昭和を代表する未解決事件の「グリコ森永事件」ですが、その背景には闇組織の関与説など色々な噂が存在します。
この記事では、「グリコ森永事件」の詳細や犯人説など真相についてまとめてみました。
この記事の目次
昭和の未解決事件「グリコ森永事件」の詳細
グリコ森永事件は江崎グリコ社長誘拐から始まった
グリコ森永事件は、1984年3月18日に起こった江崎グリコの社長・江崎勝久さんの誘拐事件から始まります。
当日夜、兵庫県西宮市内の自宅で子供と一緒に入浴中だった勝久さんは、自宅に押し入った２人組の男たちにより誘拐されてしまいました。
翌日、大阪府高槻市に住む江崎グリコ取締役宅に誘拐犯より電話があったため、指定された場所に向かった取締役は、「10億円の現金と100㎏の金塊」を身代金として要求する脅迫状を発見することになります。
とはいえ、現金だけでも130㎏にも及ぶ重量となるこの身代金要求は陽動作戦でしかなかったらしく、約束の期限になっても指定の場所に犯人たちが現れることはありませんでした。
誘拐された勝久さんに関しては、監禁中にポラロイドカメラで恥ずかしい写真を撮られたとの噂も存在しますが、事件３日目となる1984年3月21日になると、大阪府茨木市にある水防倉庫から脱出して警察に保護されています。
脱出といっても、犯人たちが勝久さんの足のロープをほどき見張りを解いた状況下での出来事だったため、事実上の開放だったようですね。
脱出後の勝久さんは、当初は警察の取り調べに対して協力的だったものの、取調室にやって来た江崎グリコ取締役と数分ほど密談した後は態度が一変し、犯人情報について黙秘を貫くようになったと言われております。
警察に保護された当初は興奮した口調で話しだした。ところが、そこに飛んできた会社の役員としばし密談すると、態度が一転し、かたくななまでに口を閉ざしてしまったという。
引用：口をつぐんだ被害者
江崎グリコへの脅迫と放火事件が発生
社長の誘拐事件に震撼することとなった江崎グリコですが、1984年4月2日になると、今度は江崎勝久さん宅に塩酸入りの目薬と共に現金6000万円を要求する脅迫状が届くことになりました。
この時の脅迫状も犯人側のデコイでしかなかったらしく、約束の期限になっても指定場所に犯人一味の姿はなかったようです。
その後の犯人たちは、1984年4月8日にマスコミ宛に挑戦状を送った後、同年の4月10日夜なると江崎グリコ本社とグリコ栄養食品を次々に放火し、本社の工務部試作室が全焼する被害が生じました。
江崎グリコに対し毒入り菓子ばら撒きの脅迫
江崎グリコに対する３度目の脅迫状は、1984年4月23日に届き１億2000万円が要求されたものの、この時も現金回収に犯人一味が動くことはなかったようですね。
1984年4月23日には、その他にも犯人一味からマスコミ宛に2度目の挑戦状も送り込まれ、「かい人21面相」を名乗り始めるなど新展開もありました。
現金回収には姿を見せない「かい人21面相」でしたが、その行動はどんどんエスカレートして行き、1984年5月10日なると、マスコミ宛に「グリコの せい品に せいさんソーダ いれた」との挑戦状を送っています。
この時は本当に青酸入りのお菓子がばら撒かれることはなかったようですが、「かい人21面相」からの脅迫受けて、全国のスーパーの店頭などから江崎グリコ製品が撤去されるといった騒動まで発展し、江崎グリコ側に数十億円単位の損失が生まれることになりました。
犯人一味が替え玉を使い身代金回収を狙うも失敗
「かい人21面相」のせいで大損害を被ることとなった江崎グリコについては、犯人一味から引き続きターゲットにされており、1984年5月20日になると、3億円を要求する脅迫状が届くことになります。
この時も期限までに指定場所に現れることはなかった「かい人21面相」ですが、同年の5月31日に江崎グリコへ再度3億円を要求する脅迫状を送っています。
空振りに終わる覚悟で、受け渡し先に指定された大阪・摂津市内のレストランに張り込んでいた警察官たちでしたが、不審な男が身代金の入った車へ近づいて来たため身柄を確保することになりました。
しかしながら、不審な男は実は「かい人21面相」により用意された替え玉だったらしく、犯人逮捕との誤報の全国ニュースまで流れる事態となってしまいました。
1984年6月2日、グリコ脅迫事件において指定されたレストランの駐車場より約2.8km離れた寝屋川市で、商事会社に勤める男性と同僚で恋人の女性が車でデートしていた。しかし、20時15分ごろ、停車中に男3人組に襲われる。男性は元自衛官で腕力には自信があったが、さすがに3対1では敵わなかった。男3人組は男性が無抵抗になるまで殴打を続け、その後車に乗せて黒い布袋をかぶせた。
一人は別の車に女性を連れ去り、残る2人組が男性の車に乗りこみ、男性にグリコ脅迫事件において指定されたレストランの近くまで運転しないと女性の命を保証しないと脅迫され、犯人の言われるままに行動。レストランの近くまで運転すると降ろされ、駐車場にある車に乗って別の指定場所まで運転するよう指示された。
引用：寝屋川アベック襲撃事件
元自衛官の男性から「かい人21面相」との合流場所を聞き出した警察側は、捜査車両を急行させ不審な車を発見するところまで漕ぎつけたものの、国道1号線の交差点で見失ってしまうといった失態を演じております。
「かい人21面相」が江崎グリコに対して終結宣言
「かい人21面相」により経営危機へと追いやられていた江崎グリコですが、1984年6月26日になると、マスコミ宛に犯人一味から挑戦状が届き、「江崎グリコゆるしたる」と一方的な終結宣言をしました。
「かい人21面相」が突如として終結宣言をした背景には、江崎グリコと犯人一味との間で裏取引があり、江崎グリコ側が大金を支払ったのではないかとの憶測も流れました。
実際の話、「かい人21面相」が後に他の食品会社を脅迫し始めた際に送った脅迫状内には、江崎グリコが６億円支払ったの一文があったそうですね。
丸大食品への脅迫と事件を捜査を惑わしたキツネ目の男
「かい人21面相」は、1984年6月22日になると、丸大食品へ5000万円の現金を要求する脅迫状を送っていますが、社会不安を懸念した警察側が事件を公開しなかったため、一連の騒動がリアルタイムで報道されることはありませんでした。
大阪府警察本部特殊事件係の刑事7人が丸大社員になりすまして指定場所に行くと、国鉄高槻駅で指定する時間の京都駅行き電車に乗って左側の窓に白い旗が見え次第車窓から金を詰めたボストンバッグを投げ落とせと指示するタイプ文字の指示書があった。
刑事はボストンバッグを投げ落とさず高槻駅から終点の京都駅まで乗ることになった。
引用：丸大食品脅迫事件
この時の「かい人21面相」は、江崎グリコへの脅迫事件とは違いグループの１人が現場まで直接確認に来ていたらしく、電車内で丸大食品の社員に成りすました警察官たちを見張っていたようですね。
後に「キツネ目の男」と呼ばれたこの男については、現金受け渡し現場での犯人グループの一網打尽に拘っていた捜査本部の意向により、現場の警察官たちには逮捕権限が与えられていなかったため尾行することしか出来ず、取り逃がす羽目になりました。
ちなみに、「キツネ目の男」候補として警察に事情聴取を受けたことで有名になった人物が、事件当時週刊誌向けのフリー記者として活躍していた宮崎学さんでした。
早稲田大学の第二法学部中退というインテリな宮崎さんは、元共産党員であり、大学時代は学生運動に明け暮れていました。
父親が解体業を営む博徒だったこともあり、バブル時代には地上げ屋として活躍するだけのアンダーグラウンド人脈を誇る宮崎さんでしたが、グリコ森永事件には本当に無関係だったことが濃厚です。
事情聴取半年前から宮崎さんの尾行を開始するなどホンボシ扱いしていた警察ですが、事件当日の宮崎さんには、都内の音楽大学の労組会議に参加していたとのアリバイがあることが判明すると、以降は尾行の気配すらなくなったと言われております。
「かい人21面相」による丸大食品への脅迫行為は、1984年7月を最後に終結しています。
1984年７月3日に送られた脅迫状の際は、「かい人21面相」が指定した場所に犯人一味の姿は見えなかった他、同年の7月11日に再度脅迫状が送られて来た時には、身代金受け渡し場所の指定すらなく尻切れトンボに終わりました。
丸大食品の次のターゲットは森永製菓だった
グリコ森永事件に関しては、1984年９月12日になると、森永製菓にも1億円を要求する脅迫状が届いています。
とはいえ、この時も「かい人21面相」は現金受け渡し現場には現れずに、現場に張り込んでいた警察官たちも肩透かしに終わってしまいました。
その後、毎日新聞のスクープにより森永製菓脅迫事件が明るみに出た後は、「かい人21面相」はマスコミ宛に「青酸入りのお菓子をばら撒く」との挑戦状を送り付けて来ております。
江崎グリコにも同様の脅迫をしていた「かい人21面相」ですが、森永製菓の時には、1984年10月8日になると、関西地方のコンビニを中心に青酸入りのドロップが発見されるといった騒動へと発展することになりました。
その結果、全国のス－パーなどから自社の商品が撤去されるといった憂き目に陥った森永製菓は、この騒動だけで70億円もの損害を被ったそうですね。
「かい人21面相」による森永製菓脅迫事件では、青酸入りドロップが見つかったコンビニの防犯カメラに不審な男が移っていた画像が公開された他、脅迫に利用された音声テープも公開されたものの、犯人逮捕の決定打にはなりませんでした。
森永製菓は青酸入りお菓子をばら撒かれた後も「かい人21面相」から脅迫を受けており、1984年11月1日にも２億円を要求する脅迫状が届きましたが、具体的な受け渡し場所の指定まで進展することはありませんでした。
ハウス食品にも1億円の脅迫状を送っていた
「かい人21面相」は、1984年11月7日になると、ハウス食品に対しても現金1億円を要求する脅迫状を送っています。
この時は、1984年11月14日夜が現金の受け渡し期日となりましたが、「かい人21面相」側は録音テープやメモを使い受取場所を4回変更するなど、警察側を翻弄していました。
また、警察側の動きを「かい人21面相」側も監視していたのか、事件現場の1つとなった大津サービスエリア付近では、「キツネ目の男」の姿も目撃されていたようです。
とはいえ、「かい人21面相」側も常にひょうひょうとした態度で警察を翻弄することは不可能だったようで、事件当日夜の草津パーキングエリアにて、警察側が犯人一味と思われる人物が乗った車を発見しています。
一方、白い布があった場所の付近で、パトカーがパトロールをしており一連の事件捜査を知らない滋賀県警の所轄署外勤課員が、夜なのに無灯火の不審な白いライトバンを発見。外勤課員が職務質問するために白のライトバンに駆け寄り懐中電灯を照らすと、運転席に男がいた。しかし、白のライトバンは急に発進。白のライトバンはパトカーと激しいカーチェイスを繰り広げパトカーを振り切った。21時25分、白いライトバンが発見されたが、男の姿はなかった。白いライトバンは11月12日に盗難された車と判明した。パトカーが不審車の前方をふさぐように停車せずに、横付けしたことを失策と指摘する論調もあった。取り逃がした外勤課員は責任を取って後に辞職した。
引用：ハウス食品脅迫事件
上記の遭遇事件は「かい人21面相」側にとってもかなりショッキングな出来事だったようで、現金受け渡し現場に犯人一味が現れることがなかっただけではなく、以降はハウス食品への脅迫行為は休止されることになりました。
不二家は脅迫を跳ね除けていた
グリコ森永事件では、「かい人21面相」により不二家も脅迫されることになりました。
「かい人21面相」からは、1984年12月15日と26日に、2000万円の現金を指定場所からばら撒くことを要求されていた不二家ですが、他社とは違い脅迫には屈しませんでした。
その他にも「かい人21面相」と思われる男たちの無線での交信が、市井のアマチュア無線愛好家に偶然傍受されるといった騒動もあったため、以降は犯人一味の活動も停滞していくことになります。
なお、事件発生直前の12月4日にアマチュア無線の7MHz帯オフバンド（指定範囲外の周波数）にて「21面相、こちら玉三郎」「クスリは用意できたか」「ひと、ふた、ひと、ろく（12月16日と推定される）、航空券が往復確実に取れてR6（アマチュア無線での沖縄郵政管理事務所（現:沖縄総合通信事務所）の地域番号と推定される）へ行く場合は日帰りで必ずアシがつかないように戻ってくるように」「不二家はやっぱり金払わんちゅうとんのけ」「不二家あきらめたほうがええわなこりゃ」などいう「21面相」と「玉三郎」を名乗る2人の通信が北海道岩内郡のアマチュア無線家によって偶然にも傍受録音されていた（北海道テープ）。捜査本部は犯人グループの可能性が高いと判断して、捜査が行われ、一部はマスコミ向けに公開された。
引用：不二家脅迫事件
グリコ森永事件の死者数～事件の失態を苦にして警察本部長が自殺
グリコ森永事件、1985年8月に犯人からの終結宣言
1985年に入ってからの「かい人21面相」に関しては、2月13日にマスコミ相手に挑戦状を送り付けた他、東京都や愛知県のスーパーなどに青酸入りチョコレートをばら撒いています。
また、2月24日には和歌山県にある老舗和菓子屋・駿河屋にも、「かい人21面相」からの脅迫状が送りつけられていたそうですね。
とはいえ、その他に大きな動きを見せることもなかった「かい人21面相」は、8月12日に「くいもんの 会社 いびるの もお やめや」と終結宣言を出し、以降は表舞台に出て来ることもなくなりました。
毒入り菓子の被害者0人も失態を苦にして滋賀県警本部長が自殺
1年半弱で終結したグリコ森永事件ですが、2度ほど青酸入りお菓子がばら撒かれた事件なのにも関わらず、該当菓子に「どくいり きけん」とラベルが貼られていたため死者は0人という奇跡的な結末を迎えています。
一方で、ハウス食品に対する脅迫事件の際に、犯人車両をみすみす取り逃がしてしまう形となった滋賀県警本部長が、失態を苦にして退職の日に焼身自殺を遂げるといった痛ましい騒動もありました。
累計130万人を超える捜査員が投入されて捜査が続いたグリコ森永事件でしたが、2000年2月に全事件での時効が成立しており、「かい人21面相」は逮捕されず仕舞いでした。
「グリコ森永事件」の真相～犯人「かい人21面相」の正体とは？
グリコ森永事件の犯人① 過激派グループ説
グリコ森永事件で過激派説が囁かれた理由については、1978年に江崎グリコの役員宅に送られた「53年テープ」が原因でした。
このテープは昭和５３年８月にグリコの役員宅に送られたもので、「京都の知り合いの過激派連中がグリコから３億円を脅し取る計画を進めている」とし、自分が仲介するから１億７５００万円を出せという内容が吹き込まれていた。警察はそこに登場する左翼、そしてテープを送った人物にこだわった。
引用：捜査陣と犯人の知恵比べ
過激派犯人説では、警察の間で「北陸の男」と呼ばれる人物がグループのリーダー格扱いをされていたようですが、犯人と特定する証拠がないままに逃げ切られてしまうことになりました。
グリコ森永事件の犯人② 被差別部落グループ説
グリコ森永事件の犯人グループの正体については、被差別部落犯行説も存在します。
こちらの説が生まれた理由については、「53年テープ」を送った人物が部落解放同盟の幹部を自称していたことに加えて、1966年にグリコ乳業がヤシマ乳業を買収した際に、一部の酪農業者との取引を中止するなどしたため、被差別部落関係者から恨みを買っていたことが挙げられます。
また、グリコ森永事件の犯人の遺留品や脅迫テープなどからも、被差別部落関係者の関与が疑われるような物証があがっていたようですね。
この事件に関しては、被差別部落関係者が関与しているという説もある。その根拠は、9月18日の森永の男の子の声による脅迫テープを分析した結果、周辺環境の音の中に皮革製品に使用される独特のミシンの音が入っていたということ、犯人グループが使用したもののほとんどがマイノリティの多い町の近くのスーパーで購入されていたこと、というものであった。
引用：グリコ・森永事件
しかしながら、部落解放同盟からの抗議活動により、こちらの線での捜査は打ち切られてしまったと言われております。
グリコ森永事件の犯人③ 縁戚関係者グループ説
グリコ森永事件の犯人グループの正体については、江崎グリコの創業家の縁戚説も存在します。
こちらの人物Aさんは、戦後に江崎グリコに土地や建物を貸していた恩人であり、グリコ栄養食品が近隣住民との排水の悪臭問題で揉めた時には、仲裁役まで担当するほどの間柄でした。
その後、A氏の経営していた会社が孫・Bさんの代に傾く憂き目となった際には、兼ねてからの恩人の危機に江崎グリコ側も10回以上の融資をしたそうですね。
しかしながら、何度融資をしてもBさんの会社が自転車操業から抜けだせなかったため、江崎グリコ側からは借金の棒引きと引き換えに会社の清算が提案されることになりました。
その結果、Bさんの会社は1981年2月に倒産することとなりましたが、銀行筋からの借金がまだ残っており、倒産後も引き続き返済を催促されていました。
Bさんが銀行筋の借金をようやく整理出来たのは、奇しくもグリコ森永事件の最中の1984年7月となっており、江崎グリコの創業家からの融資があったおかげで返済が出来たようですね。
状況証拠的にかなり黒い存在だったAさんとBさんには、江崎グリコのために汚れ仕事も担当していた経緯から右翼や暴力団関係者にも人脈があったらしく、警察側からも犯人グループのリーダ－格と目されることになりました。
しかしながら、AさんとBさんには、江崎グリコの社長である「江崎勝久さん誘拐事件」前後の時期にしっかりとしたアリバイがあったため、警察側も捜査を断念しております。
グリコ森永事件の犯人④ 総会屋グループ説
グリコ森永事件の犯人グループの正体については、総会屋犯行説も存在するようです。
江崎グリコは、1982年の商法改正により総会屋の取り締まりが厳しくなった際に、兼ねてより付き合いの深かった総会屋一派との縁切りを目論んでいました。
そのことを恨んだ総会屋グループの1つが起こした事件が、グリコ森永事件だという話となっています。
犯人一味と目されていた総会屋グループは、元警察官をリーダーとした20人近い一団だったらしく、事件を起こした目的は、江崎グリコ側に今後も利益供与を続けさせるために恐怖を植え付けようとしていたと言われております。
グリコ森永事件にて、青酸入りお菓子をばら撒かれる被害を受けた森永製菓に関しても、商法改正を機に総会屋との縁切りを目論んでいたせいで、江崎グリコ同様に制裁を受けることとなったそうですね。
ちなみに、件の総会屋グループへの捜査に対しては、背後にいる大物政治家たちから横槍が入り続け、断念をする羽目になったとか。
「会社も悪いのがいっぱいあった。会社はオレたちのような与党総会屋を使って、悪い部分が露見しないようにしていたクセに、急に『悪いのは総会屋だ』と言うようになった。だいたい総会屋が絡んだ何百億円、何千億円という金はほとんど九割が政治家に流れていたんだ。会社は『先生に迷惑がかかるとアレだから』と及び腰になったわけだよ」
引用：強大な権力の影…
グリコ森永事件の犯人⑤ 元暴力団組長グループ説
グリコ森永事件の犯人グループの正体については、元暴力団組長犯行説も存在します。
犯人グループのリーダーと目されている人物は、山口組の直系組織の暴力団の組長をしていたCさんだったらしく、1984年起こった山口組のお家騒動を機に暴力団員を引退したそうですね。
そんなCさんが犯人扱いされた理由については、過去に江崎グリコを脅迫して5億円を脅し取ろうとした過去があったことやグリコ森永事件後に本人の口座に被害企業の関係者から3億円が振り込まれていたことが原因でした。
その他にもCさんは「53年テープ」に登場する人物と交流があったり、脅迫状などに使われた和文タイプライターを所有していたりと、怪しすぎる状況証拠が揃っていました。
そのため、警察側も1992年にCさんとその関係者に任意同行を求めて事情聴取をするといった賭けに出ましたが、主要メンバーにアリバイがあった他、容疑を認める関係者もいなかったことから、大失敗に終わりました。
グリコ森永事件の犯人⑥ 北朝鮮工作員グループ説
グリコ森永事件の犯人グループの正体については、北朝鮮工作員説も存在します。
こちらの説は、北朝鮮工作員と目されている兵庫県の貿易会社社長の声が、「53年テープ」の男の声と似ていたことや「キツネ目の男」に良く似た人物などと交流があったことから発生したようですね。
犯人グループがグリコ森永事件を起こした動機については、「北朝鮮の金鉱山開発投資に失敗したせいで金策が必要だったのではないか？」との推測が警察内では流れていました。
しかしながら、貿易会社社長は1987年に故人となってしまったうえ、1998年に行われた警察の声紋鑑定の結果でも「53年テープ」の男の声と貿易会社社長は別人であることが判明しました。
ちなみに、貿易会社社長の知人である「キツネ目の男」に良く似た男性も警察の面割捜査の結果、別人という結論が出てしまうことになりました。
「グリコ森永事件」についてまとめると…
・グリコ森永事件の毒入り菓子ばら撒きによる死者は出なかったが、失態を苦にして滋賀県警本部長が自殺している
・グリコ森永事件の犯人「かい人21面相」は逮捕されぬまま、2002年2月に時効が成立した
20世紀を代表する未解決事件である「グリコ森永事件」ですが、結局のところ真相は謎のままとなっています。
犯人候補のグループがいくつも存在したことについては、あの時代の日本の闇が深かった証拠なのかもしれませんね。
