生まれて来た橋本龍太郎さんですが、母方の祖父も戦前に警視総監や朝鮮総督府政務総監などを務めた大野緑一郎さんという大物でした。
所謂名家の出である橋本さんですが、家庭運に恵まれなかったようで、生後5ケ月の頃に母・春さんが中耳炎をこじらせて病死してしまったため、祖母に育てられることになりました。
7歳の時に父親の再婚で継母が出来た橋本さんは、小学時代は大変な優等生だったようで、中学受験に成功し名門進学校である麻布中学へ入学しています。
麻布中学時代の橋本さんは、それまでとは打って変わった劣等生となってしまい、テストでは0点ばかりで同級生から裏口入学を疑われるほどだったとか。
しかしながら、同級生であった作家の安部譲二さんと親友の間柄になるなど、学生生活自体は楽しく過ごしてもいました。
その後、麻布高校へと進学することとなった橋本さんは、山岳部に入部して登山に明け暮れる青春時代を過ごしたそうですが、この頃になると成績は学年中位にまで持ち直していたようですね。
橋本龍太郎、父親の急死により政治家に転身していた
麻布高校を卒業後は慶應義塾大学法学部に進学することとなった橋本龍太郎さんは、登山の他に剣道に打ち込むようになるなど、相変わらず文武両道型の学生でした。
大学を卒業後は、呉羽紡績（現：東洋紡）に入社することとなった橋本さんでしたが、入社3年目に父・龍伍さんが喉頭がんで急死したこともあり、20代の若さで政治家に転身することになりました。
父の意中の後継者は弟・大二郎であり、龍太郎本人も政界に進むつもりはなかった。後に橋本は「親父は僕を政治家にするつもりはなかったし、僕も全くやる気はなかった。腕白坊主だったから」と述べている。しかし、当時未成年であった大二郎は被選挙権を得ておらず、橋本の継母・正に出馬を求める声も挙がったが、父と親交の深かった佐藤栄作による指名を受け、龍太郎が亡父の後継者として選挙に出馬することになった。
引用：橋本龍太郎
橋本龍太郎の家系図…祖父の代からの上級国民だった
橋本龍太郎、祖父は実業家の橋本卯太郎だった
橋本龍太郎さんのルーツに関しては、岡山県総社市にある農家だったそうですが、祖父である橋本卯太郎さんの代には既に落ちぶれており、耕す畑も荒れ果てていたようですね。
橋本家の長男だった卯太郎さんはそんな故郷に見切りをつけ、わらじを作りながら稼いだお金を手に20歳（1887年）の時に東京へ上京しています。
上京後の卯太郎さんは、新聞配達や牛乳配達をして貯め込んだお金で1894年に東京工業学校（現：東京工業大学）に進学。卒業後は、アサヒビールやサッポロビールの前身としてお馴染みな「大日本麦酒」のエンジニアとして出世し、最終的には常務取締役の地位まで上り詰めたそうですね。
橋本龍太郎、父・橋本龍伍は大物政治家だった
橋本龍太郎さんの父・橋本龍伍さんに関しては、橋本卯太郎さんの五男として1906年に東京都目黒区に生まれています。
少年時代に患った「結核性の腰椎カリエス」の後遺症で足に障害を負ってしまった龍伍さんでしたが、逆境に負けずに東京帝国大学（現：東京大学）法学部に進学する秀才でした。
卒業後は大蔵省に入省してキャリア官僚となった龍伍さんは、独占禁止法の立案などに関わっていたようですね。
その後、1949年に政治家の吉田茂さんの誘いを受けて政治家に転身し、民自党から出馬した龍伍さんは、文部大臣や厚生大臣などを歴任する大物政治家へと上り詰めました。
橋本龍太郎、兄弟には元高知県知事・橋本大二郎がいた
橋本龍太郎さんは、母違いの弟・橋本大二郎さんも政治家として有名でした。
名門・進学校である麻布高校を卒業後は東大受験に挑んだ大二郎さんでしたが、2度の受験失敗に懲りて慶応義塾大学法学部へ進学。卒業後は、NHKに入社しキャスターとして活躍することになりました。
43歳の時にNHKを退社して政治家に転身した大二郎さんは、高知県知事を4期務めるなど大きな成功を掴みます。
高知県知事を退任後は、テレビ朝日の看板情報番組「ワイド!スクランブル」のメインキャスターを4年半務め上げるなど相変わらず活躍が目立った大二郎さんは、近年は「東アジア共同体研究所」の理事や武蔵野大学の客員教授をしています。
橋本龍太郎の家族情報…嫁とは血の繋がらない遠い親戚関係だった
橋本龍太郎、嫁・久美子は血の繋がりのない遠縁だった
橋本龍太郎さんは、子宝に恵まれており娘も3人生まれています。
・長女：寛子（1967年生まれ）
・次女：厚子（1971年生まれ）
・三女：旦子（1982年生まれ）
橋本さんの娘たちに関しては、寛子さんが橋本さんの秘書を務めていた井上貴之さんと結婚している他、厚子さんも元日本銀行職員の片岡久儀さんと結婚したようですね。
ちなみに、片岡さんは橋本さんの後輩にあたる慶應義塾大学出身だったうえに、母親が久美子さんとは同級生という縁がありました。
橋本龍太郎の醜聞…中国のハニートラップに引っ掛かっていた
橋本龍太郎さんといえば、中国人スパイのハニートラップに引っかかってしまった政治家としても有名でした。
有名なのは、橋本龍太郎元首相を籠絡した中国人女性通訳のケースだ。1996年、橋本氏に、中国政府関係者を夫に持ち駐日中国大使館への勤務経験もある中国人女性との親密な関係が発覚した。
後に、この女性は北京市公安局の情報工作員だったことが判明。橋本氏と交流を持ちながら、中国へのODA増額などの働きかけを行なっていた疑いがある。
橋本さんが女性スパイ・Aと知り合ったのは1970年代末だったらしく、ホテルニューオータニのロビーにて、Aが落としたハンドバッグを拾ってあげたことで交流が始まったようですね。
政治家は、いかなる出会いにも警戒心を持たねばならないという教訓のようなエピソードと言えます。
橋本龍太郎の現在…2006年に死亡しており暗殺説も流れていた
橋本龍太郎、死因は腸管虚血だった
総理大臣を退陣後の橋本龍太郎さんに関しては、後を引き継いだ小渕内閣から厚生大臣への就任を打診された他、森内閣では行政改革担当大臣や内閣府特命担当大臣の要職を兼任するなど、相変わらずの活躍が続きました。
その後自民党内での再評価が進み、2001年4月に自民党総裁選に再出馬出来るまで勢力を回復させた橋本さんでしたが、小泉純一郎さんに敗れ総理大臣への返り咲きはかないませんでした。
以降もアンチ小泉勢力として暗躍していた橋本さんですが、2004年7月に発覚した「日歯連闇献金事件」により政治生命を絶たれ、地盤を次男の岳さんに譲る苦渋の決断を強いられています。
内容としては、橋本と青木幹雄・野中広務が日本歯科医師連盟会長、理事（当時）と料亭で会食し、その際に1億円の小切手を受け取り、旧橋本派の公認会計士が換金を行って旧橋本派の派閥金庫にしまわれ、この献金について旧橋本派や平成研究会が収支報告書に記載しなかったというものであった。
引用：橋本龍太郎
政治家引退後の橋本さんに関しては、2006年6月に腹痛を訴えて緊急入院したところ、「腸管虚血」が判明し緊急手術を受けたものの、容態は回復せずに同年の7月1日に亡くなってしまいました。
ちなみに、橋本さんが患った「腸管虚血」とは、大腸や小腸に血液を送っている上腸間膜動脈が閉塞してしまう病気だとか。
橋本龍太郎、アメリカに暗殺されたとの噂もあった
橋本龍太郎さんには、アメリカに暗殺されたとの都市伝説も存在します。
橋本龍太郎は暗殺されたのだ。米国債を売ろうとして。２００６年多臓器疾患でぼろぼろになって。劣化ウランの超微粉末を盛られたのだろう。
— 村田葉欄、Halan Murata (@HiroshiMurata) April 30, 2016
51分あたりから https://t.co/wuUSsMRggh @YouTubeさんから
こちらの都市伝説が発生した理由については、総理大臣時代の橋本さんが米軍基地問題でアメリカ政府と対立していた他、「アメリカ国債を売りたい衝動にかられる」と発言しNYダウを暴落させた騒動などがあったことが、陰謀論へと繋がってしまうことになりました。
1997年６月23日、当時の橋本龍太郎首相が米コロンビア大学での講演のあとの質疑応答で、「米国債を売りたい衝動に駆られることがある」とジョーク交じりにコメントした。ＮＹダウは192ドル下落、1987年のブラックマンデー以来の大幅な下げとなった。
しかしながら、「腸管虚血」はヘビースモーカーがなりやすい病気の1つとなっており、高校時代から愛煙家だった橋本さんが発症することは、特に不自然な状況ではないようですね。
橋本龍太郎についてまとめてみると…
政治家として数々の実績を残した橋本龍太郎さんですが、総理大臣時代の失政や不祥事で政治声明を絶たれた経緯もあり、必ずしも称賛の声ばかりではないようです。
橋本さんのご冥福を祈りつつ、この記事のまとめを終了させて頂きます。
