在日2世として日本で生まれ戦後の帰国事業で北朝鮮に渡り2003年に脱北し日本に戻った脱北者の川崎栄子さんが話題です。
この記事では川崎栄子さんのプロフィールや生い立ちや国籍、親など家族、高校や大学、北朝鮮での結婚と旦那さん娘ら子供、現在の活動などについてまとめました。
この記事の目次
- 川崎栄子さん（脱北者）のプロフィール
- 川崎栄子さん（脱北者）の生い立ち
- 川崎栄子さん（脱北者）の国籍は脱北成功後に日本に帰化
- 川崎栄子さん（脱北者）の家族…両親は韓国出身で兄弟姉妹は下に4人
- 川崎栄子さん（脱北者）の経歴① 高校は朝鮮学校へ特待生として進学
- 川崎栄子さん（脱北者）の経歴② 高校3年で帰国事業で北朝鮮へ
- 川崎栄子さん（脱北者）の経歴③ 大学は北朝鮮の工学系の学校へ
- 川崎栄子さん（脱北者）の経歴④ 43年の北朝鮮での生活を経て脱北に成功
- 川崎栄子さん（脱北者）は北朝鮮で結婚し旦那は地元の男性で子供も5人
- 川崎栄子さん（脱北者）さんの脱北後に娘1人とその子供2人も北朝鮮を脱出
- 川崎栄子さん（脱北者）の現在
- まとめ
川崎栄子さん（脱北者）のプロフィール
川崎栄子さんのプロフィール
生年月日：1942年7月11日
出身地 ：京都府久世郡久御山町
川崎栄子さんは在日韓国人の両親のもとに太平洋戦争中の1942年に日本で生まれ、高校生だった1960年に帰国事業で北朝鮮へと渡り、2003年に脱北に成功して日本に帰国し、その後は脱北者の支援活動や北朝鮮人権解決活動を展開されている方です。
川崎栄子さん（脱北者）の生い立ち
出典：https://syouheinouhau.daa.jp/
川崎栄子さんの生い立ちについては、太平洋戦争真っ只中の1942年7月に朝鮮半島出身の両親のもと京都の久世郡久御山町で在日2世として生まれました。
川崎栄子さんの生まれ育った家族は経済的に貧しかったものの、両親の仲がよく平穏な環境で育ったという事です。
川崎栄子さんは小学校から中学校までは朝鮮学校ではなく日本の公立校に通われていたそうで、勉強はとても得意だったそうです。ただ、家族が貧しく当時は奨学金も受けられなかったため日本の公立高校へは進学できず、朝鮮高校へと進学しています。川崎栄子さんの学歴については後述します。
川崎栄子さん（脱北者）の国籍は脱北成功後に日本に帰化
生い立ちのところでも触れたように、川崎栄子さんの両親は共に韓国出身で日本の植民地時代は日本国籍を所持していたものの、日本の敗戦後に日本国籍がなくなり朝鮮籍となり1965年に韓国籍を選択されているはずです。
その子供である川崎栄子さんも同様に敗戦で日本国籍を失って朝鮮籍となっていますが、帰国事業で一度は北朝鮮へ渡りました。そして2003年に脱北者となり日本に戻った後に帰化をして日本国籍を再び取得されています。
戦後の帰国事業で北朝鮮に渡った在日朝鮮人２世で、２００３年に脱北後に日本国籍を取得した川崎栄子（ペンネーム・韓錫圭）さん（７４）
川崎栄子さん（脱北者）の家族…両親は韓国出身で兄弟姉妹は下に4人
川崎栄子さんの家族は生い立ちのところでも触れたように両親は朝鮮半島出身です。
また、川崎栄子さんは5人兄弟の長女で下に4人の弟と妹がいて7人家族で育っています。
当時の朝鮮出身の在日の方の家族は貧窮するケースも多く荒れた家庭も多かったという事ですが、川崎栄子さんの家族は両親の仲がよく平穏で温かい家庭だったそうです。
川崎栄子さんは高校は朝鮮学校に進学しましたが、その際に「北朝鮮は地上の楽園」だと教えられたのを信じてしまい、家族の中で最初に「北朝鮮へ行きたい」と考えて、1960年に帰国事業により単身で帰国船に乗っています。
しかし、実際に北朝鮮についてみると地上の楽園というのは全くの嘘で人権も自由もない北朝鮮の悲惨な実態を知ったという事です。
川崎栄子さんは日本の家族に北朝鮮に来てはいけないというのは伝えなくてはと考え、北朝鮮政府にバレないように遠回しに手紙でそれを伝えたそうです。（北朝鮮の体制に反感を抱いている事が悟られればタダでは済まないため）
両親にはそれがうまく伝わり、川崎栄子さんの家族は日本に残る選択ができたという事でした。
北朝鮮に到着した後、川崎さんは両親に「来てはいけない」ということをどうやって伝えるか悩んだ。他の人たちは出発前、あらかじめ「鉛筆で手紙を書けば来るなという意味、ペンで書けば来いという意味」という暗号を事前に決めておいたという。川崎さんはそのようなことは考えていなかった。朝鮮総連を信じていたからだ。手紙には遠回しに書いたが、家族はその内容を何とか悟り、北朝鮮には来なかったという。
川崎栄子さん（脱北者）の経歴① 高校は朝鮮学校へ特待生として進学
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川崎栄子さんの経歴についてもみていきます。
生い立ちのところでも触れたように、川崎栄子さんは小学校や中学校までは日本の公立校に通いました。
しかし、当時の日本では在日の方は奨学金を受けられなかったため日本の公立高校へ進学する事が叶わず、朝鮮総連の人の勧めにより高校は朝鮮学校（京都朝鮮人中高級学校高級部）へと進学されています。
川崎栄子さんは特待生の試験を受けて合格して進学したため、授業料や教科書代なども全て無料で朝鮮学校の高校へ行く事ができたそうです。
小・中学校は日本の地元学校に通い、高校から朝鮮学校に通いました。朝鮮学校に通うことにしたのは、家庭の経済状況が悪く、当時は在日朝鮮人が日本の奨学金を受けることができなかったこともあって、日本の公立高校に行くことができなかったからです。そのような時に朝鮮総連の人が家に来て、「朝鮮学校には在日のための奨学金がある」「特待生の試験を無料で受けられる」と教えてくれました。日本の高校に行くお金を出してくれるという篤志家もいましたが、私は自分の実力で学校に行きたかったので、特待生の試験を受けて合格し、朝鮮学校に通うことにしました。
川崎栄子さん（脱北者）の経歴② 高校3年で帰国事業で北朝鮮へ
川崎栄子さんは朝鮮学校の高校で「北朝鮮は地上の楽園である」とすりこまれた事で、帰国事業で北朝鮮へ行きたいと考えるようになり、両親や家族にもそれを伝えたそうです。
川崎栄子さんの両親は朝鮮半島でも南部の出身だったため最初はそれに反対したそうなのですが、川崎栄子さんの「どうしても行きたい」という言葉に最終的には賛成したそうです。
ただ、両親は移住するにも準備が必要だという事で、川崎栄子さんだけが先に1人で北朝鮮へ渡る事になったそうです。
しかし、既に書いたように先に渡った川崎栄子さんが北朝鮮の悲惨な状況に気づき家族に手紙で伝えたために家族は日本にそのまま残る事になりました。
川崎栄子さん（脱北者）の経歴③ 大学は北朝鮮の工学系の学校へ
川崎栄子さんは北朝鮮へ渡った後、朝鮮学校出身で成績も優秀だったために大学へ進学する事を許されています。
川崎栄子さんは北朝鮮の大学では比較的自由に動け、社会主義論や哲学なども学ぶ事ができたようです。
日本人学生の多くは労働者として工場に送られましたが、朝鮮学校出身だった私は大学に進学することができました。私は小さい頃から勉強が得意で、他の人よりも予習復習に時間をかける必要のない人間だったので、大学でも比較的自由な時間を過ごしましたね。
川崎栄子さんは表面上は北朝鮮に賛同するふりをしつつ、内心では北朝鮮の体制に反対しており、反体制的な思想を悟られて処刑されないために大学を工学系に変更し、文字を書かないという事を徹底されたそうです。
北朝鮮政府の政治には賛成も協力もできないと、いち早く決心した本人は大学の選考を工学系に変更し、彼らから命を奪われないために一切字を書かなかった。
引用：在日“北送・帰還・帰国”事業・拉致 等、北朝鮮人権改善KOA(NGOモドゥモイジャ) ウェブサイト掲載の川崎栄子さんプロフィール
川崎栄子さん（脱北者）の経歴④ 43年の北朝鮮での生活を経て脱北に成功
川崎栄子さんは43年間北朝鮮に滞在した後、2003年3月に脱北に成功しています。
川崎栄子さんは北朝鮮で結婚もして旦那と子供がいましたが、危害が及ばないように脱北の計画を家族にすら伝えずに準備を整えたそうです。
川崎栄子さんは北朝鮮に残してきた旦那や子供、孫ら家族、関係者に危害が及ばないように、北朝鮮にいた頃の経歴や暮らしについてはほとんど明かしていませんが、炭鉱都市でトラック運転手をしていたと言います。また、どのようにして脱北したのかについても明かされていません。
川崎さんは京都で生まれ、昭和３５年に北朝鮮に渡った。炭坑都市でトラック運転手をしていたが、「実情を世界に伝える必要がある」と２００３年３月、家族を残し単身で中国に脱北した。
川崎栄子さんは脱北に成功して日本へ戻った後は、脱北者の支援活動や北朝鮮の人権問題の解決に向けた取り組みに力を注がれています。
川崎栄子さん（脱北者）は北朝鮮で結婚し旦那は地元の男性で子供も5人
川崎栄子さんは高校生の時に北朝鮮へ渡り、その後に現地の男性と結婚しています。
川崎栄子さんは旦那さんとの出会いや結婚については、大学卒業後に職場で知り合った男性と結婚したと明かされています。
旦那さんについては帰国者ではなく、帰国者である川崎栄子さんよりも北朝鮮内では立場の強い方だったようで、いわゆる身分違いの結婚であったために川崎栄子さんは旦那さんの母親にいじめられたのだそうです。
北朝鮮で理工系の大学を卒業して就職した私は、職場で出会った現地の男性と結婚しました。彼は「帰国者」ではなかったので、私のような低い「成分」（出身身分によるランク）の人間と結婚するのは奇特なことでした。姑は私と結婚したことがずっと気に入らず、ずいぶんいじめられました。
川崎栄子さんはこの旦那さんとの間に5人の子供を出産しています。
川崎さんは地元男性と結婚し5人の子供を授かった。
川崎栄子さん（脱北者）さんの脱北後に娘1人とその子供2人も北朝鮮を脱出
川崎栄子さんは北朝鮮出身の旦那さんとの間に5人の子供を出産しています。川崎栄子さんは脱北する前に子供全員を結婚させています。これも自分が脱北した後に子供達に危害が及ばないようにするためだったようです。
川崎栄子さんは自分の脱北が成功して日本での生活が落ち着き次第、子供達も順番に脱北させるつもりだったそうなのですが、脱北に成功したのは子供のうち娘1人だけだという事です。
川崎さんに続いて、娘の1人とその子どもも日本に逃れましたが、そのほかの家族はいまも北朝鮮にいます。
川崎栄子さんの娘の1人は2人の自分の子供を連れて脱北に成功したという事でしたが、他の4人はまだ幼い子供（川崎栄子さんにとって孫）に危害が及ぶのを恐れて脱北を決断できなかったのではないかという事です。
私は、生きて日本に着いて生活が安定したら、子供たちも順番に全て脱北させるつもりでした。実際には、娘1人とその子供2人だけが脱北をしました。
脱北は命がけですので、他の子供たちは、幼い孫たちの命を心配して脱北できなかったのだと思います。
川崎栄子さんが脱北した事で、北朝鮮に残った旦那さんや子供らは苦しい状況にあるようで、孫の1人が北朝鮮軍に入ったものの、軍の上層部に母親が脱北している事が知られており、日本から物資や金品を送らせて貢がせようと画策したそうです。しかしこの孫は川崎栄子さんにそれを伝えなかったため上官の1人に殺害されたそうです。
私が脱北したことは、家族以外の人にも知られていたようです。孫の１人は、日本で育っていたら博士号をとったのではないかと思うくらい優秀な子でしたが、この孫が軍に入ったとき、孫の上官らが私の脱北を知っていて、孫には軍の仕事をさせずに家に帰らせて、金や物を貢ぐように指示していたそうです。しかし、孫はそのことを一度も私に知らせてきませんでした。当然上官らは何も得ることはできませんでしたので、怒った上官の１人が、孫を建物から突き落として殺してしまいました。
川崎栄子さんは脱北後には日本から家族のために物資を送っていたそうなのですが、コロナ禍の時に北朝鮮が国境を封鎖した時に家族との連絡が途絶え、支援物資も送れなくなってしまい、現在も家族と連絡が取れず非常に心配しているとの事でした。
川崎栄子さん（脱北者）の現在
川崎栄子さんは現在も北朝鮮の人権問題や脱北者支援の活動に取り組まれています。
川崎栄子さんは北朝鮮の人権問題や北朝鮮による拉致被害者、北朝鮮帰国事業に関わる問題に取り組むNGO団体「モドゥモイジャ（KOA）」の代表を務められています。
また、川崎栄子さんは世界の平和や人権問題に関わるフォーラムなど講演活動も展開されています。
まとめ
今回は、在日2世として日本で生まれ、帰国事業で北朝鮮へと渡り2003年に脱北して日本へ戻り、現在は脱北者支援や北朝鮮の人権問題に取り組まれている川崎栄子さんについてまとめてみました。
川崎栄子さんのプロフィールは1942年7月11日生まれ、京都府久世郡久御山町の出身で、朝鮮半島南部（現在の韓国）出身の両親と下に4人の妹と弟がいる7人家族で育った生い立ちを持ちます。
川崎栄子さんは高校から朝鮮学校へ進学し、「北朝鮮は地上の楽園」だという教えを信じて当時行われていた帰国事業により高校3年生の時に北朝鮮へと渡りました。川崎栄子さんは北朝鮮では工学系の大学へと進学して卒業し、その後は炭鉱都市でトラック運転手として働かれていた経歴を持ちます。
川崎栄子さんは職場で知り合った北朝鮮出身の男性と結婚しています。旦那さんとの間には子供が5人生まれており、娘さんの1人は川崎栄子さんが脱北に成功した後に、2人の子供を連れて脱北し現在は日本にいます。
川崎栄子さんは現在も脱北者の支援や北朝鮮の人権問題に関する活動に力を注がれています。
