田上不美夫は工藤会ナンバー2＆無期懲役

 

田上不美夫は五代目工藤会の会長であり、総裁の野村悟の腹心であり、工藤会のナンバー2だった人物です。

 

工藤会のナンバー2として、多くの構成員を束ねる存在でしたが、2014年に殺人容疑で逮捕され、2021年に無期懲役の有罪判決を言い渡されています。

 

 

 

田上不美夫が属していた工藤会とは

 

田上不美夫が属していた工藤会（工藤會）とは、福岡県北九州市小倉北区に本部を置く暴力団です。九州地区最大の暴力団であり、福岡県警によると、は2020年末時点で構成員は220人・準構成員210人の合計430人の勢力を誇っています。

 

工藤会の特徴はとにかく武闘派であり、暴力団の中でも飛びぬけて暴力的であるという点です。そのため、全国で唯一「特定危険指定暴力団」に指定されています。

 

また、あまりにも凶暴で凶悪な暴力団であることから、次のように表現・形容されています。

 

 

行政や警察だけでなく、アメリカ財務省からもこのように言われている工藤会は、日本最凶の暴力団と言っても良いかもしれません。アメリカ財務省からは金融制裁の対象にされています。

 

田上不美夫はその工藤会の会長であり、ナンバー2だったのです。

 

 

市民を攻撃の対象にしている

 

田上不美夫が所属していた工藤会がなぜここまで「最凶」の暴力団と言われ、日本で唯一「特定危険指定暴力団」に指定されていたのか？それは市民を攻撃の対象にしているからです。

 

工藤会が一般市民を標的にした主な事件には次のようなものがあります。

 

 

これだけで本当にヤバイ暴力団であることがわかりますよね。

 

このほか、みかじめ料を断った飲食店などに執拗に攻撃したり、みかじめ料目的で襲撃することもありました。

 

 

田上不美夫の出身は北九州市の可能性大

 

田上不美夫の生い立ちや出身は明らかになっていません。ただ、工藤会トップ（総裁）の野村悟の獄中記によると、田上不美夫は16～17歳で工藤会に入っています。

 

ちなみに、五代目工藤會会長の田上文雄は16か17歳で当時の工藤会の門を叩き、「ボク、もう少し大きくなったらおいで」と言われたそうだ。

 

引用：短期集中連載 工藤會 野村悟総裁「独占獄中手記」【中編】 (2019年11月5日) – エキサイトニュース

 

一般的に高校生の年齢で暴力団に入ろうとしたということは、「田舎から出てきて、北九州市の工藤会に入る」というよりも、地元の暴力団に入ったという方が自然でしょう。そのため、田上不美夫は北九州市かその周辺の出身の可能性が高いと言えます。

 

田上不美夫を工藤会ナンバー2に引き上げた工藤会トップの野村悟も小倉市（現在の北九州市）出身です。「同郷」というつながりから、田上不美夫が野村悟の腹心になったとも考えられます。

 

 

 

 

田上不美夫の生い立ちと若い頃・経歴・本名と読み方

 

先ほども触れましたが、田上不美夫の生い立ちは明らかになっていません。2021年時点で65歳ですので、1955～1956年生まれになります。

 

16～17歳で工藤会に入っていることからも、一般的に言う「恵まれた生い立ち」とは真逆の生い立ちだった可能性が高いでしょう。

 

田上不美夫は工藤会の二次団体であり、工藤会本流とされる田中組所属になります。田中組の三代目組長は野村悟の腹心となり、1990年ごろには田中組のナンバー2（若頭）になりました。

 

2000年に野村悟が工藤会の四代目会長を継承するのと同時に、田上不美夫が田中組四代目組長を継承しました。

 

そして、2011年7月に野村悟は工藤会の総裁になり、田上不美夫が工藤会の五代目会長になったのです。

 

実は、田上不美夫（たのうえ ふみお）は「田上文雄」という名前でした。2012年の「マッドマックス」という雑誌では、田上不美夫は「田上文雄」という表記になっています。どうやら、この後に「田上文雄」から田上不美夫に改名したようです。

 

不美夫に反応してる奴おるけど、もとは文夫だったのをわざわざ家庭裁判所いって改名したんだよ

 

引用：【無期懲役】「工藤會」ナンバー2・田上不美夫被告、裁判長に「東京の裁判官になって良かったね」 [記憶たどり。★]

 

さすがに自分の子供の「不美夫」と名付ける親はいないと思います。何か「不美夫」という漢字にこだわりがあったのでしょうか。

 

2012年の時点では「田上文雄」で2014年のニュースでは「田上不美夫」になっていますので、2012年～2014年の間に改名したと思われます。

 

 

田上不美夫の嫁や息子・娘の情報

 

田上不美夫は結婚していることがわかっています。ただ、嫁がどんな女性なのかは明らかにされていません。ただ、2010年に田上不美夫の自宅が家宅捜索された時には、嫁が立ち会ったようです。

 

――自宅を家宅捜索されたことをどう思ったか

　自宅は配慮はしてほしいと思った。妻は私の妻だから仕方ないですが、子どもなんかには配慮してほしかった。昔は配慮してくれた人もいた。子どものおる前で歯がゆかった。

 

引用：元警部銃撃知っていたら「バカなことやめろと止める」 [裁かれる工藤会]：朝日新聞デジタル

 

また、子供については娘がいることはわかっていますが、そのほかの子供・息子がいるかは不明です。

 

田上不美夫の娘は川上友貴という名前です。この田上不美夫の娘には逮捕歴がありました。

 

川上被告は指定暴力団・工藤会のナンバー２で、殺人などの罪で起訴されている田上不美夫被告（５８）の娘ですが、今回の事件には工藤会の組織的な関与はうかがえないということで、警察は一連の捜査を終えました。

 

引用：悪道速報 工藤会ナンバー２田上不美夫被告の娘　川上友貴被告を詐欺容疑で送検

 

この田上不美夫の娘は、他人の健康保険証などを不正に入手して、消費者金融からお金を借りたり、携帯電話を購入したりして、115件の詐欺事件で360万円相当をだまし取っていた罪で2014年12月に逮捕されていました。

 

ちなみに、田上不美夫本人は2014年9月に逮捕されていますので、父と娘は立て続けに逮捕されたことになります。田上不美夫の嫁の心中を考えると、やるせないですね。

 

田上不美夫と娘の苗字が違う理由は不明ですが、すでに娘は結婚していたか、母方の姓を名乗っていたのかもしれません。

 

この娘のニュースが流れた際には、「工藤会のナンバー2の娘の割には、犯罪がしょぼい」、「ナンバー2の家族なのにしょっぱい」とインターネット上で言われていました。

 

 

田上不美夫の自宅がやばい

田上不美夫の自宅は福岡県北九州市戸畑区にあります。こちらが、田上不美夫の自宅の写真です。

 

 

一見普通の豪邸のように見えますが、塀の上には有刺鉄線のようなものが張り巡らされていて、要塞のようになっています。

 

 

田上文雄の自宅 pic.twitter.com/81ZWwX9A7s

— ちはる (@DhV1op3ywrfmReV) August 26, 2021

 

田上不美夫が逮捕された後には、警察が自宅に家宅捜索に入り、その様子はニュースで放送されています。さすが工藤会のナンバー2の自宅と言えるほど大きいですが、トップの野村悟の自宅よりは普通です。

 

野村悟の自宅はこちらです。

 

 

トップとナンバー2ではこんなにも差があるものなんですね。

 

 

田上不美夫は看護師襲撃事件など4つの市民襲撃事件に関与

田上不美夫は4つの市民襲撃事件に関与したとされています。その4つの事件とは、どのような事件だったのかを見ていきましょう。

 

 

元漁協組合長射殺事件

1つ目の事件は元漁協組合長射殺事件です。この事件は1998年2月18日に福岡県北九州市の路上で、元脇之浦漁業協同組合の組合長の男性（70歳）が至近距離から4発の銃弾を受けて死亡しました。

この事件は、工藤会が公共事業の利権関与を目論んだものの断られたことの報復に起こした事件です。実行犯2名は2008年に無期懲役と懲役20年の刑が確定していますが、工藤会が組織的に関与し、田上不美夫は実行犯に指揮命令したと見られています。

元福岡県警の警部銃撃事件

2012年4月19日に、北九州市の路上で出勤途中の元警部が左太ももと腰を銃撃され重傷を負った事件がありました。

この元警部は2011年まで福岡県警に所属し、退職するまでの33年間ずっと工藤会の捜査を担当していました。

田上不美夫とこの被害者の元警部は、田上不美夫が三代目田中組の若頭になった1990年に知り合い、顔見知りであり、田上被告曰く「何十年もいい関係だった」とのことですが、田上不美夫が不在の時に家宅捜索に入ったことに恨みを抱き、犯行を指示したようです。

看護師刺傷事件

2013年1月28日に福岡市博多区で女性看護師が頭や胸を刃物で刺され、3週間のケガを負う事件がありました。

この事件は、工藤会総裁の野村悟と関係があります。2012年に野村悟は北九州市内の美容クリニックで局部の増大手術と周辺の脱毛手術を受けました。しかし、術後の経過が思わしくなく、野村悟は「あの看護師（被害者）のせいだ」とクリニックにクレームを入れていたようです。

そして、一方的に被害者の看護師に恨みを抱き、看護師への襲撃を考え、野村悟の意を汲んで、田上不美夫が犯行を指示したとされています。

 

歯科医師刺傷事件

 

2014年5月には、北九州市内の駐車場で歯科医師が太ももや胸などを刺される事件がありました。この被害者の歯科医師は1998年2月に殺害された元漁協組合長の孫です。

 

工藤会は公共事業の利権介入のために、漁協幹部を父親に持ち、殺害された元漁協組合長を祖父に持つ被害者を襲撃し、一族を屈服させようとしたと見られています。この事件も、実行犯は別にいますが、野村悟や田上不美夫が指示した事件です。

 

 

田上不美夫は2014年に逮捕

 

田上不美夫は2014年9月13日に、1998年の元漁協組合長射殺事件に関与した罪で逮捕されています。

 

その2日前の9月11日に工藤会総裁の野村悟が逮捕され、同時に田上不美夫も逮捕する予定でしたが、所在不明だったため、特別手配されています。そして、9月13日に田上不美夫本人から「出頭したい」と警察に連絡が入り、逮捕となりました。

 

田上不美夫が逮捕された事件とそれぞれの罪は、以下の通りです。

 

 

一般的に暴力団トップが逮捕されるのは異例のことです。というのも、暴力団トップ・幹部が犯行を指示したという証拠はないからです。

 

しかし、福岡県警は野村悟などの携帯電話の傍受手続きをしたことで、田上不美夫や野村悟が犯行に関与していることを突き止め、逮捕に至っています。

 

 

田上不美夫の判決

 

田上不美夫は、逮捕後は「関与も共謀もしていません」と犯行を否認していました。また、事件への関与を裏付ける直接的な証拠もありませんでした。そのため、どのような判決が出るのか注目されていましたが、田上不美夫への判決は、無期懲役でした。

 

この裁判は主文（判決）は後回しにされ、判決理由から裁判長は読み上げていきました。裁判は午前10時に始まりましたが、判決理由から読み上げられたので、判決が言い渡されたのは午後4時ごろのこと。裁判が始まって6時間後のことでした。

 

判決理由を田上不美夫は身じろぎせずに聞いていて、無期懲役の判決を聞いた時も動じない様子でしたが、退廷する直前に裁判長に対して次のような暴言を吐いています。

 

無期懲役が言い渡されたナンバー２の会長の田上不美夫被告（６５）も「ひどいな、あんた。足立さん」「東京の裁判官になって良かったね」などと、威圧ともとれる発言を残して退廷した。

 

引用：工藤会トップ、死刑判決の裁判長に「生涯後悔するぞ」…ナンバー２は「東京の裁判官になって良かったね」 : 社会 : ニュース : 読売新聞オンライン

 

この裁判長は2021年4月に東京高裁に異動しましたが、長期間のこの裁判を担当していたため、出張してこの判決文を読み上げていました。このことから、「東京の裁判官になって良かったね」というのは脅し・威圧を意味する言葉と言えるでしょう。

 

ちなみに、同じ裁判で死刑判決を受けた野村悟は「公正な判断をお願いしたのに全然公正じゃない」・「生涯後悔するぞ」と声を荒げていました。

 

犯行を裏付ける直接的な証拠がない中で、暴力団のトップに死刑判決、ナンバー2の田上不美夫に無期懲役の判決が言い渡されたのは異例なことであり、警察の執念と言えるかもしれません。

 

 

田上不美夫の現在

 

田上不美夫は2021年8月24日に無期懲役の判決を受けました。その判決は不服だったようで、8月25日に野村悟と共に控訴しています。控訴審はいつになるか決まっていませんが、今後おそらく最高裁まで争うことになるでしょうから、田上不美夫の判決・刑が確定するのは、まだ当分先になると考えられます。

 

また、田上不美夫は現在、接見を禁止されています。これは、裁判の退廷前に裁判官を脅すような発言をしたことで、組員らと接見をして関係者を脅したり、証拠隠滅の恐れがあると考えられえたための措置です。

 

接見禁止処分の場合、面会できるのは弁護士だけです。そのため、田上不美夫は現在、家族に会うことはできず、会えるのは弁護士だけということになります。

 

田上不美夫がナンバー2を務めていた工藤会は、トップとナンバー2が逮捕されたことで（ナンバー3も逮捕）、解体され撤去・売却されています。そのため、2020年に新しい拠点に移動しましたが、そこも福岡県公安委員会から使用制限命令が出たため、現在は田中組事務所を拠点としているようです。

 

田上不美夫が無期懲役、野村悟が死刑の判決を受けたことで、工藤会が今後どのような動きに出るのか注目を集めています。

 

 

 

田上不美夫のまとめ

工藤会ナンバー2の田上不美夫の出身や生い立ち・経歴、家族（嫁・息子・娘）情報と看護師刺傷事件などの事件関与と判決、現在をまとめました。

 

工藤会はトップ2人が逮捕されているものの、2020年末でまだ400人以上の構成員がいる暴力団です。今後どのような動きに出るのか？裁判官や関係者の身の安全が守られることを祈るのみです。