東京芝浦で一斉を風靡したディスコ「ジュリアナ東京」はバブル終焉の象徴としても話題です。
この記事ではジュリアナ東京の成り立ちやシステム、当時の場所、全盛期当時の写真、お立ち台で踊り狂うボディコン女性、常連だった芸能人や有名人、閉店の理由と現在についてまとめました。
この記事の目次
- ジュリアナ東京は東京港区芝浦にあったディスコでバブル末期の象徴
- ジュリアナ東京の場所は東京都港区芝浦1-13-10の第三東運ビル1階フロア
- ジュリアナ東京の全盛期当時の写真
- ジュリアナ東京のお立ち台とは優越感と陶酔感に浸った女性が踊り狂う場所
- ジュリアナ東京と芸能人や有名人① 荒木師匠こと荒木久美子
- ジュリアナ東京と芸能人や有名人② 三浦知良やラモス瑠偉らヴェルディ川崎の選手
- ジュリアナ東京と芸能人や有名人③ 人気芸能人や著名人の常連も多数
- ジュリアナ東京の閉店理由① 経営不振
- ジュリアナ東京の閉店理由② お立ち台での露出が過激化するなどおかしな方向へ行った
- ジュリアナ東京の現在① 期間限定の復活イベントが開催
- ジュリアナ東京の現在② 大阪市北区での復活が話題になるもすぐに閉店
- まとめ
ジュリアナ東京は東京港区芝浦にあったディスコでバブル末期の象徴
「ジュリアナ東京」（正式名称はJULIANA’S TOKYO British discotheque in 芝浦）とは、バブル景気終焉直後の1991年5月15日から1994年8月31日まで、東京都港区芝浦1丁目で営業していた大型ディスコです。
ジュリアナ東京の成り立ち
当時、東京都港区芝浦地区は工場や倉庫が多く所在する埋め立て地で、バブル全盛期を迎えた1980年代末頃から、空き倉庫や跡地を利用した大規模なディスコ（芝浦ゴールド、オーバー2218など）やライブハウスが多数開業して「ウォーターフロント」と呼ばれるようになり、若者に人気の場所として脚光を浴びていました。
そんな背景の中で、当時、日商岩井（現在の双日）の社員だった折口雅博さん（現在はブロードキャピタル・パートナーズ株式会社CEO）が、東京倉庫運輸の経営陣に東京都芝浦にある空き倉庫の有効利用を相談されて巨大ディスコプロジェクトとして発案されたのがジュリアナ東京でした。
ジュリアナ東京は、芝浦地区で次々とディスコが開業された流れの最終期に登場した後発のディスコでしたが、アイルランド出身のジョン・ロビンソンら当時は珍しかった外国人DJを専属起用してのやたらハイテンションな英語で絶叫するMCパフォーマンスや、それまで流行したユーロビートでなく、新しく注目されていたレイヴ系テクノを前面に押し出し、その中でもキャッチーでミーハーな客にウケの良い選曲をした事で人気を獲得。
また、ジュリアナ東京は、選民志向（お金持ちで上品な客を店側が選ぶという事）を押し出していた「芝浦ゴールド」へのアンチテーゼとして「普通のOLが上品な夜を過ごせる」というコンセプトを打ち出した事で、広く一般の客層を呼び込む事に成功しました。
さらに、露出の激しいボディコン（体に密着しボディラインを強調したミニのワンピース）姿の若い女性が、ケバケバしくド派手な羽付の扇子（通称・ジュリ扇）を振りながら腰をくねらせて踊り狂う「お立ち台」と、それに群がる男達の様子をマスコミが盛んに取り上げた事によって、「ジュリアナ東京」は社会現象となり一世を風靡したのでした。
「ジュリアナ東京」は1991年5月15日にオープンし1994年8月31日に閉店しているので、営業期間はわずか3年半ほどでしたが、その強烈なインパクトによって当時の人々の記憶に強く残っており、現在でも「バブル全盛期の象徴」（実際にはジュリアナ東京の流行はバブル景気終焉直後）として度々その名前が取り上げられています。
ジュリアナ東京の入場料やシステム
「ジュリアナ東京」の当時の入場料金（エントランスフィー）は、男性が5000円、女性が4500円（ただし、休日前はプラス500円）で、3500円相当の飲食チケットがつきました。
会場内の飲食はVIPルームを除いて全てチケット制で、入場料金支払い時に配布されるチケットを使い果たした場合は1000円単位で追加購入できました。
また、ジュリアナ東京のVIPルームは中2階に設置されたVIPシート通称「V1」と、2階にあるガラス張りのVIPルーム通称「V2」があり、V1は2時間3000円、V2は2時間4000円と意外にリーズナブルな価格設定でした。
ジュリアナ東京の場所は東京都港区芝浦1-13-10の第三東運ビル1階フロア
ジュリアナ東京があった場所の現在の様子
「ジュリアナ東京」があった場所は「東京都港区芝浦1-13-10」で、倉庫ビルだった「第三東運ビル」の1階フロアを改装したもので、JR田町駅から徒歩約10分の距離でした。
下は「ジュリアナ東京」があった第三東運ビルの場所とその周辺の現在の地図です。
なお、かつてジュリアナ東京があった場所（第三東運ビル1階）は閉店後にスポーツショップが入り、その後、2006年8月から現在は、世界最大の広告会社グループであるオムニコムグループと博報堂の合弁会社「TBWA\HAKUHODO」のオフィスがテナントとして入居しています。
ジュリアナ東京の全盛期当時の写真
ジュリアナ東京の全盛期当時の写真も話題になっています。
ジュリアナ東京の全盛期当時の写真を見ると、当時の常軌を逸した狂乱ぶりが伝わってきます。
出典：https://chie-pctr.c.yimg.jp/
出典：https://news.walkerplus.com/
ジュリアナ東京の当時の写真を見ると、フロアが人でごった返しているのがわかります。
ジュリアナ東京のフロアは長方形で、広さはテニスコート6面分くらいの1200平方メートルほど、天井の高さは約8メートルのかなり広い空間でした。全盛期はそこに人が鮨詰め状態になる程で、最大収容人数は2000人とされていたものの、土曜日や日曜日はキャパを大幅に超えて3000人の客が入る事もあり、店内を移動するのも苦労するような状態でした。
ジュリアナ東京のお立ち台とは優越感と陶酔感に浸った女性が踊り狂う場所
「ジュリアナ東京」の象徴的に語られるものとして、通称「お立ち台」と呼ばれるダンスホールの両脇に設置されたステージがあります。
ジュリアナ東京の「お立ち台」とは、高さ1.3メートル、奥行き1メートル〜1.6メートル、長さ6メートル〜9メートルほどの鉄骨台で、そこには女性だけが上って踊る事ができ、しかも“いい女”ではない女性（見た目や格好、ダンスが良くないと判断された女性）が上ると、スタッフに下されてしまうような場所でした。
ようするに、ジュリアナ東京のお立ち台に上って踊る事ができるのは選ばれた女子であり、お立ち台とは、自分が特別扱いされているという優越感に浸りながら音楽に乗って踊り狂う事により陶酔感に浸る事ができる場所でした。
ちなみに、ジュリアナ東京は女性のみが上がれるお立ち台の他、男性も上がる事ができる通称で「雛壇」と呼ばれたステージもありました。
ジュリアナ東京と芸能人や有名人① 荒木師匠こと荒木久美子
「ジュリアナ東京」の有名人として最初に名前が挙げられるのが、ジュリアナ東京のカリスマ的存在になり「荒木師匠」と呼ばれた荒木久美子さんです。
荒木師匠こと荒木久美子さんは、1970年5月19日の生まれで、ジュリアナ東京がオープンした当時は21歳、閉店時は24歳でした。
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荒木久美子さんはテレビ朝日の深夜バラエティ「トゥナイト」に、ジュリアナクイーン、お立ち台の女王、ディスコの女王、扇子の女王、元祖扇子ギャルなどとして出演し、ボディコン、ミニスカ、羽付扇子（ジュリ扇）を持って踊りを披露して、番組内の名物的存在になりました。
ちなみに、ジュリアナ東京の象徴とも言えるお立ち台で踊る女性が振りかざす羽付扇子「ジュリ扇」を生み出したのも荒木久美子さんだそうです。
荒木久美子さんによると、当時、ジュリアナ東京は人が鮨詰め状態で大勢で熱狂して踊り狂うためにかなり暑く、最初はあおぐために扇子を持ち込んだそうです。
その後、荒木久美子さんはお立ち台の上で音楽に合わせて扇子であおいだところ、会場が盛り上がり、周りも真似をするようになったというのが「ジュリ扇」誕生のきっかけだったのだとか。
暑いお立ち台から下りて休憩しても、ジュリアナはメニューとかなくて扇（あお）げるものがない。銀座でママをしていた母が着物を着ていたので、扇子を借りて持っていったのが始まり。金と銀の扇子で和風に見えないやつだったかな。胸の谷間に挟んで、曲のトーンが落ちた時に扇いでいたら、みんなが見ていた。これはいいと思って服装に合わせた扇子を使っていたら、はやりだした。
ジュリアナ東京のカリスマ・荒木師匠こと荒木久美子さんは、ジュリアナ東京閉店後も芸能人として活動を続け、モデルやバラエティタレントとして活躍。1990年代終わりの第3次パラパラブームでは、パラパラの振り付け教則ビデオ「これが噂のパラパラだ!」（全2巻）をリリースし、最高オリコン9位を獲得しています。
その後、荒木久美子さんは、ディスコダンスの振り付けやプロデュース、恋愛テクのメルマガ発行などのインターネットビジネス、結婚相談所のセミナー講師、婚活スクール講師、占い、ヒーリング、銀座での飲食店経営など、幅広いビジネスを展開し実業家として成功されています。
ジュリアナ東京と芸能人や有名人② 三浦知良やラモス瑠偉らヴェルディ川崎の選手
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「ジュリアナ東京」は当時、社会現象になるほどのブームになっていましたが、多くの有名人や芸能人、業界人が顧客としてよく遊びに来ていた事も知られています。
特にジュリアナ東京のVIPルームの常連客として話題にされていたのが、ちょうど1991年に発足したJリーグ所属チームの中でも人気の高かったプロサッカークラブ「ヴェルディ川崎（現在の東京ヴェルディ）」 の人気プロサッカー選手達でした。
当時、ジュリアナ東京によく遊びにきていたヴェルディ川崎所属のプロサッカー選手としては、三浦知良さん、北澤豪さん、ラモス瑠偉さん、武田修宏さんらの名前があがっています。
横浜ＦＣのカズこと、元日本代表ＦＷ三浦知良（４９）は出番はなかったが、日本代表でも共闘した敵将・反町康治監督（５２）との秘話を明かしてくれた。
「ぼくを初めて『ジュリアナ東京』に連れて行ってくれたのは反町さん（笑）。本人は忘れているかもしれないけどね」
記録的な好況だったバブル景気の流れが残り、ディスコブームの時代だった。かつブラジル出身のラモスが踊るのが好きだったのもあり、選手たちは原宿や青山のクラブやジュリアナ東京などで遊んでいた。交友関係も広がり、武田氏は芸能人の和田アキ子さんと一緒に踊っていたこともあったと明かす。
ジュリアナ東京と芸能人や有名人③ 人気芸能人や著名人の常連も多数
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「ジュリアナ東京」によく顔を見せていた有名人や芸能人としては他にも、明石家さんまさん、飯島愛さん、羽賀研二さん、山田邦子さんといった、お笑い芸人やタレント、俳優の名前もよく話題にされていました。
その他、だいもん孝之さん（放送作家）、徳大寺有恒さん（レーシングドライバー）、志茂田景樹さん（小説家）などの著名人や、人気AV女優の後藤えり子さんもジュリアナ東京の常連として知られています。
ジュリアナ東京の閉店理由① 経営不振
社会現象を巻き起こすほどのブームとなり一世を風靡した「ジュリアナ東京」でしたが、営業期間はわずか3年半ほどで、1994年8月31日に閉店しています。
ジュリアナ東京の閉店の主な理由は、経営が急速に悪化した事でした。
ジュリアナ東京は専属DJによるオリジナルCDを発売していましたが、そのCDにジュリアナ東京の無料入場チケットが付録として付けられていました。ジュリアナ東京がブームになった事でこのCDはかなり売り上げたのですが、その無料チケットを持った一見の客が押し寄せるようになり、結果として客層が急激に悪化しました。
客層が悪化すると、それまでVIPルームの常連で上客だった金持ちや、有名人、芸能人らの足が遠のくようになり、急速に経営が悪化していきました。
また、当時は既にバブル景気は終焉を迎えており、日経平均株価の暴落が起きていた時期という事も重なり経営悪化に拍車をかけました。
そして、1994年はじめにジュリアナ東京は閉店を発表します。マスコミに対しては「ディスコシーンに置ける役割は充分果たした上での栄誉ある撤退」と説明し、「勇気ある撤退」といった見方も出ましたが、実際の閉店理由は単純に経営が急速に悪化して採算が合わなくなった事でした。
ジュリアナ東京は、閉店にともない、1994年8月24日から31日まで男女問わず全員の入場を無料にしてファイナルフェスティバルを開催。8月30日と31日はライブイベントも開催され、最終日にはそれまでで最大となる約4000人が入場し、会場に入りきれなかった約1万人が行列をつくるという大騒動を引き起こしています。
ジュリアナ東京の閉店理由② お立ち台での露出が過激化するなどおかしな方向へ行った
「ジュリアナ東京」の主な閉店理由はお金持ちや芸能人、有名人ら上客の足が遠のいた事による経営の悪化でしたが、もう1つの閉店理由として、警察の指導が入りマスコミの一部のバッシングに転じた事があげられます。
ジュリアナ東京では、お立ち台で露出度の高いボディコンに身を包んだ若い女性が踊り狂う事が名物とされ、それをマスコミが大々的に報じたため、お立ち台の下から女性のパンツが見られるとして下心を抱いた男性客が殺到するようになりました。
お立ち台に上る女性側も注目される事への快感や、他の女性への対抗心からどんどん露出度を増していったとされ、お立ち台の下にはパンツを覗こうとくわだてる男性らが群がるという、当初ジュリアナ東京が目指していた「おしゃれでセンスの良い上等な空間」とは全く異なる有様となり、挙げ句の果てには「女性がパンツを見せて男性がパンツを見る場所」という不健全なイメージまで持たれるようになりました。
こうした雰囲気が醸成された事もあってか、1993年に入ってから警察から女性の露出度の高さを指摘する指導、捜査が頻繁に入るようになりました。
警察からすれば、ジュリアナ東京のような場所は不純異性交遊や犯罪の温床になり、未成年者が犯罪に巻き込まれる可能性もある、やっかいな場所として捉えられていたと思われます。
それまで持て囃していたマスコミも、警察の指導が入るようになると手のひらを返し、ジュリアナ東京を不健全なイメージで報じてバッシングをするようになりました。
イメージの悪化を受け、ジュリアナ東京は、1993年11月にお立ち台の撤去を決定し、入場時の服装チェックも厳しくするなど健全化をはかりましたが、結果としてこれがさらなる人気の低下を招いて経営状況を圧迫し、閉店理由へとつながっていった面もありました。
ジュリアナ東京の現在① 期間限定の復活イベントが開催
「ジュリアナ東京」は1994年に閉店していますが、その後何度も期間限定の復活イベントが開催されています。
2021年11月には、ジュリアナ東京30周年を記念するイベントが六本木のバーレスク東京、渋谷のCLUB CAMELOTにて開催され、当時の専属DJらが出演し、スターDJだったジョン・ロビンソンもバーチャルライブ出演。当時を知るglobeのマーク・パンサーさんやTRFのDJ KOOさん、ジュリアナ東京のカリスマである荒木師匠こと荒木久美子さんも出演し、当時の雰囲気がそのまま再現され好評を博しました。
直近では2023年9月9日に、京都市東山区のマハラジャ祇園にて、ジョン・ロビンソンをゲストに招き、当時のジュリアナ東京の世界観を再現するイベント「ジュリアナ東京style」が開催され、こちらも大きな反響を呼びました。
ジュリアナ東京の現在② 大阪市北区での復活が話題になるもすぐに閉店
2018年10月26日、大阪市北区堂山町で、ジュリアナ東京の初に復活店舗となる「JULIANA’S TOKYO BRITISH DISCOTHEQUE IN OSAKA」が開店し話題になりました。
荒木師匠こと荒木久美子さんもゲスト出演し、当時のジュリアナ東京で踊っていた現在は50代になった方が大勢訪れて人気となっていましたが、2020年5月に新型コロナウイルスの感染拡大の影響をもろに受けて閉店に追い込まれてしまいました。
まとめ
今回は、1991年5月15日から1994年8月31日まで東京都港区芝浦のウォーターフロント地区で営業し、一斉を風靡した大型ディスコ「ジュリアナ東京」についてまとめてみました。
ジュリアナ東京のあった場所は「東京都港区芝浦1-13-10」で、「第三東運ビル」の1階フロアです。現在、この場所には「TBWA\HAKUHODO」のオフィスが入っています。
ジュリアナ東京の全盛期当時の写真もネットで話題で、お立ち台と呼ばれるステージで露出の激しいミニスカボディコン姿の若い女性らが羽付扇子（ジュリ扇）を振りかざして踊り狂い、その下に男性が群がるという当時の様子を窺い知る事ができます。
当時、社会現象を巻き起こしていたジュリアナ東京には、多くの芸能人や有名人が訪れていました。特に知られているのが、当時発足したばかりだったJリーグの人気チーム「ヴェルディ川崎」の選手らで、あの三浦知良さんやラモス瑠偉さんら錚々たるレジェンド達がジュリアナ東京の常連だったそうです。
ジュリアナ東京は、わずか3年半で閉店していますが、閉店理由は単純に経営が急激に悪化したためでした。経営が悪化した理由は、お立ち台で踊る女性らが競い合って露出を激しくしていった結果客層が悪化し、警察の指導が入るなどした結果上客が離れていった事だとされています。
現在、ジュリアナ東京の当時を再現するイベントが期間限定でしばしば開催されていますが、常設店舗としての復活にまでは至っていません。
